栄 (名古屋市)

愛知県名古屋市中区の町名

(さかえ)は、愛知県名古屋市中区の町名。現行行政地名は、栄一丁目から五丁目。名古屋市および中部地方最大の繁華街ビジネス街である。

オアシス21中部電力 MIRAI TOWER(名古屋テレビ塔)の夜景(2021年
栄の位置(愛知県内)
栄
栄の位置
栄の位置(名古屋市内)
栄
栄 (名古屋市)
北緯35度10分2.41秒 東経136度54分15.32秒 / 北緯35.1673361度 東経136.9042556度 / 35.1673361; 136.9042556
日本の旗 日本
都道府県 愛知県の旗 愛知県
市町村 名古屋市
中区
町名制定[1] 1966年3月30日
面積
 • 合計 1.421504415 km2
標高 12 m
人口
 • 合計 10,629人
 • 密度 7,500人/km2
等時帯 UTC+9 (日本標準時)
郵便番号
460-0008[WEB 3]
市外局番 052 (名古屋MA)[WEB 4]
ナンバープレート 名古屋
※標高は栄3丁目付近
希望の泉名古屋テレビ塔の夜景

繁華街の範囲は、栄交差点および名古屋市営地下鉄栄駅名鉄瀬戸線栄町駅を中心に、久屋大通矢場町交差点など広範囲に及び、住所上は栄三丁目・四丁目、錦三丁目(錦三)、東区東桜一丁目などが該当する。

概要 編集

 
栄地区の夜景

中区の中央部に位置し、中村区名駅名古屋駅周辺の地域)と共に名古屋を代表する繁華街ビジネス街であり、繁華街としての規模は中部地方最大および国内屈指である。東西方向の広小路通と南北方向の大津通が交わる栄交差点を中心に一大商業エリアを形成する地域で、名古屋市の都心中心業務地区(CBD)。道路が広く整備されていることを利用し、休日や世界コスプレサミットなどのイベント時には歩行者天国などで道路を開放することがある(後述)[WEB 5]

大津通と並行して“100メートル道路”として有名な久屋大通が南北に通っており、矢場町から栄を抜けて外堀通までは久屋大通公園として整備されている。この公園内では週末を中心にイベントが盛んに行われている[WEB 6]。名古屋のランドマークとしてよく知られる名古屋テレビ塔は公園内に位置しており、夜間にはライトアップが行われるなど街を彩っている。隣接地には飲食店街やバスターミナルを併設した立体公園の「オアシス21」、愛知県美術館愛知県芸術劇場で構成される大型文化施設「愛知芸術文化センター」が立地する。

地元の老舗百貨店である松坂屋や、三越のほか、栄交差点から南側の矢場町若宮大通)方面にかけてパルコナディアパークラシックなどの大型商業施設(ファッションビル)が続く。特に久屋大通公園西側を走る大津通の栄交差点から矢場町交差点を南北に結ぶエリアは、海外高級ブランドの路面店やインテリアショップや高級家具店が進出しており、「名古屋のメインストリート」である。若宮大通の南側には、電気街・観光地として有名な大須が位置している。

また、栄交差点を取り囲むように錦三(きんさん:栄交差点北西側)、女子大小路栄ウォーク街:栄交差点南東側)、住吉七間町通:栄交差点南西側)、プリンセス大通り(呉服町通:栄交差点南西側)といった名古屋を代表する歓楽街が存在し、夜も賑わいを見せる。広小路通に並行する錦通には地下鉄東山線や久屋大通には、地下鉄名城線名鉄瀬戸線の各駅が存在し、これらを中心として森の地下街(地下鉄駅コンコース)、サカエチカ広小路通下)、セントラルパーク地下街(久屋大通公園北部地下)などが連結し、広大な地下街を形成している。また、久屋大通公園南部の地下は、市営久屋駐車場、エンゼルパークなどの巨大立体駐車場として整備されており、車社会の名古屋に対応している。

JRセントラルタワーズやその核店舗となるJR名古屋高島屋開業を機に、2000年代以降商業・ビジネス街として台頭した名駅(名古屋駅一帯)に対抗するため、百貨店の丸栄跡地や久屋大通、名古屋テレビ塔などで再開発が進められている[WEB 7]2020年には名古屋テレビ塔と久屋大通公園北エリアの大規模再開発が完了し、久屋大通公園は商業施設を併設した開放的な都市公園である「ヒサヤオオドオリパーク」としてリニューアルされた。

地理 編集

 
隣接する東区東桜方面

町名としての栄は、1966年以降の合計3回にわたる住居表示の実施により、東端は空港線、西端は堀川、南端は若宮大通、北端は広小路通に囲まれた地区一帯に栄一丁目から栄五丁目として成立した[3]

一般的に「栄」と呼ばれるのは、住居表示施行前に栄町(さかえまち)という町名であった栄交差点を中心としたエリアである。このことから、かつては「さかえまち」の呼称も広く用いられていたが、現在は「さかえ」が一般的となっている。北に隣接する東区東桜、さらに錦の北に隣接する丸の内の南側、東区の一部なども、町名が栄ではなくても栄と呼ばれることが多い。一方で、伏見駅・広小路伏見交差点周辺の栄一丁目、栄二丁目は伏見(旧町名の伏見町および南伏見町に由来)、矢場町駅・矢場町交差点周辺の栄三丁目南部や栄五丁目は矢場町と、旧町名・交差点名で呼ばれる地域もある。

このように栄地区は広範囲であることから、そこに含まれる各エリアには多くの通称が存在する。広小路久屋大通大津通などの通りの名を用いて呼ぶほか、栄地区三大歓楽街である錦三(きんさん)、女子大小路住吉などの夜の歓楽街の名称で呼ぶ地区もある。また、『ホットペッパー』の記事などでは、大阪市の「キタ」「ミナミ」のように、地区を分けて呼ぶこともある。

広域で言えば、広小路通を東に下った歓楽街の東新町交差点周辺も栄エリアに含まれることがある(例:キング観光サウザンド東新町店。正式な所在地は新栄一丁目)。

世帯数と人口 編集

2019年平成31年)2月1日現在の世帯数と人口は以下の通りである[WEB 2]

丁目 世帯数 人口
栄一丁目 2,895世帯 4,257人
栄二丁目 815世帯 1,240人
栄三丁目 809世帯 1,143人
栄四丁目 678世帯 884人
栄五丁目 2,286世帯 3,105人
7,483世帯 10,629人

人口の変遷 編集

国勢調査による人口の推移

1995年(平成7年) 6,764人 [WEB 8]
2000年(平成12年) 7,139人 [WEB 9]
2005年(平成17年) 8,061人 [WEB 10]
2010年(平成22年) 9,272人 [WEB 11]
2015年(平成27年) 9,958人 [WEB 12]

学区 編集

市立小・中学校に通う場合、学校等は以下の通りとなる[WEB 13]。また、公立高等学校に通う場合の学区は以下の通りとなる[WEB 14]。なお、小・中学校は学校選択制度を導入しておらず、番毎で各学校に指定されている。

丁目 小学校 中学校 高等学校
栄一丁目 名古屋市立栄小学校 名古屋市立前津中学校 尾張学区
栄二丁目
栄三丁目
栄四丁目 名古屋市立栄小学校
名古屋市立新栄小学校
名古屋市立老松小学校
名古屋市立前津中学校
名古屋市立白山中学校
栄五丁目 名古屋市立栄小学校
名古屋市立大須小学校
名古屋市立新栄小学校
名古屋市立老松小学校

歴史 編集

 
栄広小路にあった日清戦争戦没記念碑(覚王山日泰寺に移築)。

江戸時代初期、清洲越しにより尾張藩名古屋城城下町が整備された際、栄地区は城下の南東端にあたる地域であった。城下から飯田街道への出口にあたる。

徳川家康が名古屋城を築城した後、万治の大火に見舞われたが、碁盤割地域の南端に位置していた堀切筋を拡幅し、それを「広小路」と呼んだという。やがて広い道筋に人が集まり、寺が開かれ、売店や見世物小屋も軒を連ねるようになるようになった[WEB 15]

明治に入り、栄地区に県庁・学校などの官公施設や銀行・料亭などの商業施設が作られるようになった。また、広小路通沿いに路面電車が開通すると、町として大きく開け、次第に繁華街を形成するようになった。1902年には広小路通が千種方面に延伸整備されると、名古屋東部の郊外地域への交通の便も向上した。1910年、いとう呉服店(松坂屋の前身)が移転開業し、1915年には百貨店十一屋丸栄の前身)が開業した。

第二次世界大戦末期には、2年に満たない期間だけではあるが、現在の中区の北半分に栄区が設置されたことがある[WEB 16]。戦後、復興計画として久屋大通錦通の大通りを整備し、その後、そこに公園・地下鉄・地下街といった公共施設を整備することにより、栄地区は名古屋の商業の中心地として大きく発展してきた。

近年は栄公園の整備などが行われたが、名駅地区の発展が目覚しく、栄地区は名古屋の中心地としての地位はいまだ揺るがないものの、今後の活性化策が模索されている。

町名の由来 編集

地区内の旧町名のうち、比較的知名度の高い栄町からとって「栄」とした[3]。栄町の由来は、明暦年間(1655〜1658年)頃から栄村(さこむら、のちの中村区栄生町)の住民が店を出して商売をするようになったことによるという[4]

沿革 編集

栄町 編集

  • 1878年(明治11年)12月28日 - 広小路片町の改称により、名古屋区栄町が成立[1]
  • 1889年(明治22年)10月1日 - 名古屋市成立により、同市栄町となる[1]
  • 1908年(明治41年)4月1日 - 中区成立により、同区栄町となる[1]
  • 1944年(昭和19年)2月11日 - 栄区成立により、同区栄町となる[1]
  • 1945年(昭和20年)11月3日 - 栄区廃止により、中区栄町となる[1]
  • 1966年(昭和41年)3月30日 - 一部が中区栄二丁目・栄三丁目[1]および二丁目[5]にそれぞれ編入される。
  • 1969年(昭和44年)10月21日 - 一部が栄三丁目に編入される[1]
  • 1976年(昭和51年)1月18日 - 残部が栄三丁目・錦三丁目にそれぞれ編入され消滅[1]

栄一丁目〜栄五丁目 編集

歩行者天国 編集

 
大津通歩行者天国2018年

1970年(昭和45年)9月から、大津通の栄交差点と矢場町交差点の間(通称・南大津通)で「なごや日曜遊歩道」と称した歩行者天国が実施されていた[WEB 5]が、違法駐車の増加などもあって1984年(昭和59年)9月に中止された[WEB 5][WEB 17]

近年になって街の活性化を図るべく歩行者天国の再開が検討され、2011年(平成23年)9月18日から試験実施が行われた[WEB 5][WEB 18]。9月18日から11月13日までの毎週日曜日10月16日以外)に実施し、その状況を見て今後の本実施の可否が決定するとされた。

その結果、2012年4月15日から本格的に実施されることが決定した。試験実施時には禁止されていた路上パフォーマンスや飲食物販売も行われることになっている[WEB 19]。2013年(平成25年)から2016年(平成28年)までは毎年5月下旬 - 6月上旬の日曜日に「SAKAEコスプレフェスティバル」と称した総務省東海総合通信局東海テレビ主催による路上コスプレイベントが開催されていた。2017年(平成29年)からは主催が世界コスプレサミットに交代し「ホココス」として開催されており、春と秋の年2回開催に拡大している。

なお、自転車での通行は禁止である(押して歩くことは可能)。

交通 編集

 
テレビ塔と地下街セントラルパークの入口
 
オアシス21
 
栄駅7番出口

鉄道 編集

名古屋市営地下鉄
名鉄

バス 編集

リムジンバス
高速バス
  • 名古屋駅発着の一部路線が栄も経由している。
一般路線バス

道路 編集

主な通り

主な施設 編集

栄一丁目 編集

略地図
1
朝日会館・ヒルトン名古屋
2
リッチモンドホテル名古屋納屋橋
3
テラッセ納屋橋
4
トーエネック本社
5
グランドメゾン御園座タワー
6
名古屋市立栄小学校
7
名古屋市中スポーツセンター

栄二丁目 編集

略地図
1
日土地名古屋ビル
2
三井住友海上しらかわホール
3
電気文化会館(でんきの科学館)
4
名古屋商工会議所
5
白川公園
6
名古屋市科学館
7
名古屋市美術館
9
名古屋広小路ビルヂング
10
アーク白川公園ビルディング

栄三丁目 編集

略地図
1
丸善名古屋本店
2
Maruei Galleria(マルエイ ガレリア)
3
スカイル
4
名古屋三越栄店
5
ラシック
6
松坂屋名古屋店
7
名古屋パルコ
8
名古屋ZERO GATE
9
フライングタイガーコペンハーゲン名古屋栄ストア
10
ナディアパーク
11
矢場公園
12
アサヒドーカメラ
13
名古屋栄ワシントンホテルプラザ
14
中京銀行本店
15
愛知銀行本店
16
名古屋栄郵便局
17
若宮八幡社
18
セントライズ栄
19
ウォンツ本社
20
株式会社セントラルジャパン
21
名古屋証券取引所

栄四丁目 編集

略地図
1
中部日本ビルディング
2
中区役所(栄サンシティビル)
3
日本経済新聞名古屋支社
4
名古屋東急ホテル
6
宗次ホール

五丁目 編集

略地図
1
NTT西日本中ビル(NTTネオメイト東海支店)
2
成田山萬福院
3
徳照寺
4
名古屋観光専門学校・名古屋ビジュアルアーツ専門学校
5
中部電力南武平町変電所
6
専門学校名古屋スクール・オブ・ビジネス

その他 編集

日本郵便 編集

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ a b 基幹バスも含む。

WEB 編集

  1. ^ 愛知県名古屋市中区の町丁・字一覧”. 人口統計ラボ. 2019年2月27日閲覧。
  2. ^ a b 町・丁目(大字)別、年齢(10歳階級)別公簿人口(全市・区別)”. 名古屋市 (2019年2月20日). 2019年2月20日閲覧。
  3. ^ a b 郵便番号”. 日本郵便. 2019年2月10日閲覧。
  4. ^ 市外局番の一覧”. 総務省. 2019年1月6日閲覧。
  5. ^ a b c d 南大津通歩行者天国”. 栄ミナミWEB (2011年9月13日). 2011年9月18日閲覧。
  6. ^ 久屋大通公園 |名古屋イベント”. event.xtone.jp. 2020年2月14日閲覧。
  7. ^ “【クリック】栄地区で再開発ラッシュ/名古屋随一の繁華街 復権なるか”. 日本経済新聞朝刊. (2019年7月15日). https://www.nikkei.com/article/DGXMZO47179240Q9A710C1ML0000/ 2019年7月23日閲覧。 
  8. ^ 総務省統計局 (2014年3月28日). “平成7年国勢調査の調査結果(e-Stat) - 男女別人口及び世帯数 -町丁・字等” (CSV). 2019年4月27日閲覧。
  9. ^ 総務省統計局 (2014年5月30日). “平成12年国勢調査の調査結果(e-Stat) - 男女別人口及び世帯数 -町丁・字等” (CSV). 2019年4月27日閲覧。
  10. ^ 総務省統計局 (2014年6月27日). “平成17年国勢調査の調査結果(e-Stat) - 男女別人口及び世帯数 -町丁・字等” (CSV). 2019年4月27日閲覧。
  11. ^ 総務省統計局 (2012年1月20日). “平成22年国勢調査の調査結果(e-Stat) - 男女別人口及び世帯数 -町丁・字等” (CSV). 2019年4月27日閲覧。
  12. ^ 総務省統計局 (2017年1月27日). “平成27年国勢調査の調査結果(e-Stat) - 男女別人口及び世帯数 -町丁・字等” (CSV). 2019年4月27日閲覧。
  13. ^ 市立小・中学校の通学区域一覧”. 名古屋市 (2018年11月10日). 2019年1月14日閲覧。
  14. ^ 平成29年度以降の愛知県公立高等学校(全日制課程)入学者選抜における通学区域並びに群及びグループ分け案について”. 愛知県教育委員会 (2015年2月16日). 2019年1月14日閲覧。
  15. ^ 名古屋の街 歴史と今”. 住まいのお役立ち記事. 2020年2月14日閲覧。
  16. ^ 名古屋市:中区のあゆみ(中区)”. www.city.nagoya.jp. 2020年2月14日閲覧。
  17. ^ “名古屋・栄の南大津通、歩行者天国27年ぶり復活”. Sponichi Annex. (2008年8月22日). http://www.sponichi.co.jp/society/news/2011/08/22/kiji/K20110822001464660.html 2011年9月18日閲覧。 
  18. ^ “27年ぶりの歩行者天国、名古屋・栄の南大津通、本日から”. サカエ経済新聞. (2008年9月18日). http://sakae.keizai.biz/headline/1620/ 2011年9月18日閲覧。 
  19. ^ “栄の歩行者天国が本格実施へ”. NHK・愛知県のニュース. (2012年3月16日). http://www3.nhk.or.jp/nagoya/lnews/3003741211.html 2012年3月16日閲覧。 
  20. ^ 郵便番号簿 平成29年度版 - 日本郵便. 2019年02月26日閲覧 (PDF)

書籍 編集

  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n 名古屋市計画局 1992, p. 783.
  2. ^ hyoukou ichiran.com”. 2023年2月10日閲覧。
  3. ^ a b 名古屋市計画局 1992, p. 301.
  4. ^ 名古屋市計画局 1992, p. 304.
  5. ^ 名古屋市計画局 1992, p. 781.
  6. ^ 名古屋市計画局 1992, p. 788.

参考文献 編集

  • 名古屋市計画局『なごやの町名』名古屋市計画局、1992年。全国書誌番号:93012879 

関連項目 編集

外部リンク 編集