AGC

日本の東京都千代田区にあるガラスメーカー

AGC株式会社(エイジーシー、: AGC Inc.)は、東京都千代田区丸の内に本社を置く、世界最大級のガラスメーカー。1907年明治40年)創立[1]三菱グループの一員であり、三菱金曜会[2]及び三菱広報委員会[3] の会員企業である[4][5]2021年令和3年)現在の主力製品は、建築用ガラス、フッ素化学製品日経平均株価の構成銘柄の一つ[6]

AGC株式会社
AGC Inc.
本社が入居する新丸の内ビルディング
種類 株式会社
市場情報
略称 AGC
本社所在地 日本の旗 日本
100-8405
東京都千代田区丸の内一丁目5番1号
新丸の内ビルディング
設立 1950年昭和25年)6月1日
(旭硝子株式会社)
業種 ガラス・土石製品
法人番号 2010001008650 ウィキデータを編集
事業内容 ガラスディスプレイ化学エレクトロニクスエネルギーセラミックス
代表者
資本金 908億7,300万円
(2021年12月期)
発行済株式総数 2億2,744万1,381株
(2021年12月期)
売上高
  • 連結:1兆6,973億8,300万円
  • 単体:5,667億400万円
(2021年12月期)
営業利益
  • 連結:2,102億4,000万円
  • 単体:265億5,500万円
(2021年12月期)
純利益
  • 連結:1,238億9,100万円
  • 単体:1,172億4,600万円
(2021年12月期)
純資産
  • 連結:1兆4,813億8,000万円
  • 単体:7,536億6,000万円
(2021年12月期)
総資産
  • 連結:2兆6,660億3,100万円
  • 単体:1兆3,638億4,800万円
(2021年12月期)
従業員数
  • 連結:55,999人
  • 単体:7,223人
(2021年12月31日現在)
決算期 12月31日
会計監査人 有限責任あずさ監査法人
主要株主 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 10.40%
日本カストディ銀行(信託口) 6.73%
明治安田生命保険(常任代理人 日本カストディ銀行) 4.34%
バークレイズ証券 2.74%
公益財団法人旭硝子財団 2.70%
三菱地所 2.05%
旭硝子取引先持株会 2.03%
JPモルガン証券 1.99%
SMBC日興証券 1.82%
日本生命保険 1.65%
(2020年12月31日現在)
関係する人物 岩崎俊彌(創業者)
山田三次郎(初代会長)
古本次郎(元社長)
石村和彦(元会長、社長)
島村琢哉(会長、前社長)
外部リンク www.agc.com ウィキデータを編集
特記事項:創業1907年9月8日
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商号旭硝子株式会社(あさひがらす、英: Asahi Glass Co., Ltd.)。2018年平成30年)7月に従来略称およびブランド名として用いてきたAGCを正式社名とした。

ブランドステートメントは「Your Dreams, Our Challenge[7]

概要 編集

日本板硝子と並ぶガラスメーカー。建築材料自動車向けなどのガラスを中心に、電子部材やその他の化学関連素材を製造・販売している。特に、ガラスについては、世界における最大手である。建築用ガラス、フッ素化学製品などを主に取り扱う。

2007年(平成19年)9月8日に創立100周年を迎えた。これを機に、単体の略称であった「AGC」を全世界的な統一ブランドとして定着させる旨を発表、世界的な広告展開を実施中である。社名ロゴは年初に発表した新しいものへと正式に変更され、大多数の連結子会社・系列会社がこの新ロゴを用いるようになった。なお、2018年(平成30年)の社名変更時にロゴマークは微修正されている。

2016年(平成28年)8月にはドイツのバイオ医薬品会社バイオミーバを買収2017年(平成29年)にデンマークのバイオ医薬品会社CMCバイオロジックスを買収[8]

なお、商号の似ていた旭化成および旭化成グループ、また「PENTAX」ブランドのカメラなどで知られた光学機器メーカーの旭光学工業(現在はHOYAに吸収)とは全く無関係である。

沿革 編集

  • 1907年 - 兵庫県尼崎岩崎俊彌三菱財閥の2代目総帥・岩崎彌之助の次男)が創業。
  • 1909年 - 尼崎工場(2016年現在の関西工場)で板ガラスの製造を開始。
  • 1914年 - 牧山工場(2016年現在の北九州工場。現北九州市戸畑区)竣工。
  • 1917年 - ソーダ灰の製造を開始(牧山工場)。
  • 1918年 - 現在の東京都千代田区に本社を移転。
  • 1939年 - 昭和化学工業(昭和人絹(後のクレハ)と鈴木商店(後の味の素)が設立した会社)を吸収合併。
  • 1944年 - 日本化成工業株式会社と合併し、三菱化成工業株式会社に商号変更。
  • 1950年 - 企業再建分割法により三菱化成工業が3分割され、旭硝子株式会社設立。東京証券取引所大阪証券取引所上場。(名古屋・福岡・札幌証券取引所にも上場していたが、2003年9月に上場廃止となった)
  • 1987年 - 創業80周年を機に「AGC」のシンボルマークを導入。
  • 1997年 - ロシアのガラス市場に参入。
  • 2002年 - グループビジョン"Look Beyond"を策定。カンパニー制を導入。
  • 2007年 - 創立100年を機にグループブランドを「AGC」に統一、シンボルマークをリニューアル。
  • 2013年 - “南米で最も環境にやさしい”ブラジル工場が竣工。ブラジルの板ガラス市場に参入、東南アジア地域での事業拡大を見込みシンガポールに地域統括拠点を設置。
  • 2015年 - 経営方針AGC plusがスタート。
  • 2018年 - AGC株式会社に商号変更、シンボルマークを微修正。ブランドステートメント「Your Dreams, Our Challenge」策定[7][注 1]

歴代社長 編集

名前 任期 役職名
初代 岩崎俊彌(いわさき としや) 1907年9月 - 1930年10月 社長1 6
2代 山田三次郎(やまだ さんじろう) 1931年3月 - 1939年6月 会長2 6
3代 大野政吉(おおの まさきち) 1939年7月 - 1943年12月 社長7
4代 池田亀三郎(いけだ かめざぶろう) 1943年3月 - 1946年3月 社長3 7
5代 森本貫一(もりもと かんきち) 1946年3月 - 1946年12月 社長3 7
6代 森規矩夫(もり きくお) 1946年12月 - 1950年4月 社長3 7
7代 桑田時一郎(くわた ときいちろう) 1950年4月 - 1950年6月 社長3 7
8代 渡辺喜市(わたなべ きいち) 1950年6月 - 1952年2月 社長7
9代 森本貫一(もりもと かんきち) 1952年2月 - 1967年8月 社長7
10代 倉田元治(くらた もとはる) 1967年8月 - 1973年2月 社長7
11代 山下秀明(やました ひであき) 1973年2月 - 1981年3月 社長7
12代 坂部武夫(さかべ たけお) 1981年3月 - 1987年1月 社長7
13代 古本次郎(ふるもと じろう) 1987年1月 - 1992年3月 社長7
14代 瀬谷博道(せや ひろみち) 1992年3月 - 1998年6月 社長
15代 石津進也(いしず しんや) 1998年6月 - 2004年3月 社長→社長執行役員4 7
16代 門松正宏(かどまつ まさひろ) 2004年3月 - 2008年3月 社長執行役員
17代 石村和彦(いしむら かずひこ) 2008年3月 - 2014年12月 社長執行役員
18代 島村琢哉(しまむら たくや) 2015年1月 - 2020年12月 社長執行役員5
19代 平井良典(ひらい よしのり) 2021年1月 - 社長執行役員
  • (旧)旭硝子株式会社時代を含む[9]
  • 1 ・・・ 創業者
  • 2 ・・・ 社長空席
  • 3 ・・・ 1944年4月~1950年5月は(旧)三菱化成工業株式会社
  • 4 ・・・ 2002年6月から社長執行役員
  • 5 ・・・ 2018年7月からAGC株式会社
  • 6 ・・・ 在職中に死去
  • 7 ・・・ 退任後に死去

関連会社 編集

日本 編集

主な取引先 編集

宣伝活動 編集

  • 旭硝子の時代からCMを放映している。
  • 2014年 FIFAワールドカップ ブラジル大会では12の競技場に置かれる「ガラス製ベンチルーフ」を開発・製作しスポンサードした[10]
  • 2018年7月から2019年初頭まで社名変更を知らせるCMを放映。
  • 2022年12月現在、AGC単体で提供している番組はないが、関連団体である公益財団法人旭硝子財団が2022年10月から12月末までの期間限定ながら「地球環境問題への挑戦者たち~ブループラネットの未来へのために[11]」に提供している(関連団体での提供であるためAGCのCMの放映はなし。)。

提供スポンサーであった番組 編集

メディア放送・掲載 編集

諸問題 編集

  • 公害の発生
    • 尼崎市グラウンド跡地から、土壌環境基準値の200倍のヒ素が検出され土壌汚染が発生していることが発覚。2005年12月2日、旭硝子はグラウンド跡地周辺の公園やマンションの地下水からも最高で基準の69倍のヒ素を検出し、敷地外の周辺へも地下水汚染を拡散させていることを発表した。
    • 2004年3月末に閉鎖された船橋工場では、自主調査によって、フッ素、六価クロム、、ヒ素等が検出された。中でも宙水中のヒ素は環境基準値の7300倍、鉛は環境基準値の630倍という高濃度であった。2005年より土壌汚染除去工事が開始されたが、除去工事の途中に過去に埋めた廃棄物からアスベストも発見された。除去工事は2007年9月に完了した。
  • 子会社による品質不正品の出荷

著名な社員 編集

  • 江頭2:50
    芸人デビュー前の千葉県在住時代、旧・船橋工場にてアルバイト勤務。効率的ながら奇妙な作業姿勢「取って、入れて、出す」が工場内に浸透。芸人としての持ちネタにもなった。
  • 熱田五郎
    当社に勤務しながら作家としても活動していた
  • 鈴見健夫
    芝浦工業大学理事長。同校を卒業後入社。関連会社社長などを歴任[14][15][16]

CM出演者 編集

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ それに伴い旭硝子の社名とロゴはその前日となる2018年6月30日をもって使用終了(廃止)となった。「注1」AGC千葉工場の合同肥料踏切前の施設には残存していたが、2020年10月では取り外された。ホームページやCM上での社名は、旧ロゴと共に廃されており、AGC関連印刷や、各物や看板のロゴ、デザイン等はこれまで旧ロゴが使用されていた箇所からも、今後順次廃されていく予定であるヒストリー - AGC

出典 編集

  1. ^ “もとをたどれば:旭硝子 日本近代化へガラス国産挑戦”. 毎日新聞. (2018年4月8日). https://mainichi.jp/articles/20180408/ddm/008/020/083000c 2020年3月8日閲覧。 
  2. ^ 三菱金曜会”. 三菱グループホームページ. 2020年12月6日閲覧。
  3. ^ 三菱広報委員会の活動”. 三菱グループホームページ. 2020年12月6日閲覧。
  4. ^ a b c 三菱グループに「落ちこぼれ企業」続出、最強エリート集団の大ピンチ”. 週刊ダイヤモンド公式サイト. 2021年7月15日閲覧。
  5. ^ a b c 三菱広報委員会の加盟会社”. 三菱グループホームページ. 2020年12月6日閲覧。
  6. ^ 構成銘柄一覧:日経平均株価 Nikkei Inc. 2021年10月8日閲覧。
  7. ^ a b ブランドステートメント - AGC
  8. ^ “デンマークの医薬品会社を買収=約600億円-旭硝子”. (2016年12月20日). http://www.jiji.com/jc/article?k=2016122000176&g=eco 2016年12月23日閲覧。 
  9. ^ AGCデータブック”. 2022年6月3日閲覧。
  10. ^ W杯“初出場”旭硝子製「ガラスベンチ」
  11. ^ 地球環境問題への挑戦者たち~ブループラネットの未来のために~, テレビ東京・BSテレ東, https://www.bs-tvtokyo.co.jp/blueplanet/ 2022年12月7日閲覧。 
  12. ^ Story ~長寿企業の知恵~ #012 FRESH!(フレッシュ)”. サイバーエージェント. 2017年5月21日閲覧。
  13. ^ 旭硝子子会社、実験器具で品質不正 保証書偽り出荷”. 日本経済新聞 (2018年1月10日). 2023年5月30日閲覧。
  14. ^ 学校法人芝浦工業大学理事長に鈴見健夫を選任しました”. 芝浦工業大学. 2022年6月3日閲覧。
  15. ^ 理事長挨拶・プロフィール|芝浦工業大学”. www.shibaura-it.ac.jp. 2022年6月3日閲覧。
  16. ^ 鉄人の団らん 鈴見健夫”. 日本経済新聞 (2022年6月3日). 2022年6月3日閲覧。

関連項目 編集

外部リンク 編集