プライベート・ライアン

アメリカの映画作品

プライベート・ライアン』(原題:Saving Private Ryan)は、アメリカ1998年に公開された戦争映画第二次世界大戦時のノルマンディー上陸作戦を舞台に、1人の兵士の救出に向かう兵隊たちのストーリー。

プライベート・ライアン
Saving Private Ryan
Saving-private-ryan-logo.svg
監督 スティーヴン・スピルバーグ
脚本 ロバート・ロダット
フランク・ダラボン(クレジット無し)
製作 イアン・ブライス
マーク・ゴードン
ゲイリー・レヴィンソン
スティーヴン・スピルバーグ
出演者 トム・ハンクス
エドワード・バーンズ
マット・デイモン
トム・サイズモア
音楽 ジョン・ウィリアムズ
撮影 ヤヌス・カミンスキー
編集 マイケル・カーン
製作会社 アンブリン・エンターテインメント
ドリームワークス
マーク・ゴードン・プロダクションズ
配給 アメリカ合衆国の旗 DW/パラマウント
日本の旗 UIP
公開 アメリカ合衆国の旗カナダの旗 1998年7月24日
メキシコの旗 1998年9月4日
ブラジルの旗イギリスの旗アイルランドの旗アイスランドの旗ポーランドの旗ポルトガルの旗トルコの旗 1998年9月11日
大韓民国の旗 1998年9月12日
アルゼンチンの旗ハンガリーの旗オランダの旗シンガポールの旗香港の旗 1998年9月17日
スペインの旗 1998年9月18日
フィンランドの旗 1998年9月25日
日本の旗台湾の旗 1998年9月26日
ベルギーの旗フランスの旗 1998年9月30日
ドイツの旗チェコの旗スロバキアの旗 1998年10月8日
オーストリアの旗ノルウェーの旗スウェーデンの旗ロシアの旗 1998年10月9日
イスラエルの旗 1998年10月15日
ギリシャの旗ウルグアイの旗 1998年10月16日
クウェートの旗 1998年10月21日
ニュージーランドの旗 1998年10月22日
デンマークの旗 1998年10月23日
イタリアの旗 1998年10月30日
ルーマニアの旗 1998年11月6日
フィリピンの旗 1998年11月11日
スロベニアの旗 1998年11月12日
エストニアの旗 1998年11月13日
オーストラリアの旗 1998年11月19日
インドネシアの旗 1998年12月9日
上映時間 170分
製作国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
言語 英語
ドイツ語
フランス語
チェコ語
製作費 $70,000,000[1]
興行収入 世界の旗 $481,840,909[1]
アメリカ合衆国の旗カナダの旗 $216,540,909[1]
配給収入 日本の旗 24億円[2]
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監督はスティーヴン・スピルバーグで、主演はトム・ハンクス。救出されるライアン役をマット・デイモンが演じている。製作・配給はドリームワークスパラマウント。原題の Saving Private Ryan とは、「兵卒ライアンの救出」という意味[注 1]

アカデミー賞では11部門にノミネートされ、興行面でも全世界で大きな成功を収めた。

あらすじ編集

プロローグ編集

ある老人が家族を連れてノルマンディー米軍英霊墓地を訪れ、一つの墓の前に感極まって座り込んだ。心配した家族が駆け寄るなか、老人は戦時中のある思い出を回想する。

オマハ・ビーチ編集

ノルマンディー上陸作戦を成功させたアメリカ軍だったが、ドイツ国防軍の激しい迎撃にさらされ多くの戦死者を出してしまう。そんな中、アメリカ陸軍参謀総長ジョージ・マーシャルの元に、ある兵士の戦死報告が届く。それはライアン家の四兄弟のうち三人が戦死したというものだった。

残る末子ジェームズ・ライアンも、ノルマンディー上陸作戦の前日に行なわれた空挺降下の際に「敵地で行方不明になった」という報告が入り、マーシャルはライアンを保護して本国に帰還させるように命令する。

村での攻防編集

命令を受けたレンジャー大隊のC中隊長ミラー大尉は、6名の部下と、通訳として歩兵師団から引き抜いたアパム技能兵を伴い、ライアンがいると思われるフランス内陸部へ向かう。一同は味方がドイツ軍と交戦中の村に入り、戦闘に参加する。途中、保護を求めるフランス人一家と遭遇し、ミラーは安全が保障できないことを理由に保護を拒否するが、カパーゾ二等兵が独断で子供を保護しようとして狙撃されてしまう。狙撃手のジャクソン二等兵が敵の狙撃手を射殺するが、カパーゾは息を引き取る。

戦闘が終息した後でミラーはハミル大尉の部隊から「ライアン」を見つけ、三人の兄が戦死したことを告げるが、そのライアンは同姓同名の別人だった。ミラーは探し求めているライアンと同じ部隊にいた兵士から情報を聞き出し、目的のライアンが所属する第101空挺師団を探す。

空挺部隊の集結地、ドイツ軍陣地へ編集

空挺師団の集結地点に到着したミラーたちは、回収された戦死者の認識票を調べたり、周囲の将兵たちに聞き込みを行う。ライアンの知り合いは、ライアンが混成部隊に加わり前線の橋を守っていることを伝える。ミラーたちは前線に向かうが、その途中で破壊されたドイツ軍の対空レーダーサイトと警備陣地を発見する。部下たちは戦闘を避けて迂回するように進言するが、ミラーは後続の部隊の被害を防ぐために戦闘を決意する。

最終的に警備陣地の制圧には成功するものの、ウェイド技能兵が戦死する。彼の死に憤慨したライベン一等兵は生き残っていたドイツ兵を殺そうとするが、ミラーはそのドイツ兵に戦死者の墓を掘るように命令し、人目を忍んでウェイドの死に涙する。その後、ミラーは墓を掘り終えたドイツ兵を解放して後続の連合軍部隊に降伏するように指示するが、かねてよりライアン捜索の任務に不服を感じていたライベンは命令を放棄し、引き留めようとするホーヴァス軍曹と衝突する。ミラーは自分の過去を明らかにして、二人に対し「故郷の妻に誇れる任務をしたい」と語り、その場を収めて前進する。

前線の橋編集

前線の橋に近付いたミラーたちは、ついに探し求めていたライアンを発見する。ミラーはライアンに帰還するように命令するが、彼は「戦場の兄弟を見捨てて帰れない」と命令を拒否する。それを聞いたミラーたちも混成部隊と共に、戦車に支援されたドイツ武装親衛隊を迎え撃つことになる。ミラーたちは敵を市街地に誘い込み奇襲を仕掛けるが、物量差に押されて劣勢になり、メリッシュ二等兵や、ジャクソン、ホーヴァスらが次々に戦死する。

ミラーはライアンを後退させ、橋の爆破を試みるが、負傷して身動きが取れなくなる。茫然と座り込んだミラーは拳銃を抜き、向かって来る戦車をひたすら銃撃する。そこに援軍とP-51戦闘攻撃機が到着し、目の前の戦車は爆撃を受けて破壊され、ドイツ軍は撤退を開始。アパムは逃げる敵兵の中にミラーが逃がしたドイツ兵を見つけ、彼を射殺し、残りの敵兵を見逃す。衛生兵を呼ぶライベンの声もむなしく、ミラーはライアンに生きて人生を全うするように告げて息絶える。

終戦後編集

時は再び、戦争終結から50年後の現代に戻る。老人となったライアンは、ミラーの墓前で彼とその部下たちに感謝の言葉を伝えた後に、妻に「私は、彼が望む人生を生きただろうか」と問いかける。妻の「もちろんです」という言葉を聞き、ライアンはミラーの墓に向かい敬礼を捧げる。

キャスト編集

主要人物編集

ジョン・H・ミラー(John H. Miller)
演 - トム・ハンクス
アメリカ陸軍大尉第2レンジャー大隊C中隊指揮官。34歳[注 2]地形を活かした戦術を巧みに考案する優秀な将校士官[注 3])。着任する前の経歴が全く不明[注 4]で中隊内で大きな謎となっており、部下の兵士たちから賭けの対象となっている[注 5]。後に、ドイツ軍陣地でライベンが命令を放棄しようとした際、「自分は11年間トーマス・アルバ・エジソン高校の作文教師だった」と告白し、「いつか故郷に帰ったとき妻に誇れる任務をしたい」と語った。このときに彼の出身はペンシルベニアだと判明する。
マイケル・ホーヴァス(Michael Horvath)
演 - トム・サイズモア
一等軍曹en:Technical sergeant)。ミネアポリス出身。愛称マイク。熟練の下士官であり、状況を正確に把握し、適切な意見を具申できるほどに卓越している。ミラーの右腕的存在で、部下には厳しい上に、尻に関わるスラングをよく使用する。やや肥満体で、走るのが遅い。北アフリカ戦線から続く戦歴を持ち、各前線の土をコレクションとしている。「Horvath」は、ハンガリー系に多いラストネーム。小説版では「ホーヴァート」と表記されている。ルター派M1カービンを持つ。
リチャード・ライベン(Richard Reiben)
演 - エドワード・バーンズ
一等兵自動小銃手として、分隊火力支援を担任する。ブルックリン出身で、口が悪く、直情的で気が短い。救出隊の中で最もライアンを嫌っていた。小説版では「レイベン」と表記されている。持っているBARは元々は別の人物の物で、自分のは上陸作戦で溺れ掛けた時に海に捨てた。
ダニエル・ジャクソン(Daniel Jackson)
演 - バリー・ペッパー
二等兵。卓越した技術を持つ狙撃手。自身曰く、「自分ほど素晴らしい狙撃の腕があれば、ヒトラーも暗殺できて戦争を一瞬で終結できる」との事。寡黙でマイペース。信心深いカトリックであり、射撃の際には必ず祈りを口にする。左利きのため、右利き用に設計されたスプリングフィールドM1903を左肩に構えて射撃を行っている。
スタンリー・メリッシュ(Stanley "Fish" Mellish)
演 - アダム・ゴールドバーグ
二等兵。小銃手。ヨンカーズ出身のユダヤ系で、その出身からドイツ軍を嫌っており[注 6]、行軍している捕虜に向かって自身の持っているダビデの星が描かれているネックレスを見せ付けてドイツ語で「(自分は)ユダヤ人」と言って見せたほど。口髭が特徴。
エイドリアン・カパーゾ(Adrian Caparzo)
演 - ヴィン・ディーゼル
二等兵。小銃手。イタリア系の大柄な人物。シカゴ出身。最初はアパムに対して中隊長であるミラーに敬礼するなと威嚇するように警告したが、途中の村でフランス人一家から子供を保護しようとするなど人情味溢れる性格が出ている。
アーウィン・ウェイド(Irwin Wade)
演 - ジョヴァンニ・リビシ
四等技能兵英語版衛生兵サンディエゴ出身。ミラーとホーヴァスとは最も付き合いが長い。隊では数少ない人当たりの良い青年。しかし、過去に自分の母親に対する態度を振り返り、素直ではないことを認めている。エンドクレジットでは「T/4 Medic Wade」と表記されており、「T/4」は「四等特技兵」の略で、「Medic」は「衛生兵」の意である。四等特技兵は、軍曹より下、伍長より上に相当する大戦中のアメリカ陸軍独自の階級である[4]
ティモシー・E・アパム(Timothy E. Upham)
演 - ジェレミー・デイビス
五等技能兵英語版ボストン出身。救出隊の中では最年少[注 7]。もともと第2レンジャー大隊の一員ではなく、第29歩兵師団英語版所属。同師団で地図作成や情報処理を担当していたが、ドイツ語フランス語[注 8]が話せるため、通訳としてミラーの分隊に加わる。事務作業のみで実戦経験が無く、荷物を準備する際、タイプライターを手に持ち、M1ヘルメットと間違えてシュタールヘルムを持って行きかけたほど。また、敵兵であっても殺害することを極力避ける傾向にある。他の兵士には自身の気の弱い性格を持っていて、最初は嫌悪されていた為か、「フーバー」[注 9]の意味を教えてもらえずにからかわれていた[注 10]。普段は喫煙をしない模様。前戦の橋ではメリッシュとヘンダーソン伍長の予備弾補給担当でもあったが、メリッシュを見殺しにしてしまう。メリッシュの有名な「アパム、弾! 弾持って来ーい!」と怒鳴るセリフが向けられる当人。エンドクレジットでは「Corporal Upham(アパム伍長)」と表記されているが、劇中では五等特技兵(T/5)の階級章を付けているので、正確には伍長より下、一等兵より上の階級である[4]
ジェームズ・フランシス・ライアン(James Francis Ryan)
演 - マット・デイモン(青年時)、ハリソン・ヤング(壮年時)
一等兵[注 11]第101空挺師団第506落下傘歩兵連隊第1大隊所属[注 12][6]アイオワ州ペイトン英語版の農家出身で、4人兄弟の末っ子。3人の兄が全員死亡したため緊急に前線勤務を解かれ、本国へ送還されることになる。しかし、これを拒否して仲間と最後まで一緒にいるという覚悟を決める態度から、正義感の仲間意識の強い性格の持ち主だと言える。初登場時はM1A1 バズーカを持っており、敵偵察車のSd Kfz 251を砲撃している。

その他の人物編集

ジョージ・マーシャル(George Catlett Marshall, Jr.)
演 - ハーヴ・プレスネル
アメリカ陸軍参謀総長、階級は大将(当時)。本作に登場する唯一の実在人物。直々に救助隊にライアンの本国送還を命令する。
ウォルター・アンダーソン(Walter Anderson)
演 - デニス・ファリーナ
アメリカ陸軍中佐第2レンジャー大隊指揮官で、ミラーの上官。映画冒頭、前線指揮所においてミラーから戦況の報告を受けていた。沈痛な面持ちで戦死者と負傷者の報告をしたミラーに対して労いの言葉を掛けている会話から、ミラーを信頼していることが窺える。報告の後、マーシャル大将からのライアン救出任務の指令をミラーに伝える。
フレッド・ハミル(Fred Hamill)
演 - テッド・ダンソン
アメリカ陸軍大尉。第101空挺師団502空挺歩兵連隊に付属する指揮官。ミラー達がヌーヴィルに到着した際、潜伏していたドイツ兵達を殺害した。彼の部隊にはミラー達によって探されていたと思われる「ライアン」という兵士が居たが、人違いであった。また、今回のライアン救出任務の事についても知っていた。彼曰く、自身にも兄弟が二人いる。
デウィンド(Dewindt)
演 - リーランド・オーサー
アメリカ陸軍中尉。第99空輸飛行隊327グライダー歩兵連隊の軍用グライダーの操縦士。彼の副操縦士はグライダーが不時着した際に首を切断されて死亡したらしい。搭乗した要人、第101空挺師団副師団長のアメンド准将[注 13]を守ろうと兵士の誰かが鉄板をグライダーに張り付けていた為、母機から離れた瞬間、重すぎて上昇できずに不時着した。これにより、空挺団員22人が死亡した模様。その為、准将一人の為に多数の兵士が死んだことをミラーたちと一緒に「フーバー」だと言った。戦死者の認識票を集めたが、本人曰く数えられる気にもなれないほどの量だと言う。
ブリッグス(Briggs)
演 - ロルフ・サクソン
アメリカ陸軍中尉。第2レンジャー大隊C中隊付将校[注 2]。33歳[注 2]。上陸した際に下腹部を撃たれて負傷し、叫んでパニックになり自力では動けなくなっていた。海軍からの命令よって海岸の障害物爆破の為に避難するように言われ、彼をミラーが引きずって退避させようとしたが、その後ドイツ軍の砲弾により下半身を失い戦死。
ディフォレスト(Deforest)
大隊付軍医。階級は不明だが、医科大学院を卒業後の現役の軍医であれば、大尉以上に任官されるため、士官か上長官階級かと思われる。海岸にて、銃弾を浴びて大量出血を伴う重傷を負い、ウェイド等衛生兵から手当てを受けていたが、止血中に銃弾がヘルメットを貫通して戦死。この時、治療中に軍医を失ったウェイドはドイツ兵に対して激高して我を失っていた。
ジェームズ・フレデリック・ライアン(James Frederick Ryan)
演 - ネイサン・フィリオン
一等兵。ミネソタ出身。発見直後はメリッシュから「アホ面」と呼ばれていた程ミラーの部下達から憎まれていた。しかし、ミラーたちが探していたのはアイオワ出身のジェームズ・フランシス・ライアンであり、結果的に人違いであった。小学生の弟達がおり、帰還したら釣りに行く約束をしている。ミラーが兄弟の死を切り出した際には激しく動揺して泣き出し、人違いだと判ると弟たちの無事を喜ぶとともに「弟たちに会いたい、帰りたい」と泣きじゃくるなど弟想いな人柄であることが窺える。
ショーン・ライアン(Shawn Ryan)、ピーター・ライアン(Peter Ryan)、ダニエル・ライアン(Daniel Ryan)
ジェームズ・フランシス・ライアンの実兄達。長男のショーンはミラー大尉達がいたオマハ・ビーチで、次男のピーターはユタ・ビーチで、三男のダニエルは太平洋戦争のニューギニアで同時期に戦死している。ショーンだけ遺体のみ映されている。

日本語吹替編集

役名 俳優 日本語吹替
ソフト版 テレビ朝日
ジョン・H・ミラー大尉 トム・ハンクス 江原正士 山寺宏一
マイケル・ホーヴァス一等軍曹 トム・サイズモア 塩屋浩三 石田圭祐
リチャード・ライベン一等兵 エドワード・バーンズ 後藤敦 山路和弘
ダニエル・ブーン・ジャクソン二等兵 バリー・ペッパー 堀内賢雄 井上倫宏
スタンリー・メリッシュ二等兵 アダム・ゴールドバーグ 樫井笙人 大滝寛
エイドリアン・カパーゾ二等兵 ヴィン・ディーゼル 山野井仁 安井邦彦
アーウィン・ウェイド衛生兵 ジョバンニ・リビシ 家中宏 内田夕夜
ティモシー・E・アパム伍長 ジェレミー・デイビス 二又一成 小森創介
ジェームズ・フランシス・ライアン一等兵 マット・デイモン 平田広明 草尾毅
フレッド・ハミル大尉 テッド・ダンソン 谷口節 横島亘
ウォルター・アンダーソン中佐 デニス・ファリーナ 有本欽隆 稲垣隆史
ウィリアム・ヒル軍曹 ポール・ジアマッティ 宝亀克寿 田中正彦
ジョージ・マーシャル大将 ハーヴ・プレスネル 川久保潔 加藤精三
スチームボート・ウィリー ジョーグ・スタドラー
(イェルク・シュタッドラー)
松本大
フレッド・ヘンダーソン伍長 マックス・マーティーニ 仲野裕
トインビー ディラン・ブルーノ 永井誠
トラスク イアン・ポーター 古田信幸
ライス ゲリー・セフトン 中田和宏
ブリッグス中尉 ロルフ・サクソン
ジェームズ・フレデリック・ライアン ネイサン・フィリオン 成田剣
デウィンド中尉 リーランド・オーサー 中博史
空挺兵オリバー デヴィッド・ヴェーグ 大川透
空挺兵マンデルソン ライアン・ハースト 桜井敏治
空挺兵ジョー ニック・ブルックス 浜田賢二
陸軍省付大尉 デヴィッド・ウォール 宝亀克寿
陸軍省付大佐 デイル・ダイ
I・W・ブライス大佐 ブライアン・クランストン 仲野裕
マーガレット・ライアン アマンダ・ボクサー 定岡小百合
年老いたライアン ハリソン・ヤング 中博史 稲垣隆史
兵士 アンドリュー・スコット
翻訳 N/A 岸田恵子 平田勝茂
演出 伊達康将 福永莞爾
監修 田岡俊次
  • テレビ朝日版:初回放送2002年2月10日『日曜洋画劇場』(21:00-24:24)※ノーカット

スタッフ編集

製作編集

 
撮影に使われたBig Beautiful Doll(2007年)

スティーヴン・スピルバーグ監督による『1941』『太陽の帝国』『シンドラーのリスト』以来4作目となる第二次世界大戦をテーマにした作品。スピルバーグは後に、第二次大戦でB-25の無線士として太平洋戦線に参加していた「父 アーノルド・スピルバーグに捧げた」、と語っている。

本作は完全なフィクションであるが、話の基になった#ナイランド兄弟のエピソードが存在する。

約3時間にもおよぶ長編映画にもかかわらず、わずか60日間というハリウッド映画としては驚異的な早撮りでクランクアップしている。

クランクイン直前にトム・ハンクスをはじめとした出演者たちは、リアルな演技をするために元海兵隊大尉デイル・ダイの協力の下、ブートキャンプ同等の訓練を10日間受けさせられている。その内容は、教官がいきなり彼らに向かって発砲(空包)したり、当時の兵士達が携行していたものと同じ装備を背負って延々と行軍するといった厳しいものであった。ライアン役のマット・デイモンはこの新兵訓練のメンバーから意図的に外されている。これは10日間の過酷な訓練を通じて救出隊のメンバーにマット・デイモン=ライアン二等兵に対する反感を植えつけるためであった。訓練を終えたトム・ハンクスたちは、休む間もなく2週間にもおよぶ戦闘場面の撮影に臨んでいる。この過酷な進行によって撮影当初の和んだ空気が消えて荒んでいた彼らのところに、事情を知らないマット・デイモンが新兵よろしく颯爽と撮影現場に現れると、当初の意図通り険悪な雰囲気となった。これら一連の相乗効果によって演技はリアルで緊迫したものとなり、作品テーマの一部に組み込まれている。

ロケはイギリスで行われたが、冒頭のオーヴァーロード作戦におけるオマハ・ビーチ上陸作戦(ノルマンディー上陸作戦)のシーンはアイルランドで撮影された。実際のオマハ・ビーチは歴史的に保護されているだけでなく、開発もされていたため、プロダクション・デザイナーのトム・サンダースは何週間もの調査を行ってロケ地を探し、よく似たビーチをアイルランドで発見した。アイルランド陸軍エキストラとして250名の兵士を貸し出した。現役の兵士であることから統制がとれており、大人数にもかかわらず撮影はスムーズに進行した。この兵士達の大半はメル・ギブソンの『ブレイブハート』にも出演していた。映画冒頭とラストのノルマンディー墓地は実際の場所で撮影されている。

リアルな映像とするため、POV方式[注 14]を用いて撮影された本作は、敵の攻撃を受け手足が吹き飛ぶ、内臓が飛び出る、炎に包まれて爆死する、海水が血の色に染まるなど、戦場の現実を生々しく描き、これまでになかった戦争映画として高い評価を受けた。特に冒頭から約20分間にもおよぶオマハ・ビーチ(区域はドッグ・グリーンセクターだった)におけるノルマンディー上陸作戦を描く戦闘シーンは、映画史に残る20分間として知られている。

機関銃銃声は、本物の銃声を録音して使用している。現地リエナクター英語版(歴史再現家)達の手によって、米軍ドイツ軍武装親衛隊の軍装には本物や正確なレプリカが用いられるなど、兵器車両は可能な限り本物が使用されている(ケッテンクラートなど)。ただし、後半に登場する2両のティーガー戦車は、撮影当時可動状態の実物は存在しなかったため、ソ連戦車T-34-85を改造したものを使用している。また、自走砲のうち1両は、ドイツ軍のマルダーIII H型と似ているが、同じ足回りを持つスウェーデン軍Sav m/43である[注 15]。最後の戦闘シーンの締めくくりには、M4中戦車役のグリズリー巡航戦車が少しだけ姿を見せている。これらの車両は『バンド・オブ・ブラザース』にも転用されている。

終盤に登場するP-51Dは『the Old Flying Machine Company』が所有する『Big Beautiful Doll』(D型 44-63634号機)が使用された。展示飛行用の塗装が施されていたが、撮影のため欧州戦線仕様の塗装に変更された。撮影終了後は元の塗装に戻され航空ショーなどにも出演していたが、2011年の事故で失われた[7]

スピルバーグとトム・ハンクスは、この後も共同でテレビ向けのミニ・シリーズ『バンド・オブ・ブラザース』や『ザ・パシフィック』を制作し、第二次大戦を追求し続けている。

ナイランド兄弟編集

本作のストーリーは、ナイランド兄弟英語版の逸話が基になっている。

ライアンのモデルとなったフレデリック・ナイランド三等軍曹には、エドワード、プレストン、ロバートの三人の兄がいた。フレデリックはノルマンディー上陸作戦初日に、輸送機パイロットのミスで予定の降下地点からかなり離れた内陸地点に降下してしまい、なんとか原隊に復帰したところ、部隊の従軍牧師から3人の兄全員が戦死したと告げられた。国防省のソウル・サバイバー・ポリシー巡洋艦ジュノー」に勤務していたサリヴァン兄弟が、ジュノー撃沈によって全員戦死、サリヴァン家は断絶してしまったことを受けて制定されたルール)に基づいてフレデリックは前線から引き抜かれ、本国に送還されることとなった。

フレデリック本人はそれほど帰国したかったわけではなかったらしく、しばらくは部隊と行動を共にしていたが、従軍牧師が書類を提出してしまったため、上層部に認可された後は帰国するしかなかった。帰国後、彼は終戦までニューヨーク州憲兵として勤務している。

映画と違いフレデリックが原隊に自力で復帰した事からも分かるように、救出隊が組織されたという事実はない。また、母親のナイランド夫人は実際には未亡人ではなかったが、息子3人の死亡通知を同時に受け取ったというのは史実らしい[要出典]。なお、長兄エドワードの戦死は誤報で(実際には作戦中行方不明)、捕虜になってビルマ日本軍収容所に収監されていたところをイギリス軍に救出され、帰国後に母親との再会を果たしている。

受賞編集

興行成績編集

1998年の全米年間興行成績1位を記録するヒット作となった。全世界年間興行成績でも『アルマゲドン』に次ぐ2位を記録している。

全米では2億1000万ドルの興行収入を記録し、2014年に『アメリカン・スナイパー』が記録更新するまでは戦争映画としては歴代最高の全米興行収入を記録した。第二次世界大戦を題材とした映画としては現在も歴代最高の同成績である。

映像ソフト編集

  • DVD
  • Blu-ray
  • Ultra HD Blu-ray
    • カラー、ビスタサイズ、DOLBY ATMOS(英語)/DOLBY AUDIO(5.1ch 英語・日本語)

小説編集

映画脚本を基にマックス・A・コリンズによって小説化され、伏見威蕃の翻訳で新潮社より出版された。物語の大筋はほぼ同じであるが、細かな部分が映画とは異なる。映画ではほとんど明かされることのなかったミラー大尉の心情なども描写されている。

映画と小説の差異編集

脚注編集

[脚注の使い方]

注釈編集

  1. ^ 「プライベート」(Private)とは、アメリカ陸軍の階級名称で、日本語表記では「二等兵」および「一等兵」と訳される。袖に階級章があれば一等兵で、無ければ二等兵と訳すが文献により異なる。英語表記では二等兵・一等兵ともにプライベートである。また、ジェームス・ライアンの袖の階級章は、縫い付けたものではなく黒いインクで染めているので、パラシュート降下前後に昇進したものと考えられる[3]。よって発見時の階級は、"PV2"と略称される「プライベート」である。DVDのパッケージの解説、およびallcinema・キネマ旬報では「ジェームズ・ライアン2等兵」としている。
  2. ^ a b c ミラー役のトム・ハンクスとブリッグス役のロルフ・サクソンは共に当時42歳であったが、レンジャー隊員の年齢上限が35歳でだった為、互いに34歳と33歳まで引き下げられた。これは、最初の上陸用舟艇によるシーンの中における俳優の中で最高齢である。
  3. ^ 将官、上長官、士官の区分がある場合。
  4. ^ ライベン曰く、OCS(士官候補生学校英語版)で死んだG.I.の体で出来上がったとの事。
  5. ^ 最高額は300ドルだったが、本人は500ドルになったら明かすつもりだった。
  6. ^ しかし、皮肉にも最期はそのドイツ兵にナイフで刺し殺されてしまった。
  7. ^ 実際の役者の中では、ウェイド役のジョヴァンニ・リビシが最年少である。
  8. ^ 本人曰く、彼が話すフランス語には少々訛りがあると言う。
  9. ^ アメリカ軍で使われるスラング、FUBAR(Fouled Up Beyond All Recognition)の略。
  10. ^ 後に前線の端にて、メリッシュに教えてもらった。
  11. ^ 袖の階級章が黒インクで書かれている。よって作戦直前、もしくはパラシュート降下後に昇級したと推察できる[3]
  12. ^ 第506落下傘歩兵連隊 - ヘルメットマーキングがスペードであることからも確認できる。「第101空挺師団のヘルメットマーキング」[5]
  13. ^ モデルはドン・プラット准将
  14. ^ point of view shot、主観映像
  15. ^ 劇中ではこの「模造マルダーIII」を「パンサー戦車2両」と呼んでいる。日本語吹き替えでは劇中のセリフ通り「パンサー戦車」と訳されているが、字幕では劇用戦車の外観通りに「自走砲」と訳されている
  16. ^ ケーニッヒスティーガー - 小説では「重量六十八・六トンという巨大なケーニッヒスティーガー重戦車が、轟音と金属のきしむ音とともに、ぬっと現われた。」とある[8]ティーガーIの重量は57トンなので、明らかにケーニッヒスティーガー(ティーガーII)である。
  17. ^ パンター戦車 - 小説では「その二輌のうしろを、重量四十五トンのより小さなパンター戦車がガタガタと走っていた。」と車輌重量がV号戦車パンターと一致する[9]

出典編集

  1. ^ a b c Saving Private Ryan (1998)” (英語). Box Office Mojo. 2010年4月9日閲覧。
  2. ^ 日本映画産業統計 過去配給収入上位作品 (配収10億円以上番組) 1998年(1月~12月)”. 社団法人日本映画製作者連盟. 2010年4月9日閲覧。
  3. ^ a b 田中 2008, pp. 422–423.
  4. ^ a b 田中 2008, pp. 424–426.
  5. ^ 小貝 2005, p. 174.
  6. ^ 田中 2008, pp. 401–403.
  7. ^ P-51D Mustang IV”. Saving Private Ryan Online Encyclopedia (2013年). 2021年8月8日閲覧。
  8. ^ コリンズ 1998, p. 298.
  9. ^ コリンズ 1998, p. 299.

参考文献編集

  • マックス・A・コリンズ『プライベート・ライアン』伏見威蕃 訳、新潮社新潮文庫〉、1998年8月1日。ISBN 978-4102435021
  • 上田信『コンバット・バイブル アメリカ陸軍教本完全図解マニュアル』日本出版社、1992年5月1日。ISBN 978-4890483167
  • 小貝哲夫『米陸軍軍装入門 (第二次大戦から現代まで)』5、イカロス出版〈ミリタリー選書〉、2005年7月4日。ISBN 978-4871496933
  • 田中昭成『ウォームービー・ガイド 映画で知る戦争と平和』海鳴社、2008年2月1日。ISBN 978-4-87525-246-7

外部リンク編集