アグニエシュカ・ラドワンスカ

ポーランドの女性テニス選手 (1989 - )

アグニエシュカ・ラドワンスカポーランド語: Agnieszka Roma Radwańska, Pl-Agnieszka_Radwańska.ogg [aɡˈɲɛʂka radˈvaɲska]1989年3月6日 - )は、ポーランドクラクフ出身の女子プロテニス元選手。2012年ウィンブルドン選手権女子シングルスの準優勝者。2015年のWTAツアー選手権(WTAファイナル)の優勝者。ポーランドの女子選手として、史上初めてWTAツアーの世界ランキングトップ10入りを果たした選手である。自己最高ランキングはシングルス2位、ダブルス16位。これまでにWTAツアーでシングルス20勝、ダブルス2勝を挙げる。身長172cm、体重56kg。右利き、バックハンド・ストロークは両手打ち。1歳年下の妹のウルシュラ・ラドワンスカもプロテニス選手である。ポーランド語の読み方に従った、ラドバンスカという表記も多い。

アグニエシュカ・ラドワンスカ
Agnieszka Radwańska
アグニエシュカ・ラドワンスカ
基本情報
フルネーム Agnieszka Roma Radwańska
愛称 Aga (アガ)
国籍 ポーランドの旗 ポーランド
出身地 同・クラクフ
生年月日 (1989-03-06) 1989年3月6日(35歳)
身長 172cm
体重 56kg
利き手
バックハンド 両手打ち
ツアー経歴
デビュー年 2005年
引退年 2018年
ツアー通算 22勝
シングルス 20勝
ダブルス 2勝
生涯通算成績 707勝356敗
シングルス 594勝269敗
ダブルス 113勝87敗
生涯獲得賞金 $27,683,807
4大大会最高成績・シングルス
全豪 ベスト4(2014・16)
全仏 ベスト8(2013)
全英 準優勝(2012)
全米 4回戦(2007・08・12・13・16)
4大大会最高成績・ダブルス
全豪 ベスト4(2010)
全仏 ベスト8(2009・10)
全英 3回戦(2007・11・12)
全米 ベスト4(2011)
国別対抗戦最高成績
ホップマン杯 優勝(2015)
キャリア自己最高ランキング
シングルス 2位(2012年7月9日)
ダブルス 16位(2011年10月10日)

来歴 編集

アグニエシュカ・ラドワンスカが生まれた1989年は、ちょうどポーランド共産主義から自由主義への体制転換が始まった年である。アグニエシュカは4歳の時から、妹のウルシュラとともに父親の手ほどきでテニスを始め、ドイツノルトライン=ヴェストファーレン州ボルケン郡のグロナウにあるテニスクラブで練習を積んだ。2005年4月に16歳でプロ入り。その後、2005年ウィンブルドン2006年全仏オープンのジュニア女子シングルス部門で優勝する。全仏ジュニアの直前、2006年5月に故国ポーランドの首都ワルシャワで開かれた「J&Sカップ」で、ラドワンスカは1回戦で2004年全仏オープン優勝者のアナスタシア・ミスキナを破り、エレーナ・デメンチェワとの準々決勝まで勝ち進んだ。6月の全仏ジュニアで第2シードから優勝した後、ラドワンスカは2006年ウィンブルドン4大大会の本戦にデビューした。主催者推薦で出場したラドワンスカは、初めての本戦でキム・クライシュテルスとの4回戦まで勝ち進んだ。この後2006年全米オープンでは予選3試合を勝ち抜いたが、本戦2回戦でタチアナ・ゴロビンに敗退した。

2007年全豪オープンでは本戦直接出場を果たし、2回戦で第13シードのアナ・イバノビッチセルビア)に敗れた。5月のトルコイスタンブール大会で、ラドワンスカ姉妹は女子ツアー大会のダブルス初優勝を果たす。8月のスウェーデンストックホルム大会にて、ラドワンスカは決勝でベラ・ドゥシェビナを 6-1, 6-1 で破り、シングルスでも初優勝を飾った。これはポーランドの女子選手がWTAツアーで獲得した最初のシングルス・タイトルである。全米オープンで「第30シード」を得たラドワンスカは、1回戦で日本森上亜希子に勝ち、3回戦で大会前年優勝者のマリア・シャラポワを 6-4, 1-6, 6-2 で破る勝利を挙げたが、4回戦でシャハー・ピアーに 4-6, 1-6 で敗れた。

2008年全豪オープンで、ラドワンスカは第29シードから初のベスト8に進出し、準々決勝で第9シードのダニエラ・ハンチュコバに 2-6, 2-6 で敗れた。この大会ではマルタ・ドマホフスカも4回戦まで進み、ポーランドの女子選手が2人ベスト16に勝ち残る快挙を見せた。ウィンブルドンでは、2回戦でラドワンスカとドマホフスカの“ポーランド対決”を実現させた後、4回戦でスベトラーナ・クズネツォワに 6-4, 1-6, 7-5 で競り勝ち、この大会でも初のベスト8入りを決めた。ポーランド女性によるウィンブルドン8強進出は、1939年ヤドヴィガ・イェンジェヨフスカ以来「69年ぶり」の快挙となる。準々決勝では第6シードのセリーナ・ウィリアムズに 4-6, 0-6 で敗れた。S・ウィリアムズは2回戦で、4大大会本戦に初出場した妹のウルシュラに 6-4, 6-4 で勝っていたため、同一大会でラドワンスカ姉妹を連破したことになる。

ウィンブルドン選手権終了後、ラドワンスカは2008年7月7日付の女子テニス世界ランキングで「10位」に入り、ポーランド女性として史上初の世界トップ10入りを果たした。当地の男子選手では、シングルスのトップ10に入った人は1970年代から1980年代前半にかけて活躍したヴォイチェフ・フィバク1人だけである。

2011年全豪オープンでラドワンスカは3年ぶりとなるベスト8に進出した。マイアミ大会のダブルスではダニエラ・ハンチュコバと組みダブルス2勝目を挙げた。8月のマーキュリー・インシュアランス・オープンでは1年ぶりのシングルス決勝に進出。ベラ・ズボナレワを 6–3, 6–4 で破り3年ぶりのシングルス5勝目を挙げた。2011年9月の東レ パン・パシフィック・オープン・テニストーナメントでは決勝で、ベラ・ズボナレワに 6–3, 6–2 で快勝して大会初優勝を果たした。翌週の中国オープンでも決勝でアンドレア・ペトコビッチを 7–5, 0–6, 6–4 で破り2週連続優勝となるシングルス7勝目を挙げた。

2012年全豪オープンで2年連続のベスト8に進出。準々決勝では優勝したビクトリア・アザレンカに 7-6(0), 0-6, 2-6 で敗れた。2月のドバイ大会で決勝に進出。ユリア・ゲルゲスに 7–5, 6–4 で勝利した。3月のマイアミ大会でも決勝でマリア・シャラポワを破って優勝した。

2012年ウィンブルドン選手権では準々決勝でマリア・キリレンコを 7–5, 4–6, 7–5 で破り初めての4大大会ベスト4に進出した。準決勝ではアンゲリク・ケルバーに 6–3, 6–4 で勝利し決勝に進出。決勝ではセリーナ・ウィリアムズに 1–6, 7–5, 2–6 で敗れ準優勝となった。大会後に自己最高の2位を記録している。ロンドン五輪の開会式ではポーランド選手団の旗手を務めた。シングルスでは1回戦でドイツユリア・ゲルゲスに 5-7, 7-6(5), 4-6 で敗退した。妹のウルシュラと組んだダブルスでも2回戦で敗退した。東レ パン・パシフィック・オープン・テニストーナメントでは2年連続で決勝に進出したが、ナディア・ペトロワに 0–6, 6–1, 3–6 で敗れ連覇を逃した。

2013年は開幕戦のASBクラシックシドニー国際で2週連続優勝を果たした。2013年全豪オープンでは準々決勝で李娜に 5-7, 3-6 で敗れた。ウィンブルドンでは準々決勝で李娜を 7-6(5), 4-6, 6-2 で破ったが、準決勝でザビーネ・リシキに 4-6, 6-2, 7-9 で敗れ2年連続の決勝進出を逃した。

2014年はロジャーズ・カップモントリオール大会では決勝でビーナス・ウィリアムズを6‐4,6‐2で下し初優勝。

2015年WTAファイナルでは決勝でペトラ・クビトバを 6–2, 4–6, 6–3 で破り大会初優勝を果たし初めてのビックタイトルを獲得した。

2017年7月ラドワンスカは自身のヒッティングパートナーのダヴィド・ケルトと結婚した[1]

ラドワンスカは2018年11月14日に自身のフェイスブックで、健康問題を理由に現役引退を表明した[2]

2020年7月ラドワンスカは自信のSNSに、第一子を出産したことを明らかにした。

WTAツアー決勝進出結果 編集

シングルス: 28回 (20勝8敗) 編集

大会グレード
2008年以前 2009年以後
グランドスラム (0–1)
WTAファイナルズ (1–0)
ティア I (0–0) プレミア・マンダトリー (3-2)
プレミア5 (2-1)
ティア II (1–0) プレミア (6–4)
ティア III (1–0) インターナショナル (4–0)
ティア IV & V (2–0)
結果 No. 決勝日 大会 サーフェス 対戦相手 スコア
優勝 1. 2007年8月5日   ストックホルム ハード   ベラ・ドゥシェビナ 6–1, 6–1
優勝 2. 2008年2月10日   パタヤ ハード   ジル・クレイバス 6–2, 1–6, 7–6(4)
優勝 3. 2008年5月19日   イスタンブール クレー   エレーナ・デメンチェワ 6–3, 6–2
優勝 4. 2008年6月21日   イーストボーン   ナディア・ペトロワ 6–4, 6–7(11), 6–4
準優勝 1. 2009年10月11日   北京 ハード   スベトラーナ・クズネツォワ 2–6, 4–6
準優勝 2. 2010年8月8日   サンディエゴ ハード   スベトラーナ・クズネツォワ 4–6, 7–6(7), 3–6
優勝 5. 2011年8月7日   サンディエゴ ハード   ベラ・ズボナレワ 6–3, 6–4
優勝 6. 2011年10月1日   東京 ハード   ベラ・ズボナレワ 6–3, 6–2
優勝 7. 2011年10月9日   北京 ハード   アンドレア・ペトコビッチ 7–5, 0–6, 6–4
優勝 8. 2012年2月25日   ドバイ ハード   ユリア・ゲルゲス 7–5, 6–4
優勝 9. 2012年3月31日   マイアミ ハード   マリア・シャラポワ 7–5, 6–4
優勝 10. 2012年5月26日   ブリュッセル クレー   シモナ・ハレプ 7–5, 6–0
準優勝 3. 2012年7月7日   ウィンブルドン   セリーナ・ウィリアムズ 1–6, 7–5, 2–6
準優勝 4. 2012年9月29日   東京 ハード   ナディア・ペトロワ 0–6, 6–1, 3–6
優勝 11. 2013年1月5日   オークランド ハード   ヤニナ・ウィックマイヤー 6–4, 6–4
優勝 12. 2013年1月11日   シドニー ハード   ドミニカ・チブルコバ 6–0, 6–0
準優勝 5. 2013年7月28日   スタンフォード ハード   ドミニカ・チブルコバ 6–3, 4–6, 4–6
優勝 13. 2013年9月22日   ソウル ハード   アナスタシア・パブリュチェンコワ 6-7(8), 6-3, 6-4
準優勝 6. 2014年3月16日   インディアンウェルズ ハード   フラビア・ペンネッタ 6–2, 6–1
優勝 14. 2014年8月10日   モントリオール ハード   ビーナス・ウィリアムズ 6–4, 6–2
準優勝 7. 2015年6月27日   イーストボーン   ベリンダ・ベンチッチ 4–6, 6–4, 0–6
優勝 15. 2015年9月28日   東京 ハード   ベリンダ・ベンチッチ 6–2, 6–2
優勝 16. 2015年10月18日   天津 ハード   ダンカ・コビニッチ 6–1, 6–2
優勝 17. 2015年11月1日   シンガポール ハード (室内)   ペトラ・クビトバ 6–2, 4–6, 6–3
優勝 18. 2016年1月10日   深圳 ハード   アリソン・リスク 6–3, 6–2
優勝 19. 2016年8月27日   ニューヘブン ハード   エリナ・スビトリナ 6–1, 7–6(3)
優勝 20. 2016年10月9日   北京 ハード   ジョアンナ・コンタ 6–4, 6–2
準優勝 8. 2017年1月13日   シドニー ハード   ジョアンナ・コンタ 4–6, 2–6

ダブルス: 4回 (2勝2敗) 編集

結果 No. 決勝日 大会 サーフェス パートナー 対戦相手 スコア
優勝 1. 2007年5月21日   イスタンブール クレー   ウルシュラ・ラドワンスカ   詹詠然
  サニア・ミルザ
6–1, 6–3
準優勝 1. 2009年2月22日   ドバイ ハード   マリア・キリレンコ   カーラ・ブラック
  リーゼル・フーバー
3–6, 3–6
準優勝 2. 2009年8月9日   ロサンゼルス ハード   マリア・キリレンコ   荘佳容
  晏紫
0–6, 6–4, [7–10]
優勝 2. 2011年4月3日   マイアミ ハード   ダニエラ・ハンチュコバ   リーゼル・フーバー
  ナディア・ペトロワ
7–6(5), 2–6, [10–8]

4大大会シングルス成績 編集

略語の説明
 W   F  SF QF #R RR Q# LQ  A  Z# PO  G   S   B  NMS  P  NH

W=優勝, F=準優勝, SF=ベスト4, QF=ベスト8, #R=#回戦敗退, RR=ラウンドロビン敗退, Q#=予選#回戦敗退, LQ=予選敗退, A=大会不参加, Z#=デビスカップ/BJKカップ地域ゾーン, PO=デビスカップ/BJKカッププレーオフ, G=オリンピック金メダル, S=オリンピック銀メダル, B=オリンピック銅メダル, NMS=マスターズシリーズから降格, P=開催延期, NH=開催なし.

大会 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 通算成績
全豪オープン A 2R QF 1R 3R QF QF QF SF 4R SF 4R 3R 35–12
全仏オープン A 1R 4R 4R 2R 4R 3R QF 3R 1R 4R 3R A 23–11
ウィンブルドン 4R 3R QF QF 4R 2R F SF 4R SF 4R 4R 2R 43–13
全米オープン 2R 4R 4R 2R 2R 2R 4R 4R 2R 3R 4R 3R 1R 24–13

脚注 編集

外部リンク 編集