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国道308号

日本の大阪府から奈良県に至る一般国道

国道308号(こくどう308ごう)は、大阪府大阪市中央区から奈良県奈良市に至る一般国道である。

一般国道
国道308号標識
国道308号
地図
総延長 38.9 km
実延長 38.1 km
現道 33.8 km
制定年 1970年
起点 大阪府大阪市中央区
新橋交差点(地図
主な
経由都市
大阪府東大阪市
奈良県生駒市
終点 奈良県奈良市
三条大路2丁目交差点(地図
接続する
主な道路
記法
国道25号標識 国道25号26号165号重複)
国道479号標識 国道479号
阪神高速13号東大阪線阪神高速13号東大阪線阪神高速13号東大阪線
近畿自動車道近畿自動車道
国道170号標識 国道170号
国道168号標識 国道168号
国道24号標識 国道24号京奈和自動車道(京奈道路)に連絡)
テンプレート(ノート 使い方) PJ道路
国道308号 起点
大阪府大阪市中央区
新橋交差点

概要編集

 
東大阪市のバイパス区間
大阪府東大阪市高井田本通

大阪市と奈良市間(通称、阪奈)を生駒山地暗峠(くらがりとうげ)を越えて、直接的かつ最短ルートで結ぶ国道路線である。東大阪市から奈良市を結ぶ自動車専用道路第二阪奈有料道路も国道308号に指定されており、本路線のバイパス道路にあたる[1]。主に東大阪 - 大阪市内、中央大通と呼ばれる区間は、第一次緊急輸送道路(広域緊急交通路)として指定され、また、地下鉄中央線及び近鉄けいはんな線阪神高速13号東大阪線が並走する等、東西の幹線が少ない大阪の道路において重要な役割を担っている。

暗峠越えの酷道と呼ばれる経路(や旧国道308号部分)は、かつての暗越奈良街道を踏襲しており[2]、石畳のある暗峠の区間は、旧建設省が制定した日本の道100選に選定された道路でもある[3][4]。この現道は、車両のすれ違い通行が困難な急勾配・狭隘路となっており、事実上、沿線住民の生活道路および行楽者のハイキング道として機能している[5]

都市間・長距離・高速移動上の実用面で、阪奈を行き来するために国道308号の現道を通行する利用者はほとんどおらず、並走する阪神高速13号東大阪線 - 第二阪奈有料道路、阪奈道路を利用するドライバーがほとんどである[3]

路線データ編集

一般国道の路線を指定する政令[6][注釈 1]に基づく起終点および経過地は次のとおり。

歴史編集

現在、国道308号に指定されている大坂と奈良の中心市街を結ぶこの道は、奈良時代に切り開かれた「暗越奈良街道」とよばれる平城京難波津を結ぶ道筋を踏襲するもので、大陸と奈良の都を結ぶ文化交流の道としての役割を担った[9]江戸時代には参勤交代路としても使われ、暗峠では俳人松尾芭蕉が暗越を詠んだ句碑も残されており、その道路の歴史性と地元の親愛性が評価されて1986年(昭和61年)に「日本の道100選」にも選ばれている[9]

戦後昭和期になり、1969年(昭和44年)12月4日に道路法に基づく一般国道の追加路線指定で、大阪府・奈良県道大阪枚岡奈良線が昇格するかたちで一般国道308号が指定され、翌1970年(昭和45年)4月1日より施行された。この当時の国道308号は暗越奈良街道の道筋ではなく、2年後の1972年(昭和47年)に奈良 - 大阪間の国道308号の経路指定の変更により現在の道筋となっている。

暗峠越えの狭隘な道路が国道に指定された経緯については、北側で並行する第二阪奈有料道路が一般国道308号の有料バイパス道路として建設される際に、既存の道路を改良する体裁をとるために、暗越奈良街道をダミーとして国道に指定したとする説がいわれている[10]

年表編集

  • 1961年昭和36年) - 十大放射線・三環状線事業により、築港枚岡線(大阪市内部 築港深江線)別名中央大通りとして都市計画道路整備。
  • 1970年(昭和45年)4月1日 - 一般国道308号(大阪府大阪市 - 奈良県奈良市)として指定施行[11]
    • なお、当時国道指定された道筋は東大阪市では現在の大阪府道・奈良県道702号大阪枚岡奈良線で、現在の国道308号とは異なる。当時の終点は奈良市大森町。
  • 1972年(昭和47年)10月1日 - 現在の国道308号道筋が国道指定。旧国道308号は大阪枚岡奈良線として一般府県道に格下げ。
  • 1977年(昭和52年)11月1日 - 1972年3月22日から国道24号だった奈良市尼辻東町(現三条大路1丁目) - 奈良市大森町間が区域変更を受けて指定を外れる[12][13]奈良県道1号奈良生駒線として主要地方道に格下げ。

路線状況編集

 
東大阪市・生駒市境、
暗峠の石畳

第二阪奈有料道路(東大阪市 - 奈良市)と並行する現道は、大阪府と奈良県に跨がる生駒山地暗峠越えの古くからある登山路をそのまま国道に指定しているため、道幅も勾配も自動車走行を意識した道路設計になっていない[14]。関西を代表するいわゆる「酷道」とも評されており[15][1]、暗峠より西の大阪側は、一方通行として規制されている区間があるほどの急斜面と、幅1車線のコンクリート舗装道路の区間があり、対向車とのすれ違いが困難である[3][1]。また、最大斜度31%[注釈 4]ともいわれる国道随一の急坂があったり[17]、かつて通行車両の最大幅1.3 m制限の道路標識[注釈 5]が設置されていたなど、実態として車道としての機能を果たさない道路となる[18]。暗峠の頂上付近、信貴生駒スカイラインと交差するあたりの舗装は石畳になっており、日本の国道では唯一の石畳とされる[15]

大阪市の中心地にある起点・新橋交差点から東へ続く長堀通の区間と、奈良市にある第二阪奈道路の宝来ランプから終点・三条大路2丁目交差点の区間は、交通量が多く幹線道路の趣が強い[19]

一方、法律上国道308号のバイパスにあたる第二阪奈有料道路は、自動車専用道路で一見高速道路に見えるが[10]、道路種別は地域高規格道路に指定されている。

バイパス編集

 
大宮道路
奈良県奈良市三条大路4丁目

通称編集

重複区間編集

狭隘区間編集

 
東大阪市側の狭隘区間入口
一方通行規制を示す標識
大阪府東大阪市豊浦町

東大阪市から奈良市にかけて、自動車どうしでのすれ違い困難な非常に狭い1車線区間がある[20]。沿道には住宅が多く周辺住民にとっては重要な生活道路で相応の交通量があるものの[20]、道端には「道路狭小につき通り抜けご遠慮願います」の看板もある[10]。路面の大部分はコンクリート舗装で、すべり止めのための「○型」の溝が多数刻まれている[5]。東大阪市東豊浦町および、生駒市萩原町 - 小瀬町間の小瀬町西交差点付近の一部区間に、西行きの一方通行規制が敷かれている[21]。民家の間をすり抜けて軒先をかすめるようなところも多く、待避所も設けられていないため、すれ違い困難なところが多い[5]

暗峠の登坂区間は、狭路に加え、急勾配・急カーブで、大阪側よりも奈良県側のほうが比較的緩やかとなる[22]。ただし、冬季は道路が凍結することもあり[23]、その危険度の高さから、自動車運転初心者や運転に自信のない者は、自動車で通らない方がよいとする意見もある[23]

生駒市 - 奈良市宝来間の狭隘区間も集落内や田畑の中の1車線の幅員の道路で、なかでも平地林を通るところで、道の両脇に不法投棄防止のためのフェンスが張り巡らされている区間は、体感的に余計その狭さを感じる[24]

現在ではある程度改修工事が進み、軽自動車も通行困難な狭隘区間は解消している。付け替え後の新道の脇に旧道の残っている部分があるが、そこは軽自動車がようやく通行可能なほどに道幅が狭くなっている。

奈良交通奈良富雄線(近鉄奈良駅 - 尼ヶ辻駅 - 学園前駅)が毎時1・2本運転されており、2018年春まではそれに加え尼ヶ辻駅 - 県総合医療センター間も毎時3本程度運転されており、尼ヶ辻駅付近および、宝来バス停 - 東坂バス停間は狭隘な区間を路線バスが走行する。また尼ヶ辻駅にはバス誘導員が常駐し、狭隘区間を走行するバス同士や誘導員と無線連絡を行ないながら走行している。

地理編集

 
暗峠西側の急坂区間
ホイールスピンによるタイヤ痕が見受けられる

奈良県と大阪府の府県境に南北に走る標高550 mに満たない生駒山地を越えて、奈良市の中心部と大阪の心斎橋を最短距離のルートでほぼ一直線に結ぶ[2][9]。 東大阪市の近鉄奈良線ガード下を越えてからは暗峠(標高455 m)までの区間および、榁木峠(標高270 m)の西側は急坂区間となっている。麓の住宅地から暗峠へは、道幅も狭くなり山の中へと入っていく[2]

とくに暗峠の西側、東大阪市東豊浦町にある勧成院の海抜が100 m、峠の海抜は450 mと高低差が大きい。そのため最大傾斜勾配が31%あり、自動車通行可能な国道としては最も急な坂道ともいわれる[17]。峠から大阪側へ進む際には転がり落ちるような感覚となる[23]。一方、峠から奈良側の勾配は、大坂側と比べてゆるやかである[25]

ただし、標高が低めで舗装が良好ということもあり、車両も少なからず通行するが、急斜面につくられた棚田のそばを通り、弘法大師堂といった古寺や地蔵、石仏も多くあるなどから、子供からお年寄りまで楽しめる格好のハイキングコースにもなっている[2]

通過する自治体編集

交差する道路編集

接続路線図編集

脚注編集

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注釈編集

  1. ^ 一般国道の路線を指定する政令の最終改正日である2004年3月19日の政令(平成16年3月19日政令第50号)に基づく表記。
  2. ^ a b c d e f g 2015年4月1日現在
  3. ^ 重複区間を除く
  4. ^ 最大傾斜37%とする説もある[16]
  5. ^ 佐藤によれば、2014年の著書『ふしぎな国道』のなかで「幅1.3 m制限の標識も設置されているから、ここを通る車はすべて道路交通法違反になる」と言及している。

出典編集

  1. ^ a b c 鹿取茂雄 2018, p. 58.
  2. ^ a b c d 「日本の道100選」研究会 2002, pp. 144–145.
  3. ^ a b c 松波成行 2008, pp. 32–33.
  4. ^ 佐藤健太郎 2015, pp. 137–139.
  5. ^ a b c 渡辺郁麻 2008, pp. 34–37.
  6. ^ 一般国道の路線を指定する政令(昭和40年3月29日政令第58号)”. e-Gov法令検索. 総務省行政管理局. 2015年7月4日閲覧。
  7. ^ a b c d e f g 表26 一般国道の路線別、都道府県別道路現況 (PDF)”. 道路統計年報2016. 国土交通省道路局. p. 17. 2017年5月1日閲覧。
  8. ^ 一般国道の指定区間を指定する政令(昭和33年6月2日政令第164号)”. e-Gov法令検索. 総務省行政管理局. 2015年7月4日閲覧。
  9. ^ a b c 佐藤健太郎 2015, p. 136.
  10. ^ a b c 佐藤健太郎 2015, p. 138.
  11. ^ 一般国道の路線を指定する政令の一部を改正する政令(昭和44年12月4日政令第280号)
  12. ^ 官報第13572号 建設省告示第481号 1972年3月22日 p.11
  13. ^ 官報第15141号 建設省告示第981号 1977年11月1日
  14. ^ 佐藤健太郎 2015, p. 139.
  15. ^ a b 佐藤健太郎 2014, p. 72.
  16. ^ 鹿取茂雄 2018, pp. 58–59.
  17. ^ a b 佐藤健太郎 2014, pp. 150–151.
  18. ^ 佐藤健太郎 2014, pp. 72–73.
  19. ^ 渡辺郁麻 2008, pp. 34, 37.
  20. ^ a b 佐藤健太郎 2015, p. 137.
  21. ^ 渡辺郁麻 2008, pp. 34, 36。このため、東行きは市道などで迂回する必要がある。
  22. ^ 渡辺郁麻 2008, p. 36.
  23. ^ a b c 渡辺郁麻 2008, p. 35.
  24. ^ 渡辺郁麻 2008, p. 37.
  25. ^ 鹿取茂雄 2018, p. 59.

参考文献編集

  • 鹿取茂雄「国道308号〈暗峠〉」『酷道大百科』〈ブルーガイド・グラフィック〉、実業之日本社、2018年12月28日、 58 - 59頁、 ISBN 978-4-408-06392-8
  • 佐藤健太郎『ふしぎな国道』講談社講談社現代新書〉、2014年。ISBN 978-4-06-288282-8
  • 佐藤健太郎『国道者』新潮社、2015年11月25日。ISBN 978-4-10-339731-1
  • 「日本の道100選」研究会『日本の道100選〈新版〉』国土交通省道路局(監修)、ぎょうせい、2002年6月20日。ISBN 4-324-06810-0
  • 松波成行、渡辺郁麻「国道308号」『酷道をゆく』、イカロス出版、2008年3月20日、 32-37頁、 ISBN 978-4-86320-025-8

関連項目編集

外部リンク編集