稲垣吾郎の金田一耕助シリーズ

2000年代に放送された日本のテレビドラマ
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稲垣吾郎の金田一耕助シリーズ(いながきごろうのきんだいちこうすけシリーズ)では、横溝正史の推理小説「金田一耕助シリーズ」を原作とする、稲垣吾郎主演のテレビドラマについて説明する。稲垣主演のシリーズは、2004年から2009年にかけて、フジテレビ系でスペシャルドラマとして、全5作が放送されている。

金田一耕助シリーズ
ジャンル テレビドラマ
原作 横溝正史
脚本 佐藤嗣麻子
演出 星護
出演者 稲垣吾郎
小日向文世
塩見三省
製作
制作 フジテレビ
放送
音声形式ステレオ放送
放送国・地域日本の旗 日本
第1作
(プレミアムステージ)
放送期間2004年4月3日
放送時間土曜 20:03 - 22:54
放送枠プレミアムステージ
放送分171分
回数1
第2作 - 第3作
(金曜エンタテイメント)
オープニング歴代テーマ曲を参照
エンディング歴代テーマ曲を参照
放送期間2004年10月1日
2006年1月6日
放送時間金曜 21:00 - 23:22
放送枠金曜エンタテイメント
放送分142分
回数2
第4作
(金曜プレステージ)
オープニング番組オープニングCGを参照
エンディング番組主題歌を参照
放送期間2007年1月5日
放送時間金曜 21:00 - 23:22
放送枠金曜プレステージ
放送分142分
回数1
金曜プレステージ
第5作
放送期間2009年1月5日
放送時間月曜 21:00 - 23:33
放送分153分
回数1
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放送枠は「プレミアムステージ」(第1作)、「金曜エンタテイメント」(第2作 - 第3作)、「金曜プレステージ」(第4作)。

概要 編集

2004年にフジテレビ系で放送されたTVスペシャル『犬神家の一族』を第1作として、2000年代に放送された稲垣吾郎主演のスペシャルドラマである。『犬神家の一族』では石坂浩二主演、市川崑監督で製作された1976年の映画版へのオマージュが多数見受けられるものとなっており、稲垣演じる金田一の容姿も和服にするという原作に比較的忠実なものとなっている。

原作にしばしば登場する横溝正史自身をモデルにした人物が元になっていると考えられる、小日向文世演じる「横溝正史」が全作品に登場する。金田一とはかなり親しい間柄で、金田一のことを「耕さん」と呼ぶなどの設定は原作(『病院坂の首縊りの家』など)に準拠している。また、各作品のエピローグは金田一から送られてきた事件に関する手紙を読み、それをヒントに横溝が小説「金田一耕助シリーズ」の執筆を開始するシーンで幕を閉じている(ただし『悪魔が来りて笛を吹く』では序盤にもう執筆を始めている)。第1作『犬神家の一族』の時点で既にそれまでの金田一の活躍を横溝が記したものが出版されており、金田一がその文庫版を所有している描写がある。

また、第1作『犬神家の一族』で原作通りに登場した塩見三省演じる橘署長が[1]、その後も転勤先で金田一に関わるという形でレギュラー出演者となっており、原作における等々力警部や磯川警部の役回りを担っている(ただし、『悪魔が来りて笛を吹く』では岡山県警から金田一に送られてきた手紙に「磯川常次郎」の名前が確認できる)。

稲垣演じる金田一像について 編集

稲垣演じる金田一の風体は、前述のとおり原作に忠実である。しかし、石坂浩二演じる金田一で定着した特徴の「興奮すると頭を掻き始める」という癖はあまり見受けられない。『悪魔が来りて笛を吹く』の冒頭では、交通整理中の進駐軍兵士から「Bat Man」と呼ばれる場面がある。

キャスト 編集

第1作「犬神家の一族」(2004年)
第2作「八つ墓村」(2004年)
第3作「女王蜂」(2006年)
第4作「悪魔が来りて笛を吹く」(2007年)
第5作「悪魔の手毬唄」(2009年)

スタッフ 編集

放送日程 編集

話数 放送日 サブタイトル 原作 脚本 演出 視聴率
1 2004年04月03日 犬神家の一族 犬神家の一族
本陣殺人事件[2]
佐藤嗣麻子 星護 16.5%
2 2004年10月01日 八つ墓村 八つ墓村 17.9%
3 2006年01月06日 女王蜂 女王蜂
女怪[3]
17.1%
4 2007年01月05日 悪魔が来りて笛を吹く 悪魔が来りて笛を吹く 14.4%
5 2009年01月05日 悪魔の手毬唄 悪魔の手毬唄 11.3%

ロケ地 編集

オマージュ 編集

上記したとおりに、本作品は石坂浩二版(「石坂浩二の金田一耕助シリーズ」を参照)や、古谷一行版(「古谷一行の金田一耕助シリーズ」を参照)をオマージュした部分が確認できる。

2004年の『犬神家の一族』では、岸田今日子を同じ琴の師匠役で登場させる部分や、金田一の逗留先である那須ホテルで「東京ブギウギ」を金田一が口ずさむ(映画版はレコードで流れている)などのシーンが、映画版『犬神家』をオマージュしたものである。また2007年の『悪魔が来りて笛を吹く』では古谷金田一の「横溝正史シリーズ」および角川文庫版表紙で用いられた「フルート怪人」の絵(挿絵)を登場させ、オマージュしている。2009年の『悪魔の手毬唄』では、映画版のヒロイン・別所千恵子(大空ゆかり)を演じた仁科亜季子(仁科明子)が出演している。

原作との差について 編集

本シリーズは比較的原作(角川文庫版)に忠実、もしくは他の金田一シリーズでは都合によりカットされているような細かい設定も、演出に比較的多く盛り込まれている。ただ、人物相関等については多少の差異はみられる。

『犬神家の一族』の場合は、石坂金田一の映画版では犬神家の家業が「製薬会社」と設定されていたが、本シリーズでは原作どおりに「製糸会社」に設定されている(「犬神家」は他にも殺害方法も原作に忠実にしている)。また、『女王蜂』も同じく映画版では伊豆の山奥が舞台(「月琴の里」)が原作どおり伊豆下田沖の孤島「月琴島」に設定され、『悪魔が来りて笛を吹く』においても作中重要な鍵となる、演奏される曲に秘められた犯人を告発するメッセージについて言及しているなどの特徴が確認できる。

関連CD・DVD 編集

2008年現在、DVDなどのソフト化はされておらず、サウンドトラックCDも発売されていない。

脚注 編集

  1. ^ 第4作『悪魔が来りて笛を吹く』の冒頭で金田一に再会した際に、橘は既に署長職にはない旨の発言をしているが、金田一はその後も一貫して「署長さん」と呼び続ける。橘の実際の職位は明らかにならない。
  2. ^ 冒頭の、金田一が探偵になる過程が語られるシーン。ただし、そこで金田一が関わった事件は原作では存在が示されるのみで、具体的な内容はドラマオリジナル。
  3. ^ 冒頭の、金田一が「八つ墓村」で報酬として貰った小判を横溝に見せながら彼を旅行に誘うシーン。
  4. ^ ザテレビジョン4/9号』2004年角川マガジンズ

外部リンク 編集

  • 八つ墓村 - フジテレビ番組基本情報ページ
  • 女王蜂 - フジテレビ番組基本情報ページ