アナ・イバノビッチAna Ivanović, セルビア語: Sr Ana Ivanovic.ogg Ана Ивановић, 1987年11月6日 - )は、セルビアベオグラード出身の女子プロテニス選手。2008年全仏オープン女子シングルス優勝者であり、元世界ランキング1位。WTAツアーではシングルス15勝を挙げ、同時期に活躍していた2歳年上のエレナ・ヤンコビッチとともに、セルビアのテニス界を代表する女子2強豪のひとりであった。身長186cm、体重69kg。右利き、バックハンド・ストロークは両手打ち。

アナ・イバノビッチ
Ana Ivanović
アナ・イバノビッチ
基本情報
国籍 セルビアの旗 セルビア
出身地 ユーゴスラビア社会主義連邦共和国の旗 ユーゴスラビアベオグラード
居住地 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
イリノイ州シカゴ
生年月日 (1987-11-06) 1987年11月6日(36歳)
身長 186cm
体重 69kg
利き手
バックハンド 両手打ち
ツアー経歴
デビュー年 2003年
引退年 2016年
ツアー通算 15勝
シングルス 15勝
ダブルス 0勝
生涯通算成績 510勝260敗
シングルス 480勝225敗
ダブルス 30勝35敗
生涯獲得賞金 $15,510,787
4大大会最高成績・シングルス
全豪 準優勝(2008)
全仏 優勝(2008)
全英 ベスト4(2007)
全米 ベスト8(2012)
優勝回数 1(仏1)
4大大会最高成績・ダブルス
全豪 出場なし
全仏 1回戦(2005・07)
全英 3回戦(2005)
全米 3回戦(2006)
国別対抗戦最高成績
BJK杯 準優勝(2012)
ホップマン杯 準優勝(2013)
キャリア自己最高ランキング
シングルス 1位(2008年6月9日)
ダブルス 50位(2006年9月25日)
2016年12月28日現在

来歴 編集

イバノビッチは5歳の時から、テニスの試合をテレビで見たことがきっかけで自分もテニスを始めた。同じセルビア出身のモニカ・セレシュに強い感銘を受け、近くのテニス・スクールに連れて行ってほしいと両親にねだったという。2003年8月にプロ入り。女子テニスツアーの下部組織の大会を回っていた頃、2004年5月に日本岐阜福岡の大会で2週連続優勝したことがある。

2005年1月、全豪オープン直前のオーストラリアキャンベラの大会でWTAツアー初優勝を果たす。翌週の全豪オープン4大大会の本戦にデビューし、3回戦で第2シードのアメリ・モレスモに 2-6, 5-7 で敗れた。続く全仏オープンでイバノビッチはいきなりベスト8に進出し、3回戦で地元選手のモレスモを 6-4, 3-6, 6-4 で破り、4回戦でもイタリアフランチェスカ・スキアボーネに勝ったが、準々決勝で第7シードのナディア・ペトロワに 2-6, 2-6 で敗れている。ウィンブルドンでもマリー・ピエルスとの3回戦まで進出した。

2006年度のイバノビッチはウィンブルドンで好成績を出し、前年より1ラウンド上の4回戦に勝ち上がった。3回戦で第14シードのディナラ・サフィナに 3-6, 7-6, 6-1 で勝ったイバノビッチだが、4回戦で第1シードのモレスモに 3-6, 4-6 で敗れる。同年8月第3週のロジャーズ・カップで、イバノビッチは決勝でマルチナ・ヒンギスを 6-2, 6-3 で破ってツアー2勝目を挙げた。

2007年5月のカタール・テレコム・ドイツ・オープン優勝により、イバノビッチは世界ランキングを自己最高の8位に上げ、初めての世界トップ10入りを果たした。全仏オープンでは第7シードから勝ち進み、準決勝でマリア・シャラポワを破って初めての決勝戦に進んだ。決勝では第1シードのジュスティーヌ・エナンに 1-6, 2-6 で完敗し、イバノビッチは女子シングルス準優勝者になった。この全仏オープンではエレナ・ヤンコビッチも準決勝に勝ち上がり、セルビアの女子選手が2人ベスト4に入る快挙を見せた。この後ウィンブルドンでも準決勝に進出したが、過去3度優勝経験のあるビーナス・ウィリアムズに 2-6, 4-6 で敗れ、全仏に続く決勝進出はならなかった。

2008年全豪オープンで、イバノビッチは第4シードから勝ち進み、2007年全仏オープンに続く2度目の4大大会決勝進出を果たした。この決勝戦ではマリア・シャラポワに 7-5、6-3 で敗れ、2度目の挑戦でのグランドスラム初優勝はならなかった。続く全仏オープンで、第2シードのイバノビッチは2年連続の決勝戦でディナラ・サフィナロシア)を 6-4, 6-3 で破り、セルビア人女性として初の4大大会シングルス優勝を達成した。この優勝により、イバノビッチはシャラポワを抜いて世界ランキング1位となった。ところが、初めて第1シードに選ばれたウィンブルドンで、イバノビッチは3回戦で鄭潔中国)に 1-6, 4-6 のストレートで敗れた。

その後は右手親指の故障も重なり、長期間のスランプ状態が続いている。全仏オープン優勝でたどり着いた世界ランキング1位の座も、わずか2か月後の8月11日に同国のライバルであるエレナ・ヤンコビッチに明け渡した。大会前年優勝者として臨んだ全仏オープンでは第8シードの位置に下がり、4回戦で第9シードのビクトリア・アザレンカベラルーシ)に 2-6, 3-6 のストレートで完敗した。

2010年のコモンウェルス・バンク・トーナメント・オブ・チャンピオンズでは決勝でアリサ・クレイバノワロシア)を 6-2, 7-6 で破りツアー10勝目を挙げた。2011年の大会にも主催者推薦で出場し、決勝でアナベル・メディナ・ガリゲススペイン)に 6-3, 6-0 で勝利し連覇を果たしツアー12勝目を挙げた。この日はイバノビッチの24回目の誕生日であった。

2012年7月のロンドン五輪でオリンピックに初出場した。シングルス3回戦でベルギーキム・クライシュテルスに 3-6, 4-6 で敗れた。全米オープンでは優勝した2008年全仏以来の4大大会ベスト8に進出した。準々決勝でセリーナ・ウィリアムズに 1-6, 3-6 で敗れた。11月のチェコとのフェドカップ決勝では第1試合でルーシー・サファロバに 4-6, 3-6 で敗れた。第3試合のエース対決でペトラ・クビトバに 6-3, 7-5 で勝利したが、第4試合でエレナ・ヤンコビッチがサファロバに 1-6, 1-6 で敗れセルビアは初優勝を逃した。

2014年全豪オープンでは4回戦で世界ランキング1位のセリーナ・ウィリアムズを 4-6, 6-3, 6-3 で破る殊勲を挙げ全豪では6年ぶりにベスト8に進出した。準々決勝ではウージニー・ブシャールに 7-5, 5-7, 2-6 で敗れた。

イバノビッチはサッカードイツ代表のMFでマンチェスター・ユナイテッドに所属するバスティアン・シュバインシュタイガーと2016年7月13日にヴェネツィアで結婚式を挙げた[1]

2016年は、4大大会をはじめツアー大会でも思ったような成績を残すことができず、同年12月28日、手首と足指の怪我により引退することを自身のフェイスブックで発表。年間最終ランキングは65位だった[2]

WTAツアー決勝進出結果 編集

シングルス: 23回 (15勝8敗) 編集

大会グレード
2008年以前 2009年以後
グランドスラム (1–2)
WTAファイナルズ (0–0)
ティア I (3–1) プレミア・マンダトリー (0-1)
プレミア5 (0-1)
WTAチャンピオンズ (2–0)
ティア II (3–0) プレミア (2–2)
ティア III (0–0) インターナショナル (3–1)
ティア IV & V (1–0)
結果 No. 決勝日 大会 サーフェス 対戦相手 スコア
優勝 1. 2005年1月15日   キャンベラ ハード   メリンダ・ツィンク 7–5, 6–1
優勝 2. 2006年8月21日   モントリオール ハード   マルチナ・ヒンギス 6–2, 6–3
準優勝 1. 2007年2月4日   東京 カーペット (室内)   マルチナ・ヒンギス 4–6, 2–6
優勝 3. 2007年5月13日   ベルリン クレー   スベトラーナ・クズネツォワ 3–6, 6–4, 7–6(4)
準優勝 2. 2007年6月9日   全仏オープン クレー   ジュスティーヌ・エナン 1–6, 2–6
優勝 4. 2007年8月12日   ロサンゼルス ハード   ナディア・ペトロワ 7–5, 6–4
優勝 5. 2007年9月30日   ルクセンブルク ハード (室内)   ダニエラ・ハンチュコバ 3–6, 6–4, 6–4
準優勝 3. 2008年1月26日   全豪オープン ハード   マリア・シャラポワ 5–7, 3–6
優勝 6. 2008年3月23日   インディアンウェルズ ハード   スベトラーナ・クズネツォワ 6–4, 6–3
優勝 7. 2008年6月7日   全仏オープン クレー   ディナラ・サフィナ 6–4, 6–3
優勝 8. 2008年10月26日   リンツ ハード (室内)   ベラ・ズボナレワ 6–2, 6–1
準優勝 4. 2009年3月22日   インディアンウェルズ ハード   ベラ・ズボナレワ 6–7(5), 2–6
優勝 9. 2010年10月17日   リンツ ハード (室内)   パティ・シュナイダー 6–1, 6–2
優勝 10. 2010年11月7日   バリ ハード (室内)   アリサ・クレイバノワ 6–2, 7–6(5)
優勝 11. 2011年11月6日   バリ ハード (室内)   アナベル・メディナ・ガリゲス 6–3, 6–0
準優勝 5. 2013年10月13日   リンツ ハード (室内)   アンゲリク・ケルバー 4–6, 6–7(6)
優勝 12. 2014年1月4日   オークランド ハード   ビーナス・ウィリアムズ 6–2, 5–7, 6–4
優勝 13. 2014年4月6日   モンテレイ ハード   ヨバナ・ヤクシッチ 6–2, 6–1
準優勝 6. 2014年4月27日   シュトゥットガルト クレー   マリア・シャラポワ 6–3, 4–6, 1–6
優勝 14. 2014年6月15日   バーミンガム   バルボラ・ザフラボバ・ストリコバ 6–3, 6–2
準優勝 7. 2014年8月17日   シンシナティ ハード   セリーナ・ウィリアムズ 4–6, 1–6
優勝 15. 2014年9月21日   東京 ハード   キャロライン・ウォズニアッキ 6–2, 7–6(2)
準優勝 8. 2015年1月10日   ブリスベン ハード   マリア・シャラポワ 7–6(4), 3–6, 3–6

ダブルス: 1回 (0勝1敗) 編集

結果 No. 決勝日 大会 サーフェス パートナー 対戦相手 スコア
準優勝 1. 2006年6月19日   スヘルトーヘンボス   マリア・キリレンコ   晏紫
  鄭潔
6–3, 2–6, 2–6

4大大会優勝 編集

大会 対戦相手 試合結果
2008年 全仏オープン   ディナラ・サフィナ 6-4, 6-3

4大大会シングルス成績 編集

略語の説明
 W   F  SF QF #R RR Q# LQ  A  Z# PO  G   S   B  NMS  P  NH

W=優勝, F=準優勝, SF=ベスト4, QF=ベスト8, #R=#回戦敗退, RR=ラウンドロビン敗退, Q#=予選#回戦敗退, LQ=予選敗退, A=大会不参加, Z#=デビスカップ/BJKカップ地域ゾーン, PO=デビスカップ/BJKカッププレーオフ, G=オリンピック金メダル, S=オリンピック銀メダル, B=オリンピック銅メダル, NMS=マスターズシリーズから降格, P=開催延期, NH=開催なし.

大会 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 通算成績
全豪オープン A 3R 2R 3R F 3R 2R 1R 4R 4R QF 1R 3R 26–12
全仏オープン A QF 3R F W 4R 2R 1R 3R 4R 3R SF 3R 37–11
ウィンブルドン A 3R 4R SF 3R 4R 1R 3R 4R 2R 3R 2R 1R 24–12
全米オープン LQ 2R 3R 4R 2R 1R 4R 4R QF 4R 2R 1R 1R 20–12

: 2011年全米2回戦の不戦勝は通算成績に含まない

脚注 編集

外部リンク 編集