テレンス・マリック
テレンス・マリック (Terrence Malick, 1943年11月30日 - ) は、アメリカ合衆国の映画監督、脚本家、プロデューサーである。
テレンス・マリック Terrence Malick | |
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本名 | Terrence Frederick Malick |
生年月日 | 1943年11月30日(76歳) |
出生地 |
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職業 | 映画監督、脚本家、プロデューサー |
ジャンル | 映画 |
活動期間 |
1969年 - 1978年 1998年 - |
配偶者 |
ジル・ジェイク (1970年 - 1976年) ミシェル・マリー・モレット (1985年 - 1996年) アレクサンドラ・ウォレス (1998年 - ) |
主な作品 | |
『天国の日々』 『シン・レッド・ライン』 『ツリー・オブ・ライフ』 | |
生い立ち編集
1943年11月30日、イリノイ州オタワで地質学者エミール・A・マリックの息子として生まれた。父方の祖父母はアッシリア系のキリスト教移民である。テキサス州ウェーコとオクラホマ州で育った。 二人の弟がおり、そのうちの一人であるラリーは1960年代にギタリストとしてスペインに留学。アンドレス・セゴビアの教えを受けたが、1968年にプレッシャーから自身の手を傷つけ、直後に自殺した。
マリックはハーバード大学で哲学を専攻し、1965年に首席で卒業。ローズ奨学金を得てオックスフォード大学大学院に入学した。日常言語学派の哲学者ギルバート・ライルの元で学んだが、キェルケゴールやウィトゲンシュタインに関する意見が合わず、博士論文を出さずに中退した。
その後はアメリカに帰国し、1969年にノースウェスタン大学からハイデッガーの著作の翻訳本を出版。マサチューセッツ工科大学で哲学を教える傍ら、フリーランスのジャーナリストとしてニューズウィーク誌やニューヨーカー誌、ライフ誌で記事を執筆した。
キャリア編集
アメリカン・フィルム・インスティチュートが次世代の映像作家の育成を目的に、1967年に設立したばかりのAFI Conservatoryに入学。俳優のジャック・ニコルソンやジャック・フィスクらと知り合った。フィスクは後にマリックの作品の常連となる。1969年には短編映画『Lanton Mills』を製作した。
1971年にジャック・ニコルソンが監督を務めた『Drive, He Said』や『ダーティハリー』の初期草稿に脚本家として携わり、映画界に進出。翌1972年にはポール・ニューマン主演の『ポケット・マネー』の脚本を執筆。1973年には初の長編『地獄の逃避行』を発表した。
1978年には2作目の『天国の日々』を発表。それまでのハリウッドでは試みられたことのない編集や光量、音量の調整に試行錯誤したため、ポストプロダクションに2年かかる力作となった。アカデミー作曲賞、音響賞、衣装デザイン賞などにノミネートされ、撮影監督を務めたネストール・アルメンドロスがアカデミー撮影賞を受賞した。また、第32回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に出品され、監督賞を受賞した。
その後、次作の試作途中で突如パリに移住。その後は公衆の面前に一切姿を現さなくなる。フランスでは数本の脚本を執筆しながら、長い間教鞭を取っていた。
1998年、太平洋戦争におけるガダルカナル島の戦いを描いた長編『シン・レッド・ライン』を発表。20年ぶりに映画監督として復帰した。同作は第49回ベルリン国際映画祭で金熊賞を受賞。アカデミー賞では7部門にノミネートされた。
2005年の『ニュー・ワールド』を経て、2011年にブラッド・ピットとショーン・ペンを起用した『ツリー・オブ・ライフ』を発表。第64回カンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受賞した。翌2012年にはオルガ・キュリレンコやベン・アフレックらが出演した『トゥ・ザ・ワンダー』を発表。第69回ヴェネツィア国際映画祭でSIGNIS賞(カトリックメディア協議会賞)を受賞した。2015年にはクリスチャン・ベール、ナタリー・ポートマンらが出演する『聖杯たちの騎士』が、2016年にはドキュメンタリー『ボヤージュ・オブ・タイム』がそれぞれ公開された。
人物編集
1973年から2012年のおよそ40年間で製作した作品はわずか6本と、非常に寡作な映画監督として知られる。また、アカデミー賞の授賞式や各映画祭には出席することなく、メディアへの露出やインタビューもほとんどない。少なくとも、2011年の時点ではテキサス州オースティンに住んでいるとみられる。
フィルモグラフィー編集
年 | 作品 | 役職 | 備考 |
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1969 | Lanton Mills | 監督・脚本・作曲・出演 | 短編映画 |
1971 | ダーティハリー Dirty Harry |
脚本 | クレジット無し |
Drive, He Said | 脚本 | クレジット無し | |
1972 | ポケットマネー Pocket Money |
脚本・出演 | |
1973 | 地獄の逃避行 Badlands |
監督・製作・脚本・出演 | |
1978 | 天国の日々 Days of Heaven |
監督・脚本・出演 | 受賞: カンヌ国際映画祭監督賞 受賞: 全米映画批評家協会賞監督賞 受賞: ニューヨーク映画批評家協会賞監督賞 ノミネート: カンヌ国際映画祭パルム・ドール |
1998 | シン・レッド・ライン The Thin Red Line |
監督・脚本 | 受賞: ベルリン国際映画祭金熊賞 受賞: ニューヨーク映画批評家協会賞監督賞 ノミネート: アカデミー賞監督賞 ノミネート: アカデミー賞脚色賞 |
2002 | ベアーズ・キス Bear's Kiss |
脚本 | |
至福のとき 幸福時光 / Happy Times |
製作総指揮 | ||
2004 | アンダートウ 決死の逃亡 Undertow |
製作 | |
2005 | ニュー・ワールド The New World |
監督・脚本 | |
2006 | アメイジング・グレイス Amazing Grace |
製作 | |
2007 | The Unforeseen | 製作総指揮 | ドキュメンタリー |
2011 | ツリー・オブ・ライフ The Tree of Life |
監督・脚本 | 受賞: カンヌ国際映画祭パルム・ドール 受賞: ロサンゼルス映画批評家協会賞監督賞 受賞: サンフランシスコ映画批評家協会賞監督賞 ノミネート: アカデミー賞監督賞 |
2012 | トゥ・ザ・ワンダー To the Wonder |
監督・脚本 | |
2013 | Red Wing | 製作総指揮 | |
2014 | The Better Angels | 製作 | |
2015 | 聖杯たちの騎士 Knight of Cups |
監督・脚本 | |
2016 | The Seer: A Portrait of Wendell Berry | 製作総指揮 | ドキュメンタリー |
ボヤージュ・オブ・タイム Voyage of Time |
監督・脚本 | ドキュメンタリー | |
The Vessel | 製作総指揮 | ||
The Spearhead Effect | 製作総指揮 | ||
2017 | Weightless | 監督・脚本 | |
ソング・トゥ・ソング Song to Song |
監督・脚本 | ||
2019 | 名もなき生涯 A Hidden Life |
監督・脚本 |