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共和国(きょうわこく、: republic: res publica)とは、君主が存在しない国家共和制の国家)である。対比語は君主国

目次

用語編集

共和国を意味するリパブリック(英語: republic)は、古代の共和政ローマの名称であるレス・プブリカ(ラテン語: res publica)に由来する。レス・プブリカは「公共物、公益公法」などを意味し、「私なるもの」を意味するレス・プリワタ(ラテン語: res privata)の対比語として使用された[1]。君主制では本来、君主が国を私的・個人的に所有し支配する事に対比して、君主のいない国家を公共の国(共和国)と呼んだ。

なお漢語の「共和」は、大槻磐渓の示唆により箕作省吾がその著『坤輿図識』(1845年)で「republic」の訳語として初めて用いた[2]。これは西周の「共和」と呼ばれる期間に由来する。これは暴政を行った厲王が国人(諸侯と都市住民)に追放された後の14年間で、『史記・周本紀』によれば、この期間は宰相召公周公が共同して統治に当たっていたとされた。この体制では世襲の王がおらず、有力者の合議による政治が行われていたと考えられていた[注釈 1]

概要編集

共和国は君主のいない国を意味する。共和国は君主国との対比語で、君主国は(多くの場合は世襲による)君主が私的に所有し支配する国である事に対して、共和国は公共物としての国である、との意味を持つ。

古代アテナイでは王を追放して市民が政治を行い、デモクラティア(民主制、民主政、民主主義)と呼ばれた。共和政ローマでは王を追放して執政官元首)・貴族(元老院)・平民(民会)による統治(混合政体)が行われたが、彼らは衆愚政治を意味するデモクラティアとの名称を避け、レス・プブリカ(共和国)と自称した。

13世紀、イギリスのマグナ・カルタで王権の制限が定められ(制限君主制)、後に議院内閣制が形成された(立憲君主制)。18世紀、アメリカ独立革命では君主国であるイギリスから独立して大統領を元首とする共和国が誕生し、更にフランス革命では王政を打倒して、従来の君主ではなく民族や国民を単位とした国民国家、更に元首と国家の財政分離など近代国家が誕生した。

第一次世界大戦第二次世界大戦では、多くの君主国の崩壊と、民族自決による植民地独立運動により、多数の共和国が誕生した。また社会主義共和国イスラム共和国も誕生した。

なお君主国と同様に、共和国にも各種の国家連合国家連邦が存在する。アメリカ合衆国は複数の共和国である州によって構成された連邦国家、旧ソビエト連邦は複数の共和国によって構成された連邦共和国であった。

種類編集

近代以降の共和国の分類には建国の理念などにより以下があるが、自称である国号とは異なる場合も多く、その定義や範囲は曖昧である。

議論編集

君主との関係編集

共和国は君主が存在しない国家だが、君主の定義や範囲は曖昧で時代や地域によっても異なる。このため公式には共和国(共和制)でも世襲による君主的存在を元首とする場合や、逆に公式には君主国(君主制)でも君主が儀礼的な権限しか持たない場合もあり、その境界や用語は曖昧である。共和国と君主の関係や用語が議論となる主な例には以下がある。

なお日本国憲法下の日本が君主国かどうか(天皇が君主であるかどうか)は議論がある(立憲君主制#日本 を参照)。また朝鮮民主主義人民共和国では世襲による指導者による独裁的権力が続いており、批判的立場から比喩的に王朝とも呼ばれている。

民主主義との関係編集

共和主義(君主制廃止)と民主主義(大衆支配、人民支配)は、歴史的、概念的、制度的に密接な関連性があるが、同一ではない。民主主義は組織の支配者が多数である事を意味し、重要問題の最終決定権すなわち主権が人民(市民、国民)にあるという思想・体制・国を指す。例えばフランス革命ではジャコバン派独裁により恐怖政治を行ったが、政体は共和制である。またイギリスは現在では通常は民主国家と呼ばれるが君主制である(立憲君主制)。

共和主義と民主主義の関係は、政治理念の他に、その時代や地域の経緯も影響している。共和主義の立場では、君主は本来は国の私的な所有者・支配者であるため、国民から選出される大統領などが元首となる方が、民主主義および平等主義を徹底させた形態と考える。これに対して立憲君主制の立場では、形式的には君主国でも憲法等により君主の権限を大幅にまたは全て制限すれば、実質的な民主主義(国民主権)は確保できると考える。独立後のアメリカ合衆国の共和主義では、共和主義者は主に中道右派や保守派として代議制(間接民主主義)を重視して共和党への流れを形成し、民主主義者は選挙権の拡大直接民主主義を重視して民主党への流れを形成した。

独裁との関係編集

一般には、支配者が多数(民主主義、合議制など)となった体制において、1人または少数が権力を独占して支配を確立する事が「独裁」と呼ばれる。このため民主制や共和制で発生した権力独占は「独裁」と呼ばれ、君主国で発生した権力独占は通常は「独裁」とは呼ばれない傾向がある。また独裁者の多くは、共和制や民主制の実現や防衛を主張している。歴史的に著名な、共和国における独裁には以下がある。

現在の共和国編集

脚注編集

注釈編集

  1. ^ 一方で、史記のこの記述は誤りで、実際には諸侯に推戴された共伯和(共という国の伯爵で和という人物)によって王の職務が代行されていた(『古本竹書紀年』の記述)という説もある[3]

出典編集

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  1. ^ 日本大百科全書(ニッポニカ),小学館
  2. ^ 穂積陳重『法窓夜話』、岩波文庫
  3. ^ 落合淳思『古代中国の虚像と実像』講談社、2009年

関連項目編集