スターチャイルド
スターチャイルド(STARCHILD)は、1981年(昭和56年)から2016年(平成28年)まで存在した主にアニメ・声優・実写映画・ドラマ関連の商品や作品を取り扱うキングレコードの社内レーベル。正式名称は「スターチャイルドレコード」[1]。通称は「スタチャ」(すたちゃ)・「星の子」とも呼ばれる。キングレコードの内部組織としては本部に相当していた。
スターチャイルド STARCHILD | |
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親会社 | キングレコード |
設立 | 1981年 |
設立者 | 藤田純二 |
現況 | 2016年1月31日付廃止(キング・アミューズメント・クリエイティブ本部へ移行し消滅) |
販売元 | キングレコード |
ジャンル | アニメ、声優、実写、J-POP |
国 |
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概要編集
アニメ関連の楽曲の専門レーベルとしては業界でも古参であり、アニメファンへの認知度・浸透度は高かった。
アニメ・声優関連以外では、『ライオン丸G』などの特撮作品、『ケイゾク』(TBS製作)・『古代少女ドグちゃん』(MBS製作)・『必殺シリーズ』(ABC製作)などのテレビドラマといった一般向けの実写作品も担当した実績があり、
過去には、声優業を行っていない歌手の場合、アニメ関連以外の楽曲が多くなった際にメインレーベルに異動させた例がある(森口博子など)。
なお、キングレコードには他にもアニメ事業を展開しているレーベルとして、メインレーベル(キングレコード)のアニメ部門「第三クリエイティブ本部」や、スターチャイルドから派生した「EVIL LINE RECORDS」がある。また、スターチャイルドや第三クリエイティブ本部の他、三橋美智也などの演歌・歌謡曲部門「第一クリエイティブ本部」、J-POP部門「第二クリエイティブ本部」、大塚文雄などの民謡部門の歌手がアニメ主題歌を担当した例があるが、本来のレーベルから発売されるか、スターチャイルドからの発売となるかは作品によって異なっていた。
なお、「スターチャイルド」は、キングレコードの商標登録となっている。
歴史編集
1981年、キングレコード社員で主にサンライズ関連のアニメ楽曲を担当していた藤田純二らによって設立。レーベル名は『2001年宇宙の旅』に登場する「スターチャイルド」(新人類)を意識してタイトルにした「スターチルドレン」(劇場版機動戦士ガンダム関連曲)の話を氷川竜介に聞いた藤田が採用を決定したものであり、ロゴも氷川から紹介されたデザイナーによるものである。スターチャイルドマークは正式発足前の1981年7月5日発売の哀戦士シングル盤にて初めて付けられるようになり、同年10月21日発売の交響曲イデオンよりスターチャイルドレーベルが正式発足した[2]。
しかしその後、藤田ら担当社員たちは1985年にユーメックスを設立し大量に独立したため、部門解消の危機に陥ったが、残った大月俊倫らで初プロデュースしたドラマCD『ドリームハンター麗夢』などの大ヒットによってV字回復を達成し、スターチャイルドレーベルは再建された。
1990年代中盤からは『新世紀エヴァンゲリオン』など数多くの人気アニメの制作に参加し、タイアップの形式を中心に林原めぐみ・堀江由衣・angelaなどの人気声優やアーティストの曲を多数輩出した。
2000年代に入ると、『魔法先生ネギま!』の関連CDなどを含めてオリコンウィークリーランキングに初登場ベスト10入りを果たすなどし、前述のユニットやスポンサーを務めるラジオ番組(アニラジ)の連動企画などを発端として、作品関連の活動を超えて期間限定で独立した活動(単独のラジオ番組やオリジナル曲の発表、ライブなど)を展開するパターンも増えている。また、制作作品で出演者による音楽ユニットを結成させて、主題歌などを制作することも増えつつある[注 1]。また、2000年代では同社が製作したアニメ作品において、同業社のランティスが音楽を担当し、キング側へCDの販売を委託しているものもあった。
2010年代に入ると、スネオヘアーやももいろクローバーZといった、一般アーティスト・アイドルを擁す様になって、アニメ専門色がより薄れつつあり、2012年10月からは、作品の特設サイト一覧ページが「アニメ」[3]と「実写」、アーティストの特設サイト一覧ページが「声優系」[4]と「J-POP系」に分離された。
2014年4月、ももいろクローバーZらが所属していたスターチャイルドの「J-POP系」部門がレーベル「EVIL LINE RECORDS」(イーブルラインレコード)を新設し独立[5]。再びアニメ・声優専門になったもののメインレーベル寄りの「第三クリエイティブ本部」との位置付けが次第に曖昧になっていった。同年10月から放送のテレビアニメ『クロスアンジュ 天使と竜の輪舞』では第三クリエイティブ本部と初の共同製作を行った。
2015年6月には、スターチャイルド率いるキングレコード系アニメの集大成とも言えるライブイベントKING SUPER LIVE 2015を開催する。
これが契機になり2016年2月1日付けでスターチャイルドと第三クリエイティブ本部が事業統合し、「キング・アミューズメント・クリエイティブ本部」に移行、メインレーベルの新アニメ部門となり、『スターチャイルド』のレーベルが消滅[6]。これにより、34年半続いたスターチャイルドの歴史に幕を閉じた。
主なスタッフ編集
2013年2月1日付けのキングレコード大幅組織改定の際に、スターチャイルドも下記の体制に改められた。
過去の所属アーティスト編集
- キング・アミューズメント・クリエイティブ本部発足に伴いそのまま新部署に移行したアーティスト
- EVIL LINE RECORDSに移籍したアーティスト
- Aice5のみ2015年の再結成に合わせてEVIL LINE RECORDSに移籍、それ以外はレーベル発足時に移籍。
- その他過去に所属していたアーティスト
- 本来は他レーベル所属(本業がJ-POP・演歌/歌謡曲・民謡・童謡など)ながら、アニメ関連楽曲で本レーベルから発売
販売委託アーティスト編集
製作に参加した作品編集
五十音順に列挙した。斜体はEVIL LINE RECORDS発足後扱いが同レーベルに移行した作品。
テレビアニメ編集
前述の通り、音楽制作をランティスが担当している作品があり、それらには「※」印を付した。
OVA編集
Webアニメ編集
アニメ映画編集
- 鉄人28号 白昼の残月
- マルドゥック・スクランブルシリーズ
- 魔女っこ姉妹のヨヨとネネ
- メトロポリス(2001年版)
- モーレツ宇宙海賊 ABYSS OF HYPERSPACE -亜空の深淵-
- 劇場版 K MISSING KINGS
- 新世紀エヴァンゲリオン劇場版 シト新生
- 新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に
- ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序
- ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破
- ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q
実写映画編集
- 劇場版 SPEC〜天〜
- 劇場版 SPEC〜結〜漸ノ篇
- 劇場版 SPEC〜結〜爻ノ篇
- 巨神兵東京に現わる 劇場版
- ヌイグルマーZ
- ケイゾク/映画 Beautiful Dreamer
- 赤んぼ少女
- 極道めし
- サルベージ・マイス
- ぱいかじ南海作戦
- ホームカミング
- MY HOUSE
- 落語物語
- ローレライ
- 地獄でなぜ悪い
- ジ、エクストリーム、スキヤキ
- 魁!!クロマティ高校 THE☆MOVIE
- 鉄人28号
- 長髪大怪獣ゲハラ
- 偉大なる、しゅららぼん
- 東京難民
- 女子ーズ
ドラマ編集
- 親孝行プレイ
- 子育てプレイシリーズ
- MM9
- アザミ嬢のララバイ
- 隠密剣士
- 快傑ハリマオ(テレビ映画)
- ケイゾク
- 古代少女ドグちゃん
- ザ・ハングマンシリーズ
- 週刊真木よう子
- SPEC〜警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿〜
- 超音速攻撃ヘリ エアーウルフ
- 必殺シリーズの一部
- ブラック・ジャック(2000年版)
- 魔法先生ネギま!(ドラマ版)
- 彼岸島
- 荒川アンダー ザ ブリッジ
- クロヒョウ 龍が如く新章
- 漂流ネットカフェ
- 古代少女隊ドグーンV
- 満福少女ドラゴネット
- ヤメゴク〜ヤクザやめて頂きます〜
特撮編集
その他編集
ラジオ番組編集
以下のアニラジのスポンサーとして名を連ねている。ほとんどはラジオ局(主にAM局)が制作しているが、『Heartful Station』や『Tokyo Boogie Night』については自社で番組を制作している。
- アニメワールド・スターチャイルドステーション(1982年11月-1987年3月 スターチャイルド自社制作の情報番組。キー局:栃木放送、ネット局:ラジオ関西 ※途中からネット開始)
- mamiのRADIかるコミュニケーション(東海ラジオ制作。スポンサーコールは「スターチャイルドレーベルのキングレコード」)
- 上坂すみれの乙女 *ムジカ(東海ラジオ制作)
- 白石涼子の聞かなきゃ☆そん♪Song!(文化放送制作)
- a-GENERATION(同上)
- 小倉優子のウキウキりんこだプー!うるとらだっしゅ(同上)
- スタチャ情報発信番組 ホレぼれ。(同上)
- 電撃G's Radio(同上)
- 熱血電波倶楽部(ラジオ関西制作。後に、アニメ番組枠の名前にもなった)
- シスター・プリンセス〜お兄ちゃんといっしょ
- ラジオのステルヴィア
- 野中藍 ラリルれ、にちようび。(ラジオ関西制作)
- 野中藍 ラリルれ、サタデーナイト。(同上)
- Radio キタエリあっ!(同上)
- 林原めぐみのHeartful Station(自社制作、キー局:ラジオ関西)
- 林原めぐみのTokyo Boogie Night(自社制作、キー局:TBSラジオ)
- ノン子とのび太のアニメスクランブル(同上、2009年4月第1週の放送分まで キー局:文化放送→超!A&G+)
- 堀江由衣の天使のたまご(同上、キー局:文化放送)
- angelaのsparking!talking!show!(東海ラジオ制作)
イベント編集
製作作品毎のイベントや所属アーティストの単独ライブをこれまでに多数開催していた。
スターチャイルドまたは会社規模としては過去も含め、以下のようなイベントが開催されていた。
- STARCHILD PRESENTS STARCHILD FESTIVAL
- 自身が主催していたレーベルイベント、これまでに2002春(東京)、2002秋(大阪)、2007 Spring(東京)、2009 Spring(東京)の計4回開催された。作品別のトークコーナーと所属アーティストライブパートコーナーに分かれているのが特徴。
- STARCHILD DREAM in KOBE
- ラジオ関西が神戸で開催していたスターチャイルドのライブイベント。1st(2003年)、2nd(2004年)、3rd(2006年)、2007、2008の計5回開催された。
- KING SUPER LIVE
- 第三クリエイティブ本部と共同で開催された、会社史上初となるキングレコード株式会社全体のアニメソングライブ(ただし、スターチャイルドから派生したEVIL LINE RECORDSは関与していない)。スターチャイルド及び第三クリエイティブ本部の現役所属アーティストに加え、過去にスターチャイルドなどに所属していた中で代表的なアニメソングアーティストも集結した。キングアミューズメントクリエイティブ移行後も開催されている。
- STARCHILD presents LIVE NEXUS
- 所属アーティストの「繋がり」や「連鎖」をテーマにした新しいレーベルライブイベント。第1弾として上坂すみれと小松未可子、2人の出演で2015年9月26日に開催したが、それからわずか4ヶ月後にスターチャイルドレーベルが消滅したため、一度きりの開催となった。
脚注編集
注釈編集
- ^ やまとなでしこ・Prits・Puppy's・パステル・DROPS・TAMAGO・Aice5(現在はEVIL LINE RECORDSに移籍)、Friendsといった声優ユニットや、『ドラマ版 魔法先生ネギま!』に出演する女優によるpRythmeなどが挙げられる。なお、これらの多くは公式な発表がないまま、無期限活動休止あるいは事実上の解散状態となっているものが多い(パステルとAice5は解散発表を行っている)。また、DROPSやAice5の場合は、ラジオでの企画でなく単独で企画されたユニットであることが特徴的である。
- ^ メインレーベルのJ-POP部門(のちの第二クリエイティブ本部)に移籍
- ^ 第三クリエイティブ本部に移籍
- ^ 第1、第2シリーズ、一部の劇場版の主題歌・テーマ・挿入歌は日本コロムビアが保有。その他最近の音源はバップが保有。
出典編集
- ^ “スターチャイルドレコード情報番組「ワシスタ〜意外とおもしろい番組〜」”. 2014年10月29日閲覧。
- ^ 著者氏名『スターチャイルドハンドブック』キングレコード、1983年8月21日。
- ^ “アニメ作品一覧”. すたちゃまにあ〜STARCHILD WEB SITE〜. 2014年10月29日閲覧。
- ^ “声優系アーティスト一覧”. すたちゃまにあ〜STARCHILD WEB SITE〜. 2014年10月29日閲覧。
- ^ “ももクロ、特撮、ドレスコーズらがキング新レーベルへ”. 音楽ナタリー. ナターシャ (2014年4月2日). 2014年10月29日閲覧。
- ^ キング、2月組変で三クリとスタチャ統合等 - 文化通信.com(有料記事)
- ^ “重任の重村博文社長ら常勤役員の担務も決定 インターナショナル竹中・ベルウッド浅沼社長 キング、定時株主総会と取締役会で役員選任”. 連合通信社 (2013年6月19日). 2013年7月7日閲覧。
関連項目編集
- キングレコード第三クリエイティブ本部 - 詳しくは前述。
- ガンジス - 専務取締役の大月が設立した企画会社で、スタチャと関係が深い。