八百津町
八百津町(やおつちょう)は、岐阜県加茂郡にある町である。中濃地域に含まれる。
やおつちょう 八百津町 | |||||
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国 |
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地方 | 中部地方、東海地方 | ||||
都道府県 | 岐阜県 | ||||
郡 | 加茂郡 | ||||
市町村コード | 21505-8 | ||||
法人番号 |
8000020215058 ![]() | ||||
面積 |
128.79km2 | ||||
総人口 |
10,070人 [編集] (推計人口、2020年9月1日) | ||||
人口密度 | 78.2人/km2 | ||||
隣接自治体 | 恵那市、美濃加茂市、可児市、瑞浪市、加茂郡川辺町、七宗町、白川町、可児郡御嵩町 | ||||
町の木 | マツ | ||||
町の花 | ササユリ | ||||
八百津町役場 | |||||
町長 | 金子政則 | ||||
所在地 |
〒505-0392 岐阜県加茂郡八百津町八百津3903番地の2 北緯35度28分33.7秒東経137度8分29.6秒 ![]() | ||||
外部リンク | 公式ウェブサイト | ||||
ウィキプロジェクト |
名前の由来編集
八百津という地名の由来には諸説あり、古代の地名から取ったとする説、木曽川で材木を集積する川湊が多いからとする説などがある。八百津橋がある地区は「港町」(通称地名)であるが、八百津町公式ウェブサイトには町名の由来は述べられていない。
地理編集
八百津町は岐阜県の中南部に位置し、面積の約8割が山林である。南側を木曽川本流に、北側を木曽川水系の飛騨川に挟まれた自治体である。海抜120m前後の河岸段丘に沿って住宅や農地が広がっているが、過疎化が進んで人口が減少傾向にある。
人口編集
八百津町と全国の年齢別人口分布(2005年) | 八百津町の年齢・男女別人口分布(2005年) |
■紫色 ― 八百津町
■緑色 ― 日本全国 |
■青色 ― 男性
■赤色 ― 女性 |
八百津町(に相当する地域)の人口の推移 | |
総務省統計局 国勢調査より |
歴史編集
- 1889年(明治22年)7月1日 - 加茂郡細目村が町制を施行して八百津町が発足する。
- 1955年(昭和30年)1月31日 - 和知村の一部を編入合併する。
- 1955年(昭和30年)2月1日 - 可児郡錦津村と合併して改めて八百津町が発足する。
- 1955年(昭和30年)3月25日 - 美濃加茂市の一部を編入合併する。
- 1956年(昭和31年)9月30日 - 久田見村、潮南村、福地村を編入合併する。
- 2003年(平成15年)4月1日 - 美濃加茂市と加茂郡の6町1村(坂祝町、富加町、川辺町、七宗町、八百津町、白川町、東白川村)が「美濃加茂市・加茂郡町村合併協議会」を設置する。
- 2004年(平成16年)12月31日 - 合併協議会が解散する。
行政編集
歴代町長編集
2016年(平成28年)1月17日には赤塚新吾町長の任期満了に伴う八百津町長選挙が行われ、無所属新人の金子政則が2氏を破って初当選した。
経済編集
古くから林業が行われている地域であるが農林水産業以外に第2次産業の製造業が盛んな地域である。八百津町の地場産業として八百津煎餅がある。1921年(大正10年)に初めて八百津町で煎餅が生産された。昭和時代に全国各地に出荷する煎餅の産地となった[2]。最盛期には150以上の事業所がある一大産地だったが、高度経済成長期に大量生産体制が確立されると供給過剰となり、2006年(平成18年)時点では約35の事業所にまで減少している[2]。
教育編集
小学校編集
中学校編集
高等学校編集
交通編集
鉄道編集
かつては名鉄八百津線が町内を通っており、八百津駅と中野駅の2駅があった。名鉄八百津線は2001年(平成13年)に廃線となり、八百津町を通る鉄道路線は無くなった。
バス編集
- YAOバス - 東濃鉄道が委託運行するコミュニティバス。名鉄八百津線の廃線に伴う代替バス。
- やおまる - 八百津町西部を走るコミュニティバス。2020年10月よりそれまでのコミュニティバス802を再編して運行開始した。八百津町内で完結する路線のほか、八百津町と川辺町のJR高山本線中川辺駅を結ぶ路線も運行されている。
- 東鉄バス - 民間バス。八百津町と美濃加茂市のJR美濃太田駅を結ぶ路線が運行されている。
道路編集
高速道路編集
町の西端を東海環状自動車道が走るが、町内にはインターチェンジはない。最寄は可児御嵩インターチェンジまたは美濃加茂インターチェンジ。
一般国道編集
一般県道編集
- 岐阜県道83号多治見白川線
- 岐阜県道350号野上古井線
- 岐阜県道351号御嵩川辺線
- 岐阜県道353号篠原八百津線
- 岐阜県道358号井尻八百津線
- 岐阜県道365号和知兼山停車場線
- 岐阜県道381号多治見八百津線
- 岐阜県道402号中野方七宗線
- 岐阜県道412号恵那八百津線
町内の道路通称名編集
- 犬山街道 - 岐阜県道83号多治見白川線の一部、岐阜県道381号多治見八百津線の一部。
- 木曽川ハクウンボク街道 - 国道418号
- 人道のサクラ街道 - 岐阜県道83号多治見白川線
名所・旧跡・観光スポット・施設・祭事・催事編集
名所・旧跡編集
観光スポット編集
- 人道の丘公園・杉原千畝記念館
- めい想の森 - 公園。私の青空 八百津の森づくりが開催される。
- 五宝滝 - 落差約80mの滝。かつては宮本武蔵ゆかりの地とされたが、専門家の間では珍説扱いされている[3]。
- 蘇水峡 - 木曽川の丸山ダム下流にある峡谷。「木曽三川三十六景」に選定されている。
- 上代田 - 「日本の棚田百選」に選定されている棚田。
- 旧八百津発電所資料館 - 博物館。本館などは国の重要文化財。2018年に閉館した。
施設編集
- 岐阜バンジー - 旅足川渓谷で山と山に架かる全長462メートル高さ共に国内最大級の橋である新旅足橋にある施設。橋から谷底の旅足川まで215メートルあり、ブリッジバンジージャンプ施設では日本一の高さ。ウイングスーツを着用するのが特徴。[4][5]
祭事・催事編集
- 八百津祭 - 八百津地区で開催される大舩神社の祭礼。毎年4月第2土曜・日曜日。
- 久田見まつり - 久田見地区で開催される神明神社・白鬚神社の祭礼。毎年4月第3土曜・日曜日。
- レインボーチャイルド八百津 - LGBTのイベント。
その他編集
杉原千畝編集
八百津町役場は八百津町が杉原千畝の出身地であると主張している[6][7]。2017年(平成29年)、八百津町は杉原千畝による自筆手記2点を含む日本通過ビザ発給の記録、いわゆる「杉原リスト」[8][9]の世界記憶遺産登録申請書をユネスコに提出した[10]。一方、八百津町が管理する杉原千畝の戸籍には、武儀郡上有知町(現在の美濃市)で出生と書かれている[11]ことが判明したため、これを受けて美濃市が調査したところ、出生地とされる住所には「教泉寺」という寺があり[11]、千畝の父である杉原好水が当時勤務していた税務署が、寺に隣接していた事がわかった[11]。なお、杉原千畝の四男は、週刊新潮の取材に対し、ユネスコに世界記憶遺産として登録申請された手記あるいはその下書きとされている原稿には改竄の疑いがあると述べている[12]。また、2016年12月末、日本ユネスコ国内委員会の要請に従い、「杉原リスト」登録申請書における「birth place:生誕地」の文言を「hometown:出身地」と書き改めた[13]。さらに2017年2月中には、出生について書かれた手記と称する2通の文書を取り下げるとともに、同申請書から同町が杉原氏の「hometown:出身地」であると書かれた文章を削除していたことが明らかになった[14]。
豚熱編集
2018年11月26日には八百津町和知の畑で、家畜伝染病の豚熱(当時の呼称は「豚コレラ」)に感染していた野生のイノシシ1頭が死骸で見つかった[15]。また同年12月2日にも、八百津町八百津で捕獲されたイノシシが豚熱に感染していたことが分かった。古田肇岐阜県知事は感染拡大について、「八百津町から北西方向に広がる傾向を見せている」と会見で述べている[16]。同年12月25日、岐阜県は家畜伝染病防疫対策本部員会議を開いて対応を協議、自衛隊に災害派遣を要請し、自衛隊第10師団約100名が八百津町を訪れて殺処分にあたった[17]。同年12月28日、八百津町で85頭目の豚熱感染イノシシが岐阜県により捕獲される[18]。最初に感染が確認された養豚場から東方に約24キロの山中でわなにかかっているのが発見された。
医療編集
八百津町における急性心筋梗塞(心臓発作)の死亡率は全国平均の3.8倍ある。特に女性では3.9倍と非常に高く、人口1万人以上の市区町村で最も死亡率が高い自治体となっている[19]。
口裂け女編集
『週刊朝日』1979年6月29日号には八百津町に口裂け女が出没したという記事が掲載され、口裂け女は社会問題となった[20]。
出身有名人編集
脚注編集
- ^ a b 八百津町総務課広報行政係. “ふるさとの歩み”. 町の紹介. 行政情報. 八百津町. 2020年11月3日閲覧。
- ^ a b 八百津がなぜ? 八百津せんべいの産地…! 八百津町商工会、2006年12月22日
- ^ 「出身地違った?『日本のシンドラー』」『週刊朝日』1999年9月17日
- ^ 「高さ日本一!215mバンジー 八百津町にオープン」『岐阜新聞』岐阜新聞社、岐阜、2020年8月6日、全国書誌番号:00066208。2020年11月22日閲覧。オリジナルの2020-08-06時点におけるアーカイブ。
- ^ “日本一の岐阜バンジーがオープン 岐阜県八百津町”. 時事通信社 (2020年8月6日). 2020年8月6日閲覧。
- ^ “杉原千畝はどういう人”. 八百津町. 2017年1月6日閲覧。
- ^ “八百津町へ行こう”. 杉原千畝記念館. 2017年1月6日閲覧。
- ^ “平成27年9月24日 岐阜県報道発表資料”. 2017年1月6日閲覧。
- ^ “ユネスコ記憶遺産(国際登録)国内公募の選定結果について”. 文部科学省 (2015年9月24日). 2017年1月24日閲覧。
- ^ “世界記憶遺産へ登録申請 杉原千畝の資料と上野三碑”. 日本経済新聞. (2016年5月20日) 2017年1月6日閲覧。
- ^ a b c “千畝氏の出生たどる 戸籍記載の美濃市の寺 四男が訪問”. 岐阜新聞. (2016年7月12日) 2016年11月16日閲覧。
- ^ 「世界記憶遺産」に申請された命のビザ「杉原千畝」手記の改竄疑惑 週刊新潮 2016年11月02日
- ^ “命のビザ、八百津から世界へ 記憶遺産登録へ高まる期待”. 中日新聞. (2017年2月6日) 2017年2月6日閲覧。
- ^ “出生巡る手記見送り 千畝氏「世界の記憶」申請”. 岐阜新聞. (2017年2月22日) 2017年2月22日閲覧。
- ^ “豚コレラ感染のイノシシ、八百津で初確認 計60頭に”. 岐阜新聞. (2018年11月30日) 2018年12月10日閲覧。
- ^ “豚コレラ終息めど立たす感染日々拡大八百津より北西へに”. 読売新聞. (2018年12月11日) 2018年12月17日閲覧。
- ^ “豚コレラ、殺処分7500頭超 自衛隊に災害派遣要請へ”. フジニュースネットワーク. (2018年12月30日) 2018年12月30日閲覧。
- ^ “八百津町で85頭目の豚コレラ感染イノシシ捕獲 ”. 中日新聞. (2018年12月30日) 2018年12月30日閲覧。
- ^ “「心臓病」の地域格差 データでみる あなたの市区町村は?”. 日本経済新聞社. (2017年8月12日) 2018年12月27日閲覧。
- ^ 平泉悦郎「全国の小中学生を恐れさせる「口裂け女」風説の奇々怪々」『週刊朝日』83巻27号(通巻3191号)、朝日新聞出版、1979年6月29日、 NCID AN10051537。