環太平洋パートナーシップ協定

2016年に環太平洋諸国間で署名された経済連携協定

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環太平洋戦略的経済連携協定英語: Trans-Pacific Strategic Economic Partnership Agreement または単に Trans-Pacific Partnership、略称TPP、環太平洋連携協定、環太平洋経済連携協定、環太平洋パートナーシップ協定、環太平洋経済協定[1])は、環太平洋地域の国々による経済の自由化を目的とした多角的な経済連携協定 (EPA) である[2]。実質的にはTPPは大企業の利権を増幅させることがその目的であり、自由貿易とは関係がない[3]

環太平洋戦略的経済連携協定(Trans-Pacific Partnership)
TPP加盟国と将来の加盟国の指導者(2010年)
通称・略称 TPP
署名 2016年2月4日
ニュージーランドオークランド
寄託者 ニュージーランド政府英語版
言語 英語スペイン語 フランス語 相反発生の場合は英語が優先 (第20条10[要出典])
主な内容 ISDS条項特許、コピーライト、投資に関わるルール等
関連条約  大西洋横断貿易投資パートナーシップ協定(TTIP)
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  交渉参加国
  過去に関心を表明した国
  将来的な加盟の可能性が示唆されている国

ノーベル経済学賞受賞者ポール・クルーグマンによれば、TPPによって多国籍企業主権国家を訴え、その裁判が部分的に民営化された司法団体によって裁かれるようなシステムが作られてしまうのだという[4]。 TPPに含まれるISDS条項によって大企業が政府を訴えることが出来、その仲裁は特別法廷の場でなされる[5]。 薬の特許や映画のコピーライトといった知的財産権も強化され、顧客の出費は上昇する。薬価は上昇し人々が薬剤にアクセスできなくなることが懸念される[4]

ノーベル経済学賞受賞者ジョセフ・スティグリッツによれば、TPPは最悪の貿易協定であるという[6]

ゴールドマン・サックスといった巨大銀行がISDS条項を含んだTPPを推進しているのは、それを使って彼らにとって不都合な金融市場の規制を無効化することが可能になるからである[5]

TPPの北大西洋版があり、大西洋横断貿易投資パートナーシップ協定(TTIP)と呼ばれる。

概要

原協定

環太平洋戦略的経済連携協定の原協定(Trans-Pacific Strategic Economic Partnership Agreement, TPSEP)は、シンガポール、ブルネイ、チリ、ニュージーランドの4か国の経済連携協定(EPA)として始まり、2005年7月に署名され2006年5月に発効となった。

2010年3月から、原加盟4か国にアメリカ、オーストラリア、ベトナム、ペルーの4か国を加えた拡大交渉が開始された。2011年時点では、アメリカオーストラリアマレーシアベトナムペルーが加盟交渉国として、原加盟国との拡大交渉会合に加わっていた。9カ国による拡大交渉は、2011年11月12日に大枠合意に至り、2012年内の最終妥結を目指していた[7]

2006年1月1日に加盟国間の全ての関税の90%を撤廃[要出典]。産品の貿易、原産地規則、貿易救済措置、衛生植物検疫措置、貿易の技術的障害、サービス貿易、知的財産政府調達(自治体による公共事業や物品・サービスの購入など)、競争政策を含む、自由貿易協定の全ての主要な項目をカバーする包括的な協定となっている[要出典]。目的の一つは、「加盟国の戦略的提携によってマーケットにおけるプレゼンスを上げること」である[2](CHAPTER 16 STRATEGIC PARTNERSHIP Article 16.2: Objectives 2. (d))

環太平洋パートナーシップ協定への拡大

米国の参加表明によって2010年3月から拡大交渉会合が始まり、レベルの高い自由化を目指す包括的な協定になるとされている。アジア太平洋地域の新たな経済統合の枠組みとして発展する可能性も指摘されている[8]。またTPPは原則非公開とされ全文の閲覧が行えるのは、この協定に関わる各国の3名ずつのみとなっている。 拡大交渉中のTPPについて、加盟国・交渉国に日本を加えた10か国のGDP(国内総生産)を比較すると域内GDPの91%を日本とアメリカの2か国が占めるため[9]、実質は日米のFTAだとする見方もあるが[10]、あくまで原加盟国4か国間で発効している環太平洋戦略的経済連携協定の拡大 (Expansion) である。

TPPの本質

バーニー・サンダースドナルド・トランプという一見すると政治に関するスタンスが大きく違う両者が反TPPでは一致を見ている。左側は「(TPPによって)非民主的な大企業による逸脱行為が正当化される」、右側は「TPPが国家主権を侵食する」と唱え、TPPやTTIPに反対する。[11]

NAFTA以後の貿易協定(TPPなど)は、特定の集団にアドバンテージを与え、その他には不利益となるものだった[12]

NAFTAに含まれる条項はゼネラルモーターズ(GM)のような多国籍企業がメキシコに工場を移し、メキシコで自動車を製造した後にその自動車を米国に売りつけることを容易にするものだった。これはGMの収益のためはよい知らせだった。だが米国国内の自動車製造会社にとっては、(メキシコの安い労働力と争わなければならないために)その会社の従業員の賃金カットもしくはリストラせざるを得なくなった。NAFTAは米国の労働者にとっては悪い知らせだった[12]

トランプは、キャリアナビスコで大規模解雇が行われ雇用がメキシコへ移っていることを指摘しつつ、「サンダースは、米国が貿易で大損してることをわかっている」と述べている[13]

NAFTAでは、貿易の特定の領域に関しては自由どころか保護が強くなった。処方薬の特許や本・映画・ソフトウェア・音楽の著作権などである。2016年4月時点で、米国国民は一人あたりにして年間およそ1300ドルを薬剤購入に費やしている。これが本当に自由貿易ならばその10分の1の費用ですむだろう[12]

TPPには、健康や環境保護を目的とした規制を緩和させる狙いがある。カナダの企業が石油パイプライン建造を米国政府に拒否されたために、米国政府を訴えて(そして多額の賠償金を請求して)いる。TPPのメリットを議論することは特定のグループの利益を議論することだと言っても過言ではないだろう。

カリフォルニア大学バークレー校の研究者らはTPPを以下のように説明している。TPPは環境労働(基準)、ヘルスケア医療に関しての規制権を大企業に握らせるための協定であり、大企業の利益になるが環境や労働者を保護しない性格をもち、仕事がアウトソースされるために中低所得者を害する協定である[14]2016年アメリカ合衆国大統領選挙でのアメリカ合衆国大統領候補であるバーニー・サンダース民主党)とドナルド・トランプ共和党)、両者ともにTPPに反対している[15]

2016年4月米国ニューヨーク市長ビル・デブラシオがTPP反対の声を上げた[16]。デブラシオは強い口調で語る。「TPPに反対する熱意が我々にあるのは当然だ。我々米国国民は以前にもこの手の映画(すなわち北米自由貿易協定、NAFTA)を見ているのだから。NAFTAがどれだけひどいものだったか我々は見てきている。その過ちを繰り返すことはない。」 「物欲に囚われ米国の中間層を犠牲にした。それがNAFTAだった。NAFTAによって米国の百万もの雇用が失われた。ここニューヨークでも何万という職が海外にもっていかれた。中流生活を送っていた人々がラグを処分させられる破目になった。勤労・誠実だった人々から突如として全てを奪った。それがNAFTAだったのであり、同様にTPPも米国に悪影響をもたらすと考えるべきだろう。よって我々はTPPに反対すべく立ち上がっているのだ[16]。」

TPP交渉に関連した文書・メールなどが非公開となっている。しかしながら国際法の観点から条約法に関するウィーン条約を尊守し、交渉過程で何かしらの(直接的・間接的)不正が存在したかどうかを確認することは重要である。例えば同意に至る交渉・調整過程で何らかの詐欺的行為、(直接的または間接的)買収があった場合には、ウィーン条約の49条・50条に則り自国の同意を無効にする根拠となる。脅迫などがあればウィーン条約51条に則り、自国の同意は法的拘束力を失う[17]

内容

主権国家は環境保護、食品衛生、薬価上限、知的財産に関する国内法に基づく決定、公益事業に関連する規制など様々な規制を設けている。 TPPに含まれるISDS条項によれば、それらの規制が企業の将来的収益を損ねると判断される(もしくはTPPの取り決めに違反している)などの場合、その企業がその損失の賠償などを求めてその主権国家を訴えることが可能となる[18]。その裁判は特別法廷で行われ、政府側が負けた場合は訴えた企業に賠償金を支払い、仮に政府側が勝ったとしても、裁判にかかる弁護士料など諸費用を政府が負担させられる可能性もある。初期のリークされた文書では特別法廷員にかかる費用の下限は1時間あたり375ドルであったが、最終合意文書ではその費用限度は撤廃された。特別法廷がその裁量で以ってその額を決めることができる。よってその賠償金と特別法廷員にかかる費用などは訴えられた国家の納税者に負担をかけるだろう[19]

ISDSによる特別法廷で、政府側が賠償金を支払うことを命じられた場合はその国の有権者に課される「隠れた税金」となる。それは、政府によってではなく多国籍企業などの企業側によって課される税金である[20]

これまでの判例では、特別法廷は訴えられた側と訴えた側両者に対して、弁護士・特別法廷員料など特別法廷に関連するコストを支払うよう命じている。特別法廷に関連するコストの平均は、政府側が約440万ドル、申し立てた側が約450万ドルとなっている[21]

また、原理的にはTPP非加盟国の企業にも潜在的にTPP加盟を訴える権限がある可能性がある。例えば中華人民共和国の(国営)企業がベトナムマレーシアに存在し、それらの企業が米国に投資していた場合にISDSを使って米国を訴えることも可能かもしれない。

ISDSでの賠償金

仲裁

企業とTPP加盟国がその国での投資に関して論争が起きた場合はまず両者の協議などで解決を図る。9条18項

協議開始から6か月経過しても論争が決着を見ない場合には、企業側は国家側が9条1項から9条17項の義務を果たしていないことや投資に関する協定に則っていないなどの主張を行うことができる。企業側は国家側のTPP義務不履行によって損失を被ったとする主張も行うことができ、申し立てを行って 仲裁に持ち込むことができる。仲裁の方法はthe ICSID Convention and the ICSID Rules of Procedure for Arbitration Proceedings、the ICSID Additional Facility Rules、the UNCITRAL Arbitration Rulesなどから選ぶことができる。 9条19項から抜粋

特別法廷の構成員の決め方

一般的には、特別法廷は3人の仲裁人から構成され、申し立てる側・対応する側から各1名選ぶ。残りの1人は法廷の長であり双方の協議で決めるが、申し立てから75日以内に決まらない場合はICSIDのSecretary Generalが決める。当事者同士が特別に同意する場合はそれ以外の方法で仲裁人を構成する。9条22項より抜粋[22]

賠償金額に関して

特別法廷は、金銭的損害賠償や資産の損害賠償(資産によっては利子なども対象となる)の額などについて決定する。

仲裁にかかった費用や弁護士費用なども支払わなければならない。どちら側がどのような方法で支払うかは特別法廷が決めることである。

ICSIDの規約の下で賠償金額が決定した場合は、

  • 賠償金額が決まり当事者が賠償金額の修正や取り消しを要請することなく120日経過すること
  • もしくは金額の修正や取り消しが完了すること

これが満たされてはじめて賠償金額が最終決定する。

ICSIDの追加的ルールやUNCITRALの仲裁ルール、その他で賠償金額が決定した場合は、

  • 当事者が賠償金の修正や取り消しなどの手続きを始めず90日経過すること
  • もしくは裁判所が賠償金の修正・取り消しなどの申請を却下もしくは許可し、それ以上の申し立てが無いこと

が賠償金額の最終決定に必要である。

各TPP加盟国はTPP域内において賠償金の支払いを施行することとする。 対応する側が判定に従わない或いは賠償金を支払わない場合は、申し立てる側の国家が出てくる。 申し立てる側の国家はパネルを設け、

  • 対応する側が判定に従わないもしくは賠償金を支払わないということがTPP協定の義務に違反しているかを決定する
  • 28条17項に則り、対応する側が判定に従うもしくは賠償金を支払うように勧告する

という手続きをとる。 9条29項より抜粋[22]

医薬品・医療機器の価格決定プロセス

政府側が新しい医薬品医療機器をリストに加えそれらの価格を決める場合、政府側は価格決定に関する公式かつ正式なすべての提案(医薬品・医療機器メーカーなど企業側からの提案も含める)を検討することを確約する[23]

医薬品・医療機器メーカーなど企業側は、専門家らによる審査を行う機会が政府から与えられる。それは内部審査であり、その製品の価格決定に最も影響を受ける申請者(すなわち企業側)の要請で行われるプロセスである。

その内部審査は一回限りでもよい場合がある。そして政府が許可すれば、その内部審査においてその製品の価格を決定することが可能となる。このシナリオでは医薬品・医療機器メーカーが事実上それら製品の価格を決定することになる。

政府が内部審査のみでの価格決定を許可しない場合は企業側がISDSを行使し政府側を訴える可能性がある。26条付則Aより[23]

特許・コピーライト

薬剤特許、新薬剤保護など

政府側は提出された薬剤の認可に関する申請書を速やかに処理しなければならない。特許薬剤の認可では、政府による認可プロセスが遅れる等して実質的な特許期間が短くなった場合には政府が特許期間を延長しなければならない。18条48項より

新薬剤の認可プロセスにおいて、政府側が申請者にその薬剤の効能と安全性に関係するデータを提出するよう求めた場合には、 その薬剤は保護される。保護されれば、(データ保持者の許可が無い限りは)第三者がそのデータに基づく類似薬剤を販売できない。18条50項より

新薬剤の保護期間は最短で5年、バイオ医薬品の保護期間は最短で8年。

認可された薬剤の安全と効能に関するデータを第三者が使用する場合は、政府が、仮に特許を侵害するような薬剤の販売がなされたという申し立てがあった場合の対応策をとるための十分な時間と機会を特許保持者に与えなければならない。その場合には対応策は(差止請求権の行使など)迅速であり、法的対応策あるいは行政手続きといったものになる。18条51項より[24]

転職・起業の制限

18条78項には企業秘密の公開・取得・無断使用の罰則に関する条項が盛り込まれている。 企業秘密の公開・取得・無断使用に対する罰則規程によって、従業員が会社を辞め(同じ産業の)別の会社で働くことができなくなる場合がある[3]

会社勤務の労働者はその会社の企業秘密にアクセスできる。仮にその労働者がその会社を辞め(もしくは解雇され)、同じ産業の別の会社で働き始めたとする。この場合、その労働者は既に知っている企業秘密を新しく勤め始めた会社に持ち込むことが物理的に可能になる。 よってTPP18条78項が定める企業秘密の公開・取得・無断使用に該当することになり、その労働者が企業秘密を漏洩させる意図が無いとしても、罰則規定の対象になりうる。これはより高い賃金を目指して別の企業に移ろうとする労働者にとっては厳しい。逆に、企業側にとっては労働者の賃金を固定できる道具となる[3]

同様の理由で、起業や会社の新規設立も制限されうる。

競業避止義務ミシガン州では施行されているがカリフォルニア州では導入されておらず、近年の調査ではそれがカリフォルニアでテクノロジー部門が成功した重要な要因だったことがわかっている。

背景

原協定

環太平洋戦略的経済連携協定 (Trans-Pacific Strategic Economic Partnership Agreement, TPSEP) は、その名の通り、環太平洋の国々における (Trans-Pacific)[要出典]戦略的な (Strategic) 経済連携協定 (Economic Partnership Agreement) である。2005年6月3日にシンガポール、ブルネイ、チリ、ニュージーランドの4か国間で調印し、2006年5月28日に発効した。

当初は、Pacific Three Closer Economic Partnership (P3-CEP) として知られ、2002年メキシコロス・カボスで開かれたAPEC首脳会議でチリ、シンガポール、ニュージーランドの3か国間で交渉が開始された。2005年4月に開かれた5回目の交渉会合で、ブルネイは完全な交渉当事者として加わった。 この成立の経緯から、この貿易圏を構成する原加盟国4か国は Pacific-4 (P4) と呼ばれるようになった。

拡大交渉中のTPP協定と区別するために、原協定 (original agreement) は、P4協定 (P4 Agreement) と呼ばれることがある。

条文は、ニュージーランド政府サイト上で公開[2]#外部リンク参照)されており、日本語への私訳も複数存在している(日本政府からは、農林水産省から第3章の仮訳が公開されているのみである)。

原協定の拡大

原協定の第20章 最終規定の第1条および第2条において、「別段の合意が無い限り、この協定に投資に関する章と金融に関する章を盛り込むことを目的として、この協定の発効(2006年5月28日)から遅くても2年後までに交渉を開始する」と定められている。これに従い協定の拡大交渉会合が開かれており、その後も続いている。

拡大交渉に伴い、拡大交渉中の協定は 環太平洋パートナーシップ協定 (Trans-Pacific Partnership, TPP) と表現されるようになったが、内容は、環太平洋戦略的経済連携協定 (Trans-Pacific Strategic Economic Partnership Agreement, TPSEP, P4) の拡大である。

拡大交渉会合までの流れ

2008年2月4日、アメリカ合衆国通商代表部(以下、USTR)代表(当時)のスーザン・シュワブは、アメリカが投資と金融に関する交渉に参加すると表明し[25]、その後、リーマン・ショックから1週間後にあたる2008年9月22日に、USTR代表のスーザン・シュワブは、原加盟国4か国の代表と共に交渉の立ち上げの声明を出し、アメリカは最初に追加された交渉国となった[26]

翌日の2008年9月23日に、オーストラリアは参加の検討を発表した[27]

なお、アメリカは、参加表明に先立ち日本、オーストラリアなど数カ国に一緒に参加することを外交ルートなどを通じ呼びかけたが、日本は、当時の経済産業大臣・二階俊博(自由民主党・公明党の連立政権)が参加に意欲をみせたものの、同協定が原則関税撤廃であることから国内の同意が取れないと判断し、参加を見送っている。

2009年11月14日に、アメリカは改めて表明を示し、その中で、大統領バラク・オバマは初めてTPPに係合する意向を発表し、USTR代表のロン・カークは輸出拡大と雇用確保などのメリットを強く訴えている[28]

2010年3月14日に、ペルー貿易観光大臣のペレスは交渉参加を発表した[29]

拡大交渉会合の流れ

2010年3月の第1回の拡大交渉会合から、アメリカ、オーストラリア、ベトナム、ペルーの4か国が交渉国として拡大交渉会合に加わり、2010年10月の第3回から更にマレーシアが加わった。

2010年11月14日2010年日本APECの最終日、原加盟国と交渉国の計9か国の政府首脳米大統領バラク・オバマを議長とし、「2011年のAPECまでに妥結と結論を得ることを目標にしたい」との呼びかけに賛同した[30]

2011年11月12日、ホノルルでの2011年アメリカAPECの会合で、交渉は大枠合意に至り、米大統領バラク・オバマは今後1年間での最終妥結を目指すことを明らかにした[7]

2012年11月12日の会合からカナダメキシコも正式な加盟交渉国に加わった[31]

大枠合意

2011年11月12日に拡大交渉は大枠合意に至り、輪郭が発表された[32]。その中で、以下の5つが「重要な特徴」として挙げられている。

  1. 包括的な市場アクセス(関税その他の非関税障壁を撤廃)
  2. 地域全域にまたがる協定(TPP参加国間の生産とサプライチェーンの発展を促進)
  3. 分野横断的な貿易課題(TPPに以下を取り込みAPEC等での作業を発展させる)
    1. 規制制度間の整合性:参加国間の貿易を継ぎ目のない効率的なものとする
    2. 競争力及びビジネス円滑化:地域の経済統合と雇用を促進する
    3. 中小企業:中小企業による国際的な取引の促進と貿易協定利用を支援
    4. 開発:TPPの効果的な履行支援等により、参加国の経済発展上の優先課題が前進
  4. 新たな貿易課題:革新的分野の製品・サービスの貿易・投資を促進し、競争的なビジネス環境を確保
  5. 「生きている」協定:将来生じる貿易課題や新規参加国によって生じる新しい課題に対応するため、協定を適切に更新

同大枠合意に示される以上の交渉内容の詳細については、交渉参加国から公表されていない。

守秘義務合意

2011年11月29日、ニュージーランド外務貿易省のマーク•シンクレアTPP首席交渉官は、率直かつ生産的な交渉を促進するために、通常の交渉慣行に沿って、交渉文書、政府の提案、添付資料、交渉の内容に関連した電子メール、交渉場面で交換されるその他の情報を、発効後4年間 秘密にすることに合意したことをニュージーランド公式サイトに掲載した。TPPが成立しなかった場合は、交渉の最後の会合から4年間秘匿される[33][34]。一方で、2011年10月3日、同首席交渉官は、ニュージーランド外務貿易省のウェンディ・ヒントンが、アナンド・グローバーの質問に対し、最終TPP文書は批准前の議会審査の時点で公的に利用可能になると2011年8月8日に回答したことをニュージーランド公式サイトに掲載した[35]

2012年1月27日に当時の総理大臣・野田佳彦はこれは通常の交渉の慣行に沿った扱いであるとした[36]

その後の流れ

2011年12月の第10回の拡大交渉会合の概要で、「『オブザーバー参加や交渉参加前の条文案の共有は認めない』との従来方針の再確認」と「『交渉会合中はこうした国との協議は行わない』ことで意見が一致した」となされている[37]

拡大交渉会合への参加手順

日本をはじめとした拡大交渉会合に参加していない国が、交渉国として拡大交渉会合に参加するには、現在の拡大交渉会合参加国9か国全ての承諾が必要である。なお、アメリカでは2-3か月の事前協議を経た上で、交渉開始の90日前に議会への伝達が必要とされている。

拡大交渉会合では、以下の24の作業部会が設けられている[38]

交渉会合スケジュール
TPPラウンドスケジュール
開催月 開催国 備考
2010年 3月 第1回   オーストラリア アメリカなど4か国が参加表明
6月 第2回   アメリカ合衆国
10月 第3回   ブルネイ マレーシア参加表明
12月 第4回   ニュージーランド
2011年 2月 第5回   チリ
3月 第6回   シンガポール
6月 第7回   ベトナム
9月 第8回   アメリカ合衆国
10月 第9回   ペルー
12月 第10回   マレーシア 概要
2012年 3月 第11回   オーストラリア 概要
5月 第12回   アメリカ合衆国 概要
7月 第13回   アメリカ合衆国 概要
9月 第14回   アメリカ合衆国 概要
12月 第15回   ニュージーランド
2013年 3月 第16回   シンガポール
5月 第17回   ペルー
7月 第18回   マレーシア 日本参加
8月 第19回   ブルネイ 追加開催
9月 第20回   カナダ
その他会議・会合
  • 2013年10月 - インドネシアバリ島で環太平洋パートナーシップ貿易閣僚会議開催。
  • 2013年11月 - アメリカ合衆国ソルトレイクシティでTPP主席交渉官会議開催。
  • 2013年12月 - シンガポールにて環太平洋パートナーシップ参加国閣僚会議開催。
  • 2014年2月22日 - TPP閣僚会合開催[42]日本からは 甘利明経済再生担当相が参加。
  • 2014年5月12日 - TPP主席交渉官会合がベトナムホーチミンで開催[43]。日本からは鶴岡公二主席交渉官が参加[43]
  • 2014年5月20日 - シンガポールでTPP閣僚会合開催。
  • 2015年7月28日 - アメリカ合衆国ハワイ州ラハイナでTPP閣僚会合開催[44]
  • 2015年9月30日 - 10月5日 アメリカ合衆国ジョージア州アトランタでTPP閣僚会合開催され、10月5日にTPP閣僚間で大筋合意したと報じられた[45][46]
  • 2016年2月4日 - ニュージーランドにてTPP署名式が行われ、日本やアメリカなど12カ国間で署名が行われた[47]。日本経済新聞は、今後、署名式に参加した12カ国は、国内での承認を進める、と予測している[47]。調印式会場のあるオークランドでは、この日に約20000人の人々がTPPに反対するために抗議活動を行った。反TPP運動の主催者らは、TPPがニュージーランドの主権を侵害し地元の企業を犠牲して海外の企業を利すると述べる[48]
交渉参加後発国の追加条件

後れて交渉参加を表明したカナダとメキシコが、既に交渉を始めていた九カ国から「交渉を打ち切る権利は九カ国のみにある」、「既に現在の参加国間で合意した条文は原則として受け入れ、再交渉は要求できない」との追加条件を承諾した上で参加を認められていたと東京新聞は報じた(2013年3月)[49]

2013年3月8日、外務大臣の岸田文雄は、第183回国会の衆議院予算委員会にて、当事者であるメキシコやカナダ自身が自らの立場を明らかにしていない、日本はそうした条件の提示はされていないと答弁した[50]

2013年3月15日、総理大臣の安倍晋三は、メキシコとカナダに送付されたと報道されている念書は受け取っていないとしながらも、「遅れて参加した日本がそれをひっくり返すことが難しいのは、厳然たる事実」として「だからこそ、1日も早く交渉に参加しなければならない」とした内容を参加表明と同時に発表した[51]

2013年4月18日、北海道新聞は、社説で、条件提示を政府が最近になってようやく認めたとしている[52]

合意条項

投資家対国家紛争解決(ISD)条項

2013年11月6日、「紛争解決」制度を導入することに合意した。この制度は、不利益を被った企業が国を訴えるルール。但し、訴訟の乱発を防ぐことが条件。日本経済新聞は、「海外進出する日本企業には追い風になりそう」と書いた[53]

ラチェット(Ratchet)条項

2013年11月23日、ラチェット条項[54]の導入に合意した。この条項は、国が自国の産業を守る為、外資を規制する等が、出来なくなる仕組み。原則、法律で再び規制すること等を禁止する。日本経済新聞は、「日本企業が安心して進出できる環境が整いそう」と報じた[55]

TPPの為替操作防止条項

2015年11月6日、米財務長官は、TPPに異例の為替関連条項が盛り込まれたことに関して発言。「貿易相手国が為替操作に従事することを防ぐ新たな手段が米政府に与えられる」として、このTPP為替条項を歓迎した[56]

また、為替の介入についての報道で、「一部の国は輸出競争力を高めるため自国の通貨を堂々と落としたりもする。 日本のアベノミクスも例外でない。為替市場への介入は程度の差があるだけだ。このため為替レート政策を含むことになればTPP妥結が難しいという観測が多かった。しかしこの部分に対する米国の立場は強硬であり、結局、相当部分が貫徹された。」と、米国側の意見が通りTPPに為替操作防止条項が入ったと報道した[57]

各国の動向

シンガポール、ブルネイ、チリ、ニュージーランドの4か国は原加盟国である。

アメリカオーストラリアベトナムペルーは参加を表明し、拡大交渉会合に第1回から参加している。

次いで、マレーシアコロンビアカナダも参加の意向を明らかにし[58]、その内、マレーシアが交渉国として認められた[59]。ただし、マレーシアでは、厚生大臣のリョウ・チョンライが米国の主張する医薬品の特許権保護期間算定方法に疑義を呈し、国益を大きく損なう、としてTPPには参加すべきでないと主張している[60]

  マレーシア
特許有効期間が現地で発売された時期から計算されるアメリカ案に対して、2012年8月6日、マレーシアのリュウ・ティオンライ厚生相は、ジェネリック医薬品の取得が遅れることを危惧し、「新薬の特許に関する米国の主張はマレーシアにマイナス」と懸念を表明している[61]
  カナダ
酪農などの市場開放が十分でないとの理由で2010年10月に一旦、参加を断られた[62]。その後、2012年11月に拡大交渉に参加したが[31]、カナダのファスト国際貿易相は、中国向け輸出拡大を目指す経済交流に参加する為、2014年5月19日の閣僚会合に欠席。首席交渉官が代理を務めた[63]
  メキシコ
2012年11月に拡大交渉に参加した[31]
  韓国
参加に前向きな姿勢を見せていた[64]が、その後TPPへの参加が自国に不利に働くとみてアメリカとの二国間交渉に切り替え、米韓FTAで合意、妥結に至っている[65]
2011年11月16日には、韓国外交通商省が記者会見で、TPPは国益にならない、として正式に不参加の旨を明らかにした[66]
2013年11月29日、ヒョン・オソク経済副首相兼企画財政相が「(韓国政府が)まず、TPP交渉に参加することへの関心を示し、交渉参加各国との2カ国間協議を行う必要がある」と述べ、日本などTPP交渉参加国と個別協議を行う方針を表明[67]。これに対して2014年3月13日、米政府高官は、米韓自由貿易協定の問題が解決されるまで、韓国がTPP交渉に参加することは歓迎されないとの見方を示した[68]
  中国
関心を示し情報収集などを行っていたが、その後の判断で参加しないことを明らかにした[69]
  ベトナム
交渉国として交渉会合に参加しているものの、今後、正規の交渉メンバーとして臨む覚悟があるかどうかについて疑問視する見方もある[70]。しかし、マイケル・フロマン米通商代表はTPPで最も利益を受ける国であると重視しており[71]、甘利明TPP担当相によれば交渉でも主導的な役割を果たしており[72]世界銀行によればTPPで最も恩恵を受ける国である[73]。2014年5月19日の閣僚会合にブー・フイ・ホアン商工相は欠席し、首席交渉官が代理に出席した[63]
  ブルネイ
リム第2外務貿易相は、2014年5月19日の閣僚会合には欠席し、首席交渉官が代理として交渉に参加した[63]
  チリ
新政権が発足したばかりであった為、副大臣として交渉の責任者が、2014年5月19日の閣僚会合に参加した[63]
  タイ
2012年11月18日に、首相のインラックは米大統領バラク・オバマとの会談後の会見でTPPへの参加を表明していた[74][75]
  インドネシア
「自由化品目の割合が非常に高く、対象になった品目の関税撤廃を一気に進める」としてTPPに不参加の意向を明らかにしている[76]
2015年参加の意向を表明したことがある。
  台湾
参加の意向を表明したことがある[77]
  フィリピン
参加の意向を表明したことがある[78]
  ニュージーランド
 
2014年11月ウェリントンで行われた反TPP集会
原加盟国のニュージーランド政府は「TPPにそれほどメリットがあるとは考えていない」とアメリカの外交文書が伝えていたことがウィキリークスに暴露されている。その一方で表向きニュージーランド政府は、TPPは外交の主要な柱とすると国内の説得も行っている[79]。また同じくウィキリークスにおいて、ニュージーランドTPP主席交渉官マーク・シンクレアの「TPPが将来のアジア太平洋の通商統合に向けた基盤である。もし、当初のTPP交渉8か国でゴールド・スタンダード(絶対標準)に合意できれば、それは日本、韓国その他の国に対して強い圧力となり、それは長期的な実質的利益となる。」とした発言が米外交公電経由で流出した[80]。当時の加盟予定国グループ内での貿易をお互いに有利にすることで、その外にある非加盟の日本、韓国その他の国の経済的優位性を奪えるという意味である。その後取材に応じた同氏は、真偽の確認を拒み、TPPの広域性の強調を繰り返した。
2016年1月下旬、ウェリントンでは何千もの人が反TPP集会に参加した。ニュージーランドの総督邸前に集まったおよそ500人が、ニュージーランドの総督はTPPを法的拘束力付きの国民投票にかけるべきだとし署名活動を行った[81]
  日本

自由民主党は、第46回衆議院議員総選挙選挙公約として、聖域なき関税撤廃を前提にする限りはTPPの交渉参加に反対すると明言していた。ある議員は明確に交渉参加反対を宣言し当選し、ある支部では「嘘つかない・TPP断固反対・ぶれない・日本を耕す自民党」と書かれたポスターを製作していた[82]

アメリカ合衆国

アメリカ2000年以降、「Asia only」(アジアのみ)の経済ブロックを懸念していたが、TPPの拡大を進めることは「アメリカ締め出し防止」を推進するための機会にもなる[83]

2006年のAPEC首脳会議から本格化したアジア太平洋自由貿易圏 (FTAAP) 構想は、東アジア地域での経済統合にアメリカが関与する機会となる。2010年のAPEC首脳会議で、FTAAPの実現に向けた具体的な手段の基礎として、ASEAN+3ASEAN+6、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)が挙げられている[84]。この3つの地域的な取り組みの中で、アメリカが直接関与できる取り組みはTPPのみである。アメリカは2008年にTPPの#拡大交渉を持ちかけ、最初に追加された交渉国となった。

サブプライム住宅ローン危機に端を発し2008年のリーマン・ショックで深刻な不況に陥ったアメリカは、2010年1月、5年間で海外輸出を二倍に増やすとする輸出倍増計画を立ち上げ、一般教書演説で大統領バラク・オバマは公にした[85][† 1](pp42-49)。輸出促進関係閣僚会議がこの計画の為に纏めた報告書では、「アメリカの経済的利益の増進を図る手段と輸出拡大のツールを生み出す」として、TPPの実現を明記しているとしている[† 1](p42)

また、同大統領は、APECに出席する為、来日した折、横浜市において輸出倍増計画の大部分はアジアにあり、アメリカにとって大きな機会、とし、TPPはその計画の一環であると演説した[† 2](pp78-80)。そのうえで国外に10億ドル輸出を増やすたびに、国内に5000人の職が維持される、と発言した[† 2](pp78-80)。また日本でのスピーチで、「巨額の貿易黒字のある国は輸出への不健全な依存を止め、内需拡大策を採るべきだ。いかなる国もアメリカに輸出さえすれば経済的に繁栄できると考えるべきではない」と発言したとしている。[† 2](pp78-80)

TPP推進のためのアメリカ企業連合

シティグループ、AT&Tベクテル、キャタピラー、ボーイング、コカ・コーラ、フェデックス、ヒューレット・パッカード、IBM、インテル、マイクロソフト、オラクル、ファイザー、ジョンソン・エンド・ジョンソン、先進医療技術協会、生命保険会社協議会、ウォルマート、タイム・ワーナー、カーギル、モンサント、アメリカ大豆協会、トウモロコシ精製協会、全米豚肉生産者協議会等が参加する「TPP推進のための米国企業連合」は米国ホワイトハウスに対して、「アメリカの対外投資にとっての予測可能かつ非差別的な法的環境、強力な投資保護、市場アクセス条項、紛争解決手段を組み込むべき」等の市場アクセス、知的財産、投資、更なる貿易の簡素化、規制の調和、公正な競争の様々な要求を行なった[86]

例外要求事項

2011年3月28日に始まった第6回交渉会合で、アメリカは砂糖などを関税撤廃の例外とするよう求めている模様、と読売新聞がシンガポールからの記者の記事として報じている。これはアメリカ、オーストラリア間のFTAでは、砂糖など108品目を関税撤廃の例外としており、TPPでも同じ扱いを求める、との見方による[87]

しかし、第6回交渉会合を終えた2011年4月1日、ニュージーランドのシンクレア首席交渉官は「関税撤廃の例外は認めない」と改めて強調している[88]

2012年2月から3月にかけて、日本政府は各国との協議結果[89][90]を公表した。それによると、例外の扱いに関しては、各国での認識の相違がみられる発言がある。米国との協議結果資料においては、「日本側より、センシティブ品目の取扱いについて関税撤廃からの除外があり得るのか質問したのに対し、米側より、TPPは包括的な協定を目指している旨回答があった」と記載されている。

また、米国以外の国の発言として、「センシティブ品目の扱いは合意しておらず、最終的には交渉次第」、「全品目の関税撤廃が原則。他方、全品目をテーブルにのせることは品目の関税撤廃と同義ではない」との発言や、「90-95%を即時撤廃し、残る関税についても7年以内に段階的に撤廃すべしとの考えを支持している国が多数ある」、といった発言があった旨、記載されている。

米国内での反対の動き

2012年2月2日、ゼネラルモーターズフォード・モータークライスラーのアメリカ自動車大手3社で組織する米自動車貿易政策評議会 ( (American Automotive Policy Council, AAPC) のマット・ブラント (Matt Blunt会長は、TPP交渉への日本の参加を拒否するよう、大統領バラク・オバマに求めていることを明らかにし、「TPP交渉に日本が参加すれば、交渉が数年にわたって長引き、おそらく実を結ぶことはないだろう」と語った[91]。なお、これはUSTRが1月に意見を公募した結果でもある。

2013年10月1日、ローリー・ワラックは次のように伝えた(要旨)[92][93]

  • 米国では連邦議会がTPP草案文面を見ることが許された。
  • そこで議員たちの間では次に掲げる4点が懸念されている。
  1. 医薬品と関係する項目が大手製薬会社に有利
  2. 著作権がweb上の言論規制に利用される
  3. 食料安全基準/表示
  4. 米国ですら自由に金融政策をとれない

アメリカン大学のロースクールは、米韓FTAや偽造品の取引の防止に関する協定 (ACTA) の規定を超えた知的所有権強化を懸念し[94]、USTR代表(ロン・カーク)宛に下院議員10名による開発途上国、特にベトナムでの公衆衛生(public health)や医薬品の利用を脅かす事態を憂慮する書簡が提出されている[95]

ワシントン州議会の民主党の議員らがワシントン州選出の上院・下院議員宛に手紙を書き、TPPの様々な問題点を指摘した [96]。その手紙の中で、製薬会社のための知的財産権の拡大による薬価高騰、法的拘束力無き環境・天然資源保護、航空宇宙産業の雇用へのダメージ、 基本的人権へのコミットメントが無いことや労働基準のコンプライアンス欠如などについて懸念を表明した[97]。 USTRは「環境・健康その他に関係する規制には例外処置がある(よって守られる)」と主張している。だが過去のISDS特別法廷では、「政府側の義務」を(申し立てる側が)拡大解釈するのを防ぐ条項を特別法廷が無視してきた。ゆえにUSTRのいう例外処置は役に立たないだろう。そしてTPPはより多くの投資家にISDSを使わせることを可能にする。米国の自己決定権保持者は米国国民であり、外国の大企業ではない。ワシントン州議会議員らはワシントン州選出の上院・下院議員に対してTPPに反対するように呼びかけた[97]

2016年4月中旬、オックスファム国境無き医師団を含めた50以上の団体が米国議会に書簡を出し、TPPに反対するよう請願した[98]

TPPは製薬企業に市場独占を許し新薬の価格設定にも関与する権限を強めるために、薬価が高騰する。バイオ医薬品については基本的に8年間の独占期間が与えられる。Federal Trade Commission(FTC)は、「企業のイノベーションのインセンティブとなりコストの回収にもなるように、バイオ医薬品については独占期間を設けないことが必要である」と結論づけているにもかかわらずである[99]

薬価を下げる効果的な方法は薬剤市場にジェネリック医薬品を流通させることである。米国ではジェネリック医薬品によって医療コストを(過去10年間で)1.5兆ドル削減することが出来ている。またジェネリック医薬品はHIV流行への対応策としての側面も持っている[99]

だがTPPはジェネリック医薬品の販売も制限する。薬価高騰の結果、患者が救命のための薬剤を使用することがより難しくなる。さらには製薬会社がISDSを使って政府を訴えて多額の賠償金を請求する場合もあるだろう。既にイーライリリー・アンド・カンパニーがNAFTAのISDSを行使し、2つの薬剤特許の無効化を不服としてカナダ政府を訴えて5億ドルの請求をしている[99]

オックスファムらの団体は、TPPが米国国内の保健のための優先事項や世界的保健政策と相容れないものであることを指摘している[98]

経済への影響

関連資料

関係国の経済規模
人口 GDP (MER) 一人あたり
GDP (MER)
GDP (PPP) 一人あたり
GDP (PPP)
原加盟国   シンガポール 473.7万人 1,819億ドル 38,972ドル 2,387億ドル 51,142ドル
  チリ 1724.8万人 1,695億ドル 10,121ドル 2,430億ドル 14,510ドル
  ニュージーランド 426.6万人 1,284億ドル 30,030ドル 1,157億ドル 27,060ドル
  ブルネイ 40.0万人 145億ドル 37,076ドル 196億ドル 50,116ドル
交渉国   アメリカ合衆国 3億1465.9万人 14兆2,646億ドル 46,859ドル 14兆2,646億ドル 46,859ドル
  オーストラリア 2129.3万人 1兆0,106億ドル 47,395ドル 7,953億ドル 37,298ドル
  ベトナム 8423.8万人 898億ドル 1,040ドル 2,403億ドル 2,783ドル
  ペルー 2916.5万人 1,275億ドル 4,451ドル 2,458億ドル 8,580ドル
  マレーシア 2746.8万人 2,222億ドル 8,140ドル 3,841億ドル 14,071ドル
  カナダ 3412.7万人 1兆5,109億ドル 46,215ドル 1兆3,032億ドル 39,182ドル
  メキシコ 1億0961.0万人 1兆0,881億ドル 9,566ドル 1兆5,480億ドル 14,560ドル
  日本 1億2805.6万人 5兆4,589億ドル 42,821ドル 4兆3,095億ドル 33,805ドル

PECC(太平洋経済協力会議)試算

ブランダイス大学ピータ・ペトリ教授[100]が担当したPECCの試算では、関税撤廃に加えて非関税措置の削減、サービス・投資の自由化の効果も含めて試算した。

TPP(12か国)に参加した場合は1050億ドル程度(10兆円程度,GDP比2.0%)、RCEPに参加した場合は960億ドル(GDP比1.8%)、FTAAPに参加した場合は2280億ドル(GDP比4.3%)の効果がそれぞれあるとしている[101]

しかしながらペトリらの試算には大きな問題がある。ペトリらが使うモデルでは、「労働者は失職してもすぐに別の職に就くものとする」という前提条件が置かれている。この前提が非現実的であることは言うまでもない。

ペトリらは労働生産性と実質賃金が同じ上昇率になるとする前提条件も用いているが、現実には1970年代後半から米国の労働分配率は低下している[102]

ペトリらは計算を容易にするために、政府の財政収支と経常収支が共に均衡しているとする条件も用いている。だが現実の世界では、景気悪化の局面では政府は財政赤字を拡大させて景気底上げを図るだろう。経常収支の均衡も現実的とは言えない。リーマンショック以前、米国と東アジアとの間で経常収支の大きな不均衡が生じていた。

ペトリらによる試算は2008年のリーマンショック以前のデータに基づいている。計算過程において経済成長、輸入額、政府債務額、設備投資等様々な数値・変数を関連付けるわけだが、危機以前のデータを用いればその関連付けが危機以前のトレンドを使ってなされることになる。結果として算出されるマクロ経済指標は危機以前の延長上のものでしかなく、金融危機以後の経済事情がうまく反映されない[102]

ペトリらはFDI(foreign direct investment)が大幅に増加するというシナリオで試算を出している。TPPの全インカムゲインの3分の1を生み出すというシナリオである。だが自由貿易協定とFDIとの間に有意な相関関係があるとする確固たる理論は無い。

タフツ大学の研究者による試算

タフツ大学の研究者らによる試算では、TPPに加盟した場合、2025年までに全ての加盟国でTPPが雇用へのダメージになると予測されている[102]。雇用への打撃が最も軽度なのはニュージーランドの6000人分であり、そして最も深刻な打撃を受けるのは米国であり 約45万人分の雇用が失われる。日本でも約75000人分の職が失われることになると予測されている[48]

TPPに加盟した場合、2025年までにどれだけの雇用が創出されるか(千人)[102]
  日本
  米国
  ラテンアメリカ諸国
  東南アジア諸国

TPPに加盟した場合、2025年までに全ての加盟国で労働分配率が低下すると予測されている。低下の度合いはラテンアメリカ諸国が最も小さく0.54%、最も打撃が大きいのが日本の2.32%である[102]

TPPに加盟した場合、2025年までに労働分配率がどれだけ変化するかをGDPに対する比率で示したもの(%)
  日本
  米国
  ラテンアメリカ諸国
  東南アジア諸国

TPPに加盟した場合、TPPがもたらす各国の経済成長率への影響にはばらつきがある。10年間で経済成長率をどれだけ底上げするかについては、ラテンアメリカ諸国や東南アジア諸国では10年間で2%以上の押し上げになる。(それでも単年度で見れば0.2から0.3%程度の押し上げでしかない。)

一方、日本や米国ではTPPは経済成長にマイナスに作用してしまうと予測されている[102]。TPPに加盟してアジアの成長を取り込むという主張があるが、日本や米国は取り込むどころか取り込まれてしまうだろう。

TPPに加盟した場合、2025年までにTPPがGDP成長率をどれだけ後押しするか(%)
  日本
  米国
  ラテンアメリカ諸国
  東南アジア諸国

重大な問題点

ウィキリークスによる「TPPの草案」の一部公開

ウィキリークスがTPPの草案の一部を入手し書類を公開した。リークされたのは知的財産分野の条文草案で、TPP交渉会合の首席交渉官会合で配布された英文資料95ページとなっている[103][104]

文書では、以下のことが明らかになった[105]

*著作権侵害の非親告罪化
など

著作権侵害について、著作権を持っている権利者が権利侵害を申請していない状態であっても、警察などの非権利者が法的措置を実行できる「著作権侵害の非親告罪化」をし、商業的動機なく実行される著作権侵害に対しても刑事制裁を確実に適用することが見込まれている。

また、この条項について文書では米国など10カ国が賛成にまわり、日本とベトナムは反対をしていた。その他ソフトウェアの改造などの「デジタルロックの開錠」を違法とすることや安価なジェネリック医薬品などの利用が制限される提案が米国からなされている。

TPPの問題点の指摘

シドニー・モーニング・ヘラルドは公開文書から、以下の様に指摘した(2013年11月)[106]

「これは消費者の権利および利益を大きく度外視していると同時に、アメリカ政府と企業の利益を優先した内容であり、製薬企業、大手IT産業、ハリウッド音楽業界に有利な内容で、まるで大企業[107]へのクリスマスプレゼントだ」

ウィキリークスの編集長ジュリアン・アサンジは、以下の様に指摘した(2013年11月)[108][109]

「TPPによる知的財産保護の枠組みは個人の自由表現の自由を踏みにじるものだ。読む時、書くとき、出版する時、考える時、聴く時、踊る時、歌う時、発明する時、それらすべてがTPPの規制対象になる。『創作活動家』、『農家とその消費者』、また『病気を持つ人や今後病気になり得る人』がターゲットにされる」。
指摘に対するコメント

USTR米通商代表部代表のマイケル・フロマンは「ウィキリークスの公開文書から結論を導き出さないように」と発言、公開文書の信憑性についてはコメントせず、[いつ?]「合意はまだ存在せず、引き続き交渉中で最終的な条文は存在しない」と述べた[要出典]

日本のTPP担当相甘利明はウィキリークスが公開した文書について、[いつ?]公開文書の信憑性や事実関係はかなり疑わしい[要出典]」と述べた。

ISDS条項

ISDS条項は企業や投資家側に非常に大きな権力を与える。国家が課す法・規制が外国の企業の将来的損失となる場合、ISDS条項に従ってその企業はその国家を訴えることができ仲裁人は国家の国内法に従う必要がない[110]。その法的争いの場も特別法廷であり公正ではない。国際法の人権についての専門家アルフレッド・デゼイヤスはISDS条項と特別法廷に関して投資家が政府を訴えられるが政府が投資家を訴えられないことは不公正だと述べる[111]

コロンビア大学教授ジェフリー・サックスらがTPPに含まれるISDS条項を削除するべきと唱えている[110]。TPPやTTIPに含まれるISDS条項はNAFTAに含まれるISDSをさらに拡大させたものになる。そのISDS条項は防衛・食品安全・薬品安全・環境保護・医療サービス・気候変動など米国政府の様々な政策に関心を持つ市民にとって大きな懸念事項になるとサックス教授らは述べる。

現存するISDSを使ってフィリップ・モリスがウルグアイ政府を訴えていることはよく知られている。

環境保護目的のための法・規制が石油・ガス関連企業の将来的損失になるとみれば、それら企業が政府相手に法的措置をとり大きな賠償金を得る可能性もある[112]。すでに石油・ガス関連会社Lone Pine Resources Inc.はNAFTAに含まれるISDS類似条項を使ってカナダ政府を訴えている[113]。ケベック州がセントローレンス川下での水圧破砕法を止めるための法案を通したことが企業側の利益を損ねるとしたためである。

2015年11月上旬、バラック・オバマ政権はトランスカナダ(カナダの企業)による米国とカナダを連結する石油パイプライン建造の申し出を拒否した。そのパイプライン建造は米国の国益にならないことと気候変動への取り組みに悪影響がでることが理由であった。しかしながらその2か月後トランスカナダはオバマ政権の決定を不服とし、NAFTA11条のISDSを以って米国政府を訴えた[113]。そしてパイプライン建造計画中止にかかる損失と将来的な収益減の補償として150億ドルもの金額を米国政府に要求した。これといくらか類似するケースで企業側が勝利していることも無視できない[110]。 仮に米国政府がトランスカナダに法的勝利したとしてもそれはNAFTAの制度の下であり、TPPの制度において米国政府が訴訟を回避するために何百万ドルを費やす恐れがある[113]。 環境保全への動きにも悪影響が出るだろう。

底辺への競争

バーニー・サンダース上院議員はNAFTAなど過去に米国が締結した自由貿易協定の結果おこったことを分析し、TPPに強く反対する[114]。TPPに加盟すればベトナムやマレーシアなど労働法が国際基準から大きく離れた国々と米国が競争する事態となる。もし競争となれば、企業側は低賃金・長時間労働など劣悪な労働環境で労働者を働かせて搾取できるようなそれらの国々に生産拠点を移すだろう。雇用がオフショアされない場合では、それらの国々と競争するために企業が人件費などを削らざるをえなくなる。結果として賃金が低下していく。それらの国々と競争することは自由貿易ではなく底辺への競争であるとサンダースは述べる[114]

サンダー・レヴィン下院議員は「ベトナムの法は国際的労働法基準とのコンプライアンスからはずれている。もし独立した労働組合をつくろうとすれば囚人となってしまう。」と指摘[115]。対するバラック・オバマはTPPによってアジア諸国の労働者の労働環境が良くなるとし、ベトナムの労働者が独立した労働組合を結成できるようになると主張した。だが2015年5月時点でさえベトナム労働法と国際労働法基準には大きな隔たりがある。TPP発効初日から突然ベトナム労働法が修正されて国際基準にまで引き上がるとは考えにくい。レヴィンは、ベトナム政府やマレーシア政府がそれらの労働法を国際基準まで引き上げるという根拠は無いと述べる[115] [116]

エリザベス・ウォーレン上院議員は2015年5月にレポートを発表しTPPの問題点を指摘した。そのレポートによれば米国が過去に締結した自由貿易協定には、労働法について協定の内容と現実に大きな隔たりがあった。ペルーやコロンビアなどと結んだ協定では、労働組合への暴力を減らすためにバラック・オバマが2011年にコロンビアとアクションプランを採用した。だが現実はその4年後に約100名もの労働組合員が殺され約1300人もの組合員が死の脅迫をうけていた[115]

関連項目

脚注・注釈

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    ウィキリークス Secret Trade in Services Agreement (TISA) - Financial Services Annex 2014-06-19
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書籍
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外部リンク