淡路ビーフのテンダーロインステーキ

ステーキSteak)とは、のスライスなどを焼いた料理である。多くの場合はフライパンなどの鉄板を使用して焼き上げるほか、金網を使用して直火焼きをする場合もある。豚肉鶏肉などの肉類や、サケマグロアワビなどの魚介類のほか様々な素材が用いられる。単に「ステーキ」と言った場合には牛肉を使用した「ビーフステーキ」を指すことが多い。

目次

肉料理としてのステーキ編集

概要編集

ステーキソースを工夫した料理も多いが、ブランド牛など高価な肉を使用したり、焼き方と、焼き方に合わせた肉の選択と筋切りや下味が味に大きく影響する。

牛肉の場合、数日間から数週間、冷蔵庫などの低温下で組織中の酵素により熟成した肉を使用する。牛肉の表面にカビが生えるまで熟成させ、そのカビが繁殖した場所を切り落として使用する店もあり、これを乾燥熟成肉と呼ぶ。

ステーキソースを使用したり、やスパイスなどの調味料を使用してステーキ単体で食す事が多い。また、これが本当に美味しい肉を堪能する真の食べ方だとする人もいる。また、他の食材を組み合わせた複雑な味わいの料理も少なくない。肉が厚く良質な場合は、濃厚なソースや強いスパイスを使用したり、表面が焦げるほど調理をしたりしても、中は柔らかくまろやかな味わいとなる。

日本のレバ刺しに見られたような生食用の牛肉の流通はほとんどなく、食中毒など食品衛生上の理由で加熱温度と加熱時間が定められている。ブルーレア以下の焼き加減の場合、表面を焼いた後焼けた可食部を切り捨てるため可食部が少なくなり、結果として高価となりやすい。

食中毒の原因菌が死滅する60℃前後と、肉の蛋白質の変質が起こる約65℃との、わずかな温度差を利用して、肉の中心部を生の状態のまま食べるレアやミディアム・レアといった焼き加減が広く一般的に知られている。

元々バーベキューなどでは、塩のみのシンプルな味付けだった。後にスパイス文化が世界的に広まると、コショウナツメグ等の香辛料が加わった。現代ではステーキソースなどもある。日本で和風ステーキと銘打ったものは、大根おろしポン酢醤油ワサビ醤油、紫蘇・おろしニンニク・おろしショウガなどで味付けをする場合がある。

ブランデーウイスキーワイン等でフランベするとより香りが良くなり風味も増す。焼いた素材の上にレモンの輪切りやバターを添えることもある。

牛種や部位によって肉質に差がある。安価で店頭販売されている質の悪い肉をそのまま加熱調理すると、噛み切れないほど硬い肉料理が出来上がる事がある。そのため、調理前にビールや赤ワイン、牛乳やパイナップルジュース、炭酸ドリンクなどの飲料、玉ねぎや大根、キウイの摺り下ろしなど、数十分から時には一晩ほど漬け込んで下拵えを行う他、筋切器(ミートテンダー)やミートハンマーなどを用い、事前に肉質を柔らかくしてから加熱して食する調理法などがある。

付け合わせにはジャガイモニンジンブロッコリーコーンなどの温野菜が盛りつけられることが多い。通常はパンかライスを添える。また、特に何も添えずに食べる場合もある。

種類編集

素材編集

焼く素材によって次のように分けられる。

ビーフステーキ
牛肉を使用。サーロインヒレ肉ロースなどがよく用いられる。銀座スエヒロから広がったビフテキという略称がある。
ポークステーキ
豚肉を使用。トンテキとも呼ばれ、ポークチャップポークソテーとほぼ同義。ただし、ソテーは材料が小さかったり、焼き時間が短かったり、焼き具合の指定がなかったりすることがある。
トンテキという呼称は上野の「たいまる」(現在は閉店)の登録商標だった。近年は四日市とんてきを指して用いられることが多い。
ラムステーキ
子羊肉を使用。
チキンステーキ
鶏肉を使用。
ハムステーキ
ハムを平らに切って焼いたもの。

形状編集

素材による区分とは別に、形状や調理法による区分として次のようなものが挙げられる。

サイコロステーキ
肉をサイコロ状に切って焼いたもの。また、結着剤でハラミや牛脂などを固めてサイコロ状の成型肉にしたものに対しても、このように呼ばれる。ナイフとフォークを使う必要がないため、しばしば形式でとともに供される。その発祥は、東京日本橋兜町のバンボリーナが「ステーキを切る暇の無いほど忙しい」証券マンのために考案したのが始まりと言われるほか、福岡県久留米市の牛鉄で「スタミナステーキ」の名称で昭和45年に商品化された事、また昭和40年代にビッグシェフ・グループの前身である洋食店で、藤咲信次シェフが開発したとの説[1]が確認されている。
 
Tボーンステーキ
Tボーンステーキ
サーロインとヒレ、2つの部位が付いた骨付き肉を焼いたもの。骨の断面がT字に見えるためこの名がある。『ステーキの元祖』ともいわれている。Tボーンステーキの中でもヒレの部分が1/3を超えるものを特にポーターハウスステーキと呼ぶ。
ハンバーグステーキ(ハンバーグ
挽肉を平らにして焼いたもの。
タルタルステーキ
牛肉馬肉挽肉を、薬味・タレを使用して生食する。

焼き方編集

[2][3]

ロー(英)raw
完全に生の状態。
ブルー(英)blue
限りなく生に近く、片面または両面を数秒程度焼いた状態。
ブルーレア(英)blue rare
ブルーとレアの中間。片面または両面を数十秒程度焼いた状態。
レア(英)rare・ブル(仏)bleu
表面のみを焼いた「鰹のタタキ」のような状態。ただし、「タタキ」の内部が刺身の「炙り」同様「火の通らない、完全な生」であるのに対し、レアステーキは余熱などで55℃~60℃程度まで火を通している。
ミディアム・レア(英)medium rare・セニャン(仏)saignant
レアとミディアムの中間。肉の内部温度を蛋白質の変質が起こる境界の65℃程度まで温める焼き方。表面はしっかりと焼かれる一方、中心部は生に近い状態が損なわれていない。中にまだ赤みが残っていて、切ると多少血がにじむくらいの状態[4]
ミディアム(英)medium・ア・ポワン(仏)a point
肉の中心部の蛋白質が変質しかける程度まで温める焼き方(内部温度65℃以上~70℃以下)。切るとほぼ全体に色が変わっているが中心部はうっすらとピンクがかっており、完全に色が変わっていない状態。肉汁は生に近い。
ミディアムウェル (英)medium well
ミディアムとウェルの中間。
ウェル(英)well
よく焼いた状態。
ウェルダン(英)well done・ビヤン・キュイ(仏)bien cuit
ウェルよりもよく焼いた状態。肉の中心部まで蛋白質の変質が起こっており、赤味はほとんど残っておらず、ナイフで切っても肉汁はほとんど出ない。
ヴェリー・ウェルダン (英)very well done
完全に中まで焼いた状態で、ナイフで肉を切っても肉汁が出ない。

また、短時間で表面を焦がし、中は生のピッツバーグレア(Pittsburgh rare、あるいはブラック・アンド・ブルー(black and blue)という、牛肉のたたきのような焼き方がある。

日本の飲食店では、レア・ミディアム・ウェルダンの3種類か、これにミディアムレアを加えた4種類の焼き方が多い。

食習慣編集

牛肉のステーキは、旅館、料亭、洋食レストラン、和食レストラン、「ステーキハウス」と呼ばれる店の他、ファミリーレストランのメニューともなっている。

ステーキを食する際は左手にフォーク、右手にナイフを持ち、左より一口食べるごとに一口大にカットし、フォークを持ち替えず左手のフォークで口に運ぶのがマナーとされる。アメリカなどで、まとめて完全に切り分けてから、右手にフォークを持ち替えて食べる事もある。和食料理店では箸で食べる都合上、料理人の手で切り分けられてから供されることが多い。

丼物(ステーキ丼)にされることもある。

パフォーマンス編集

 
フランベをする調理師

サービスする際に、客の目の前でフランベする店もある。また日本の、または日本人経営者のステーキ・ハウスでは、テーブルではなく鉄板焼きの形式でカウンターに客を座らせ、目の前で調理する店が多い。この場合、皿に乗せず鉄板上、あるいは鉄板にアルミホイルを敷いた上に供するため、通常は料理人が切り分けて箸を添えて供する。しかし肉好きな人の中には、鉄板の上で切るために肉汁を捨ててしまうので、許せない料理法との意見もある。

バリエーション編集

景品表示上の問題編集

牛の成型肉を焼いてステーキのような形に加工したものを「ステーキ」「ビーフステーキ」「○○ステーキ」など「ステーキ」と表示することについて、景品表示法上の問題が指摘されている。

消費者庁では、一般消費者は「生鮮食品」の「肉類」に該当する「一枚の牛肉の切り身」を焼いた料理と認識することや、牛の成型肉は「生鮮食品」の「肉類」に該当する牛の生肉の切り身ではないことなどから、「ステーキ」と表示すること自体が景品表示法第4条第1項第1号(優良誤認)に抵触するとの見解を示している[5]。一方、東京都福祉保健局は「牛肉(サイコロステーキ)」「牛肉加工品(サイコロステーキ)」など、「ステーキ」の表示とともにJAS法に基づく適切な名称の記載を推奨している[6]

肉料理以外のステーキ編集

魚介類編集

サーモンステーキ
サケを使用。
マグロステーキ
マグロを使用。カジキマグロを用いる場合が多い。
かつおステーキ
カツオを使用。
鯨ステーキ
鯨肉ヒゲクジラ)を使用。
アワビステーキ
アワビを使用。高級店ではクロアワビを用いる場合が多い。

野菜類編集

大根ステーキ
輪切りにした大根を焼いたもの。
しいたけステーキ
しいたけを使用。
ズッキーニのステーキ
ズッキーニを輪切りにして焼いたもの。
れんこんステーキ
れんこんを輪切りにして焼いたもの。
山芋ステーキ
山芋を輪切りにして焼いたもの。

その他編集

豆腐ステーキ
水分を切った豆腐を、平らに切って焼いたもの。
サボテンのステーキ
ウチワサボテンを焼いたもの。
コンニャクステーキ
コンニャクの表面に格子状の切れ目を浅く入れ、焼いたもの。
漬物ステーキ
岐阜県飛騨地方の郷土料理漬物を油で炒めて、卵でとじたもの。

出典編集

  1. ^ 菊地武顕『あのメニューが生まれた店』112p 平凡社
  2. ^ 牛肉の焼き加減と内部温度 公益財団法人日本食肉消費総合センター(一部出典)
  3. ^ ブルーなステーキって何? トラベル英会話アーカイブ All About2008年5月21日
  4. ^ 『13歳からの料理のきほん34』128頁。
  5. ^ 牛の成形肉(※1)を焼いた料理のことを「ビーフステーキ」、「ステーキ」と表示してもよいでしょうか。 - 消費者庁表示対策課
  6. ^ 食品衛生の窓 - 東京都福祉保健局。Q1 「「サイコロステーキ(結着肉)」の名称はどのように表示したらよいですか。」を参照。

関連項目編集