メインメニューを開く

地理・地質編集

長野県中部、岡谷市と塩尻市との境に位置する。筑摩山地部にあたり[1]諏訪盆地松本盆地とを隔てる塩尻峠側にある[2]山頂には三角点(基準点名は「今井」、等級は三等三角点)が設置されていたが、2009年平成21年)の調査により「亡失」と判定され、基準点成果の公表は停止されている[3]地理院地図によれば高ボッチ山の標高は1,665メートルで[4]、『角川日本地名大辞典』など資料によっては1,664.9メートルとの記載も見える[2]

高ボッチ山から南北に連なる山稜を高ボッチ高原という。状の凹地が散在する隆起準平原面[2]、「ひょうたん池」という名のがある[5]

地質第三紀中新世の緑色凝灰岩(グリーンタフ泥岩互層が主体。それを貫くようにして角閃石ひん岩が山頂部分に分布している。西側では石英閃緑岩が基部に貫入している影響で、泥石の一部がホルンフェルス化している。松本盆地に面して走る2本の断層は、糸魚川静岡構造線系のものとされている[2]

高地にあっての平均気温セ氏20前後と冷涼で[6]に閉ざされる[7]

高原の大半がススキ草原で覆われ[8]、夏はレンゲツツジニッコウキスゲが咲く[9]。そのほかヤマブドウ(「熊井(くまのい)ぶどう」と呼ばれた)[1]ハクサンフウロコバギボウシマツムシソウヨツバヒヨドリなどが生える。昆虫としてはアサギマダラクジャクチョウヒョウモンチョウが見られる[8]

歴史編集

江戸時代までは採草地(草刈場)として利用されていた。岡谷側の横川村と、塩尻側の北熊井村[注 1]との間では境界を巡ってしばしば紛争となった[1]。草原はやがて牧場となり[2]、概ね6月上旬から10月上旬までの期間にわたって30頭ほどの乳牛放牧している[5]昭和の半ば頃になると北熊井側の有志が中心となって草競馬が開催され始めた。現在では塩尻市の呼びかけのもと、毎年8月に草競馬大会が催されている[1]競走馬からポニーまで、およそ100頭ものたちが草競馬場を駆け抜ける[6]

戦後間もない1951年(昭和26年)、警察予備隊[注 2]演習場が高原に設置され、草競馬場あたりから山頂に向かって実弾射撃訓練が行われた。崖の湯温泉から高原へと至る道路はこのとき拡幅され、沿道には営林署の小屋を転用した食糧倉庫の跡が残る[12]

かつては高ボッチ高原荘や高ボッチ山荘といった宿泊施設が存在したが、採算性(利用者数の減少や冬期閉鎖により通年営業が困難)や施設の老朽化、事故(高ボッチ高原荘は2000年1月火災で焼失)といった問題から廃業している[13][14]

命名編集

「高ボッチ」という名称は、1910年明治43年)に5万分1地形図を作成する際、測量士らが付けたものとされている[1]。由来は定かではないが[2]、以下のような説がある[15]

  • ダイダラボッチが休憩したとの伝承から。
  • 巨大なもの、巨人という意味のアイヌ語から。
  • 凹地(くぼち、窪地)から。
  • 山頂が栓、またはのつまみ、突起、あるいは帽子(いずれもボッチ、ポッチ、ボッチョといった異名をもつ)の形をしていることから。

ローマ字表記は "Takabocchi" [16]"Takabotchi" [17] の2通りが見られる。

観光・交通編集

長野自動車道岡谷インターチェンジから15キロメートル自動車で40[9]。塩尻峠を通る国道20号から高ボッチ山を経て、鉢伏山のほか、西麓にある崖の湯温泉まで車道が通じている[2]JR岡谷駅からはタクシーで1時間程度[9]2017年(平成29年)には夏場の休日に限ってJR塩尻駅からバスが運行された[18]。徒歩で登る際は塩尻側の麓にあるブリーズベイリゾート塩尻かたおか(旧・アスティかたおか)から2時間半ないし3時間[5]松本市牛伏寺からであれば3時間半である[19]。なお、高ボッチ山へと至る塩尻市道高ボッチ線は、になると路面凍結積雪のため通行止めとなる[7]

眺望に優れ、飛騨山脈(北アルプス)や諏訪湖八ヶ岳など、広範囲を見渡せる[2]。他にも富士山赤石山脈(南アルプス)[20][21][22]、諏訪盆地を覆う雲海[23]夜景[20]、諏訪湖の花火大会(諏訪湖祭湖上花火大会全国新作花火競技大会)の撮影スポットとしても知られる[24]ハイキングに適し[2]6月レンゲツツジ7月ニッコウキスゲが見頃[9]。8月は草競馬(前述)で賑わう[2]

高ボッチ高原への観光入り込み客数は2004年(平成16年)時点で8万9,100人で、当時塩尻市内の観光地としては奈良井宿の4分の1程度に過ぎず、認知度・来訪率ともに低い水準にあったが[25]カメラマンを中心として次第に人気が集まり、2015年(平成27年)は約15万8,000人、2016年(平成28年)には16万700人と増加傾向にある[18]

歴史の項にある通り、かつては高ボッチ高原荘や高ボッチ山荘といった宿泊施設が存在し、高ボッチ山荘が管理するキャンプ場キャンプも可能だったが、高ボッチ高原荘・高ボッチ山荘ともに火災で焼失し、それに伴ってキャンプ場も閉鎖された。国定公園内でのテントやツェルトを用いての野営は自然公園法に違反する(第20条第3項の一における工作物の新築に該当し、長野県知事の許可が必要となる)ため、ここでキャンプ行為を行うことはできない。

放送・通信編集

山頂には放送通信に関する設備がいくつか立地する。以下に一部を示す。

FM補完中継局編集

周波数(MHz)放送局名空中線電力実効輻射電力放送対象地域放送区域内世帯数運用開始日
94.2SBC
信越放送
100W[26] -長野県-2018年6月20日

長野県防災行政無線中継局編集

高ボッチ山に中継局があり、長野県防災行政無線の回線を構成している。同じ松本地域内の松本・奈良井ダムのほか、上伊那地域陣馬形横川ダムの各局と結ばれている[27]

中部電力マイクロ波反射板編集

中部電力1960年(昭和35年)10月、愛知県名古屋市にある同社本店と、飯田・松本・長野にある各拠点とをマイクロ波で結ぶ無線通信回線を完成させた。飯田 - 松本間の経路上には、下平および高ボッチ山の2か所にマイクロ波反射板が設置された[28]

高ボッチ山に関連する作品編集

  • ゆるキャン△』 - あfろ漫画。第7 - 8話にて主人公の友人が訪問し昼食をとる描写がある。昼食後主人公の友人は高ボッチ山を離れキャンプ場へ移動したが、深夜に再び高ボッチ山の山頂へ訪れ、離れた地でキャンプをしていた主人公とスマートフォンで夜景の写真を贈り合い親交を深めた(単行本第2巻収録[29]テレビアニメ第5話[30])。

脚注編集

[ヘルプ]

注釈編集

  1. ^ いずれも諏訪藩[10]
  2. ^ のちの保安隊、現在の自衛隊[11]

出典編集

  1. ^ a b c d e f g h i 『日本歴史地名大系 20 長野県の地名』639 - 640ページ。
  2. ^ a b c d e f g h i j 『角川日本地名大辞典 20 長野県』681ページ
  3. ^ 基準点成果等閲覧サービス”. 国土地理院. 2018年2月19日閲覧。
  4. ^ 地理院地図(電子国土Web) 高ボッチ山”. 国土地理院. 2018年2月19日閲覧。
  5. ^ a b c 高ボッチ高原パンフレット”. 塩尻市・塩尻市観光協会. 2018年2月27日閲覧。
  6. ^ a b 高ボッチ高原の観光案内”. 中日本高速道路. 2018年2月18日閲覧。
  7. ^ a b 冬期における市道の通行規制について”. 塩尻市 (2017年12月26日). 2018年2月14日閲覧。
  8. ^ a b しおじり学びの道 中山道 (1)”. 塩尻市 (2017年3月3日). 2018年2月15日閲覧。
  9. ^ a b c d さわやか信州旅.net 高ボッチ高原・鉢伏山”. 長野県観光機構. 2018年2月14日閲覧。
  10. ^ 『日本歴史地名大系 20 長野県の地名』648ページ。
  11. ^ コトバンク 警察予備隊とは(ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説)”. 2018年9月29日閲覧。
  12. ^ “高ボッチに警察予備隊の演習場跡 昭和20年代に実弾射撃”. 市民タイムスWEB (市民タイムス). (2018年8月10日). https://www.shimintimes.co.jp/news/2018/08/post-1492.php 2018年9月29日閲覧。 
  13. ^ 塩尻市 平成12年6月定例会 6月13日-3号”. 塩尻市議会 (2000年6月13日). 2018年2月15日閲覧。
  14. ^ 塩尻市 平成25年12月定例会 12月9日-2号”. 塩尻市議会 (2013年12月9日). 2018年2月15日閲覧。
  15. ^ 「高ボッチについて、①名前の由来②いつからそのように呼ばれるようになったかが知りたい。」 - レファレンス協同データベース(2018年2月17日閲覧)
  16. ^ Google ストリートビュー 国道20号線 塩尻市, 長野県(国道20号、高ボッチ高原入口の看板)”. Google (2014年11月). 2018年2月17日閲覧。
  17. ^ Google ストリートビュー 塩尻市, 長野県(八ヶ岳中信高原国定公園の看板)”. Google (2012年6月). 2018年2月17日閲覧。
  18. ^ a b “天空の高ボッチ高原で涼もう 塩尻駅からバス運行へ”. 信毎おでかけガイド (信濃毎日新聞社). (2017年7月12日). http://www8.shinmai.co.jp/odekake/article.php?id=ODEK20170712008418 2018年2月18日閲覧。 
  19. ^ 新まつもと物語 トコトコ登山 高ボッチ山 冬”. 新まつもと物語プロジェクト (2008年1月20日). 2018年2月19日閲覧。
  20. ^ a b 塩尻市総合観光案内 高ボッチ高原”. 塩尻市 (2017年7月24日). 2018年2月14日閲覧。
  21. ^ 旅たびおかや 高ボッチ”. 岡谷市観光協会. 2018年2月14日閲覧。
  22. ^ 羽田早菜 (2017年2月27日). “フィルムで撮影した幻想的な「富士山」の写真にうっとり…投稿者に撮影のコツを聞いてみた”. IROIRO (マッシュメディア). https://irorio.jp/kaseisana/20170227/388605/ 2018年2月14日閲覧。 
  23. ^ “満天の星と雲海 高ボッチ高原の雪景色”. OVO (共同通信社). (2017年1月24日). https://ovo.kyodo.co.jp/news/culture/a-951205 2018年2月14日閲覧。 
  24. ^ 橋詰真紀. “【長野県】美しすぎるの絶景ポイント「高ボッチ高原」から望む富士山と諏訪湖”. wondertrip (カラフルマーケティング). https://wondertrip.jp/domestic/koushinetsu/99445.html 2018年2月14日閲覧。 
  25. ^ 塩尻市観光振興ビジョン 概要版”. 塩尻市 (2006年3月). 2018年2月18日閲覧。
  26. ^ SBCラジオのワイドFMがはじまりました!!(北信・東信エリア92.2MHz):SBC信越放送:SBC信越放送” (日本語). sbc21.co.jp. 2018年6月6日閲覧。
  27. ^ 入札公告 平成30年度 長野県防災行政無線設備保守点検業務委託 添付05 長野県防災行政無線系統図(最新H30.4.1現在)、長野県防災行政無線 回線構成図(他部局設備を含む)”. 長野県 (2018年5月30日). 2018年6月18日閲覧。
  28. ^ 『中部電力10年史』750、752ページ。
  29. ^ あfろ『ゆるキャン△ 2』芳文社、2016年。ISBN 4832247190
  30. ^ とちろうこ (2018年2月2日). “ゆるキャン△ 第5話 「二つのキャンプ、二人の景色」感想コラム【連載】”. あにぶ (情報保安通信). https://anibu.jp/20180202-yurucan05-81196.html 2018年2月14日閲覧。 

参考文献編集

関連項目編集

外部リンク編集