フランチェスカ・スキアボーネ

フランチェスカ・スキアボーネFrancesca Schiavone, 1980年6月23日 - )は、イタリアミラノ出身の女子プロテニス選手。2010年全仏オープン女子シングルス優勝者で、イタリア人女性として最初の4大大会女子シングルスを制した選手である。2008年全仏オープン女子ダブルスで、ケーシー・デラクアとペアを組んだ準優勝もある。WTAツアーでシングルス8勝、ダブルス7勝を挙げた。自己最高ランキングはシングルス4位、ダブルス8位。身長166cm、体重60kgの小柄な体格である。右利き、バックハンド・ストロークは片手打ち。

フランチェスカ・スキアボーネ
Francesca Schiavone
フランチェスカ・スキアボーネ
基本情報
国籍 イタリアの旗 イタリア
出身地 同・ミラノ
生年月日 (1980-06-23) 1980年6月23日(43歳)
身長 166cm
体重 60kg
利き手
バックハンド 片手打ち
ツアー経歴
デビュー年 1998年
引退年 2018年
ツアー通算 15勝
シングルス 8勝
ダブルス 7勝
生涯通算成績 838勝684敗
シングルス 614勝479敗
ダブルス 224勝205敗
生涯獲得賞金 $11,324,245
4大大会最高成績・シングルス
全豪 ベスト8(2011)
全仏 優勝(2010)
全英 ベスト8(2009)
全米 ベスト8(2003・10)
優勝回数 1(仏1)
4大大会最高成績・ダブルス
全豪 ベスト4(2009)
全仏 準優勝(2008)
全英 ベスト4(2012)
全米 ベスト4(2006)
国別対抗戦最高成績
BJK杯 優勝(2006・09・10)
キャリア自己最高ランキング
シングルス 4位(2011年1月31日)
ダブルス 8位(2007年2月12日)

来歴 編集

1998年に18歳でプロ入り。2000年全米オープン4大大会にデビューする。予選3試合を勝ち上がり、本戦でもエレナ・ドキッチとの3回戦まで勝ち進んだ。2001年全仏オープンでは、第1シードのマルチナ・ヒンギスとの準々決勝に進出した。この大会ではイタリアのテニス史上初めて、3人の女子選手がシングルス4回戦に勝ち残り、シルビア・ファリナ・エリアリタ・グランデがベスト16に進み、スキアボーネがベスト8を記録している。こうして、イタリアの女子テニス界の発展が始まった。スキアボーネが強烈な印象を残した試合は、2003年全米オープン4回戦である。この時スキアボーネは日本杉山愛と対戦したが、試合は度重なる雨の中断で「4日間」を要する苦闘となった。杉山は、7-6, 5-7, 2-6 の逆転負けでベスト8進出を逃した。スキアボーネは準々決勝でジェニファー・カプリアティに敗れている。

スキアボーネは女子テニス国別対抗戦・フェドカップイタリア代表選手としても活躍し、2002年から代表入りした。2004年アテネ五輪では、シングルスでロシア代表のアナスタシア・ミスキナとの準々決勝まで勝ち進んだが、シルビア・ファリナ・エリアと組んだダブルスでは2回戦で敗退している。2006年、イタリアはフェドカップ初優勝を達成する。スキアボーネは決勝の対ベルギー戦でも、シングルス第1試合と最終第5試合のダブルス戦に勝ち、イタリア・チームの初優勝に大きく貢献した。2年後の2008年北京五輪にも出場し、シングルスは3回戦、ダブルスはフラビア・ペンネッタと組んで準々決勝まで勝ち上がり、単複ともに好成績を残した。

スキアボーネはこれまで、女子テニスツアーのシングルスで8度の準優勝に甘んじてきたが、2007年7月29日にオーストリアの「バートガシュタイン」大会決勝でイボンヌ・モイスブルガーを 6-1, 6-4 で破り、9度目の挑戦でようやくシングルス初優勝を果たした。

2008年全仏オープンで、スキアボーネはケーシー・デラクアと組んで女子ダブルス決勝に進出した。2人は決勝戦でスペインペアのビルヒニア・ルアノ・パスクアル&アナベル・メディナ・ガリゲス組に 6-2, 5-7, 4-6 の逆転で敗れ、初優勝を逃した。スキアボーネは前年マラ・サンタンジェロに続く、イタリア人選手としての全仏女子ダブルス連覇を逃したことになる。デラクアとは2009年全豪オープンでもペアを組み、準決勝でビーナスセリーナのウィリアムズ姉妹組に 0-6, 2-6 で完敗した。

2009年ウィンブルドンで、スキアボーネはノーシードから勝ち上がり、初めてのベスト8に進出した。イタリア人女子選手のウィンブルドン8強入りは、2003年シルビア・ファリナ・エリア以来6年ぶりの出来事であった。この準々決勝では、第4シードのエレーナ・デメンチェワに 2-6, 2-6 のストレートで敗れた。この年、イタリアはフェドカップで3年ぶり2度目の優勝を決め、スキアボーネも決勝の対アメリカ戦のシングルス第2試合でメラニー・ウダンに勝った。

2010年全仏オープンで、スキアボーネは当地の女子テニス選手として史上初の4大大会女子シングルス優勝を達成した。決勝戦ではサマンサ・ストーサーを 6-4, 7-6(7-2) のストレートで倒した。(それまでの記録は、1949年全仏選手権でベスト4に入ったイタリア人女子選手がいた。男子シングルスでは、34年前の1976年全仏オープンで優勝したアドリアーノ・パナッタの快挙があった。)

2011年全豪オープンでは4回戦のスベトラーナ・クズネツォワに 6-4, 1-6, 16-14 で勝利した。試合時間は4時間44分で女子の4大大会史上最長試合であった。大会後のランキングでスキアボーネは自己最高の4位となった。全仏オープンでは2年連続の決勝に進出。決勝では李娜に 4–6, 6–7(0) で敗れ連覇を逃した。

フェドカップのイタリア・チームでも、彼女は通算勝利数(27勝22敗)とシングルス通算勝利数(23勝21敗)でチーム歴代1位記録保持者になった。4大大会でも初出場した2000年全米オープンから2015年全米オープンまで連続で出場し、杉山愛の62大会連続出場記録に迫っていたが、2016年全豪オープンの予選2回戦で敗退し、史上2位の61大会連続でストップした。

スキアボーネは2018年7月、グシュタード・レディース選手権1回戦でサマンサ・ストーサーに敗れた試合が最後の出場になり、9月に38歳で現役を引退した。

WTAツアー決勝進出結果 編集

シングルス: 20回 (8勝12敗) 編集

大会グレード
2008年以前 2009年以後
グランドスラム (1–1)
WTAファイナルズ (0–0)
ティア I (0–1) プレミア・マンダトリー (0-0)
プレミア5 (0-0)
ティア II (0–3) プレミア (1–0)
ティア III (1–2) インターナショナル (5–3)
ティア IV & V (0–2)
結果 No. 決勝日 大会 サーフェス 対戦相手 スコア
準優勝 1. 2000年6月12日   タシケント ハード   イロダ・ツルヤガノワ 3–6, 6–2, 3–6
準優勝 2. 2003年1月6日   キャンベラ ハード   メガン・ショーネシー 1–6, 1–6
準優勝 3. 2005年9月12日   バリ ハード   リンゼイ・ダベンポート 2–6, 2–6
準優勝 4. 2005年10月16日   モスクワ カーペット (室内)   マリー・ピエルス 4–6, 3–6
準優勝 5. 2005年10月24日   ハッセルト カーペット (室内)   キム・クライシュテルス 2–6, 2–6
準優勝 6. 2006年1月9日   シドニー ハード   ジュスティーヌ・エナン=アーデン 6–4, 5–7, 5–7
準優勝 7. 2006年4月3日   アメリアアイランド クレー   ナディア・ペトロワ 4–6, 4–6
準優勝 8. 2006年9月25日   ルクセンブルク ハード   アリョーナ・ボンダレンコ 3–6, 2–6
優勝 1. 2007年7月29日   バートガシュタイン クレー   イボンヌ・モイスブルガー 6–1, 6–4
準優勝 9. 2009年7月13日   プラハ クレー   シビル・バンマー 6–7, 2–6
準優勝 10. 2009年10月12日   大阪 ハード   サマンサ・ストーサー 5–7, 1–6
優勝 2. 2009年10月25日   モスクワ ハード (室内)   オリガ・ゴボルツォワ 6–3, 6–0
優勝 3. 2010年4月17日   バルセロナ クレー   ロベルタ・ビンチ 6–1, 6–1
優勝 4. 2010年6月5日   全仏オープン クレー   サマンサ・ストーサー 6–4, 7–6(2)
準優勝 11. 2011年6月4日   全仏オープン クレー   李娜 4–6, 6–7(0)
優勝 5. 2012年5月26日   ストラスブール クレー   アリーゼ・コルネ 6–4, 6–4
優勝 6. 2013年4月28日   マラケシュ クレー   ルルド・ドミンゲス・リノ 6–1, 6–3
優勝 7. 2016年2月21日   リオ・デ・ジャネイロ クレー   シェルビー・ロジャース 2-6, 6-2, 6-2
優勝 8. 2017年4月15日   ボゴタ クレー   ララ・アルアバレナ 6-4, 7-5
準優勝 12. 2017年5月6日   ラバト クレー   アナスタシア・パブリュチェンコワ 5–7, 5–7

ダブルス: 16回 (7勝9敗) 編集

結果 No. 決勝日 大会 サーフェス パートナー 対戦相手 スコア
優勝 1. 2001年7月29日   ソポト クレー   ヨアネット・クルーガー   ユリア・ベイゲルジマー
  アナスタシア・ロディオノワ
6–4, 6–0
準優勝 1. 2003年5月4日   ワルシャワ クレー   エレニ・ダニリドゥ   マグダレナ・マレーバ
  リーゼル・フーバー
6–3, 4–6, 2–6
準優勝 2. 2003年7月27日   スタンフォード ハード   趙倫貞   リサ・レイモンド
  カーラ・ブラック
6-7(5), 1-6
準優勝 3. 2004年2月15日   パリ カーペット (室内)   シルビア・ファリナ・エリア   パティ・シュナイダー
  バルバラ・シェット
3-6, 2-6
優勝 2. 2004年5月2日   ワルシャワ クレー   シルビア・ファリナ・エリア   ヒセラ・ドゥルコ
  パトリシア・タラビーニ
3–6, 6–2, 6–1
優勝 3. 2005年2月26日   ドーハ ハード   アリシア・モリク   カーラ・ブラック
  リーゼル・フーバー
6–3, 6–4
準優勝 4. 2005年10月9日   フィルダーシュタット ハード
(室内)
  クベタ・ペシュケ   アナスタシア・ミスキナ
  ダニエラ・ハンチュコバ
0-6, 6-3, 5-7
優勝 4. 2006年2月25日   ドバイ ハード   クベタ・ペシュケ   スベトラーナ・クズネツォワ
  ナディア・ペトロワ
3–6, 7–6(1), 6–3
準優勝 5. 2006年5月21日   ローマ クレー   クベタ・ペシュケ   杉山愛
  ダニエラ・ハンチュコバ
6-3, 3-6, 1-6
優勝 5. 2006年10月1日   ルクセンブルク ハード
(室内)
  クベタ・ペシュケ   アンナ=レナ・グローネフェルト
  リーゼル・フーバー
2–6, 6–4, 6–1
優勝 6. 2006年10月15日   モスクワ カーペット (室内)   クベタ・ペシュケ   イベタ・ベネソバ
  ガリナ・ボスコボワ
6–4, 6–7, 6–1
準優勝 6. 2007年10月21日   チューリッヒ ハード
(室内)
  リサ・レイモンド   レネ・スタブス
  クベタ・ペシュケ
5-7, 6-7(1)
準優勝 7. 2008年6月7日   全仏オープン クレー   ケーシー・デラクア   アナベル・メディナ・ガリゲス
  ビルヒニア・ルアノ・パスクアル
6-2, 5-7, 4-6
優勝 7. 2009年10月3日   東京 ハード   アリサ・クレイバノワ   ダニエラ・ハンチェコバ
  杉山愛
6–4, 6–2
準優勝 8. 2012年4月15日   バルセロナ クレー   フラビア・ペンネッタ   サラ・エラニ
  ロベルタ・ビンチ
0-6, 2-6
準優勝 9. 2014年2月28日   フロリアノーポリス ハード   シルビア・ソレル=エスピノサ   アナベル・メディナ・ガリゲス
  ヤロスラワ・シュウェドワ
6–7(1), 6–2, [3–10]

4大大会優勝 編集

  • 全仏オープン 女子シングルス:1勝(2010年)[女子ダブルス準優勝:2008年]
大会 対戦相手 試合結果
2010年 全仏オープン   サマンサ・ストーサー 6-4, 7-6

4大大会シングルス成績 編集

略語の説明
 W   F  SF QF #R RR Q# LQ  A  Z# PO  G   S   B  NMS  P  NH

W=優勝, F=準優勝, SF=ベスト4, QF=ベスト8, #R=#回戦敗退, RR=ラウンドロビン敗退, Q#=予選#回戦敗退, LQ=予選敗退, A=大会不参加, Z#=デビスカップ/BJKカップ地域ゾーン, PO=デビスカップ/BJKカッププレーオフ, G=オリンピック金メダル, S=オリンピック銀メダル, B=オリンピック銅メダル, NMS=マスターズシリーズから降格, P=開催延期, NH=開催なし.

大会 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 通算成績
全豪オープン A A 1R 3R 1R 2R 3R 4R 2R 3R 1R 4R QF 2R 1R 1R 1R LQ 1R 1R 19–17
全仏オープン A LQ QF 3R 2R 4R 4R 4R 3R 3R 1R W F 3R 4R 1R 3R 1R 1R 1R 40–17
ウィンブルドン A LQ 2R 2R 3R 2R 1R 1R 2R 2R QF 1R 3R 4R 1R 1R 1R 2R 2R A 18–17
全米オープン LQ 3R 1R 4R QF 4R 3R 3R 2R 2R 4R QF 4R 1R 1R 1R 1R 1R 1R A 28–18

外部リンク 編集

受賞
先代
  ヤニナ・ウィックマイヤー
WTA最も上達した選手賞
2010
次代
  ペトラ・クビトバ