ブラック・サバス

イングランドのヘヴィメタルバンド

ブラック・サバス英語: Black Sabbath)は、イングランド出身のロックバンド

ブラック・サバス
Black Sabbath Barclays Center March 2014.jpg
基本情報
別名
  • ザ・ポルカ・タルク・ブルース・バンド[1]
  • アース[2]
出身地 イングランドの旗 イングランド ウェスト・ミッドランズ州 バーミンガム
ジャンル
活動期間 1968年 - 2017年
レーベル
公式サイト The Official Black Sabbath Website
旧メンバー

1960年代から活動していた有名グループの一つで、ヘヴィメタルドゥームの開祖とも言われた[5][7]2017年に活動停止し、約50年の歴史に幕を閉じている。

2000年2014年グラミー賞』受賞。2006年ロックの殿堂』入り。ローリング・ストーン誌選出「歴史上最も偉大な100組のアーティスト」第85位。世界の売り上げ枚数は7000万枚を超える[8]

来歴編集

オジー・オズボーン在籍期 (1968年 - 1979年)編集

 
アルバムデビュー当時のグループショット(1970年)

1968年バーミンガムで結成。ボーカリストオジー・オズボーンが、新聞に新バンド結成のためのメンバー募集の公告を出したことが契機だった。

バンド名は当初「Earth」と名乗っていたが、ベーシストギーザー・バトラーが、1964年に公開されたマリオ・バーヴァホラー映画『BLACK SABBATH』(邦題『ブラック・サバス/恐怖!三つの顔』)から取って改名した。その映画の公開時、映画館には長蛇の列が出来ていたことから、「人間は恐怖を求める」という着想を得た、と本人は語っている。

デビュー・アルバム『黒い安息日』は、1970年2月の「13日の金曜日」という曰くつきの日付にリリースされた。

同年リリースの2ndアルバム『パラノイド』からシングルカットしたタイトルナンバー「Paranoid」がスマッシュヒット。同アルバムも全英アルバムチャート1位を獲得する。その後、1975年発表の6thアルバム『サボタージュ』まで、全英・全米ともにアルバムチャート上位にランクイン。特に5thアルバム『血まみれの安息日』までの作品が、いずれも全米で100万枚以上の売り上げを記録した。

 
オジー在籍時代末期(1977年)

1976年、この時期から新たな音楽の波「パンク/ニュー・ウェイヴ」のムーブメントが到来し、既存のロック・ミュージックは徐々に終息していく。それは当バンドも例外ではなく方向性の相違もあり、メンバー間にも不協和音が漂い始める。特にオジーが重度のアルコール問題を抱えていた。

1977年、遂にオジーを解雇。後任にデイヴ・ウォーカーを起用したが上手くいかず、翌年に呼び戻されて復帰する。しかし制作した8thアルバム『ネヴァー・セイ・ダイ』が酷評されて芳しくなかった。そして結局アルコール問題が改善されなかったオジーは、再度解雇される。

トニー・アイオミ主導期 (1979年 - 1996年)編集

 
ロニー・ディオ在籍時代(1981年)

1979年、オジーの後任として「レインボー」を脱退したばかりのロニー・ジェイムス・ディオが加入。そのレインボーのサウンドと融合し、新たな様式美スタイルを展開した9thアルバム『ヘヴン&ヘル』を翌年に発表。業界からも高い評価を受ける。

1980年、オリジナル・ドラマーのビル・ワードが脱退。その後、ワードは、短期の復帰を繰り返している。アルバム『悪魔の掟』を発表するも、中途半端にオジー時代の音楽性に回帰した作品で、前作で顕著だったロニーのボーカルの持ち味が活かされておらず、不評だった。

1982年、ロニーがリーダーバンド「ディオ」結成に向けて脱退。後任に元ディープ・パープルイアン・ギランが加入するが、こちらもディープ・パープル再結成参加のため、1984年に脱退。ロン・キールが一時加入するがすぐ解雇。その後、オーディションでデヴィッド・ドナートが加入するが、ドナートもすぐに解雇され、ボーカリスト不在のまま活動は停滞した。

1985年、この年に世界規模の大型チャリティー・コンサート『ライヴエイド』が開催。バンドはオリジナル・メンバーによる、一度きりのラインナップ復活として参加[9]

 
グレン・ヒューズ在籍時代(1986年)

オリジナル・メンバー、ギーザー・バトラーが脱退。トニー・アイオミは、これを機にバンドを活動停止し、ソロ・アルバムの制作に着手する。翌年にレーベルからの強い要請により、完成したアルバム『セヴンス・スター』をブラック・サバス名義でリリース。ゲストに招いていたグレン・ヒューズ等が、そのままツアーのバンド・メンバーとなった。グレンはそのままバンドとしてのブラック・サバスの正式メンバーになり活動する予定だったが、アルコール、ドラッグによる体調不安や負傷でツアー直前に解雇される。その後、サポートにレイ・ギラン(後にバッドランズ)を加入させる。しかしアルバム『エターナル・アイドル』のレコーディング途中で解雇されてしまう。

1987年以降はロニー時代の様式美スタイル回帰を狙い、トニー・マーティンやレインボー人脈のコージー・パウエル (ドラム)を起用し、『エターナル・アイドル』『ヘッドレス・クロス』『TYR』と、三作連続で様式美路線のアルバムを発表し、好評を得る。そして1992年、コージー等と入れ替わりに、その本家たるロニー・ジェイムス・ディオが復帰する(ギーザーも復帰)も、モダン・ヘヴィネス的な要素を取り入れ、ファンの期待する様式美スタイルを捨てた『ディヒューマナイザー』は著しく不評で売り上げが低迷し、ロニーは再び脱退。その後、ライブ一回のみではあるが当時ジューダス・プリーストを脱退したばかりのロブ・ハルフォードが起用された。

1993年、トニー・マーティンが復帰。ドラマーは元レインボーのボビー・ロンディネリが加入。前作でのロニーの復帰が大きな失敗を招いたことが悪影響を及ぼし、ロニー復帰前の様式美路線に戻した『クロス・パーパシス』は商業的に失敗に終わり、ギーザーが再脱退、ニール・マーレイ、コージーが復帰。しかし復帰作も楽曲にラップを取り入れるなど、ファンの望まない方向に音楽性を変えてしまった『フォービドゥン』で、著しく人気は低迷してしまう。また、コージーがツアー中に脱退。ボビーをサポートとして復帰させツアーをまっとうした。そしてオジー・オズボーンを含んだオリジナル・ラインナップの復活が企図され、オジー、ギーザー、ビルの3人が復帰して、オリジナル・メンバーが再び出揃った。

リユニオン期 (1997年 - 現在)編集

 
リユニオン・ツアーのグループショット (1999年)

1997年、正式にオリジナル・メンバーでの再結成を果たす。以降、当ラインナップ以外でブラック・サバスとは名乗らないと宣言。1998年にはライブ・アルバム『リユニオン』(スタジオ録音の新曲も2曲収録された)をリリースし[10]、数年間にわたってツアー活動を行うが、新しいスタジオ・アルバムは制作しなかった。

2000年、楽曲「Iron Man」で『グラミー賞』受賞[11]2006年ロックの殿堂』入り[12]。この年でリユニオン体制の活動が停止。

2007年、トニー・アイオミが、10thアルバム『悪魔の掟』時代のメンバー編成(ロニー・ディオ、ヴィニー・アピス、ギーザー・バトラー、トニー・アイオミ)でツアーを行うと発表。ブラック・サバスとして事実上の変名「ヘヴン・アンド・ヘル」名義で活動する[13]

2010年、ロニーが他界し、ヘヴン・アンド・ヘルの活動が停止[14]

 
最終公演のグループショット (2017年2月 バーミンガム)

2011年11月11日11時11分、オジー・オズボーン、トニー・アイオミ、ギーザー・バトラー、ビル・ワードは、オリジナル・ラインナップの再始動を会見で発表した[15]。しかし後に、ビル・ワードが契約の内容に不満を持ち、再結成に参加しないと表明する。今後のライブや創作は、代役を迎えての活動に移行[16]

2013年、18年ぶりのスタジオ・アルバム『13』をリリース。デビューから43年目にして、初めて全米ビルボードチャート1位を獲得[17]。各国でも軒並み1位ないし上位にランクインした。

2014年、楽曲「God Is Dead?」で『グラミー賞』受賞[18]

2016年、バンドの最後となるワールドツアー「THE END」を開始[19]

2017年2月、バンド発祥の地・バーミンガムで最後を飾るラスト・ライブを開催[20]。約50年に渡る活動の幕を閉じる。後日、トニー・アイオミは、将来復活する可能性に含みを残した[21]

影響編集

 
1972年のグループショット
ヘヴィメタルのルーツ
ジャズブルースを基調とし、「人を怖がらせる音楽を作る」というコンセプトで作られた音楽性は、ヘヴィメタルを形成していく要素の一つとして後続に大きな影響を与えた。その怪奇的なイメージで度々黒魔術悪魔と結び付けられ、ギタリストのトニー・アイオミがアメリカ・ツアーの最中、狂信者に楽屋で刃物を突きつけられたという危険なエピソードもある。
結成当初からメンバー内の交流も公私共に良好で、ビル・ワードのエッセイ『若き安息日』には「女風呂を必死にのぞこうとするトニー。その尻を持ち上げるオジー。それを心配そうに見守るギーザー。あの瞬間、俺達は初めてのセッションをした」との記述も残されている。
影響力
ブラック・サバスはその革新的な音楽により後続に大きな影響を与えた。アメリカではオジー・オズボーンのソロでの成功や、レインボーで知名度のあったロニー・ジェイムス・ディオの加入で多大な人気が今でもあり、HR/HMの歴史上最も重要なアーティストを決める投票でレッド・ツェッペリンに次いで2位に入ったこともあるほどである。
その影響力は、直系のハードロックやヘヴィメタルに留まらず、ブラック・フラッグなどのハードコア・パンクニルヴァーナなどのグランジブラックメタルドゥームメタル(ストーナーロックやスラッジメタルも含む)といったジャンルにおいても、その源流として扱われることが多い。
当のオジー・オズボーンは、ヘヴィメタルを生み出したのは自分達ではなく、「キンクス」「レッド・ツェッペリン」「ザ・フー」等から影響を受けて派生した経緯があると否定している。ただし、「悪魔的(ヘヴィ)なギターのリフを作り出した、トニー・アイオミだけは別格」ともしている[22]

メンバー編集

オリジナル・ラインナップ編集

ライブ・サポート編集

  • トミー・クルフェトス Tommy Clufetos - ドラムス (2012年-2017年)
  • アダム・ウェイクマン Adam Wakeman - キーボード (2004年-2006年、2012年-2017年)

旧メンバー編集

ボーカル
ベース
  • デイヴ・スピッツ Dave Spitz (1985年-1986年、1987年)
  • ボブ・デイズリー Bob Daisley (1986年)
  • ジョー・バート Jo Burt (1987年)
  • ローレンス・コットル Laurence Cottle (1988年-1989年)
  • ニール・マーレイ Neil Murray (1989年-1991年、1994年-1995年)
ドラムス
キーボード
  • ジェフ・ニコルズ Geoff Nicholls (1980年-2004年) ※2017年死去[23]

時系列編集

来日公演編集

ディスコグラフィ編集

スタジオ・アルバム編集

ライブ・アルバム編集

コンピレーション・アルバム編集

脚注編集

  1. ^ “有名バンドの知られざる「ひどい」オリジナルネームランキング”. Rolling Stone Japan (CCCミュージック・ラボ). (2016年3月24日). https://rollingstonejapan.com/articles/detail/25635/8/1/1 2020年12月19日閲覧。 
  2. ^ “トニー・アイオミ、ブラック・サバスに改名せざるを得なくなった逸話を語る”. BARKS (ジャパンミュージックネットワーク). (2018年9月28日). https://www.barks.jp/news/?id=1000160216 2020年12月19日閲覧。 
  3. ^ a b Monger, James Christopher. “Black Sabbath | Biography & History”. AllMusic. All Media Guide. 2015年7月29日閲覧。
  4. ^ Larson, Tom (2004). History of Rock and Roll. Kendall/Hunt Pub.. pp. 183-187. ISBN 978-0-7872-9969-9. https://books.google.com/books?id=vGJ7XmA8rjIC&pg=PA183 
  5. ^ a b ドゥーム・メタル/ストーナー・ロックの全貌に迫る過激ドキュメンタリー”. TOWER RECORDS (2011年8月5日). 2021年7月18日閲覧。
  6. ^ ブラック・サバス『黒い安息日』『パラノイド』発売50周年、ドクターマーチンとのコラボモデルを発表”. Rolling Stone Japan (2020年9月29日). 2021年7月18日閲覧。
  7. ^ Black Sabbath:プロフィール・バイオグラフィ - BARKS
  8. ^ https://www.blacksabbath.com/news-details.html?n_id=165
  9. ^ ブラック・サバス・フィーチャリング・オジー・オズボーン - オリコンスタイル
  10. ^ Rivadavia, Eduardo. “Reunion - Black Sabbath”. AllMusic. 2020年6月11日閲覧。
  11. ^ Grammy's Memorable Moments, 1975 to 2009”. Rolling Stone (2010年1月28日). 2020年6月11日閲覧。
  12. ^ ブラック・サバス他、ロックの殿堂に決定! - BARKS
  13. ^ HEAVEN AND HELL ライブレポート! - 激ロック
  14. ^ ロニー・ジェイムズ・ディオ、死去 - BARKS
  15. ^ ブラック・サバス、オリジナル・ラインナップで復活し新作、ツアーも - BARKS
  16. ^ ブラック・サバス、ビル・ワードが再結成に参加しないことを正式発表 - BARKS
  17. ^ ブラック・サバス、初の全米No.1に - BARKS
  18. ^ オジー・オズボーン、グラミー授賞式で「テイラー・スウィフトって誰だよ?」と語る - RO69
  19. ^ BLACK SABBATHがファイナル・ツアー「THE END」のスケジュールを発表! - LiveLand
  20. ^ ブラック・サバス、ラスト・ツアー最終公演、最後の曲のパフォーマンス映像を公開 - BARKS
  21. ^ トニー・アイオミ「ブラック・サバスは終わったわけではない」 - BARKS
  22. ^ オジー・オズボーン「トニー・アイオミは悪魔のようなリフ王」 - BARKS
  23. ^ ブラック・サバスの元キーボードリスト、ジェフ・ニコルズ、死去 - BARKS

外部リンク編集