都市再生特別地区(としさいせいとくべつちく)は都市計画法による地域地区の一つで、都市再生特別措置法(2002年(平成14年)施行)により創設された。同法令により指定された都市再生緊急整備地域内において、都市再生に貢献し既存の用途地域容積率高さなどの規制によらない高度利用(自由度の高い土地の有効活用)を必要とする区域などを対象とするもので、各都道府県都市計画によって決定される。また、提案制度により都市開発事業者が提案することも可能である[1][2]

経緯 編集

小泉内閣が推進した「都市再生」プロジェクトの一環で創設された制度で、民間が進めていた都心部の再開発に対応するものである。 2003年(平成15年)2月に大阪市中央区心斎橋筋1丁目(百貨店そごうの建替え)、名古屋市中村区名駅4丁目(豊田ビル、毎日ビルの共同建替え、ミッドランドスクエアの建設)の特区が告示された。東京都における第1号は、翌年1月に告示された品川区の大崎駅西口(明電舎工場跡地、ThinkParkの整備)であった[3]

定義など 編集

都市計画法
  • 第8条(地域地区)第1項第4号の2
都市再生特別措置法(平成十四年法律第二十二号)第三十六条第一項の規定による都市再生特別地区。
都市再生特別措置法
  • 第36条(都市再生特別地区)
都市再生緊急整備地域のうち、都市の再生に貢献し、土地の合理的かつ健全な高度利用を図る特別の用途、容積、高さ、配列等の建築物の建築を誘導する必要があると認められる区域については、都市計画に、都市再生特別地区を定めることができる。
建築基準法
  • 第60条の2(都市再生特別地区)
都市再生特別地区内においては、建築物の容積率及び建ぺい率、建築物の建築面積(同一敷地内に二以上の建築物がある場合においては、それぞれの建築面積)並びに建築物の高さは、都市再生特別地区に関する都市計画において定められた内容に適合するものでなければならない。(後略)

都市計画に定める事項 編集

  • 地域地区の種類(都市再生特別地区)、位置、区域、面積
  • 建築物その他の工作物(建築物等)の誘導すべき用途(当該地区の指定の目的のために必要な場合)
  • 建築物の容積率の最高限度(400%以上のものに限る)及び最低限度
  • 建築物の建ぺい率の最高限度
  • 建築物の建築面積の最低限度
  • 建築物の高さの最高限度
  • 壁面の位置の制限

都市計画決定現況 編集

本節では都市再生緊急整備地域ごとに都市再生特別地区を列挙する。2018年(平成30年)4月1日時点で、53地域87地区が決定済みである(解除済みは含まず)[4][5]

北海道・東北地方 編集

札幌都心地域 (旧:札幌駅大通駅周辺地域、札幌北4条東6丁目周辺地域)
仙台駅西・一番町地域

関東地方 編集

東京都心・臨海地域 (旧:東京駅有楽町駅周辺地域、環状二号線新橋赤坂六本木地域、東京臨海地域[6]
秋葉原神田地域
新宿駅周辺地域
大崎駅周辺地域
渋谷駅周辺地域
横浜山内ふ頭地域
横浜都心・臨海地域
千葉駅周辺地域
  • 千葉駅西口地区

中部地方 編集

岐阜駅北・柳ヶ瀬通周辺地域
  • 日ノ出町二丁目地区
浜松駅周辺地域
  • 浜松駅前旭・砂山地区
  • ※鍛冶町地区は2011年(平成23年)4月1日廃止 [8]
名古屋駅周辺・伏見地域 (旧:名古屋駅東地域)
  • ささしまライブ24地区
  • 名駅一丁目1番地区
  • 名駅三丁目27番地区
  • 名駅四丁目7番地区
  • 名駅四丁目10番地区
  • 名駅四丁目27番地区

近畿地方 編集

大阪駅周辺・中之島御堂筋周辺地域
難波湊町地域
阿倍野地域
大阪城公園周辺地域
高槻駅周辺地域
  • 大学町地区
神戸三宮駅周辺・臨海地域 (旧:神戸三宮駅南地域)
  • 三宮駅前第1地区
  • 新港町西地区

中国・四国・九州地方 編集

広島駅周辺地域
  • 広島駅南口Bブロック
  • 広島駅南口Cブロック
  • 若草町第一地区、第二地区
高松駅周辺・丸亀町地域
  • 高松丸亀町商店街A街区及び内町街区
  • 高松丸亀町商店街G街区
小倉駅周辺地域
  • 小倉駅南口東

脚注 編集

参考文献・資料 編集

関連項目 編集

外部リンク 編集