2020年東京オリンピックのテニス競技・男子シングルス

2020年東京オリンピックのテニス競技・男子シングルス(2020ねんとうきょうオリンピックのテニスきょうぎ だんしシングルス)は、2021年7月24日から8月1日まで開催された[1]

2020年東京オリンピック
テニス競技 男子シングルス
会場有明テニスの森公園
開催日2021年7月24日 - 8月1日
参加選手数32か国 64人
メダリスト
金メダル 
銀メダル 
銅メダル 
« 20162024 »
2020年東京オリンピック
テニス競技

シングルス   男子   女子  
ダブルス   男子   女子   混合

概要 編集

新型コロナウイルス感染症の世界的な流行により、オリンピック史上初めて1年延期となり、2021年に開催された。テニスが採用されるのは16回目のことであった。

ウィンブルドン選手権からわずか2週間後の開催であることも影響し、辞退者が多く出た。特に、ロジャー・フェデラー(膝の怪我)[2]ラファエル・ナダル(休養)[3]ドミニク・ティーム(コンディション不良)[4]スタン・ワウリンカ(リハビリ)[5]フアン・マルティン・デル・ポトロ(リハビリ)[6]が欠場したことで、グランドスラム覇者は、ノバク・ジョコビッチマリン・チリッチアンディ・マリーの3選手のみの参加となった。また、アレックス・デミノーダニエル・エバンスは新型コロナウイルスの検査で陽性反応が出たため欠場することになり[7][8]ニック・キリオスは無観客試合への不満から参加を辞退した[9]

ジョコビッチは「ゴールデン・スラム」を、マリーはオリンピック3連覇を目指す大会でもあった。

参加資格 編集

国内オリンピック委員会(NOC)は、最大4名の選手をエントリーすることができる。男子シングルスの予選は、主に2021年6月14日時点のATPランキング[10]によって行われる。追加の制限として、選手は2017年から2020年の間のデビスカップのうち3大会で自国のチームに所属していなければならない(一部例外あり)。[11][12]

男子シングルスの出場枠は64で、最初の56人はATPランキングを通じて割り当てられた。大陸予選による出場枠(ATPランキング300位以内が条件)が6つあり、大陸大会による4つ(2019年パンアメリカン競技大会で2つ、2018年アジア競技大会で1つ、2019年アフリカ競技大会で1つ)と、大陸制限のあるATPランキングによる2つ(ヨーロッパとオセアニアでそれぞれ1つ、他に出場資格のある選手がいないNOCからの出場が条件)であった。大陸大会の4つの出場権は世界ランキングよりも優先されるため、優勝者(ジョアン・メネゼスマルセロ・トマス・バリオス・ベラデニス・イストミンモハメド・サフワト)は56人にカウントされない(ただし、1国あたりの4つの制限にはカウントされる)。[11]

開催国には1つの出場権が保証されている。日本選手がATPランキングを通じて出場権を獲得した場合、開催国枠は使用されず、ATPランキングの57番目の選手が追加される[11]。なお今大会は錦織圭西岡良仁がATPランキングで出場権を得たため使用されなかった。また、日本からは錦織と西岡のほか、ダニエル太郎杉田祐一もATPランキングにより出場権を獲得した[13]

また、過去にオリンピックやグランドスラムで優勝したことのある選手で、現在のATPランキングで出場権を得ていない選手1名には、「キャリア・ワイルドカード」による出場権が与えられる。この出場枠は、オリンピックの金メダル獲得またはグランドスラムのシングルスで優勝した経験があり、ランキング上位300位以内で、まだ4人の選手を出場させていない国の選手であることが条件になっている。複数の選手がこれらの条件を満たしている場合、最も多くのタイトルを獲得している選手が出場権を得るが、それでも並ぶ場合は、最も高いランクの選手が権利を得る[11]。マリーがこれに該当していたが、辞退者が続出したことで、ランキングにより出場することとなり、「キャリア・ワイルドカード」による選出は該当なしとなった。なお、マリーは大会直前に負傷を理由に出場辞退したため、ダブルスに出場を予定していたマックス・パーセルが代わりにシングルスにも出場した[14]。同様にマートン・フチョビッチも直前に出場を辞退し、ルーク・サビルが代替として出場した[14]

シード 編集

 1.     ノバク・ジョコビッチ (SRB) (準決勝, 4位)
 2.     ダニール・メドベージェフ (ROC) (準々決勝)
 3.     ステファノス・チチパス (GRE) (3回戦)
 4.     アレクサンダー・ズベレフ (GER) (優勝, 金メダル)
 5.     アンドレイ・ルブレフ (ROC) (1回戦)
 6.     パブロ・カレーニョ・ブスタ (ESP) (準決勝, 銅メダル)
 7.     フベルト・フルカチュ (POL) (2回戦)
 8.     ディエゴ・シュワルツマン (ARG) (3回戦)
 9.     フェリックス・オジェ=アリアシム (CAN) (1回戦)
10.     ガエル・モンフィス (FRA) (1回戦)
11.     アスラン・カラツェフ (ROC) (2回戦)
12.     カレン・ハチャノフ (ROC) (決勝, 銀メダル)
13.     ロレンツォ・ソネゴ (ITA) (2回戦)
14.     ユーゴ・アンベール (FRA) (準々決勝)
15.     ファビオ・フォニーニ (ITA) (3回戦)
16.     アレハンドロ・ダビドビッチ・フォキナ (ESP) (3回戦)

ドロー 編集

準々決勝以降 編集

  準々決勝 準決勝 決勝
                                       
  1    ノバク・ジョコビッチ (SRB) 6 6  
   錦織圭 (JPN) 2 0  
  1    ノバク・ジョコビッチ (SRB) 6 3 1  
  4    アレクサンダー・ズベレフ (GER) 1 6 6  
4    アレクサンダー・ズベレフ (GER) 6 6
     ジェレミー・シャルディー (FRA) 4 1  
    4      アレクサンダー・ズベレフ (GER) 6 6
  12      カレン・ハチャノフ (ROC) 3 1
  12    カレン・ハチャノフ (ROC) 77 4 6  
14    ユーゴ・アンベール (FRA) 64 6 3  
12    カレン・ハチャノフ (ROC) 6 6
  6    パブロ・カレーニョ・ブスタ (ESP) 3 3     3位決定戦
6    パブロ・カレーニョ・ブスタ (ESP) 6 77
  2    ダニール・メドベージェフ (ROC) 2 65     1    ノバク・ジョコビッチ (SRB) 4 78 3
  6      パブロ・カレーニョ・ブスタ (ESP) 6 66 6

脚注 編集

  1. ^ Media and Resources - Tokyo 2020 Olympic Tennis Event”. ITFtennis.com. ITF. 2021年11月7日閲覧。
  2. ^ “【東京五輪・パラ】 テニスのフェデラー選手とコンタ選手が欠場”. BBCニュース. (2021年7月14日). https://www.bbc.com/japanese/57830896 
  3. ^ 金メダリストのナダルがウィンブルドンと東京オリンピックを欠場”. テニスデイリー. 2021年7月24日閲覧。
  4. ^ テニス世界5位ティエム、東京五輪を欠場「決断はとても難しいものだった」”. 日刊スポーツ. 2021年7月24日閲覧。
  5. ^ “ワウリンカも東京五輪の出場を辞退、けがのリハビリ”. AFPBB News. AFP. (2021年6月30日). https://www.afpbb.com/articles/-/3354156 2021年7月24日閲覧。 
  6. ^ デルポ 東京五輪の欠場を発表”. テニス365. 2021年7月24日閲覧。
  7. ^ “五輪=豪男子テニスのデミノー、コロナ陽性で欠場”. Reuters. (2021年7月16日). https://jp.reuters.com/article/sport-idJPKBN2EM0CD 2021年8月1日閲覧。 
  8. ^ “テニス=英男子代表エバンズも東京五輪欠場へ、コロナ陽性で”. Reuters. (2021年7月14日). https://jp.reuters.com/article/olympics-2020-ten-evans-idJPKBN2EL06R 2021年8月1日閲覧。 
  9. ^ キリオスが東京五輪の参加辞退 無観客開催に納得できず”. www.afpbb.com. 2021年7月24日閲覧。
  10. ^ FedEx ATP Rankings - Singles”. ATPTour.com. ATP Tour. 2021年11月7日閲覧。
  11. ^ a b c d QUALIFICATION SYSTEM – GAMES OF THE XXXII OLYMPIAD – TOKYO 2020”. 2021年7月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年8月2日閲覧。
  12. ^ ELIGIBILITY FOR THE OLYMPIC TENNIS EVENT, TOKYO 2020”. 2021年8月2日閲覧。
  13. ^ OLYMPIC TENNIS EVENT ENTRY LIST”. 2021年7月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年8月2日閲覧。
  14. ^ a b Andy Murray Withdraws From Singles At Tokyo Olympics”. ATPTour.com. ATP Tour (2021年7月25日). 2021年8月2日閲覧。

外部リンク 編集