長田区

兵庫県神戸市の行政区
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長田区[1](ながたく)は、兵庫県神戸市を構成する行政区9区のうちの一つ。神戸市全9区のうち人口密度は最大、面積は最小の区である。

ながたく ウィキデータを編集
長田区
長田神社
日本の旗 日本
地方 近畿地方
都道府県 兵庫県
神戸市
市町村コード 28106-9
面積 11.36km2
総人口 92,299[編集]
推計人口、2024年4月1日)
人口密度 8,125人/km2
隣接自治体
隣接行政区
神戸市兵庫区須磨区北区
区の木 ハナミズキ
区の花 サルビア
区のマスコット なぁタン
長田区役所
所在地

653-8570
兵庫県神戸市長田区北町三丁目4番地の3
北緯34度39分56.5秒 東経135度9分3.2秒 / 北緯34.665694度 東経135.150889度 / 34.665694; 135.150889座標: 北緯34度39分56.5秒 東経135度9分3.2秒 / 北緯34.665694度 東経135.150889度 / 34.665694; 135.150889
長田区役所

地図
区役所位置
外部リンク 神戸市長田区

長田区位置図

― 政令指定都市 / ― 市 / ― 町・村

長田区位置図
ウィキプロジェクト

概要 編集

 
新長田駅前の街並み
若松町4丁目で撮影

神戸市の中南部に位置し、兵庫区須磨区北区と隣接する。

神戸三大神社の一つとされる長田神社があり、正月三が日初詣だけではなく、追儺神事夏越祭など、年中賑わいがある。

地理 編集

地域 編集

区南西部は、古くから「駒ヶ林」と称され、大坂湾沿岸部を中心に渡来人集落が形成された歴史がある。同じ長田区内でも長田神社周辺とは異なる庶民文化を形成し、近代、駒ヶ林から六甲山地側への市街地拡大に際して「新長田」と呼ばれるエリアが確立した(なお、昭和中期、現在の西区西神地区が開発される以前には新長田地区が「西神戸」と呼ばれた時代もある)。神戸の「履き倒れの街」を象徴するケミカルシューズ産業が盛ん。全国でも有数のコリア・タウンがあり、大阪市生野区と並ぶ在日コリアンの多い街としても有名である。本場の味と言われるお好み焼き屋や焼肉店も多く冷麺も有名。焼きそばを「そば焼き」と呼び、店にも「そば焼き」と書かれているところが多い。そばめしもここが発祥である。阪神・淡路大震災では大規模な火災が発生して商業地住宅地が消失する被害があった。震災復興の再開発事業により、2009年には「鉄人28号」の巨大像が新長田駅南側に誕生、長田区が鉄人28号に特別住民票を交付するなど、新たな地域の顔として親しまれている(「KOBE鉄人PROJECT」も参照)。

 
長田神社前商店街と新湊川にかかる長田橋。ここから南東側一帯が番町地区である。

長田神社の南側に当たる五番町、六番町周辺は「番町地区」と呼ばれる。幕末神戸港開港1868年)後、神戸には全国から職を求めて貧民が急増し、スラムが散在するようになる。伝染病の流行もあり、兵庫県が行ったスラム対策によって、葺合(ふきあい)村新川地域とともに番町地区周辺にはこうした貧民らが多く移り住むようになった[2][3]。「神戸市のスラム問題」も参照。

北部には、山麓で入り組んだ坂の上に築かれた町である丸山地区(丸山町や大日丘町、鶯町、檜川町、雲雀ケ丘、鹿松町など15町)があり、コミュニティ活動が盛んな地区として全国的にも知られている[4]

歴史 編集

神戸開港より、神戸には多くの中国人華僑)が居留するに至り、彼らのための共同墓地「神阪中華義荘」が宇治野村(現在の神戸市中央区中山手7丁目)に作られたが、1924年に海の見える高台である林田区長田村(現在の長田区滝谷町1丁目9-1)に移転された。約1000基の墓が立ち並んでおり、敷地内に「清國孩童総墓」などがある[5][6][7]

 
現在は同和地区指定されていないが、日本最大の被差別部落と呼ばれた番町地区
 
番町地区の住民からは「差別の川」と呼ばれた新湊川。民間有志によって付け替え工事が計画され、番町地区の北側を東から西へ流れる現在の流路に付け替えられた。阪神・淡路大震災復旧を機に水害防止策として、1990年代後半から5カ年、総工費約186億円を投じ、川底を2メートル掘り下げ大改修が行われた。

旧長田村は神戸の貧民部落の一つであった[8]1927年に刊行された日本大学教授井上貞蔵の著書『一経済学徒の断草』によれば、

兵庫駅から西敷町、大開通を北へ入った所で、神戸第二中学校の手前だ。三番町二丁目ないし四丁目、四番町三丁目ないし六丁目、五番町三丁目ないし五丁目に跨る地域だ。家は概して大きいが無資産者が大部分である。非衛生的である。戸数は891。人口は4452。当部落民総数4452人についてトラホームを調べた所によれば、3197人迄、即ち72パーセントは該患者である。職業は燐寸職工、農業皮革商工業、土方青物商、仲仕、日用品商、磨粉行商、職、日稼古物商など。 — 『一経済学徒の断草』[8]

吉田司によれば、日本最大の被差別部落であったが、阪神・淡路大震災では差別問題に触れることを恐れたマスコミが報道を控えたため人知れず消滅することとなった[9]

震災のあった1995年の初秋に、男はつらいよシリーズ第48作『男はつらいよ 寅次郎紅の花』のロケーション撮影が、被災して仮設で営業していた菅原市場で行われた。主演の渥美清は翌年に死去し、この作品が渥美の遺作となった。神戸でロケが行われた韓国ドラマ『ガラスの華』では、警察署として長田区役所の建物が使用された。

事件・事故 編集

1950年(昭和25年)11月20日、在日朝鮮人による長田区役所襲撃事件が発生。

1967年(昭和42年)7月9日集中豪雨により五位ノ池町2丁目の住宅地裏山が崩れ3戸が全壊。付近で土嚢積み作業をしていた水防団員が巻き込まれて3人が死亡[10]

2014年(平成26年)9月神戸長田区小1女児殺害事件が発生。

2017年(平成29年)9月、長田区五番町で指定暴力団神戸山口組から離脱して結成された新組織「任侠山口組」の関係者で織田絆誠代表の警護役とみられている男性が射殺された[11]。狙撃犯は消息不明である[11]。同年12月3日、長田区で「暴力団追放住民決起大会」が開かれた[12]。付近の住民ら約150人と県警、公益財団法人「暴力団追放兵庫県民センター」などの関係機関が参加、区内をパレードした[12]

2023年(令和5年)4月22日 - 長田区東尻池町にあるラーメン店の店主で特定抗争指定暴力団山口組弘道会傘下湊興業の余嶋学組長が射殺される事件が発生[13][14]

年表 編集

人口 編集

  • 1945年 112,992人
  • 1947年 150,204人
  • 1950年 167,109人
  • 1955年 189,806人
  • 1960年 202,338人
  • 1965年 214,345人
  • 1970年 210,072人
  • 1975年 185,974人
  • 1980年 163,949人
  • 1985年 148,590人
  • 1990年 136,884人
  • 1995年 96,807人
  • 2000年 105,464人
  • 2005年 103,791人
  • 2010年 101,624人
  • 2015年 97,912人

小中学校の学区 編集

  • 校区一覧[1]

経済 編集

 
ぼっかけうどん発祥の店とされる長田の「のんきや」

産業 編集

食文化 編集

  • ぼっかけうどん
  • そばめし
    • そばめしも長田区で1995年頃から著名になったといわれる。シューズ工場の従業員らが昼食に持ってきた冷や飯を店の鉄板で温め、注文した焼きそばと一緒に食べていたが、昼休みの時間短縮に両方を混ぜたのが始まりとされる[20]

本社を置く企業 編集

過去に本社を置いていた企業

施設 編集

健康 編集

教育 編集

大学・短期大学 編集

専門学校 編集

高等学校 編集

中学校 編集

小学校 編集

各種学校・専門学校 編集

公園 編集

住宅団地 編集

 
新長田駅前ビル。都市再生機構新長田駅前団地はこのビルの上層階に存在する。
  • 都市再生機構新長田駅前団地
  • 都市再生機構グリーンヒルズ鷹取(鷹取団地を建て替えた住宅団地)
  • 都市再生機構ルネタウン御船
  • 都市再生機構フレール長田大道
  • 都市再生機構フレール長田
  • 県営長田天神住宅
  • 県営片山住宅
  • 県営五位ノ池住宅
  • 県営西尻池住宅
  • 県営中村住宅
  • 市営一番町住宅
  • 市営重池住宅
  • 市営久二塚西住宅
  • 市営久二塚東住宅
  • 市営大日丘住宅
  • 市営寺池住宅
  • 市営番町住宅
  • 市営房王寺住宅
かつて存在した住宅団地

組合・団体 編集

交通 編集

鉄道 編集

※神戸電鉄長田駅と神戸市営地下鉄長田駅は約1.9km離れている。

バス 編集

神戸市で唯一民間バスの乗り入れない区でもある。ただし、神戸市道夢野白川線阪急バス神姫バスが通るが、同道路は区内の区間がわずかのため、当区内にバス停はない。

道路 編集

 
区内の東西を縦断する国道2号
(真上には阪神高速3号神戸線)
梅ヶ香町3丁目で撮影
阪神高速道路
一般国道
県道

主要地方道のみである。

その他広域幹線道路

名所・旧跡・観光スポット・祭事・催事 編集

 
若松公園鉄人28号のモニュメント
 
新長田1番街

出身有名人 編集

政治・経済・文化・芸能 編集

学術 編集

スポーツ 編集

アナウンサー 編集

その他 編集

ゆかりの人物 編集

  • 五島虎雄(政治家) - 衆議院議員(社会党)。孫は神戸市会議員の五島大亮。かつて住所が長田区御屋敷通だった。
  • 八尾善四郎(魚問屋、兵庫運河社長) - 兵庫運河建設に尽力。

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ 本名は尾崎小百合(おざき・さゆり)。当該記事参照。

脚注 編集

  1. ^ 『路線価設定地域図 昭和36年分 3の3』66頁(国立国会図書館デジタルコレクション)2020年11月14日閲覧
  2. ^ 2016年度「人権歴史マップ」連続セミナー 第1回:新湊川と番町≪フィールドワーク≫”. 一般社団法人ひょうご部落解放・人権研究所 (2016年5月21日). 2020年12月31日閲覧。
  3. ^ 『新修・神戸市史 歴史編Ⅳ 近代・現代』より「スラム問題」(神戸市 1994年1月20日発行)pp.406-410
  4. ^ 神戸市長・久本喜造ブログ - 長田区・丸山地区を歩く 2013年6月18日”. 2020年9月1日閲覧。
  5. ^ 松尾恒一「日本華僑の共同墓地と后土・土地神の考察(日本国内の華僑霊園の地域差に注目して)A Study of Public Cemeteries of Chinese Living in Japan and HouTu/the Deities of Earth : Focus on Regional Differencesin Chinese Cemeteries in Japan」『国立歴史民俗博物館研究報告』第199集(2015年12月)
  6. ^ 貿易の街育てた友好 「落地生根」神戸と華僑(1)軌跡”. 日本経済新聞 (2015年10月6日). 2020年9月1日閲覧。
  7. ^ 一般社団法人中華会館公式サイト - 中華義荘”. 2020年8月31日閲覧。
  8. ^ a b 『一経済学徒の断草』180 - 181、194 - 195頁(国立国会図書館デジタルコレクション)。2017年7月11日閲覧。
  9. ^ 藤吉, 雅春 (1999-07-02). ノンフィクションを書く!. ビレッジセンター出版局. p. 238. ISBN 978-4894361294 
  10. ^ 「警官官ら八人ダムに 山津波に出動中」『朝日新聞』朝刊1967年7月10日12版15面
  11. ^ a b “神戸・長田で発砲、男性死亡 抗争事件で捜査 任侠山口組代表狙ったか”. 産経WEST (産経新聞社). (2017年9月12日). https://web.archive.org/web/20170912181748/http://www.sankei.com/west/news/170912/wst1709120098-n1.html 2018年3月25日閲覧。 
  12. ^ a b “「暴力団は出ていけ」任侠山口組トップ射殺事件の神戸・長田で暴追パレード 住民150人参加”. 産経WEST (産経新聞社). (2017年12月4日). https://www.sankei.com/article/20171204-OXCZRCF5ENK2RHWHVAIN6CKPEA/ 2018年4月16日閲覧。 
  13. ^ “暴力団組長、頭部撃たれ死亡 神戸・長田のラーメン店 県警が捜査本部設置”. 神戸新聞NEXT (神戸新聞社). (2023年4月22日). https://www.kobe-np.co.jp/news/jiken/202304/0016271910.shtml 2023年4月29日閲覧。 
  14. ^ “なぜ組長がラーメン店主? 神戸・長田銃撃事件 旧友「やくざやめたがっていた」”. 神戸新聞NEXT (神戸新聞社). (2023年4月29日). https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/202304/0016295563.shtml 2023年4月30日閲覧。 
  15. ^ a b c d e f g h i j k ながたの歴史』長田区役所(2005年)2023年1月11日閲覧
  16. ^ M's KOBE - 遊園地完成を記念? 長田・丸山に幻のご当地ソング”. 神戸新聞 (2018年12月23日). 2021年11月5日閲覧。
  17. ^ 神戸空襲の概要 神戸市役所(2023年1月11日閲覧)
  18. ^ a b c 区のシンボル”. 神戸市長田区. 2014年8月21日閲覧。
  19. ^ ぐるなび - 郷土料理物語”. 2021年11月5日閲覧。
  20. ^ 長田のこなもん調査、「そばめし」のルーツたどる”. 神戸新聞NEXT. 2018年12月8日閲覧。

参考文献 編集

  • 井上貞蔵『一経済学徒の断草』邦光堂、1927年
  • 『路線価設定地域図 昭和36年分 3の3』大阪国税局
  • 落合重信、有井基『神戸史話』創元社、1967年7月 ISBN 978-4-422-25003-8
  • 落合重信、有井基、陸井敏子、長田区広報相談課『ながたの歴史』1977年3月
  • 田辺眞人、長田区役所まちづくり推進課『ながたの民話』1983年3月
  • 田辺眞人、竹内隆、長田区役所まちづくり推進課『ながたの歴史』2005年3月

関連項目 編集

外部リンク 編集