マリア・キリレンコMaria Kirilenko, ロシア語: Мари́я Ю́рьевна Кириле́нко, 1987年1月25日 - )は、ロシアモスクワ出身の女子プロテニス選手。2012年ロンドン五輪女子ダブルスで、ナディア・ペトロワとペアを組んで銅メダルを獲得した選手である。自己最高ランキングはシングルス10位、ダブルス5位。WTAツアーでシングルス6勝、ダブルス12勝を挙げた。

マリア・キリレンコ
Maria Kirilenko
マリア・キリレンコ
基本情報
フルネーム Maria Yuryevna Kirilenko
愛称 マーシャ(Masha)
国籍 ロシアの旗 ロシア
出身地 ソビエト連邦の旗 ソビエト連邦
ロシア・ソビエト連邦社会主義共和国モスクワ
生年月日 (1987-01-25) 1987年1月25日(37歳)
身長 174cm
体重 60kg
利き手
バックハンド 両手打ち
ツアー経歴
デビュー年 2001年
引退年 2014年(最終出場年)
ツアー通算 18勝
シングルス 6勝
ダブルス 12勝
生涯通算成績 619勝407敗
シングルス 364勝257敗
ダブルス 255勝150敗
生涯獲得賞金 $6,855,919
4大大会最高成績・シングルス
全豪 ベスト8(2010)
全仏 ベスト8(2013)
全英 ベスト8(2012)
全米 4回戦(2011)
4大大会最高成績・ダブルス
全豪 準優勝(2011)
全仏 準優勝(2012)
全英 3回戦(2007)
全米 ベスト4(2011)
4大大会最高成績・混合ダブルス
全豪 ベスト4(2011)
全仏 ベスト8(2006)
全英 ベスト4(2008)
全米 1回戦(2005・07)
キャリア自己最高ランキング
シングルス 10位(2013年6月10日)
ダブルス 5位(2011年10月24日)
獲得メダル
女子 テニス
オリンピック
2012 ロンドン ダブルス
2017年8月15日現在

来歴 編集

7歳からテニスを始め、2001年にプロ転向。2002年全米オープン女子ジュニア部門で優勝し、2003年から女子ツアー大会を回り始めた。2003年全米オープン4大大会本戦にデビューする。予選3試合を勝ち上がったキリレンコは、いきなり本戦3回戦で第5シードのアメリ・モレスモに挑戦した。2004年全豪オープンでは予選で敗退したが、続く全仏オープンから本戦に直接出場できるようになった。

2005年9月に「チャイナ・オープン」でツアー初優勝を果たしたキリレンコは、10月のジャパン・オープンでもニコル・バイディソバとの準決勝まで勝ち進んだ。日本のトーナメントでは、2006年東レ パン・パシフィック・オープン・テニストーナメントの女子ダブルスでアナ・イバノビッチセルビア)と組んだ準決勝進出もある。

2007年3月初頭のカタールドーハ大会で、キリレンコはマルチナ・ヒンギスとペアを組んで優勝した。キリレンコにとっては女子ツアー大会でのダブルス3勝目であり、ヒンギスにとっては2006年に現役復帰してからのダブルス初優勝であった。半年後の9月、インド・コルカタ大会でシングルス2勝目を達成。

 
2008年全米オープンにて

キリレンコはこれまで、4大大会女子シングルスでは3回戦止まりの成績だったが、2008年全豪オープンの3回戦で第6シードのアンナ・チャクベタゼ(同じロシアの選手、年齢もキリレンコと同じ)に 6-7, 6-1, 6-2 で勝ち、初めての4回戦に勝ち進んだ。4回戦では第9シードのダニエラ・ハンチュコバに 6-1, 4-6, 4-6 の逆転で敗れ、ベスト8入りを逃した。

2010年の全豪オープンでは1回戦でマリア・シャラポワに 7-6, 3-6, 6-4 で勝利、4回戦のディナラ・サフィナの途中棄権により、キリレンコは4大大会初のベスト8に進出した。準々決勝では鄭潔に 1-6, 3-6 で敗れている。

2011年の全豪オープンでキリレンコはビクトリア・アザレンカと組んだ女子ダブルスで初の決勝に進出した。決勝で第1シードのヒセラ・ドゥルコ&フラビア・ペンネッタ組に 6-2, 5-7, 1-6 で逆転負けをして4大大会初優勝を逃した。2012年の全仏オープンナディア・ペトロワと組み2度目の4大大会ダブルス決勝に進出したが、サラ・エラニ&ロベルタ・ビンチ組に 6-4, 4-6, 2-6 で敗れ準優勝となった。

2012年ウィンブルドン選手権では2010年全豪オープン以来となる4大大会ベスト8に進出した。準々決勝でアグニエシュカ・ラドワンスカに 5-7, 6-4, 5-7 で敗れている。7月のロンドン五輪でオリンピックに初出場し、シングルスとダブルスの双方でベスト4に進出した。シングルスでは準決勝で同じロシアのマリア・シャラポワに 2-6, 3-6 で敗れ、準決勝敗退選手2名による「銅メダル決定戦」でもベラルーシのビクトリア・アザレンカに 3-6, 4-6 で敗れた。ナディア・ペトロワと組んだダブルスでは準決勝でセリーナ・ウィリアムズ&ビーナス・ウィリアムズ組に 5–7, 4–6 で敗れたが準決勝敗退選手2組による「銅メダル決定戦」でアメリカのリサ・レイモンド&リーゼル・フーバー組に 4-6, 6-4, 6-1 で勝利し銅メダルを獲得した。最終戦WTAツアー選手権でもペトロワとのダブルスの決勝でアンドレア・フラバーチコバ&ルーシー・ハラデツカ組を 6-1, 6–4 で破って優勝した。

2013年2月のPTTパタヤ・オープン決勝でザビーネ・リシキを 5–7, 6–1, 7–6(1) で破り4年5ヶ月ぶりのシングルスツアー6勝目を挙げた。全仏オープンでは4回戦でベサニー・マテック=サンズを 7-5, 6-4 で破り全仏では初めてベスト8に進出した。準々決勝ではビクトリア・アザレンカに 6-7(3), 2-6 で敗れた。大会後のランキングで10位になり初めてトップ10入りを果たした。

キリレンコは2012年12月にアイスホッケー選手のアレクサンドル・オベチキンと婚約した[1]。しかし2014年7月に婚約解消を発表した[2]

キリレンコは2014年9月のチャイナ・オープン1回戦でツベタナ・ピロンコバに敗れた試合を最後に公式戦出場から遠ざかっている。2015年1月に一般人と結婚し、7月に第1子の長男を[3]、2017年7月に長女を出産している。

WTAツアー決勝進出結果 編集

シングルス: 12回 (6勝6敗) 編集

大会グレード
2008年以前 2009年以後
グランドスラム (0–0)
WTAファイナルズ (0–0)
ティア I (0–0) プレミア・マンダトリー (0-0)
プレミア5 (0-0)
ティア II (1–0) プレミア (0–2)
ティア III (1–0) インターナショナル (1-2)
ティア IV & V (3-2)
結果 No. 決勝日 大会 サーフェス 対戦相手 スコア
準優勝 1. 2004年2月22日   ハイデラバード ハード   ニコル・プラット 6–7(3), 1–6
優勝 1. 2005年9月5日   北京 ハード   アンナ=レナ・グローネフェルト 6–3, 6–4
優勝 2. 2007年9月23日   コルカタ カーペット (室内)   マリヤ・コリツェワ 6–0, 6–2
準優勝 2. 2007年9月30日   ソウル ハード   ビーナス・ウィリアムズ 3–6, 6–1, 4–6
優勝 3. 2008年4月20日   エストリル クレー   イベタ・ベネソバ 6–4, 6–2
優勝 4. 2008年6月15日   バルセロナ クレー   マリア・ホセ・マルティネス・サンチェス 6–0, 6–2
優勝 5. 2008年9月18日   ソウル ハード   サマンサ・ストーサー 2–6, 6–1, 6–4
準優勝 3. 2009年4月19日   バルセロナ クレー   ロベルタ・ビンチ 0–6, 4–6
準優勝 4. 2010年10月24日   モスクワ ハード (室内)   ビクトリア・アザレンカ 3–6, 4–6
準優勝 5. 2012年2月12日   パタヤ ハード   ダニエラ・ハンチュコバ 7–6(4), 3–6, 3–6
準優勝 6. 2012年8月25日   ニューヘイブン ハード   ペトラ・クビトバ 6–7(9), 5–7
優勝 6. 2013年2月3日   パタヤ ハード   ザビーネ・リシキ 5–7, 6–1, 7–6(1)

ダブルス: 25回 (12勝13敗) 編集

大会グレード
2008年以前 2009年以後
グランドスラム (0–2)
WTAファイナルズ (1–0)
ティア I (0–2) プレミア・マンダトリー (2-0)
プレミア5 (1-2)
ティア II (1–1) プレミア (3–2)
ティア III (3–1) インターナショナル (0–2)
ティア IV & V (1–1)
結果 No. 決勝日 大会 サーフェス パートナー 対戦相手 スコア
優勝 1. 2004年6月13日   バーミンガム   マリア・シャラポワ   リサ・マクシア
  ミラグロス・セケラ
6–2, 6–1
準優勝 1. 2005年5月15日   ローマ クレー   アナベル・メディナ・ガリゲス   カーラ・ブラック
  リーゼル・フーバー
0-6, 6-4, 1-6
準優勝 2. 2005年8月27日   ニューヘイブン ハード   ヒセラ・ドゥルコ   リサ・レイモンド
  サマンサ・ストーサー
2-6, 7-6, 1-6
優勝 2. 2005年10月9日   東京 ハード   ヒセラ・ドゥルコ   浅越しのぶ
  マリア・ベント=カブチ
7–5, 4–6, 6–3
準優勝 3. 2006年6月24日   スヘルトーヘンボス   アナ・イバノビッチ   晏紫
  鄭潔
6–3, 2–6, 2–6
優勝 3. 2007年3月3日   ドーハ ハード   マルチナ・ヒンギス   アグネシュ・サバイ
  ブラディミラ・ウーリロバ
6–1, 6–1
優勝 4. 2008年4月19日   エストリル クレー   フラビア・ペンネッタ   メルバナ・ユギッチ=サルキッチ
  イペク・セノグル
6–4, 6–4
準優勝 4. 2008年8月3日   モントリオール ハード   フラビア・ペンネッタ   カーラ・ブラック
  リーゼル・フーバー
6–1, 6–1
優勝 5. 2008年8月18日   シンシナティ ハード   ナディア・ペトロワ   謝淑薇
  ヤロスラワ・シュウェドワ
6–3, 4–6, [10–8]
準優勝 5. 2008年9月28日   ソウル ハード   ベラ・ドゥシェビナ   荘佳容
  謝淑薇
3–6, 0–6
準優勝 6. 2009年2月22日   ドバイ ハード   アグニエシュカ・ラドワンスカ   カーラ・ブラック
  リーゼル・フーバー
6–3, 6–3
準優勝 7. 2009年5月2日   フェズ クレー   ソラナ・チルステア   アリサ・クレイバノワ
  エカテリーナ・マカロワ
3–6, 6–2, [8–10]
準優勝 8. 2009年8月9日   ロサンゼルス ハード   アグニエシュカ・ラドワンスカ   荘佳容
  晏紫
0-6, 6-4, [7-10]
優勝 6. 2009年10月24日   モスクワ ハード
(室内)
  ナディア・ペトロワ   マリア・コンドラティエワ
  クララ・ザコパロバ
6-2, 6-2
優勝 7. 2010年8月8日   サンディエゴ ハード   鄭潔   リサ・レイモンド
  レネ・スタブス
6-4, 6-4
優勝 8. 2010年8月15日   シンシナティ ハード   ビクトリア・アザレンカ   リサ・レイモンド
  レネ・スタブス
7-6(4), 7-6(8)
準優勝 9. 2011年1月28日   全豪オープン ハード   ビクトリア・アザレンカ   ヒセラ・ドゥルコ
  フラビア・ペンネッタ
6-2, 5-7, 1-6
優勝 9. 2011年5月7日   マドリード クレー   ビクトリア・アザレンカ   クベタ・ペシュケ
  カタリナ・スレボトニク
6–4, 6–3
優勝 10. 2011年7月31日   スタンフォード ハード   ビクトリア・アザレンカ   リーゼル・フーバー
  リサ・レイモンド
6–1, 6–3
準優勝 10. 2011年8月15日   トロント ハード   ビクトリア・アザレンカ   リーゼル・フーバー
  リサ・レイモンド
不戦敗
優勝 11. 2012年4月1日   マイアミ ハード   ナディア・ペトロワ   サラ・エラニ
  ロベルタ・ビンチ
7–6(0), 4–6, [10–4]
準優勝 11. 2012年6月8日   全仏オープン クレー   ナディア・ペトロワ   サラ・エラニ
  ロベルタ・ビンチ
6-4, 4-6, 2-6
準優勝 12. 2012年6月23日   スヘルトーヘンボス   ナディア・ペトロワ   サラ・エラニ
  ロベルタ・ビンチ
4–6, 6–3, [9–11]
準優勝 13. 2012年10月21日   モスクワ ハード
(室内)
  ナディア・ペトロワ   エカテリーナ・マカロワ
  エレーナ・ベスニナ
3–6, 6–1, [8–10]
優勝 12. 2012年10月28日   イスタンブール ハード
(室内)
  ナディア・ペトロワ   アンドレア・フラバーチコバ
  ルーシー・ハラデツカ
6-1, 6–4

4大大会シングルス成績 編集

略語の説明
 W   F  SF QF #R RR Q# LQ  A  Z# PO  G   S   B  NMS  P  NH

W=優勝, F=準優勝, SF=ベスト4, QF=ベスト8, #R=#回戦敗退, RR=ラウンドロビン敗退, Q#=予選#回戦敗退, LQ=予選敗退, A=大会不参加, Z#=デビスカップ/BJKカップ地域ゾーン, PO=デビスカップ/BJKカッププレーオフ, G=オリンピック金メダル, S=オリンピック銀メダル, B=オリンピック銅メダル, NMS=マスターズシリーズから降格, P=開催延期, NH=開催なし.

大会 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 通算成績
全豪オープン A LQ 2R 3R 3R 4R 1R QF 2R 3R 4R A 18–9
全仏オープン A 2R 1R 3R 2R 2R 1R 4R 4R 2R QF 1R 16–11
ウィンブルドン LQ 1R 2R 1R 1R 1R 2R 3R 3R QF 1R 2R 11–11
全米オープン 3R 2R 2R 3R 3R 1R 3R 3R 4R 3R 3R 1R 19–12

脚注 編集

外部リンク 編集