ニエル賞(ニエルしょう、: Prix Niel)とは、フランスギャロパリロンシャン競馬場の芝2400メートルで施行する競馬平地重賞競走である。グループ制では1987年からG2に類されている。出走条件はサラブレッド3歳限定である。凱旋門賞の3週間前に前哨戦として行われる。日本ではかつて「ニエユ賞」という表記が用いられたが、現在はフランス語の発音に近い「ニエル賞」が主に使われている。

ニエル賞
Prix Niel
開催国 フランスの旗フランス
主催者 フランスギャロ
競馬場 パリロンシャン競馬場
創設 1952年
2021年の情報
距離 芝2400m
格付け G2
賞金 賞金総額13万ユーロ[1]
出走条件 サラブレッド3歳
負担重量 58kg、牝馬1.5kg減
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概要 編集

1952年に3歳以上の競走馬による重賞競走としてシャンティイ賞(Prix de Chantilly)の名称で創設される[† 1]。創設時は3歳以上に開かれていたが、1955年より3歳限定とした上で、凱旋門賞の前哨戦に位置づけられた[2]

1971年フォワ賞と同日開催日となり[3]、翌1972年には1970年10月8日に90歳で亡くなったガストン・ニエル伯爵(1880-1970)[† 2]を記念して現競走名に改名されている。1979年からは距離・コースとも本番の凱旋門賞と同条件となった[2]

凱旋門賞では斤量の関係で3歳馬が有利となっている事から、当競走から多数の凱旋門賞勝ち馬が出ていたが、2006年のレイルリンクを最後に当競走から凱旋門賞を制した馬は出ていない。

2013年度現在の総額賞金は13万0000ユーロで優勝賞金は7万4100ユーロ、2着賞金は2万8600ユーロ、3着賞金は1万3650ユーロ、4着賞金は9100ユーロ、5着賞金は4550ユーロと定められている[4]

歴史 編集

歴代優勝馬 編集

※G2昇格(1987年)以降の優勝馬を記載する。

回数 施行日 調教国・優勝馬 日本語読み 性齢 タイム 優勝騎手 管理調教師 凱旋門賞の成績
第36回 1987年9月13日  Trempolino トランポリーノ(en) 牡3 2:38.40 P.エデリー A.ファーブル 1着
第37回 1988年9月11日  Fijar Tango フィハルタンゴ 牡3 2:34.60 A.S.クルーズ GE.Mikhalidès 7着
第38回 1989年9月17日  Golden Pheasant ゴールデンフェザント 牡3 2:32.50 A.S.クルーズ J.ピース(en) 14着
第39回 1990年9月16日  Epervier Bleu エペルヴィエブルー 牡3 2:32.00 D.ブフ E.ルルーシュ 2着
第40回 1991年9月15日  Subotica スボーティカ(en) 牡3 2:28.50 T.ジャルネ(en) A.ファーブル 2着
第41回 1992年9月13日  Songlines ソンライン 牡3 2:32.80 O.ブノワ E.バーソロミュー -
第42回 1993年9月12日  Hernando エルナンド 牡3 2:36.70 C.アスムッセン F.ブータン(en) 16着
第43回 1994年9月11日  Carnegie カーネギー 牡3 2:34.90 T.ジャルネ A.ファーブル 1着
第44回 1995年9月10日  Housamix ウサミックス 牡3 2:36.10 T.ジャルネ A.ファーブル 不出走
第45回 1996年9月15日  Helissio エリシオ 牡3 2:30.40 O.ペリエ E.ルルーシュ 1着
第46回 1997年9月14日  Rajpoute ラージプート 牡3 2:30.90 G.モッセ F.ドゥーメン(en) 不出走[a]
第47回 1998年9月13日  Sagamix サガミックス 牡3 2:41.30 O.ペリエ A.ファーブル 1着
第48回 1999年9月12日  Montjeu モンジュー 牡3 2:32.80 M.キネーン J.ハモンド(en) 1着
第49回 2000年9月10日  Sinndar シンダー 牡3 2:26.40 J.ムルタ J.オックス(en) 1着
第50回 2001年9月16日  Golan ゴーラン 牡3 2:27.00 K.ファロン M.スタウト 4着
第51回 2002年9月15日  Sulamani スラマニ 牡3 3:12.80 T.テュリエ(en) P.バリー(en) 2着
第52回 2003年9月14日  Dalakhani ダラカニ 牡3 2:27.60 C.スミヨン A.ロワイエ=デュプレ 1着
第53回 2004年9月12日  Valixir ヴァリクシール 牡3 2:29.40 E.ルグリ(en) A.ファーブル 10着[b]
第54回 2005年9月11日  Hurricane Run ハリケーンラン 牡3 2:30.70 K.ファロン A.ファーブル 1着
第55回 2006年9月10日  Rail Link レイルリンク 牡3 2:31.90 C.スミヨン A.ファーブル 1着
第56回 2007年9月16日  Soldier Of Fortune ソルジャーオブフォーチュン 牡3 2:25.60 J.ムルタ A.オブライエン 5着
第57回 2008年9月14日  Vision D'Etat ヴィジョンデタ 牡3 2:27.40 I.メンディザバル E.リボー 5着
第58回 2009年9月13日  Cavalryman キャヴァルリーマン 牡3 2:30.10 L.デットーリ A.ファーブル 3着
第59回 2010年9月12日  Behkabad ベーカバド 牡3 2:30.80 C.ルメール J-C.ルジェ 4着
第60回 2011年9月11日  Reliable Man リライアブルマン 牡3 2:32.43 G.モッセ A.ロワイエ=デュプレ 15着
第61回 2012年9月16日  Saonois サオノワ 牡3 2:35.31 A.アムラン J.ゴーヴァン 15着
第62回 2013年9月15日  Kizuna キズナ 牡3 2:37.64 武豊 佐々木晶三 4着
第63回 2014年9月14日  Ectot エクトー 牡3 2:26.36 G.ブノワ E.ルルーシュ 17着
第64回 2015年9月13日  New Bay ニューベイ 牡3 2:35.10 V.シュミノー A.ファーブル 3着
第65回 2016年9月11日  Makahiki マカヒキ 牡3 2:35.84 C.ルメール 友道康夫 14着
第66回 2017年9月10日  Cracksman クラックスマン 牡3 2:37.78 L.デットーリ J.ゴスデン 不出走
第67回 2018年9月16日  Brundtland ブルントラント 牡3 2:31.55 J.ドイル C.アップルビー 不出走
第68回 2019年9月15日  Sottsass ソットサス 牡3 2:27.46 C.デムーロ J-C.ルジェ 3着
第69回 2021年9月12日  Bubble Gift バブルギフト 牡3 2:34.63 G.モッセ M.デルザングル 8着
第70回 2022年9月11日  Simca Mille シムカミル 牡3 2:32.81 G.ブノワ S.ワッテル 不出走
第71回 2023年9月10日  Fantastic Moon ファンタスティックムーン 牡3 2:33.20 R.ピーヒュレク F.Steinberg 11着

a  1997年に凱旋門賞優勝馬となる大本命パントルセレブル(Peintre Celebre)は2着。
b  2004年に凱旋門賞優勝馬となるバゴ(Bago)は3着。

1986年以前のおもな優勝馬は以下のとおり。

  • 1954年 - シカボーイ(Sica Boy)
  • 1960年 - ピュイッサンシェフ(Puissant Chef)
  • 1963年 - ルメニル(Le Mesnil)
  • 1965年 - スーパーサム(Super Sam)
  • 1966年 - ネルシウス(Nelcius)
  • 1967年 - Taj Dewan
  • 1968年 - ヴェイグリーノーブル(Vaguely Noble)
  • 1969年 - ベルバリー(Belbury)
  • 1970年 - ステインテイノ(Stintino)
  • 1972年 - ハードツービート(Hard to Beat)
  • 1973年 - ダリア(Dahlia)
  • 1974年 - ミシシッピアン(Mississipian)
  • 1975年 - アンズプリテンダー(Anne's Pretender)
  • 1976年 - ユース(Youth)
  • 1977年 - クリスタルパレス(Crystal Palace)
  • 1978年 - ゲイメセン(Gay Mecene)
  • 1979年 - ルマルモ(Le Marmot)
  • 1980年 - Prince Bee
  • 1981年 - アカラッド(Akarad)
  • 1982年 - Bon Sang
  • 1983年 - サガス(Sagace)
  • 1984年 - Cariellor
  • 1985年 - ムクター(Mouktar
  • 1986年 - ベーリング(Bering)

日本調教馬の成績 編集

記録 編集

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ 創設以前にもシャンティイ賞という名称の競走は、ロンシャン競馬場のおよそ3000mで9月に行われていた[2]
  2. ^ 第二帝政期における陸軍大臣アドルフ・ニエル元帥英語版フランス語版の末子。1949年に競馬協会全国連合会の会長に任命され、1965年までその地位に就いていた。また、1954年に奨励協会(フランスギャロの前身)の第11代会長に就任し、1959年12月に80歳の誕生日に名誉会長となるまで5年間務めた[2]

出典 編集

  1. ^ ICSC 2014 France2014年12月12日閲覧。
  2. ^ a b c d フランスギャロ、ニエル賞の歴史
  3. ^ フランスギャロ、フォワ賞の歴史
  4. ^ IFHA、競走詳細
  5. ^ 【海外競馬】仏重賞日程を変更、凱旋門賞の前哨戦・ニエル賞は中止に”. netkeiba (2020年4月25日). 2020年9月13日閲覧。
  6. ^ フランスギャロ、G1ムーランドロンシャン賞ら7重賞をセン馬に開放へ”. JRA-VAN (2019年7月10日). 2022年1月23日閲覧。

参考文献 編集

ウェブサイト

関連項目 編集