ユルゲン・メルツァーJürgen Melzer, 1981年5月22日 - )は、オーストリアウィーン出身の男子プロテニス選手。4大大会では、2010年全仏オープン男子シングルスベスト4、2010年ウィンブルドン選手権2011年全米オープン男子ダブルス2011年ウィンブルドン選手権混合ダブルスでの優勝がある。これまでにATPツアーでシングルス5勝、ダブルス13勝を挙げている。左利き、バックハンド・ストロークは両手打ち。自己最高ランキングはシングルス8位、ダブルス6位。弟のジェラルド・メルツァー英語版もプロテニス選手である。

ユルゲン・メルツァー
Jürgen Melzer
ユルゲン・メルツァー
基本情報
国籍  オーストリア
出身地 同・ウィーン
居住地 同・ドイチュ・ヴァグラム
生年月日 (1981-05-22) 1981年5月22日(42歳)
身長 182cm
体重 80kg
利き手
バックハンド 両手打ち
ツアー経歴
デビュー年 1999年
ツアー通算 22勝
シングルス 5勝
ダブルス 17勝
生涯獲得賞金 10,739,212 アメリカ合衆国ドル
4大大会最高成績・シングルス
全豪 4回戦(2011)
全仏 ベスト4(2010)
全英 4回戦(2010・13)
全米 4回戦(2010)
4大大会最高成績・ダブルス
全豪 ベスト4(2005)
全仏 ベスト8(2005)
全英 優勝(2010)
全米 優勝(2011)
優勝回数 2(英1・米1)
4大大会最高成績・混合ダブルス
全豪 ベスト8(2009)
全仏 2回戦(2006)
全英 優勝(2011)
全米 1回戦(2008・11・12)
優勝回数 1(英1)
キャリア自己最高ランキング
シングルス 8位(2011年4月18日)
ダブルス 6位(2010年9月13日)
2021年6月11日現在

来歴 編集

父親のルドルフ・メルツァーは、彼の現住地ドイチュ・ヴァグラムの市長を務めている(現職)[1]。ユルゲンは9歳からテニスを始め、1999年ウィンブルドン選手権ジュニア男子シングルス優勝を経てプロ選手に転向した。プロ入り後、直ちに男子テニス国別対抗戦・デビスカップオーストリア代表選手に選ばれる。2000年ウィンブルドン選手権4大大会に初出場。2002年テニス殿堂選手権で男子ツアーのダブルス決勝戦に初進出し、翌2003年の同大会でシングルス決勝に進んだが、彼は長い間ツアー決勝戦で単複ともに不運が続いた。

2005年、メルツァーはダブルスの分野で成績を伸ばし、全豪オープンベスト4・全仏オープンベスト8を経て、10月のサンクトペテルブルク・オープン大会で男子ツアーダブルス初優勝を達成した。全豪オープンで組んだパートナーはアレクサンダー・ワスケであったが、それ以外は大半のトーナメントで同じオーストリアのユリアン・ノールとペアを組んだ。ノールはダブルスのスペシャリストとして知られ、2004年ウィンブルドン選手権男子ダブルス準優勝の実績を持つ人である(後に2007年全米オープン男子ダブルスで優勝した)。2006年9月、ユルゲン・メルツァーはBCRルーマニア・オープンの決勝戦でフィリッポ・ボランドリを6-1, 7-5で破り、ようやく宿願のシングルス初優勝を達成した。この年はノールと組んで6大会のダブルス決勝戦に進み、そのうち2大会で優勝したが、10月に3週連続準優勝の辛酸をなめたことがある。

その後のツアー成績は、2007年2008年とシングルスの準優勝が1度ずつあり、2008年6月にユニセフ・オープンのダブルスでトーマス・ヨハンソンと組んで優勝した。

2009年全豪オープンで、メルツァーは2007年全米オープン以来1年ぶりのシード選手に入った。第31シードとして、1回戦で日本錦織圭を7-5, 6-2, 6-1で圧倒する。4年ぶり3度目の3回戦では第4シードのアンディ・マリーに5-7, 0-6, 3-6で完敗した。この年はユリアン・ノールとのダブルスで、ジャパン・オープン・テニス選手権を含むダブルス2勝を挙げている。

2010年のメルツァーは全仏オープンシングルス準々決勝で第3シードのノバク・ジョコビッチを3-6, 2-6, 6-2, 7-6, 6-4で破り初めてベスト4に進出する(これまでのメルツァーは3回戦進出が最高であった。)。ウィンブルドンではフィリップ・ペッシュナーと組んだダブルスで初優勝した[2]

2011年全豪オープンでも4回戦に進出し、大会後のランキングでシングルス10位となり、初めてのトップ10入りと、シングルス・ダブルス同時のトップ10入りを果たした。2011年ウィンブルドン選手権では前年優勝のダブルスでは準々決勝で敗退したが、イベタ・ベネソバと組んだ混合ダブルスエレーナ・ベスニナ/マヘシュ・ブパシ組を6-3, 6-2で破り優勝した[3]全米オープンではペッシュナーと組んだダブルスの決勝でマリウシュ・フィルステンベルク/マルチン・マトコフスキ組に6–2, 6–2で勝利し、4大大会ダブルス2勝目を挙げた[4]

メルツァーはオリンピックのオーストリア代表選手としても、2004年アテネ五輪2008年北京五輪2012年ロンドン五輪の3度出場経験があり、北京五輪のシングルスラファエル・ナダルとの準々決勝まで勝ち進んだ。

メルツァーは2012年9月14日に2011年ウィンブルドン選手権混合ダブルス優勝パートナーのイベタ・ベネソバと結婚した[5]

2016年のオーストリア・オープンの2回戦で同じオーストリア出身の世界ランク9位ドミニク・ティームを破り、準々決勝で、弟のジェラルドとATP公式戦で初対戦が実現。結果はジェラルドが3-6, 6-3, 6-1で勝利した。

ATPツアー決勝進出結果 編集

シングルス: 13回 (5勝8敗) 編集

大会グレード
グランドスラム (0-0)
ATPワールドツアー・ファイナル (0-0)
ATPワールドツアー・マスターズ1000 (0-0)
ATPワールドツアー・500シリーズ (1-2)
ATPワールドツアー・250シリーズ (4–6)
サーフェス別タイトル
ハード (4–3)
クレー (1-4)
芝 (0-1)
カーペット (0-0)
結果 No. 決勝日 大会 サーフェス 対戦相手 スコア
準優勝 1. 2003年7月13日   ニューポート   ロビー・ジネプリ 4–6, 7–6(3), 1–6
準優勝 2. 2005年5月21日   ザンクト・ペルテン クレー   ニコライ・ダビデンコ 3–6, 6–2, 4–6
準優勝 3. 2006年4月10日   ヒューストン クレー   マーディ・フィッシュ 6–3, 4–6, 3–6
優勝 1. 2006年9月17日   ブカレスト クレー   フィリッポ・ボランドリ 6–1, 7–5
準優勝 4. 2006年10月2日   メス ハード (室内)   ノバク・ジョコビッチ 6–4, 3–6, 2–6
準優勝 5. 2007年3月5日   ラスベガス ハード   レイトン・ヒューイット 4–6, 6–7(10)
準優勝 6. 2008年7月20日   キッツビュール クレー   フアン・マルティン・デル・ポトロ 2–6, 1–6
優勝 2. 2009年11月1日   ウィーン ハード (室内)   マリン・チリッチ 6–4, 6–3
準優勝 7. 2010年7月25日   ハンブルク クレー   アンドレイ・ゴルベフ 3–6, 5–7
優勝 3. 2010年10月31日   ウィーン ハード (室内)   アンドレアス・ハイダー=マウラー 6–7(10), 7–6(4), 6–4
優勝 4. 2012年2月26日   メンフィス ハード (室内)   ミロシュ・ラオニッチ 7–5, 7–6(4)
準優勝 8 2013年2月10日   ザグレブ ハード (室内)   マリン・チリッチ 3–6, 1–6
優勝 5. 2013年8月24日   ウィンストン・セーラム ハード   ガエル・モンフィス 6-3, 2-1, 途中棄権

ダブルス: 30回 (13勝17敗) 編集

結果 No. 決勝日 大会 サーフェス パートナー 対戦相手 スコア
準優勝 1. 2002年7月8日   ニューポート   アレクサンダー・ポップ   ボブ・ブライアン
  マイク・ブライアン
5-7, 3-6
準優勝 2. 2003年7月7日   ニューポート   ユリアン・ノール   ジョーダン・カー
  デイビッド・マクファーソン
6-7(4), 3-6
準優勝 3. 2003年7月21日   キッツビュール クレー   アレクサンダー・ペヤ   マルティン・ダム
  シリル・スーク
4-6, 4-6
優勝 1. 2005年10月24日   サンクトペテルブルク カーペット (室内)   ユリアン・ノール   ヨナス・ビョルクマン
  マックス・ミルヌイ
4–6, 7–5, 7–5
準優勝 4. 2006年4月10日   ヒューストン クレー   ユリアン・ノール   ミヒャエル・コールマン
  アレクサンダー・ワスケ
7-5, 4-6, [5-10]
優勝 2. 2006年4月24日   カサブランカ クレー   ユリアン・ノール   ミヒャエル・コールマン
  アレクサンダー・ワスケ
6–3, 6–4
優勝 3. 2006年7月10日   ニューポート   ロバート・ケンドリック   ジェフ・クッツェー
  ジャスティン・ギメルストブ
7–6(3), 6–0
準優勝 5. 2006年10月2日   メス ハード
(室内)
  ユリアン・ノール   リシャール・ガスケ
  ファブリス・サントロ
6-3, 1-6, [9-11]
準優勝 6. 2006年10月9日   ウィーン ハード
(室内)
  ユリアン・ノール   ペトル・パラ
  パベル・ビズネル
4-6, 6-3, [10-12]
準優勝 7. 2006年10月23日   サンクトペテルブルク カーペット (室内)   ユリアン・ノール   シーモン・アスペリン
  トッド・ペリー
1-6, 6-7(3)
準優勝 8. 2007年2月19日   メンフィス ハード
(室内)
  ユリアン・ノール   エリック・ブトラック
  ジェイミー・マリー
5-7, 3-6
準優勝 9. 2007年10月28日   サンクトペテルブルク カーペット (室内)   トッド・ペリー   ダニエル・ネスター
  ネナド・ジモニッチ
1-6, 6-7(3)
準優勝 10. 2008年1月13日   オークランド ハード   グザビエ・マリス   ルイス・オルナ
  フアン・モナコ
4-6, 6-3, [7-10]
準優勝 11. 2008年5月19日   ペルチャッハ クレー   ユリアン・ノール   マルセロ・メロ
  アンドレ・サ
5–7, 7–6(3), [11–13]
優勝 4. 2008年6月15日   スヘルトーヘンボス   マリオ・アンチッチ   マヘシュ・ブパシ
  リーンダー・パエス
7–6(5), 6–3
優勝 5. 2009年8月29日   ニューヘイブン ハード   ユリアン・ノール   ブルーノ・ソアレス
  ケビン・ウリエット
6–4, 7–6(3)
優勝 6. 2009年10月11日   東京 ハード   ユリアン・ノール   ロス・ハッチンズ
  ジョーダン・カー
6–2, 5–7, [10-8]
準優勝 12. 2009年11月1日   ウィーン ハード
(室内)
  ユリアン・ノール   ルカシュ・クボット
  オリバー・マラチ
6-2, 4-6, [9-11]
優勝 7. 2010年2月7日   ザグレブ ハード
(室内)
  フィリップ・ペッシュナー   アルノー・クレマン
  オリビエ・ロクス
3–6, 6–3, [10-8]
優勝 8. 2010年7月3日   ウィンブルドン   フィリップ・ペッシュナー   ロベルト・リンドステット
  ホリア・テカウ
6–1, 7–5, 7–5
準優勝 13. 2010年10月3日   バンコク ハード
(室内)
  ジョナサン・エルリック   クリストファー・カス
  ビクトル・トロイツキ
4–6, 4–6
優勝 9. 2010年10月17日   上海 ハード   リーンダー・パエス   マリウシュ・フィルステンベルク
  マルチン・マトコフスキ
7–5, 4–6, [10–5]
優勝 10. 2011年2月13日   ロッテルダム ハード
(室内)
  フィリップ・ペッシュナー   ミカエル・ロドラ
  ネナド・ジモニッチ
6-4, 3-6, [10-5]
優勝 11. 2011年7月16日   シュトゥットガルト クレー   フィリップ・ペッシュナー   マルセル・グラノリェルス
  マルク・ロペス
6–3, 6–4
優勝 12. 2011年9月10日   全米オープン ハード   フィリップ・ペッシュナー   マリウシュ・フィルステンベルク
  マルチン・マトコフスキ
6–2, 6–2
準優勝 14. 2012年1月8日   ブリスベン ハード   フィリップ・ペッシュナー   マックス・ミルヌイ
  ダニエル・ネスター
1–6, 2–6
優勝 13. 2014年10月19日   ウィーン ハード
(室内)
  フィリップ・ペッシュナー   アンドレ・ベーゲマン
  ユリアン・ノール
7–6(6), 4–6, [10–7]
準優勝 15. 2014年11月2日   パリ ハード
(室内)
  マルチン・マトコフスキ   ボブ・ブライアン
  マイク・ブライアン
6–7(5), 7–5, [6–10]
準優勝 16. 2015年5月3日   イスタンブール クレー   ロベルト・リンドステット   ラドゥ・アルボット
  ドゥシャン・ラヨビッチ
4–6, 6–7(2)
準優勝 17. 2016年10月26日   モスクワ ハード
(室内)
  ユリアン・ノール   フアン・セバスティアン・カバル
  ロベルト・ファラ
5–7, 6–4, [5–10]

4大大会ダブルス優勝 編集

4大大会シングルス成績 編集

略語の説明
 W   F  SF QF #R RR Q# LQ  A  Z# PO  G   S   B  NMS  P  NH

W=優勝, F=準優勝, SF=ベスト4, QF=ベスト8, #R=#回戦敗退, RR=ラウンドロビン敗退, Q#=予選#回戦敗退, LQ=予選敗退, A=大会不参加, Z#=デビスカップ/BJKカップ地域ゾーン, PO=デビスカップ/BJKカッププレーオフ, G=オリンピック金メダル, S=オリンピック銀メダル, B=オリンピック銅メダル, NMS=マスターズシリーズから降格, P=開催延期, NH=開催なし.

大会 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 通算成績
全豪オープン A A LQ 1R 3R 3R 1R 2R 2R 3R 1R 4R 1R 3R A 2R A 1R A 14–13
全仏オープン A A A 1R 2R 3R 1R 2R 3R 3R SF 2R 1R 1R 2R 2R A A LQ 21–13
ウィンブルドン 1R LQ 1R 2R 1R 3R 1R A 3R 3R 4R 3R 2R 4R 1R LQ A LQ LQ 16–13
全米オープン A A 2R 2R 3R 1R 1R 2R 3R 2R 4R 2R 1R 1R 1R 2R LQ A LQ 12–13

脚注 編集

外部リンク 編集