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メカゴジラの逆襲

日本の映画(ゴジラシリーズ)

概要編集

前作『ゴジラ対メカゴジラ』で初登場して人気となったメカゴジラをメインタイトルに据え、再登場させた作品。前作では敵怪獣はメカゴジラのみで、さらにゴジラにはアンギラスキングシーサーという味方怪獣もいたが、本作では強化改造されたメカゴジラIIと新怪獣チタノザウルスの2体にゴジラだけが立ち向かう。

シン・ゴジラ』までのシリーズ全29作品のうち、タイトルにゴジラ以外のキャラクターだけがフィーチャーされた唯一の作品である[注 1]。公開当時のポスターではメカゴジラシリーズ第2弾とも記述されている[1]。前作と併せてメカゴジラ関連の玩具やキャラクター商品も多数販売され、当時のメカゴジラの人気がうかがえる事例となっている。

シリーズは作品が制作されるごとに子供向けのヒーロー路線をたどっていったが、特に本作の「チタノザウルスに踏みつぶされそうになる子供が、ゴジラに助けを求める」というシーンがそれを如実に表している。その要因として、監督の本多猪四郎は子供ファンから「悪者にされてゴジラがかわいそうだ」や「ヒーローのゴジラを観たい」との多数の意見があったことを、本作の劇場パンフレットで挙げている。

敵役であるメカゴジラIIとチタノザウルスが街を襲撃するシーンなどが目立っており、主役であるゴジラは若干影が薄い存在となっている。これらは当時怪獣映画が斜陽期に差しかかっていたことを象徴している。実際に、本作が公開された1975年は洋画興行収入が邦画興行収入を越えた年であり[2]、怪獣ブームも海外のSF映画の影響で下火になり始める。一方、本作は田中友幸が観客動員を増やそうと、大人向きに「初期のゴジラシリーズの雰囲気」を再度描くことを試みた[2]。そのため、リアリティを追求する本多が監督に復帰しており、サイボーグ少女・桂の人間としての感情と冷たい機械の挟間での葛藤が盛り込まれるなど、全体的に重い人間ドラマの部分を強調した作劇がなされた。

本多による特撮映画の監督は、『ゲゾラ・ガニメ・カメーバ 決戦!南海の大怪獣』以来5年ぶりの作品となる。本編班と特撮班とに分けずに一班体制での制作が行われ、円谷組特撮カメラマンだった富岡素敬が本編カメラマンを兼任している。脚本はコンペによって高山由紀子のものが選ばれ[2]、本作はシリーズで初めて主要スタッフに女性が加わる作品となった。本作は本多の監督した映画作品としては最後であり、これ以降は黒澤明に請われ、彼の作品の演出補佐を務めた。

特撮面では、予算不足から前作ではほとんど描かれなかった都市破壊シーンが復活し、本多の監督した巨大怪獣映画では必ずと言っていいほど見られる、群衆の避難シーンも描写された。自衛隊の出動や怪獣との交戦シーンも復活したが、メーサー光線車などのいわゆる「超兵器」の類はほとんど登場しない。架空の兵器としては対チタノザウルス用の超音波発信器が登場するが、搭載するプラットフォーム深海探査艇ヘリコプターなど、実在する機体またはそれをモデルとした機材となっている。

キャスティングでは、前作に引き続き平田昭彦が出演し、前作の宮島博士や第1作『ゴジラ』の芹沢博士とは対極に位置するマッドサイエンティスト的な役柄で登場した。平田は公開当時47歳であったが、回想シーン以外では実年齢以上に老けたメイクを施している。娘役で共演した藍とも子によると、役作り上笑えなかった藍を気遣ってか「メイクが崩れるために自分も笑えない」と、冗談めかして話していたという[3]

劇中音楽は、第1作ほか数多くのゴジラシリーズ作品を担当した伊福部昭。本作では、第1作目(1954年)のメインタイトルとして使われた曲が、かなりの編曲はなされているがメロディはほぼそのままでゴジラのテーマ曲として使われている。ただし、本来のテーマ曲「ゴジラの猛威」は使われていない。

前述の通りメカゴジラII自体は人気を集めたものの、その人気は観客動員に結び付かず、ゴジラシリーズ観客動員数のワースト記録である97万人(これはシリーズ第1作『ゴジラ』の約10分の1の動員数)を記録したため、東宝は莫大な製作費を必要とするゴジラシリーズを一時休止させることを決定し、本作を最後に1954年公開の第1作から足かけ21年間続いた「昭和ゴジラシリーズ」は終了する。その後は1979年に一度、映画『ゴジラの復活』が企画され[4]、紆余曲折を経て1984年に公開された『ゴジラ』に始まる「平成ゴジラシリーズ」まで、9年間の休止となった。

アメリカでは、1978年にUPAの手で89分のテレビ映画として配給された。桂の乳房(本物ではない。詳細は#サイボーグ少女・桂を参照。)が写るシーンがカットされたほか、過去作品の映像で構成されたダイジェストが追加された。その後、ボッブ・コーン・エンタープライズによって劇場公開されたが、子供向けにしようと考えた同社がPG指定を懸念し、拳銃が写るシーンもすべてカットした[2]

シリーズでは最後であるが、時代設定では1968年の『怪獣総進撃』が近未来を舞台にしていることから、本作から後の時代と解釈している書籍も存在する[5]

なお、本多は本作を最後に映画監督を辞し、その後はゴルフ場で再会した黒澤明の勧めで『影武者』以降の黒澤映画の演出補佐として、活躍の舞台を移すことになる。

ストーリー編集

1年前にゴジラとキングシーサーに敗れ、海に沈んだメカゴジラの残骸を調査していた潜水艦「あかつき号」が、「恐龍」という言葉を残して消息を絶った。それは15年前に学会を追放された真船信三博士が操る、チタノザウルスだった。海洋学者の一之瀬は乗組員の最期の言葉から、15年前に「自らが発見した恐龍を、自由にコントロールしてみせる」として学会から異端とにらまれ、学会を追われたのみならず人間社会からも迫害された真船博士の娘・桂(かつら)と接触を持つが、桂は「父(真船博士)は5年前に死んだ」と答え、追い返す。
諦めきれない一ノ瀬は大学や研究機関を訪れて博士の足跡を辿るうち、偶然にも処分を免れていた研究ノートを発見する。そこに書かれていた真船博士の唱えた説と研究に感銘を受けた一之瀬は、桂に真船博士の説と研究の素晴らしさを直に伝え、その後も桂と出会いを重ねるようになる。やがて、一之瀬と桂の間には恋愛感情が芽生えていくが、遅すぎた理解者と社会からも迫害された研究者の娘、この2人の出会いが新たな災いの火種となることを、当の2人は知る由も無かった。

ブラックホール第3惑星人は真船博士と手を組み、天城山中の秘密基地でメカゴジラを修復し、メカゴジラIIとして蘇らせていた。そして、恐龍コントロール装置実験中の事故によって死んだ桂をサイボーグとして蘇らせてメカゴジラIIと同調させ、真船親子を追放した人間社会に対する怒りをそのままメカゴジラIIの怒りとして利用しようと目論む。

翌日、ゴジラは横須賀に上陸したチタノザウルスと戦うが、チタノザウルスの尻尾の起こす強風に苦戦を強いられたうえ、メカゴジラIIまで現れたために窮地へおちいる。まもなく、メカゴジラIIの新必殺兵器「回転ミサイル」によって、ゴジラは生き埋めにされてしまう。一方、インターポールは真船博士の足跡を追い、ブラックホール第3惑星人の基地を突き止める。一之瀬は真船邸へ向かい、待ち構えていたブラックホール第3惑星人に捕まってしまうが、それでも一之瀬は桂を説得しようと奮闘する。一之瀬の必死の説得を受けた桂は自決し、生き埋めから復活したゴジラはメカゴジラIIを破壊してチタノザウルスを海に転落させる。一之瀬たちは桂の遺体を丘に寝かせると、海へ去っていくゴジラを静かに見守るのだった。

登場キャラクター編集

このほか、キングギドララドンマンダが桂の多くの人々の命を奪う怪獣を回想するシーン、キングシーサーがOPにおいてそれぞれ過去の映像の流用で登場した。

ブラックホール第3惑星人編集

前作でメカゴジラを操り地球征服を企んだ宇宙人。本作での素顔は前作でのサルではなくケロイド状となっているうえ、ユニフォームは前作と異なりアンテナのようなものが付いたヘルメットを被っている。また、司令官ムガールは地球人に変装した顔が前作の黒沼とほぼ同じであるが、彼の左目尻に存在したは存在しない。

ブラックホール第3惑星の破滅が近づいていることを地球侵略の理由としていることが、作中の台詞からうかがえる。いかなる失敗を犯した部下にも容赦なく鞭を振り下ろし、強制的に処刑することもある。自分たちが捕えた地球人については、他の地球人に自分たちの秘密が露呈しないよう、喉を潰したうえで強制労働をさせている。「あかつき1号」の乗組員と共に捕えられ、労働させられていたインターポール捜査官・草刈は逃走したために射殺されてしまうが、それに先んじて彼はたまたま下水道工事をしていた山下に宇宙金属スペースチタニウムの欠片を渡していた。

新天城に地底基地を建造し、メカゴジラの残骸を改修してその2号機(メカゴジラII)を建造する。それに先んじ、地球人に恨みを持つ真船博士を利用するべく近づいており、かつて事故死した彼の娘の桂をサイボーグとして再生することで信用を得ていたうえ、桂にメカゴジラIIのコントロールシステムを組み込み、メカゴジラIIをより完璧な存在にしようと目論んでいた。そして、真船博士の操る怪獣チタノザウルスと共にメカゴジラIIで横須賀への攻撃(その際、天城の基地を捨てて真船邸に拠点を移した)を手始めに、地球侵略作戦を実行に移す。計画は当初こそ上手く進み、両怪獣の猛攻で自衛隊とゴジラを徹底的に追い詰めるが、津田はその激闘を観戦している最中に一之瀬に絞殺され、真船博士はムガールに盾にされた挙句、インターポール捜査官の村越に銃殺される。その後、メカゴジラIIの機能を停止させようと桂が自決し、自分たちも地球人を奪還された結果、メカゴジラIIとチタノザウルスが戦闘不能に陥り、計画は土壇場で頓挫する。ムガールは相模湾の海底に隠していた3機の円盤に乗って宇宙へ逃げようとするが、ゴジラの放射熱線で円盤ごと撃墜される。

若かりし日の真船博士に接近して桂を再生するなど、前作と合わせて相当長期間、地球に潜入・活動していたことがうかがえる。ムガールも部下たちも地球人の原始的な文明や交通機関、東京の町並みの汚さを嘲笑しており、占領後の都市計画すら早くから用意している。真船博士には協力の見返りとして、占領・再開発後の「新しい東京1番地」に親子で暮らす豪邸を用意すると約束している。

  • ラストで登場する円盤は、1サイズのミニチュアが作られた。劇場ポスターにはこの円盤ではなく、『怪獣大戦争』に登場したX星人の円盤が描かれている。
  • DVD映像特典の「これがブラックホール第三惑星人だ!!」では、黒沼とムガールや前作に登場した柳川(R1号)が、俳優の睦五朗草野大悟に酷似している点をムガール(声:倉敷保雄)が指摘している。

サイボーグ少女・桂編集

恐龍(チタノザウルス)へ超音波を送る実験を行った際(時系列としては前作以前)に事故死した直後、ブラックホール第3惑星人の手によってサイボーグへ改造された女性。正体は真船博士の娘であり、当初はチタノザウルスを操る目的のみで改造されたが、メカゴジラIIの完成と同時に再改造され、そのコントロール装置を組み込まれる。最後は一之瀬の説得で人間の心を取り戻し、メカゴジラIIを止めるべく自決する。

本公開時の宣材写真には銀ラメの衣装を着けた桂がゴジラやチタノザウルスの横で鞭を手に構えているものが存在するが、劇中ではこのような鞭は使っていない。本作のオーディション当時、藍とも子は特撮テレビドラマ『ウルトラマンレオ』(TBS円谷プロ)にMACの松木晴子隊員役で出演中であったため[注 2]、MAC隊員服のままでオーディションを受けている。

桂の手術シーンでは特殊造形による彼女の乳房が映るが、作り物とはいえ女性の乳房が映るのは、ゴジラ映画では唯一である。その撮影時、藍は「照明の暖かさと撮影準備に時間がかかったこともあって寝入ってしまった」と、BDに収録されたインタビューで語っている。1955年6月に海上日出男による初の総天然映画を予定していた検討用脚本『ゴジラの花嫁?』にも、同様のシーンが存在する[6]。後年、『EXテレビ』でゴジラ特集が組まれた際には、このシーンについて当時の他社のロマンポルノ路線の影響ではないかとの説が唱えられていた[信頼性要検証]

登場兵器・メカニック編集

架空編集

あかつき号
海洋開発研究所所属の海洋調査艇。海底調査用の音波測定器を搭載している。1号は沖縄に沈んだメカゴジラの残骸を調査している最中にチタノザウルスに襲われ、沈没する。その後、チタノザウルスを調査するため、改良した音波測定器を搭載した2号が開発された。最初の準備稿ではバラキューダという名前だった[7]。別の作品で全身銀色で使用されたが、2012年の「館長 庵野秀明特撮博物館 ミニチュアで見る昭和平成の技」では元の配色に塗り直したうえで展示された[8]
超音波発射装置
チタノザウルスが超音波に弱いことを知った海洋開発研究所のメンバーによって、開発された。M20スーパー・バズーカから発射する受信機と、海洋開発研究所のベル 205に搭載された発信機から構成される。ゴジラの劣勢中に完成して使用され、耐え切れなくなったチタノザウルスはコントロールを受け付けなくなってしまう。

実在編集

キャスト編集

※以下ノンクレジット出演者

スタッフ編集

本編編集

特殊技術編集

映像ソフト化編集

  • DVDは前作『ゴジラ対メカゴジラ』とともに、『ゴジラ×メカゴジラ』の公開時期に合わせて2002年11月21日に発売された。字幕表示では、差別用語の部分を使わないよう配慮されている。真船博士の「私をキチガイ扱い……」という台詞が「私のことを信じず……」に変えられている。
    • 2008年3月28日発売のトールケース版「ゴジラ DVDコレクションIII」に収録されており、単品版も同時発売された。
    • 2005年4月22日発売の「GODZILLA FINAL BOX」に収録されている。
    • 2014年5月14日には「ゴジラ60周年記念」として期間限定の廉価版が発売された。
    • 2016年6月15日、<東宝DVD名作セレクション>版発売。
  • BDは2014年7月16日に発売された。

同時上映編集

漫画化作品編集

脚注編集

注釈編集

  1. ^ タイトルに「ゴジラ」の3文字こそ入っているものの、ゴジラ自身のことではない。
  2. ^ チタノザウルスのスーツアクターを務めた二家本辰己も、同じく『ウルトラマンレオ』でウルトラマンレオのスーツアクターを担当している。
  3. ^ オープニングクレジットでは「メカゴジラ」と表記。

出典編集

  1. ^ 『東宝特撮映画大全集』 ヴィレッジブックス、2012年、184 - 187頁。ISBN 9784864910132 
  2. ^ a b c d デビット・キャリシャー「社会的に観たゴジラ映画 -日米を通して-(上)」 『福岡市総合図書館研究紀要』第4号 2004年
  3. ^ BDの映像特典「サイボーグ少女の思い出」より。
  4. ^ 野村宏平 2004, p. 333
  5. ^ 野村宏平 2004, p. 200
  6. ^ 『ゴジラ 東宝特撮未発表資料アーカイヴ プロデューサー・田中友幸とその時代』木原浩勝、清水俊文、中村哲 編、角川書店、2004年、46-81頁。ISBN 978-4-04-854465-8
  7. ^ 東宝チャンピオンまつりパーフェクション 2014, p. 117.
  8. ^ 東宝チャンピオンまつりパーフェクション 2014, p. 172.
  9. ^ a b c d e f g h 中野昭慶 & 染谷勝樹 2014, pp. 466-467

参考文献編集

関連項目編集

外部リンク編集