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大使閣下の料理人』(たいしかっかのりょうりにん)は、西村満が著した、自身の日本大使公邸料理人としての体験をもとにしたエッセイ。近代文藝社刊。

大使閣下の料理人
ジャンル 青年漫画
料理・グルメ漫画
漫画
原作・原案など 西村ミツル(原作)
作画 かわすみひろし
出版社 講談社
掲載誌 モーニング
レーベル モーニングKC
発表期間 1998年 - 2006年
巻数 単行本:全25巻
文庫版:全13巻
その他 平成14年(2002年)度
第6回文化庁メディア芸術祭
マンガ部門優秀賞受賞
テンプレート - ノート
ポータル 漫画

漫画『大使閣下の料理人』は、原作:西村ミツル(西村満の筆名)、作画:かわすみひろしによる作品。『モーニング』(講談社)にて、1998年から2006年にかけて連載された。単行本全25巻、文庫版全13巻。累計発行部数は2014年11月時点で190万部を突破している[1]。平成14年度(2002年度、第6回)文化庁メディア芸術祭マンガ部門の優秀賞受賞作品。

あらすじ編集

主人公・大沢公は大量の料理をつくる組織の歯車であることに疑問を抱き、「気持ちを届けられる料理」を目指して名門ホテル料理人を辞め、ハノイ市の在ベトナム社会主義共和国日本国大使館公邸の料理人になることになった。高級食材は簡単には手に入りにくいベトナムで、倉木特命全権大使とともに政府高官や各国大使たちとの食卓外交、またベトナムの市場の人たちとの交流を繰り広げる。4年近く[2]におよぶベトナムでの生活の後、倉木大使とともに帰国。14巻[3]からは遊軍大使となった倉木の直属料理人として国際政治の舞台で腕を振るう。

現実の外交・政治の時事ニュース等をストーリーと関わらせ、またタレーランなどの食卓外交、各料理の起源やお客の個人的な想い出のエピソードが話の広がりを膨らませている。

作品中に登場した主な時事ニュース編集

登場人物編集

大沢家とその周りの人々編集

大沢公(おおさわ こう)
主人公。第0話である『前菜』のとき28歳。日本のNKホテル出身で倉木大使付の公邸料理人。非常に温厚な性格であり、怒ることはほとんどない。母親を早くに亡くしている。
「組織の中の歯車ではなく、自分一人の力で心のこもった料理をつくり、その気持ちをお客さんに届ける」という目標のため公邸料理人に志願した。専門はフランス料理だが、設宴のため和食ベトナム料理、アフリカ料理(クスクスなど)、中華料理など様々な料理を担当し、また自分の専門以外の食材や調理法に関心が高い。高級な素材に頼るのではなく、素材の味を引き出し他の食材との組合せ(マリアージュ)により美味しさを引き出す発想が特徴。料理の修業でフランスへ行った経験がないにも関わらず、国粋主義のフランス人たちからもシェフとしての腕前に一目置かれている。
続編『グ・ラ・メ! -大宰相の料理人-』にもサブキャラクターとして登場。
倉木和也(くらき かずや)
公を雇った「大使閣下」。『前菜』のとき58歳。T大卒。外務省チャイナスクールキャリア外交官であるが、台湾にも理解を示すなどチャイナスクール主流派からは外れている。日中国交正常化の交渉を担当していたがニクソン・ショックの責任を取らされ、閨閥結婚をしていなかったためもあり出世街道から外れる。物語冒頭で対アジア外交の切り札として、在ベトナム特命全権大使に就任、ベトナムを舞台としたタレーランのような「料理外交」を繰り広げる。物語中盤で平泉首相によって国家情報担当大使に任命され帰国し、外務次官級の仕事を行う。物語の最後には念願であった在中国大使に任命される。名前や設定は元ベトナム大使の鈴木勝也小倉和夫などから。
大沢ひとみ(おおさわ ひとみ)
公の妻。ベトナム編では長女かおりとともに東京の家で2人暮らし。NKホテルで催事場のセッティングを務めていた時に[4]公たちと出会う。当初は相田と付き合っていたものを、公が口説き落とす。妊娠したため、仕事をやめ専業主婦になる。酒豪。
大沢かおり(おおさわ かおり)
公・ひとみ夫妻の長女。ツインテールの小学生で、母や祖父の手伝いの中で料理を学んでいる。独自料理を考えるなど、才能の片鱗を見せている。学校では「家庭科の鬼」とも呼ばれている。
大沢巧(おおさわ たくみ)
公の父。浅草界隈にある洋食・うさぎ亭のオーナーシェフ。頑固な男だが孫には甘い。うさぎ亭を開く前は、ホテルの洋食調理部に勤務していた。その際に中華の調理場にも顔を出し、香港出身のシェフに教わったため、中華料理の技法にも詳しい。
忠さん
公が尊敬するシェフ。うさぎ亭で働いていたが、のれんわけの形でこうさぎ亭を経営するようになった。沖縄出身で沖縄空手の有段者。家出した娘がバリに住んでいる(バリ編で親子の間は和解した)。
大沢匠(おおさわ たくみ)
公・ひとみ夫妻の長男。単行本23巻で誕生。名前は『職人』としての意味と、音の『たくみ』を祖父の名の『巧』と同じにしたことによる(祖父は「味平」にしようとしていた)。
江口悟(えぐち さとる)
T大卒。帰国した倉木大使の補佐官。青柳とはT大時代の友人で、今は婚約中。ストーリー登場時には大の洋食嫌いであったが、徐々にその傾向は改善されてきている。父親も外交官(現在は大使)であったために、幼少時代はパリに住んでいたことも(20巻参照)。しかし、その父親が外交官である為に本人の意思とは無関係に外交官になった事を世襲と思われていることを特に嫌う。その為に世襲・閨閥が未だに蔓延っている外務省の体質を変える為に「変えよう!変わろう!外務省」の会長を務めている(実際に外務省に関しては他省庁とは違い、親子や近親で勤務している事がある。この事については、外務省の概要を参照)、そのため、19巻での金田外務大臣の娘・すみれとの閨閥結婚には「たとえ最果てに飛ばされても」との覚悟で婚約拒否をした。また、作品中に出てくるT大とは、東京大学を指していると思われる。
青柳愛(あおやぎ あい)
T大卒。幼少時をアメリカで過ごす。日本業界最大手の音羽証券に就職するが、自分の能力に限界を感じ、直ぐに退社、バックパッカーになる。その時にアジア・ジャーナルの記事を読み、大沢公に弟子入りするために、国立市にある大沢の自宅をアポなしで訪問し、そのまま弟子となる。語学に堪能で日常会話ならば10ヶ国語以上は可能。英語、フランス語、北京語、広東語を現地人が感心するくらい流暢に話せる。大沢の日本での料理助手だったが、21巻途中で香港総領事公邸料理人に、作品の終末には、中国大使公邸料理人となる。現在は、江口悟と婚約関係の間柄。
北島萌(きたじま もえ)
青柳の中学時代の友人。細身の女性だが凄腕の板前。料亭「たかくら」に勤めていたが、親方を殴って失業。青柳の後を引き継ぎ、大沢と一緒に働いている。和食に誇りを持ち、バタ臭いフランス料理は嫌いであったが、大沢と働く中で偏見から免れていく。作品の終末には香港総領事公邸料理人となる。
倉木洋子(くらき ようこ)
倉木大使の一人娘。キャリアになる実力を持ちながらも、外務省専門職員採用試験を受け、合格し、ベトナム語のスペシャリストの道を自ら選んだ。愛や江口のことを姉・兄のような感覚で接している。母がロンドンで過労死してしまい父親を恨んでいたが、第7巻で和解する。大使夫人の代わりに接宴に出席することもある。

主な料理人編集

上村信蔵(かみむら しんぞう)
NKホテルの総料理長。パリで研鑽し、エスコフィエ直系にも学んだ古典フレンチのシェフ。「本物のフレンチシェフならそれがたとえ卵をご飯にぶっかけたものでもフランス料理になる」が名言。通称、鬼瓦(16巻)。
相田(あいだ)
公のNKホテル時代の先輩でフレンチの料理人。マイアミでスカウトされて在ベトナムアメリカ大使公邸料理人となる。口が悪く、無意識に相手を傷つけてしまう癖があり、ホテル時代にはひとみ、そしてベトナム時代には互いを認めつつあったマリーともそのために破局の危機に陥った。後に真実の気持ちを伝えてマリーと結婚、マルセイユに渡り料理店「Aida」を開店。ミシュランの星を目指す。
マリー
フランス三ツ星レストラン出身のフレンチの料理人。デュマ・在ベトナム仏大使付の公邸料理人。プライドが高く、公や相田とフランス料理を巡って様々な衝突をするが、デュマ大使の在米大使転任をきっかけに相田の思いを受け入れ結婚、共にマルセイユに渡り、一子ジネディーヌをもうける。自信を失い、家族を理由に逃避しようとした夫を叱咤するなど、よきパートナーとなる。
葉兄弟(よう)
双子兄弟の料理人。双子であるため息の合った料理の技量は高い。公との乾貨対決では安易に化学調味料を使用したため一敗地にまみれ、料理人の仕事から干されてしまう。その後、中国政府お抱えの料理人として中南海に戻ってくる。
ズン
ホアの弟。ホアの口利きでアメリカ大使公邸に就職し、相田の下で修行を積む。相田がベトナムから去った後は、アメリカ大使公邸の料理人に。
ピエール
マリーがフランス大使公邸を去った後、後任の公邸料理人として赴任。昔付き合っていた彼女が日本人であったために、日本語が堪能。旧来のフランス料理に飽き足らず、母国を飛び出し、ベトナムにやってきた。非常に勉強熱心。
ガブリエル・ジャケ
エリゼ宮の料理長。数少ない MOF 保持者である。エリゼ宮での設宴を通じて公に対し一目置くようになり、公をシェフサミットに招待する。ただし、22巻のシェフ・サミット編では、ガブリエル・ブーケと名前が変わっている。

日本外務省とその関係者編集

ベトナム大使編編集

ミン・ホア
在ベトナム大使公邸のベトナム人料理助手。『前菜』のとき28歳。単行本13巻で終わるベトナム編においてのヒロイン的存在。結婚・離婚歴があり、一人娘ランがいる。日本語が日本人と同等なくらいに達者で、納豆とイナゴだけは食べられないが日本文化、特に明治以降の文学については専門家に匹敵するほど造詣が深い。なお他の語学にも堪能であり、北京語も流暢に会話が出来るため、大使館職員としてなくてはならない存在。普段から情熱的で公への愛情を隠そうとはしない。ちなみに艶やかな黒髪のロングヘアーで、ベトナム民族衣装のアオザイがとても良く似合うナイスバディであるが、手を出そうとしない公に自分の魅力を否定されているように感じて時折悲しそうにしている。一度日本人観光客達に公と夫婦と間違われて嬉々として喜んでいた。
古田誠一(ふるた せいいち)
外務省ベトナム語専門職員、いわゆるノンキャリ(三等書記官)でベトナム語を嬉々として専門に選ぶほどのベトナム好き。『前菜』の時26歳。離婚後のホアと付き合っていたが物語冒頭で別れる。その後、同名のホアと付き合ったが、その後別れる。気の強いお姉さまタイプが好み。
幸山秀明(こうやま ひであき)
在ベトナム大使館員、後帰国して北米一課に所属するキャリア外交官。父は倉木大使と同期の幸山国連大使。武藤駐米大使の娘との見合いを断り、ベトナム水上人形劇の役者であるティンと結婚する。
早乙女エツコ(さおとめ エツコ)
登場時は、ベトナム公使(藤田公使の後任)。父親はコウモリ研究で著名な大学教授だった。ミン・ホアのことを徹底的に嫌っているが、彼女の仕事ぶりを評価している。語学研修生としてフランスのパリ大学に留学していた経験を持つ。テニスは県大会6位の腕前。倉木の離任後、大使に昇格。その後、ポルトガル大使に転任。亡き父の教え子にQ国大使ユッスーン、留学時代の学友にフランス大使レヴィ(デュマの後任)が居る。

国家情報担当大使編編集

小俣総領事
T大卒。在香港総領事で、倉木大使とはチャイナスクールでの先輩後輩に当たる。倉木大使とは違い、食事外交には否定的で、外交とはベシャリ(ここで言う喋り)が重要であると考えている。また、閨閥結婚の為に、奥さんには頭が上がらない。別名、ベシャリーヌ・小俣(23巻)。

ベトナム政府とその周りの人々編集

アイン
公がハノイの市場でひったくりをきっかけに出会った少女(ストリートチルドレン)。市場の掃除をして店から果物をもらっていた。後にロック元大統領の下で、他のストリートチルドレンとともに共同生活を送りながら日本語などを学ぶようになる。実母はビエン交通運輸大臣夫人で元歌手のミー・チャン[5]
ロック
ベトナム大統領(物語中盤で引退)。ホー・チ・ミンの最後の弟子とされ、身分を隠し市民に直接触れ合うと言うホー・チ・ミンのスタイルを踏襲している。ベトコン時代に習ったため日本語も流暢。すっぽんが好物。第二次世界大戦の飢餓の最中に妹が餓死したため、高級な食材を使う料理よりも、食材に対する真剣さを求め、公の料理観に影響を与えた。
グエン
ベトナム外務大臣。ゲアン省ヴィンの出身。公の料理に感激を受け、影に日向に倉木を助けている。

各国の首脳・外交官(ベトナム政府を除く)編集

日本編集

平泉首相(ひらいずみ)
日本の内閣総理大臣で、自愛党総裁。おいしいものには目が無いらしいが、普段の食事は激務の合間にペットボトル飲料片手にカレーライスを掻き込むといった「とても、国民に見せられない(江口談)」状態。時々、突拍子も無いことを考える。20巻では米大統領選候補のジョン・ケリーとの設宴の料理人を直接、公に依頼した。
モデルは小泉純一郎

フランス編集

ジラフ大統領
フランス大統領。食通でプライドが高く、アメリカ大統領、イギリス首相が着任したばかりの頃の設宴では、この2人を極上のワインでもてなすには、まだふさわしくないと判断した。イラク戦争後の戦後処理で窮地に追い込まれたパリサミットでは、日本を当て馬に利用しようとした策謀家でもある。
モデルはジャック・シラク
デュマ
在ベトナム仏大使、物語中盤で在米大使に転任。その後、パリサミットシェルパを最後の仕事として引退。食通であり、「フランス料理はフランス人にしか作れない」が信条だが、公の実力には感嘆し、大いなる敬意を払い賞賛している。

アメリカ編集

トマス・アンダーソン
在ベトナムアメリカ大使。1995年の越米国交正常化後初のアメリカ大使とされている。ベトナム戦争時、アメリカ空軍のパイロットとして沖縄から出撃し撃墜され、捕虜として6年半拘禁された過去を持つためヌクマムの味が苦手。そのときに助けてくれた女性トゥーイと、彼女が差し入れてくれたハンバーガーの味を頼りに再会、結婚する。後にアメリカ民主党政権を降りたことにより離任し、フロリダ州知事を目指す。私人としてサッカークラブ、ハノイFCのコーチをしており、コーチをしている時は普段の温厚で理知的なイメージからは想像できないほどエキサイトする。
ブッチ大統領
アメリカ合衆国大統領。現実のアメリカが暴走気味なのに対して、イラク戦争で険悪な仲となったフランスにわずかながらも歩み寄る姿勢を見せる。平泉首相とはツーカーの仲?
モデルはジョージ・W・ブッシュ

中国編集

呉惠元(ご けいげん)
初登場時は国家副主席、のち、国家主席。政治における師匠は、周恩来。「見えない政変」によって、国家主席に就任することに成功する。
モデルは胡錦濤
楊(やん)
前国家主席。引退後も政界に強い影響力を持つ。孫娘の美姿が料理人として登場する。
モデルは江沢民

ドラマ編集

新春ドラマスペシャル『大使閣下の料理人』として、フジテレビで2015年1月3日21:00 - 23:30に放送。主演は櫻井翔[6]。脚本はいずみ吉紘、演出は佐藤祐市が担当[7]

キャスト編集

スタッフ編集

脚注編集

  1. ^ 嵐・櫻井翔、初の料理人役で2015年新春ドラマ主演!”. 2014年11月5日閲覧。
  2. ^ 単行本第13巻 153話
  3. ^ 154話
  4. ^ 第8巻第84話
  5. ^ 第8巻第81話
  6. ^ “櫻井翔、薬指の指輪は縛られている感じ?妻子ある料理人役に挑戦!”. シネマトゥデイ. (2014年11月25日). http://www.cinematoday.jp/page/N0068367 2014年11月25日閲覧。 
  7. ^ 遂に主要キャストが全決定!キャストも料理も物語も、すべてが桁違いのスケールでお正月を華やげる。新春ドラマスペシャル『大使閣下の料理人”. フジテレビ (2014年11月27日). 2014年11月29日時点のオリジナル[リンク切れ]よりアーカイブ。2014年11月27日閲覧。
  8. ^ 大西利空”. タレントプロフィール. テアトルアカデミー. 2015年1月4日閲覧。
  9. ^ a b c d e “広末涼子が櫻井翔の妻役!ドラマ版「大使閣下の料理人」に豪華キャスト集結!”. シネマトゥデイ. (2014年11月27日). http://www.cinematoday.jp/page/N0068509 2014年11月27日閲覧。 
  10. ^ “剛力彩芽、櫻井翔主演ドラマでヒロインに!初の外国人役”. シネマトゥデイ. (2014年11月25日). http://www.cinematoday.jp/page/N0068447 2015年11月25日閲覧。 
  11. ^ 志村美空 フジテレビ「新春ドラマスペシャル 大使閣下の料理人」出演”. NEWS. ギュラ・キッズ (2014年12月26日). 2015年1月4日閲覧。
  12. ^ 久家心”. entertainment Junior. Space Craft Group. 2015年1月4日閲覧。

関連項目編集

外部リンク編集