名鉄バスセンター

名古屋市中村区のバスターミナル

名鉄バスセンター(めいてつバスセンター)は、愛知県名古屋市中村区名駅1丁目、名鉄名古屋駅の上階に位置するバスターミナルである。

名鉄バスターミナルビル
Meitetsu Bus Terminal Building

地図
名鉄バスセンターの位置(名古屋市内)
名鉄バスセンター
名鉄バスセンター
施設情報
所在地 〒450-0002
愛知県名古屋市中村区名駅一丁目2-4
状態 完成
竣工 1967年昭和42年)
開業 1967年昭和42年)6月1日
用途 事務所店舗バスターミナルホテル
地上高
最頂部 64.1m
各種諸元
階数 地上18階地下1階
延床面積 96,000
構造形式 鉄骨造(一部鉄骨鉄筋コンクリート造鉄筋コンクリート造
関連企業
設計 谷口吉郎
施工 鹿島(幹事会社)・清水建設大成建設竹中工務店間組
デベロッパー 名古屋鉄道
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3階乗り場

設計は谷口吉郎で名古屋を代表する建物の一つとされることもある[1]。また、日本初の本格的なバスターミナルであり、1967年の竣工当時は世界的に見ても同規模のバスターミナルは存在しなかったといわれている[1]

概要 編集

名鉄バス高速バスの名古屋側ターミナルとしてバス路線網の中心をなす一大拠点であると同時に名古屋市の中心的バスターミナルの一つである。

停留所名は高速・一般路線ともに施設名と同じ「名鉄バスセンター」であり、「名古屋」「名古屋駅」「名鉄名古屋駅」などの地名・駅名が入らず、社名だけを付けた独特のものとなっている[注釈 1]

名鉄名古屋駅の上階にあたる名鉄バスターミナルビル3・4階に入居する屋内・多層型バスターミナルであり、同ビルの地下1階から地上6階までは名鉄百貨店メンズ館、7階から10階は名古屋鉄道本社及び名鉄グループ各社の事務所、11階から18階は名鉄グランドホテルが入居している。

当バスターミナルは名鉄バスが管理しており、乗合バス(一般路線・高速乗合)や貸切バスが乗り入れている。名鉄グループバス各社や共同運行会社、三重交通も使用している。

名鉄バスターミナルビルの設計責任者は谷口吉郎鹿島(幹事会社)・清水建設大成建設竹中工務店間組の共同企業体により施行された。

フロア構成 編集

名鉄グランドホテル(11階 - 18階)
事務所(7 - 10階)
名鉄百貨店メンズ館(6階) 名鉄スカイパーキング(6階)
名鉄百貨店メンズ館(5階)  名鉄バスセンター(4階) 名鉄百貨店本館(4階)
名鉄百貨店メンズ館(4階)
 名鉄バスセンター(3階)
名鉄百貨店メンズ館(3階)
名鉄百貨店メンズ館(2階)
名鉄百貨店メンズ館(2階) (通路)
名鉄百貨店メンズ館(1階)
名鉄百貨店メンズ館(B1階)  名鉄名古屋駅新南改札口

バスターミナル構造 編集

3階は一般路線高速乗合バスが発着。4階は近距離高速乗合バスと臨時運行バスが発着。のりばとおりばは3階に8ヶ所ずつ(1 - 16番)、4階に4ヶ所ずつ(21 - 28番)ある。ホームドアが設けられている。

4階おりば(降車場所)は、名鉄観光サービスなど旅行会社が主催する貸切バス(バスツアー)の集合場所にもなっている。

出札口は3階にあり、カウンターと券売機が備えられている。

3階待合室隣にはファミリーマートエスタシオ名鉄バスセンター店、4階にはドトールコーヒーショップや待合室がある。

出口 編集

3階東側で名鉄メンズ館紳士服フロアと接続しており、そこを経由して本館、近鉄パッセ、LABI、サンロード地下街、近鉄線(正面口)、名鉄線(中央改札口)、地下鉄(南改札口)と屋内でつながっており、案内標識も掲出されている。

また、東側の正面出口(笹島北交差点・ナナちゃん人形)直通のエスカレーター、西側にはJR線(広小路口、一部屋根なし)、名鉄線(南改札口)を結ぶ通路があり、店舗を通らずにアクセスすることが可能である。

のりば 編集

3階 編集

乗り場 行先【系統】 種類 運行会社
1 ネオポリス 三重交通
陽だまりの丘
大山田団地
希望ヶ丘
赤尾台・正和台
伊賀上野
ヴィソン・尾鷲・熊野・新宮 高速乗合
2 キオクシア・桜台
湯の山温泉
イオンモール名古屋茶屋
桑名駅前
南桑名
3 津島駅(安松経由) 名鉄バス
津島駅(岩塚経由)
大坪(安松経由)
大坪(岩塚経由)
4 三軒家 基幹バス
藤が丘
トヨタ博物館前
尾張旭向ヶ丘
愛知医科大学病院
菱野団地
瀬戸駅前
5 仙台 高速乗合 名鉄バス
宮城交通
宇都宮・郡山 名鉄バス
福島交通
新宿 名鉄バス
京王バス
昼神温泉・飯田 名鉄バス
信南交通
伊那 名鉄バス
信南交通
伊那バス
北九州・福岡 名鉄バス
西日本鉄道
中部国際空港【セントレアリムジン】 名鉄バス
6 金沢 高速乗合 名鉄バス
北陸鉄道
ジェイアール東海バス
西日本ジェイアールバス
福井 名鉄バス
ジェイアール東海バス
福井鉄道
京福バス
富山 名鉄バス
富山地方鉄道
砺波・高岡 加越能バス
徳島・松山・八幡浜 名鉄バス
伊予鉄バス
馬籠・妻籠 名鉄バス
上高地
7 松本・長野 高速乗合 名鉄バス
アルピコ交通
高山 名鉄バス
ジェイアール東海バス
濃飛乗合自動車
富山 名鉄バス
富山地方鉄道
郡上八幡・ひるがの高原 岐阜乗合自動車
白川郷・金沢 名鉄バス
岐阜乗合自動車
北陸鉄道
新潟 名鉄バス
新潟交通
岡山・倉敷 名鉄バス
両備バス
高松・丸亀 四国高速バス
8 奈良 高速乗合 名鉄バス
奈良交通
京都 名鉄バス
ジェイアール東海バス
西日本ジェイアールバス
名阪近鉄バス
神戸 名鉄バス
ジェイアール東海バス
西日本ジェイアールバス
富士五湖 名鉄バス
富士急バス

4階 編集

乗り場 行先【系統】 種類 運行会社
21 【名鉄バスツアー・ハイキング】 名鉄観光バス
22 なばなの里・長島温泉 名鉄バス
三重交通
名古屋港フェリーターミナル【太平洋フェリー連絡バス】 名鉄バス
23 多治見・可児 名鉄バス
東濃鉄道
小牧・桃花台・明治村 名鉄バス
リトルワールド・可児【西可児 - 名古屋線】 東濃鉄道
関・美濃 岐阜乗合自動車
土岐プレミアムアウトレット 東濃鉄道
県営名古屋空港・あいち航空ミュージアム 名鉄バス
24 愛知学院大学
愛・地球博記念公園(ジブリパーク)


過去に運行されていた主な長距離路線 編集

1985年以前に廃止 編集

1986年以降に廃止 編集

臨時路線 編集

博覧会などに合わせて運行された。

沿革 編集

前史 編集

1949年、名鉄バスは浄心・山口町・大曽根・東田町・東山・中村を起点に郊外に向けて運行していた路線を名古屋駅前まで乗り入れ開始。当時は国鉄(現・JR)名古屋駅北東側に乗り場を設置した。

1955年の国鉄バスの乗り入れや1958年の神宮前起点の路線の乗り入れ、名古屋空港線・名垣線・桑名線など新設路線開設などで発着本数は増加、乗り場が手狭となり、1960年には乗り場を増設したが、根本的な解決には至らず、当時の名古屋鉄道社長土川元夫はバス乗り場を集約したビルを発想、金沢四高の同級生で親友でもあった谷口良郎に設計を依頼する。

1964年8月12日、名鉄バスセンターの地鎮祭が行われる。工事が進んでいる間にも路線は増え、10月には笹島に名神ハイウェイバス開業に伴い高速バスのりばとして暫定的に笹島高速センターが設置された。

そして1967年6月1日、約3年の工期を経て名鉄バスセンターが開業し、名古屋駅前10箇所に分散していた乗り場を集約したのである。

駅前バス乗り場をビルに集約 編集

1967年6月1日開業時点での乗入会社は12社あった[注釈 2]。当時の便数は一日766往復(名鉄660往復ほか)である。

「高硬度遠心力鋳鋼管」という特殊な構造材を用いるなど、土木構造物的な性格も有している[1]

1967年昭和42年)に完成した名鉄バスターミナルビルの一部をバスターミナルとして供用している。ビルは名駅地区初の超高層ビルで、竣工当時は東洋最大の規模を誇った。当初は近畿日本鉄道と共同で現在の近鉄名古屋駅ビルのエリアも含めた一体開発を計画していたが、近鉄が独自に名古屋駅ビルを建設したため、名鉄単独の事業となった。

開業当初、地下1階から6階までの商業区画は名古屋鉄道と名鉄百貨店の出資によるMELSAが入居しており、「ターミナルビルにふさわしい店づくり」の発想のもと、これも日本で初めてとあるビル内すべてが専門店という店舗構成となっていた。

国鉄(現・JR)名古屋駅北東側の乗り場はこの後も国鉄バスが使用を続けたが、1974年に建設された名古屋ターミナルビルに翌1975年から名古屋市営バス(市バス)とともに乗り入れ、明確に棲み分けることとなった。

発着数増減 編集

その後、1980年代になって名古屋市営地下鉄路線の延長や名鉄豊田線の開業により、郊外から直通する一般路線バスが減少したため、常滑競艇場行きなど公営競技関係の無料バスを除く大型バス発着を3階に集約し、4階の大部分を一般の駐車場に転用していたことがあった。現在は長距離・近距離の高速バス路線の充実などにより、本来の形に戻っている。

改修工事など 編集

バスターミナル内の石綿除去のため2005年12月19日から3階のりばを閉鎖し名神ハイウェイバスの乗り場を1階の近鉄名古屋駅ビルとの間の路上に移動、その他のバス乗り場を4階に集約した。2006年9月2日に除去終了した3階を使用再開して4階を閉鎖、2007年1月15日に全て完了した。

除去工事及び巻き付け耐火被覆改修とあわせてエレベーター増設、スロープの設置、音声・LED文字案内放送設備、のりばホームドア設置等を行った(バリアフリー対応)。

2012年10月21日から3階窓口の高速バスきっぷ売り場と一般路線バスきっぷ売り場を統合する工事を行い、11月18日にリニューアルオープンした。工事期間中に仮営業していたきっぷ売り場跡地では引き続き待合室のリニューアル工事が行われ、こちらも12月5日にリニューアルオープンした。

またそれと同時に待合室の改装も行われ、コンビニエンスストアファミリーマートが店舗を構えている。

今後の計画 編集

名鉄は2011年になって名鉄バスターミナルビルなどに関して再開発を行う構想があることを明らかにしている[2]

2017年3月29日、名古屋鉄道は名鉄名古屋駅周辺の再開発計画を発表し、名鉄百貨店・名鉄グランドホテル・名古屋近鉄ビル・大手町建物名古屋駅前ビル・日本生命笹島ビルも建物を一旦取り壊して一体化して改築する予定で、その中に当バスセンターも含まれる。2022年度に着工予定、リニア中央新幹線が開通予定でもある2027年度に完成予定[3][4][5]

2017年3月29日の名古屋鉄道の発表により、名鉄名古屋駅をはじめとした再開発計画から名鉄・近鉄関連ビルの一体化がなされるために2022年着工で一旦解体される予定。バスターミナルについての計画はビル計画自体が関連法人との調整中のために未発表である[4][5]

バスターミナル周辺 編集

同ターミナルビルには専門店街の名鉄百貨店メンズ館・名鉄グランドホテル名古屋鉄道本社も入居している。

交通 編集

商業・オフィス等ビル 編集

地下街 編集

名所等 編集

注釈 編集

  1. ^ このため、三重交通の路線バスや高速バスは行き先を「名古屋(名鉄バスセンター)」と表示している。また、名鉄バスの路線バスも系統番号の導入後は「名鉄バスセンター(名古屋駅)」と表示している。
  2. ^ 名古屋鉄道日本急行バス日本高速バス三重交通三重急行自動車名古屋近鉄バス東濃鉄道岐阜乗合自動車知多乗合豊橋鉄道信南交通濃飛乗合自動車

出典 編集

  1. ^ a b c 近藤正高 (2011年7月11日). “かつて自動車はバラ色の未来を見せてくれた『自動車と建築』”. エキサイト・レビュー. エキサイト. 2017年3月19日閲覧。
  2. ^ 工藤明久「名古屋駅前地区:名鉄が再開発構想…近鉄などと協議へ」『毎日jp』毎日新聞社、2011年1月25日。2011年2月4日閲覧。オリジナルの2011年1月27日時点におけるアーカイブ。
  3. ^ 細見るい「名古屋駅に南北400mの超高層ビル 名鉄が再開発計画」『朝日新聞デジタル朝日新聞社、2017年3月30日。2017年3月31日閲覧。オリジナルの2017年3月30日時点におけるアーカイブ。
  4. ^ a b 名古屋支社 長縄雄輝「名鉄名古屋駅、面積2倍に拡張 再開発計画を発表」『日本経済新聞Web版』日本経済新聞社、2017年3月29日。2017年3月31日閲覧。オリジナルの2017年3月29日時点におけるアーカイブ。
  5. ^ a b 上新大介 (2017年3月29日). “名鉄名古屋駅「面的にも機能的にも拡張」へ - 車両新造など2017年度も実施”. マイナビニュース (マイナビ). http://news.mynavi.jp/news/2017/03/29/333/ 2017年3月31日閲覧。 

関連項目 編集

名古屋駅周辺 編集

その他 編集

外部リンク 編集

座標: 北緯35度10分6.7秒 東経136度53分3秒 / 北緯35.168528度 東経136.88417度 / 35.168528; 136.88417