アカデミー脚色賞
アメリカの映画芸術科学アカデミーの映画賞の部門のひとつ
アカデミー脚色賞(アカデミーきゃくしょくしょう、Academy Award for Writing Adapted Screenplay)は、アカデミー賞の部門のひとつで、小説や舞台劇などから起こされた脚本におくられる賞である。また、続編作品もこの部門の対象である。独自の脚本についてはアカデミー脚本賞がおくられる。
アカデミー賞脚色賞 Academy Award for Best Writing (Adapted Screenplay) | |
---|---|
国 | ![]() |
主催 | 映画芸術科学アカデミー |
公式サイト | https://www.oscars.org/ |
受賞及び候補者一覧 編集
1920年代 編集
年 | 作品名 | 脚本家 | 脚色元 |
---|---|---|---|
1927/28年 (第1回)[注釈 1] | |||
第七天国 | ベンジャミン・グレイザー | オースティン・ストロングの舞台『Seventh Heaven』 | |
祖国の叫び | アンソニー・コールドウェイ | リダ・ジョンソン・ヤングの舞台『Glorious Betsy』 | |
ジャズ・シンガー | アルフレッド・A・コーン | サムソン・ラファエルソンの舞台『Day of Atonement』 | |
1928/29年 (第2回)[注釈 2] | |||
The Patriot | ハンス・クレイリー | アルフレッド・ニューマンの舞台『Der Patriot』のアシュレイ・デュークスによる翻訳 ディミトリー・メレシュコフスキーの短編小説『Paul I』 | |
The Cop | エリオット・J・クローソン | — (オリジナル) | |
懐しのアリゾナ | トム・バリー | オー・ヘンリーの短編小説『The Caballero's Way』 | |
The Last of Mrs. Cheyney | ハンス・クレイリー | フレデリック・ロンズデールの舞台『The Last of Mrs. Cheyney』 | |
脱走兵物語 | エリオット・J・クローソン | — (オリジナル) | |
踊る娘達 | ジョセフィン・ラヴェット | — (オリジナル) | |
Sal of Singapore | エリオット・J・クローソン | デール・コリンズの短編小説『The Sentimentalists』 | |
Skyscraper | エリオット・J・クローソン | ダッドリー・マーフィーの原案 | |
The Valiant | トム・バリー | ホルウォーシー・ホール and ロバート・ミドルマスの舞台『The Valiant』 | |
恋多き女 | ベス・メレディス | マイケル・アーレンの小説『The Green Hat』 | |
Wonder of Women | ベス・メレディス | ヘルマン・ズーダーマンの小説『Die Frau des Steffen Tromholt』 |
1930年代 編集
1940年代 編集
1950年代 編集
1960年代 編集
1970年代 編集
1980年代 編集
1990年代 編集
2000年代 編集
2010年代 編集
2020年代 編集
年 | 作品名 | 脚本家 | 脚色元 |
---|---|---|---|
2020/21年 (第93回) | |||
ファーザー | クリストファー・ハンプトン フローリアン・ゼレール |
フローリアン・ゼレールの戯曲『Le Père 父』 | |
続・ボラット 栄光ナル国家だったカザフスタンのためのアメリカ貢ぎ物計画 | サシャ・バロン・コーエン ピーター・ベイナム ジーナ・フリードマン アンソニー・ハインズ リー・カーン ダン・メイザー エリカ・リヴィノジャ ダン・スウィマー ニーナ・ペドラド |
サシャ・バロン・コーエンのキャラクター | |
ノマドランド | クロエ・ジャオ | ジェシカ・ブルーダーの書籍『ノマド: 漂流する高齢労働者たち』 | |
あの夜、マイアミで | ケンプ・パワーズ | ケンプ・パワーズの同名戯曲 | |
ザ・ホワイトタイガー | ラミン・バーラニ | アラヴィンド・アディガの小説『グローバリズム出づる処の殺人者より』 | |
2021年 (第94回) | |||
コーダ あいのうた | シアン・ヘダー | ヴィクトリア・ベドス、トマ・ビデガン、スタニスラス・キャレ・ドゥ・マルベリ、エリック・ラルティゴ脚本の映画『エール!』 | |
ドライブ・マイ・カー | 濱口竜介 大江崇允 |
村上春樹の短編小説「ドライブ・マイ・カー」 | |
DUNE/デューン 砂の惑星 | ジョン・スペイツ ドゥニ・ヴィルヌーヴ エリック・ロス |
フランク・ハーバートの小説『デューン』 | |
ロスト・ドーター | マギー・ジレンホール | エレナ・フェッランテの小説『La figlia oscura』 | |
パワー・オブ・ザ・ドッグ | ジェーン・カンピオン | トーマス・サヴェージの小説『ザ・パワー・オブ・ザ・ドッグ』 | |
2022年 (第95回) | |||
ウーマン・トーキング 私たちの選択 | サラ・ポーリー | ミリアム・トウズの小説『ウーマン・トーキング』 | |
西部戦線異状なし | エドワード・バーガー | エーリヒ・マリア・レマルクの小説『西部戦線異状なし』 | |
ナイブズ・アウト: グラス・オニオン | ライアン・ジョンソン | ライアン・ジョンソンのキャラクター創造と映画『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』 | |
生きる LIVING | カズオ・イシグロ | 黒澤明、橋本忍、小国英雄によるオリジナル映画脚本『生きる』 | |
トップガン マーヴェリック | アーレン・クルーガー エリック・ウォーレン・シンガー クリストファー・マッカリー |
ジム・キャッシュ、ジャック・エップス・ジュニアによる映画脚本『トップガン』 |
記録 編集
複数回受賞・ノミネート者 編集
※ フランシス・フォード・コッポラとマリオ・プーゾは『ゴッドファーザー』『ゴッドファーザー PART II』での共同脚本で受賞した。また、コッポラは脚本賞を1回(ノミネート2回)、脚色賞を2回(ノミネート3回)受賞している。
※ マイケル・ウィルソンは1956年に1度ノミネートされた後に投票対象から除外された。
最年長・最年少の受賞・ノミネート者 編集
記録 | 脚本家 | 映画 | 年齢 |
---|---|---|---|
最年長受賞者 | ジェームズ・アイヴォリー | 君の名前で僕を呼んで | 89歳 |
最年長ノミネート者 | |||
最年少受賞者 | チャーリー・ワクテル | ブラック・クランズマン | 32歳 |
最年少ノミネート者 | ジョーゼフ・L・マンキーウィッツ | スキピイ | 22歳 |
その他 編集
- ビリー・ワイルダー、チャールズ・ブラケット、パディ・チャイエフスキー、フランシス・フォード・コッポラ、ホートン・フート、ウィリアム・ゴールドマン、ロバート・ベントン、ボー・ゴールドマン、ウォルド・ソルト、コーエン兄弟が脚本賞と脚色賞の両方で受賞している。
- フランシス・マリオン(『ビッグ・ハウス』)はこの部門で女性初の受賞者である。
- フィリップ・G・エプスタインとジュリアス・J・エプスタイン(『カサブランカ』)はこの部門初の兄弟受賞者であり、その他、ジェームズ・ゴールドマン(『冬のライオン』)とウィリアム・ゴールドマン(『明日に向って撃て!』『大統領の陰謀』)が別々の映画で受賞し、ジョエル・コーエンとイーサン・コーエン(『ノーカントリー』)が兄弟で受賞している。
- マリオ・プーゾ(『ゴッドファーザー』『ゴッドファーザー PART II』)とE・M・フォースター(『眺めのいい部屋』『ハワーズ・エンド』)は自著が映画化され2度の受賞に至った作家である。
- ラリー・マクマートリーは唯一、他人の作品を脚色して受賞(『ブロークバック・マウンテン』)し、自著を他人が脚色して受賞(『愛と追憶の日々』)した人物である。
- ウィリアム・モナハン(『ディパーテッド』)とシアン・ヘダー(『コーダ あいのうた』)は既存の長編映画を脚色のクレジットとして使用してこの賞を獲得している。
- ピーター・ジャクソンとフラン・ウォルシュ(『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』)は唯一の夫婦で受賞している。
- アフリカ系アメリカ人初の受賞者はジェフリー・S・フレッチャー(『プレシャス』)であり、脚本部門で受賞した最初のアフリカ系アメリカ人でもある。また、マオリ族としての初の受賞者はタイカ・ワイティティ(『ジョジョ・ラビット』)である。
- エマ・トンプソン(『いつか晴れた日に』で脚色賞を受賞)は唯一、演技部門と脚本部門の双方を受賞している。また、脚色賞を受賞しているビリー・ボブ・ソーントン(『スリング・ブレイド』で脚色賞を受賞)とジョン・ヒューストン(『黄金』で脚色賞を受賞)は演技部門にもノミネートされたが、受賞はしていない。
- チャールズ・シュニー(『悪人と美女』)、ビリー・ボブ・ソーントン(『スリング・ブレイド』)、ビル・コンドン(『ゴッド・アンド・モンスター』)の3名は作品が作品賞にノミネートされていない受賞者である。
- アニメ映画でノミネートされているのは『シュレック』(テッド・エリオット、テリー・ロッシオ、ジョー・スティルマン、ロジャー・S・H・シュルマン)、『トイ・ストーリー3』(マイケル・アーント、ジョン・ラセター、アンドリュー・スタントン、リー・アンクリッチ)のみである。
- アメコミ映画でノミネートされているのは『LOGAN/ローガン』(スコット・フランク、ジェームズ・マンゴールド、マイケル・グリーン)、『ジョーカー』(トッド・フィリップス、スコット・シルヴァー)のみである。
- 日本人でノミネートされているのは濱口竜介と大江崇允(『ドライブ・マイ・カー』)である。
脚注 編集
注釈 編集
- ^ この回は「Best Writing, Adaptation」という名称。
- ^ 第2回と第3回はオリジナルと脚色の区別が無く、「Writing Achievement」という名称であった。
- ^ この年に再び細分化され、「Best Writing, Adaptation」となった。
- ^ Award renamed Best Writing, Screenplay
- ^ この回より「Best Screenplay—Adapted」に名称変更
- ^ Early in 1956, the name of screenwriter Michael Wilson – a former Oscar winner – had been deleted from the credits of Friendly Persuasion by Allied Artists, the film's distributor, based on a 1952 agreement between the Screen Writers Guild and various production companies. That agreement gave the studios the right to omit from the screen the name of any individual who had failed to clear himself before a duly constituted legislative committee of U.S. Congress if accused of Communist affiliations, as was the case with Wilson at the time. The Academy, in the awkward position of possible conferring its highest honor on someone whose name had been omitted from screen credit, revised its bylaws at a special February 6, 1957, meeting. That revision, in essence, allowed that in such cases, the achievement itself could be eligible for nomination, but the specific writer would not be. This bylaw was repealed by the Academy as "unworkable" on January 12, 1959. This nomination was not included on the final ballot.
- ^ この回より「Best Screenplay Based on Material from Another Medium」に名称変更
- ^ Though Pierre Boulle received official screen credit, it was commonly known that blacklisted writers Carl Foreman and Michael Wilson, wrote the screenplay based on Boulle's novel (translated from the original French). The Board of Governors, on December 11, 1984, voted posthumous Oscars to Wilson and Foreman. It was widely reported that Boulle was surprised, as well as many others, by the nomination, especially since Boulle did not speak (or write) English).
- ^ Upon request of his widow and upon recommendation of the Writers Branch Executive Committee, the Board of Governors voted to restore the name of Nedrick Young to the nomination presented to Nathan E. Douglas, which was Mr. Young's pseudonym during the blacklisting period.
- ^ ウィルソンは当時ブラックリストに載っていたために、ロバート・ボルトのみが候補となった。1995年に正式に候補となった。
- ^ この回より「Screenplay Adapted From Other Material」に名称変更
- ^ この回より「Screenplay Based on Material from Another Medium」に名称変更
- ^ P・H・ヴァザックとは、映画に不満を持っていたロバート・タウンが使った別名である
- ^ この回より「Best Screenplay Based on Material Previously Produced or Published」に名称変更
- ^ この回より「Best Adapted Screenplay」に名称変更
- ^ ドナルド・カウフマンは架空の人物であるが、正式にクレジットされており、この賞にもノミネートされている
出典 編集
- ^ “Session Timeout - Academy Awards Database - AMPAS”. Awardsdatabase.oscars.org (2010年1月29日). 2010年6月1日閲覧。[リンク切れ]
- ^ “Nominees for the 86th Academy Awards”. 映画芸術科学アカデミー. 2014年1月17日閲覧。
外部リンク 編集
- Academy of Motion Picture Arts and Sciences - 映画芸術科学アカデミー公式サイト(英語)
- The Oscars - アカデミー賞授賞式公式サイト(英語)
- Oscar Legacy - アカデミー賞各年の概要(公式サイト)(英語)
- The Official Academy Awards Database - アカデミー賞公式データベース(英語)
- Academy Awards - インターネット・ムービー・データベース (英語)
- アカデミー賞 - allcinema (日本語)