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ザ・ビートルズ (アルバム)

ビートルズのアルバム

『ザ・ビートルズ』("The Beatles")は、イギリスにおいて1968年11月22日に発売されたビートルズの10作目[注釈 1] のオリジナル・アルバムである。

ザ・ビートルズ
ビートルズスタジオ・アルバム
リリース
録音 1968年5月30日 - 10月14日
ジャンル ロックポップ
時間
レーベル アップル・レコードパーロフォンEMI
PCS7067-8 (stereo)
PMC7067-8 (monaural)
プロデュース ジョージ・マーティン
専門評論家によるレビュー
チャート最高順位
  • 1位(Billboard 200[1]UKチャート[2]
    ケント・ミュージック・レポート
  • 4位(オリコン1987年盤)
  • 6位(オリコン2018年盤)[3]
  • ビートルズ U.K. 年表
    サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド
    (1967年)
    ザ・ビートルズ
    (1968年)
    イエロー・サブマリン
    (1969年)
    ビートルズ U.S. 日本 年表
    マジカル・ミステリー・ツアー
    (1967年)
    ザ・ビートルズ
    (1968年)
    イエロー・サブマリン
    (1969年)
    テンプレートを表示

    アメリカレコード協会(RIAA)に2019年現在、アメリカでの売り上げ枚数は2400万枚で、歴代4位として認定されている(2枚組アルバムとしては歴代1位。ただし後述にあるように、RIAAでは2枚組のアルバムは1セットで「2枚売れた」と認定されるので、実質的には1200万セットのセールス)[4]

    解説編集

    概要編集

    ビートルズ唯一の2枚組オリジナル・アルバムで、このアルバムからビートルズ自身が設立したアップル・レコードからアルバムもリリースされるようになった(レコードプレスや販売はそれまで所属していたキャピトル・レコードが継続して行った)。イギリスの画家リチャード・ハミルトン[5]ポール・マッカートニー[6]によってデザインされたアルバムジャケットは白一色で、そのジャケットのイメージから『ホワイト・アルバム』という俗称で呼ばれることが多い。当初、アルバム・タイトルは、ヘンリック・イプセンの『人形の家』に肖り、「A Doll's House」というタイトルだったが、1968年7月ファミリーが『ミュージック・イン・ア・ドールズハウス英語版』というタイトルのアルバムでデビューししたため、現行のセルフ・タイトルに変更された[7]

    2枚組30曲入り、総収録時間は約90分というヴォリュームでかつ多種多様な楽曲が収録されており、現代音楽の全ての要素が詰まっていると評されるほど多彩な作品が集められている。前作まででみられたサイケデリックな雰囲気は薄くなり、バンド・サウンドを活かしたシンプルなアレンジが施された楽曲が多くなった。しかしながらソロ作品の集合体といった趣もあり、全体としてのまとまりに欠けると評されることもある。

    収録曲の多くは、1968年2月から4月にかけてインドリシケーシュにてマハリシ・マヘーシュ・ヨーギーの元で瞑想修行を行っていた頃に書かれており、この時に書かれた楽曲は全部で約40曲ほど存在する[8][9]5月ジョージ・ハリスンの自宅にメンバー全員が集まり、その中から26曲のデモ・テープ(通称『イーシャー・デモ』と呼ばれている)が録音され[10][注釈 2]、その後本格的なレコーディングがスタートした。

    レコーディング開始当初はそれまでと同じ4トラック・レコーダーを2台連動させる方法で録音していたが、途中から8トラック・レコーダーが導入されたことにより、4人が同時に演奏する必要が無くなり、メンバーが個別[注釈 3]レコーディングしたものが多くなる。また、プロデューサージョージ・マーティンは、『収録曲を絞って、1枚のアルバムで出した方がいい』という考えだったが、最終的にはメンバーの主張が押し通された。ジョージ・ハリスンの作品「ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス」にはエリック・クラプトンリードギターで参加した。また、レコーディングの期間中リンゴ・スターが一時グループを脱退(厳密には「レコーディングをボイコットした」という言い方の方が近い)したエピソードがあったことから、ビートルズ崩壊の始まりと言われる作品でもある[注釈 4]。ポールはビデオ版『アンソロジー』の中で「このアルバムは脈絡がないだとか、ソロの曲ばっかりだとか言われるけど、後から色々言うのは簡単さ。ビートルズのホワイト・アルバムだぞ。黙れってんだ」と語っている。

    当時の英国盤レコード番号:Apple PMC 7067-8(モノラル盤)/PCS 7067-8(ステレオ盤)、当時の英国盤にはモノラル盤とステレオ盤の2種類があり、このアルバムではステレオとモノラル間でのミキシングに違いのある曲が多い。米国盤はこのアルバムからステレオ盤のみの発売となり、モノラル盤はリリースされていない。

    セールス編集

    イギリスの「ミュージック・ウィーク」誌では、計8週間第1位を獲得[2]。アメリカの「ビルボード」誌では、計9週間第1位を獲得し[1]、1969年度年間ランキングでは第9位を記録している。70年代以降、アルバム・チャートに何度かランキングされている。全米レコード協会(RIAA)の売り上げ枚数の認定によると2000年11月までのアメリカ国内での累計売り上げ数は900万セット(RIAAの認定では2枚組の場合は「1セットで2枚売れた」と見なしているので枚数としては1800万枚の売り上げとなる。)のセールスを記録している。「キャッシュボックス」誌では、計12週間第1位を獲得し、1969年度年間ランキングでは第4位を記録している。2枚組のアルバムとしてはアメリカで最も売り上げた作品である。Rolling Stone's 500 Greatest Albums of All Time』(Wenner Books 2005)では10位にランクされている[11]

    アルバム・ジャケット編集

    サイケデリック調の派手なデザインのジャケットが多かった当時、真っ白なジャケットにタイトルをエンボス加工し、通し番号が振られたジャケット[注釈 5]は逆に新鮮なものであった。映像版アンソロジーでのポール・マッカートニーの発言によれば、ジョンが通し番号「No.0000001」を所有していたとされる[注釈 6]

    当初ジャケット写真にはスコットランドの画家ジョン・バーンが手がけたイラストが使用されることになっていたが、最終的に本作では使用されず、1980年に発売された編集盤『ビートルズ バラード・ベスト20』のジャケットに使用された[7]。2012年にこのイラストがオークションにかけられている[12]。この他には、メンバー4人の顔がイギリス海峡に彫られたデザインが考案され、こちらは海賊盤で使用されている[7]

    前作『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』同様、アルバムには付録がありメンバー4人の個別のポートレイトカード、裏面に楽曲の歌詞が印刷された様々な写真を散りばめたコラージュ・ポスターが添えられていた。こうした措置は前作に引き続いて、難解になっていく自分たちの歌詞を少しでも聴き手に理解してもらおうという試みでもある。

    50周年記念アニバーサリー・エディション編集

    アルバムリリースから50周年を記念して2018年11月9日に50周年記念スペシャル・エディションが発売された[13]。ビートルズのオリジナル・アルバムが特別仕様で発売されるのは、2017年の『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』に次いで2作目となる。

    2LP、4LPデラックス・エディション、3CDデラックス・エディション、スーパー・デラックス・エディション(6CD+Blu-ray Disc)の4形態でのリリース。

    ディスク1と2には、ジャイルズ・マーティンサム・オケルによる最新ステレオ・ミックスと5.1サラウンド・ミックスを収録。リミックスは2017年に発売された『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド 50周年記念アニバーサリー・エディション』とは異なり、1968年に発売されたオリジナル・ステレオ・ミックスを基にして制作された[13]

    ディスク3(4LPデラックス・エディションではディスク3と4)はレコーディングが始まる前に、ジョージの自宅にメンバーが集まってデモ録音された、通称「イーシャー・デモ」が収録されている。

    スーパー・デラックス・エディションは一見するとメンバーのポートレイトが表紙に印刷されているように見えるが、実際には透明なプラスチック製の外カバーにメンバーのポートレートが印刷されており、ブックレット本体はオリジナルと同じく真っ白で、初回プレスに準えて7桁のナンバリングが施されており、1968年のオリジナル発売当時のLPに封入されていたポートレイトとポスターの復刻版(写真の解像度はオリジナルの物よりも上がっている)が封入されており、メンバーによる手書きの歌詞やメモ、レコーディング・シートなどの文字資料も含まれている。また、内ジャケットの4人の写真はオリジナルに変わって、2009年のリマスター時に使われた、別テイクの写真が使われている。この写真はオリジナル盤では、ポール以外の3人がバストショットであるのに対して、ポールだけ写真いっぱいに顔が写っているが、別テイクでは全員がバストショットの写真になっている。

    収録曲編集

    特記を除き、作詞作曲はレノン=マッカートニーによるもの。

    オリジナル収録曲編集

    アナログA面
    #タイトル作詞・作曲リード・ボーカル時間
    1.バック・イン・ザ・U.S.S.R.(Back In The U.S.S.R.) ポール・マッカートニー
    2.ディア・プルーデンス(Dear Prudence) ジョン・レノン
    3.グラス・オニオン(Glass Onion) ジョン・レノン
    4.オブ・ラ・ディ、オブ・ラ・ダ(Ob-La-Di, Ob-La-Da) ポール・マッカートニー
    5.ワイルド・ハニー・パイ(Wild Honey Pie) ポール・マッカートニー
    6.ザ・コンティニューイング・ストーリー・オブ・バンガロー・ビル(The Continuing Story Of Bungalow Bill) ジョン・レノン
    オノ・ヨーコ
    7.ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス(While My Guitar Gently Weeps)ジョージ・ハリスンジョージ・ハリスン
    8.ハッピネス・イズ・ア・ウォーム・ガン(Happiness Is A Warm Gun) ジョン・レノン
    合計時間:
    アナログB面
    #タイトル作詞・作曲リード・ボーカル時間
    9.マーサ・マイ・ディア(Martha My Dear) ポール・マッカートニー
    10.アイム・ソー・タイアード(I'm So Tired) ジョン・レノン
    11.ブラックバード(Blackbird) ポール・マッカートニー
    12.ピッギーズ(Piggies)ジョージ・ハリスンジョージ・ハリスン
    13.ロッキー・ラクーン(Rocky Raccoon) ポール・マッカートニー
    14.ドント・パス・ミー・バイ(Don't Pass Me By)リチャード・スターキーリンゴ・スター
    15.ホワイ・ドント・ウィー・ドゥー・イット・イン・ザ・ロード(Why Don't We Do It In The Road?) ポール・マッカートニー
    16.アイ・ウィル(I Will) ポール・マッカートニー
    17.ジュリア(Julia) ジョン・レノン
    合計時間:
    アナログC面
    #タイトル作詞・作曲リード・ボーカル時間
    1.バースデイ(Birthday) ポール・マッカートニー
    ジョン・レノン
    2.ヤー・ブルース(Yer Blues) ジョン・レノン
    3.マザー・ネイチャーズ・サン(Mother Nature's Son) ポール・マッカートニー
    4.エブリボディーズ・ゴット・サムシング・トゥ・ハイド・エクセプト・ミー・アンド・マイ・モンキー(Everybody's Got Something To Hide Except Me And My Monkey) ジョン・レノン
    5.セクシー・セディー(Sexy Sadie) ジョン・レノン
    6.ヘルター・スケルター(Helter Skelter) ポール・マッカートニー
    7.ロング・ロング・ロング(Long, Long, Long)ジョージ・ハリスンジョージ・ハリスン
    合計時間:
    アナログD面
    #タイトル作詞・作曲リード・ボーカル時間
    8.レボリューション1(Revolution 1) ジョン・レノン
    9.ハニー・パイ(Honey Pie) ポール・マッカートニー
    10.サボイ・トラッフル(Savoy Truffle)ジョージ・ハリスンジョージ・ハリスン
    11.クライ・ベイビー・クライ隠しトラック「Can You Take Me Back?」(Cry Baby Cry) ジョン・レノン
    ポール・マッカートニー(Can You Take Me Back?)
    12.レボリューション9(Revolution 9) [注釈 8]
    13.グッド・ナイト(Good Night) リンゴ・スター
    合計時間:

    50周年記念ボックス・セット収録曲編集

    関連文献編集

    脚注編集

    注釈編集

    1. ^ 1987年のCD化においてイギリス盤公式オリジナル・アルバムと同等の扱いを受けたアメリカ・キャピトルレコード編集アルバムの『マジカル・ミステリー・ツアー』が、2009年9月9日にリリースされたデジタルリマスター盤において発売日順に従い9作目に順番付けられた。これにより1順番押し出されて現在10作目とされている。しかし、イギリス盤公式オリジナル・アルバムとしては9作目である。
    2. ^ 『イーシャー・デモ』は『ザ・ビートルズ・アンソロジー3』や『ザ・ビートルズ 50周年記念エディション』に収録されている。
    3. ^ 全員が演奏に参加している曲でも、各メンバーの録音時期が異なるケースも多い。
    4. ^ ただしリンゴ・スター自身は前アルバムよりも本アルバムの制作の方が楽しかったと語っている
    5. ^ 当時の英国盤や日本盤、初期米国盤などで、番号の振られ方の形態には複数のパターンが存在する。リマスター盤CDの初期盤ではエンボス加工されているが通し番号はなし。米国再発盤や1987年の初CD化当時ではグレーの文字でタイトルが印刷されていて、初回プレス盤のみ通し番号が振られており、CD盤自体も白色になっている。
    6. ^ 現在はリンゴが所有している。ちなみにポールは「No.0000003」を所有している。
    7. ^ 「Can You Take Me Back?」も含む。
    8. ^ ジョン・レノンとジョージ・ハリスンとオノ・ヨーコのおしゃべり、そしてジョージ・マーティンとアリステア・テイラー(アップル社のオフィス・マネージャー)の会話が入っている。

    出典編集

    [ヘルプ]
    1. ^ a b The Beatles – Chart history”. Billboard. 2018年11月14日閲覧。
    2. ^ a b The Beatles" > "Albums”. Official Charts Company. 2018年11月14日閲覧。
    3. ^ ザ・ビートルズ(ホワイト・アルバム)<スーパー・デラックス・エディション>|ザ・ビートルズ”. ORICON NEWS. オリコン. 2019年8月11日閲覧。
    4. ^ Gold & Platinum” (英語). RIAA. 2019年4月12日閲覧。
    5. ^ Lewisohn, Mark (1988). The Beatles Recording Sessions. New York: Harmony Books. p. 163. ISBN 0-517-57066-1. 
    6. ^ Miles, Barry; Scott, Grant; Morgan, Johnny (2008). The Greatest Album Covers of All Time. Anova. p. 50. ISBN 978-1-84340-481-1. 
    7. ^ a b c “ザ・ビートルズ『ホワイト・アルバム』が持つデザインの革新性と使われなかったアートワーク”. uDiscoverJP (ユニバーサル ミュージック合同会社). (2018年12月5日). https://www.udiscovermusic.jp/stories/the-white-album-by-design 2019年8月24日閲覧。 
    8. ^ Norman, Philip (1996) [1981]. Shout!: The Beatles in Their Generation. New York, NY: Fireside. p. 322,340. ISBN 0-684-83067-1. 
    9. ^ Schaffner, Nicholas (1978). The Beatles Forever. New York, NY: McGraw-Hill. p. 95,111. ISBN 0-07-055087-5. 
    10. ^ MacDonald, Ian (1997). Revolution in the Head: The Beatles' Records and the Sixties (First Revised ed.). Pimlico/Random House. p. 244. ISBN 978-0-7126-6697-8. 
    11. ^ 500 Greatest Albums of All Time: The Beatles, 'The White Album'”. Rolling Stone (2012年5月31日). 2012年5月31日時点のオリジナル[リンク切れ]よりアーカイブ。2012年6月25日閲覧。
    12. ^ Lot 371: • JOHN BYRNE (b.1940) THE BEATLES Oil on canvas”. Great Western Auctions (2012年12月1日). 2018年11月15日閲覧。
    13. ^ a b ザ・ビートルズ、ホワイト・アルバム50周年記念盤が登場”. BARKS. ジャパンミュージックネットワーク株式会社 (2018年9月25日). 2018年9月30日閲覧。

    外部リンク編集