皇室典範
1947年に制定された日本の法律
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皇室典範(こうしつてんぱん、昭和22年法律第3号)は、日本国憲法第2条及び第5条に基づき、皇位継承、天皇・皇族の身分、皇室会議、摂政の設置など、皇室に関する事項を定めた日本の法律[1]。
皇室典範 | |
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法令番号 | 昭和22年法律第3号 |
種類 | 憲法附属法 |
効力 | 現行法 |
公布 | 1947年(昭和22年)1月16日 |
施行 | 1947年(昭和22年)5月3日 |
所管 | 宮内庁 |
主な内容 | 皇位継承及び摂政に関する事項を中心に皇室制度について定める |
関連法令 |
日本国憲法 内閣法 旧皇室典範 天皇の退位等に関する皇室典範特例法 |
条文リンク | e-Gov法令検索 |
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所管官庁は、宮内庁である。
1947年(昭和22年)に、日本国憲法第100条及び第2条、第5条に基づき、日本国憲法施行前に、憲法附属法の制定手続によって、枢密院の諮詢及び帝国議会(衆議院、貴族院)の協賛を経て、2020年(令和2年)現在の「皇室典範」(昭和22年法律第3号)が制定され、1947年(昭和22年)5月3日、日本国憲法と同時に施行された[2]。
経緯編集
「昭和22年1月16日法律第3号」の法令番号を持つ2020年(令和2年)現在の皇室典範は「法律」として1947年(昭和22年)1月16日に公布された。他の法律と同様にその改正は国会の議決で行われることにより、皇室の制度そのものに国民の民意が国会を通じて関与することとなった。これは、制定当時、日本を占領していたGHQの強い意向によるものである[3]。
この皇室典範は日本国憲法施行の日と同日の1947年(昭和22年)5月3日に施行された。その前日(5月2日)、1889年(明治22年)裁定の「旧皇室典範」並びに1907年(明治40年)及び1918年(大正7年)の「皇室典範増補」は廃止された(皇室典範及皇室典範增補廢止ノ件)。また、皇室令の法形式も廃止されている(皇室令及附属法令廃止ノ件(昭和22年皇室令第12号))。
改正編集
- 1949年(昭和24年) - 総理府設置法の制定等に伴う関係法令の整理等に関する法律
- 2017年(平成29年) - 天皇の退位等に関する皇室典範特例法
構成編集
以下の通りに構成されている。
主な内容編集
旧・皇室典範との主な相違点編集
- 大日本帝国憲法第74条で、帝国議会の旧・皇室典範への不干渉と、旧・皇室典範の大日本帝国憲法への不干渉が定められていたことに基づき、旧・皇室典範は、大日本帝国憲法と対等な法という扱いであり、両者を合わせて「典憲」と称した。しかし、現行の皇室典範の位置づけは日本国憲法に基づく法律という形式である。したがって一般の法律と同じく国会の議決によって改正することができる。
- 旧・典範が全12章62か条であるのに対し、現・典範は全5章37か条とかなり簡略化された。
- 皇位継承資格、皇族の範囲は嫡男系嫡出(正室が生んだ子)のみ(第6条)。
- 親王及び内親王とする皇族の範囲を4世から2世に狭め、3世以下を王及び女王とした(第6条)。
- 皇室令が廃止され、皇室祭祀令、皇室儀制令、皇室喪儀令など宮中の祭祀、儀礼に関する詳細な法令が無くなった。しかし2020年(令和2年)現在でも基本的には旧・皇室令に準じて実施されている。
- 皇室の財政、財務に関する事項について皇室経済法に移った。
- 太傅や、皇族に対する訴訟、懲戒規定、元号 [6]、神器渡御に関する法令が無くなった。
皇室典範改正議論編集
主に議論になる事柄。詳細は各項を参照。
関連項目編集
脚注編集
- ^ 大辞林 第三版
- ^ 皇室典範案会議録一覧 - 国立国会図書館、日本法令索引。
- ^ 笠原英彦 「皇室典範制定過程の再検討:皇位継承制度を中心に」、三 現行皇室典範の制定過程。 『法學研究:法律・政治・社会』(慶應義塾大学法学研究会) Vol.83, No.12、 2010年(平成22年)12月 pp.1-28 。 NAID 120005662050(慶應義塾大学機関リポジトリ内) 2020年(令和2年)10月12日閲覧
- ^ 1890年(明治23年)の大日本帝国憲法施行より前の、「一世一元の詔」が発布され、天皇1代で1元号(一世一元の制)となった1868年(慶応4年/明治元年)以降でも初で、文化14年(1817年)の光格天皇から仁孝天皇への譲位以来。
- ^ 内親王および女王
- ^ 「昭和」も含めて元号の法的根拠が消失したものの、大平正芳内閣の下、「元号法」が1979年(昭和54年)に成立したことにより、「平成」や「令和」など、「昭和」の後も改元が続いている。