ルノー・5(Renault 5,R5)は、フランスの自動車メーカー、ルノーが2024年から販売する予定のBセグメントクラスに属する5ドアハッチバック型の二次電池式電気自動車(BEV)である。フランス語では「5」を「サンク」(: cinq)と読む。

ルノー・5
プロトタイプ フロント
プロトタイプ リア
概要
販売期間 2024年 - (予定)
ボディ
ボディタイプ 5ドアハッチバック
車両寸法
全長 3,920 - 4,050 mm
系譜
先代 ルノー・ゾエ
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概要 編集

2021年1月14日、グループ・ルノーは今後5年間の戦略的事業計画「ルノーリューション」を発表した。2025年までに電気自動車(EV)7台を含む14台の新車種を市場に投入する方針を示し、その一環として小型ハッチバックEVのコンセプトカー5プロトタイプ」を同日に公開した[1]1972年に発売された同名の小型ハッチバック車(以下『オリジナル5』と表記)をオマージュしたモデルである。

デザイン 編集

エクステリアデザインは、ルノーのデザインディレクターを務めるジル・ヴィダルが率いるチームが担当した。スラントした前後のデザインや縦長のテールライトなど、オリジナルの5をイメージさせるスタイリングをベースに、現代的な電子機器家具スポーツの分野に着想を得てデザインされている。

メカニズム 編集

ルノー・日産・三菱アライアンスが新規開発したBセグメントEV用プラットフォーム「CMF-B EV」を初めて採用している。ルノーで最も生産量の多い「CMF-B」プラットフォーム(5代目クリオキャプチャーで採用)と7割のパーツを共通化することで、ゾエと比較して製造コストを30%低減させたという。

搭載される電気モーターは、ゾエやメガーヌ E-TECH エレクトリックに搭載された巻線界磁形同期電動機(EESM)をベースに開発されている。

バッテリーパックは、ゾエに搭載されていた12個の小型モジュールから4個の大型モジュールに変更され、ゾエと比較して15kgの軽量化を実現した。

パワートレインでは、バッテリーの400Vを12Vに変換するDC/DCコンバーター、バッテリー充電器、配電を管理するアクセサリーボックスの3つの主要コンポーネントを集約した内部アーキテクチャが導入される。これによってパワートレインの小型軽量化を図り、ゾエと比較して約20kgの軽量化を実現した。

販売 編集

2023年9月のドイツ国際モーターショーにて、2024年の市販予定である旨がアナウンスされている[2]

バリエーション 編集

アルピーヌ・A290 編集

ルノーのモータースポーツ部門であるアルピーヌは2023年5月9日、「ドリームガレージ」と称する次世代EV群の第1弾として、5をベースとした電動ホットハッチのコンセプトカー「A290_β」(ベータ)を発表した。

ボディサイズは全長4,050 mm、全幅1,850 mm、全高1,480 mmで、フロントに2基の電気モーターを搭載する。タイヤはミシュランと共同開発した19インチの専用品が装着されている。インテリアは中央に運転席を設けた3シーターレイアウトで、カーボン製のバケットシートとサベルト製のハーネスが搭載されている。

市販モデルのA290は、2024年に欧州と日本で発売される予定である[3]

関連モデル 編集

オリジナル5の誕生から50周年となる2022年、複数のEVコンセプトカーが発表された。

R5ディアマン 編集

2022年7月4日発表。フランス人デザイナーのピエール・ゴナロンとの協業によるモデルで、「ディアマン」(Diamant)はフランス語ダイヤモンドを意味する。

エクステリアではオリジナル5のボディラインを踏襲し、シンプルさを追求した。前後のライトには宝石を思わせる仕上げが施されている。ボディカラーは3層塗装で、ピンクをベースにゴールドの顔料、つや消しのニスが塗布されている。

インテリアの素材として、金めっきされた真鍮ステンレスが使用されている。独特な形状のステアリング・ホイールはカーボンおよび大理石[4]

R5ターボ3E 編集

2022年9月25日発表。世界ラリー選手権(WRC)のホモロゲーションモデルとして開発された「5ターボ」および「5ターボ2」をオマージュし、ドリフト走行を重視したサーキット仕様のモデルとなっている。車名の「3E」はターボ2からの続番となる「3」と、EVであることを示す「E」の組み合わせによる命名。

シャシはフラットフロアとパイプフレームの組み合わせで、国際自動車連盟(FIA)の公認を受けたロールケージが組み込まれている。リアに搭載された2基の電気モーターによって後輪を駆動し、システム最高出力280 kW(380 PS)、最大トルク700 Nmを発生する。0 - 100m加速は3.5秒(ドリフトモードでは3.9秒)で、最高速度は200km/h。バッテリー容量は42 kWh。

エクステリアはオリジナルの5ターボのデザインを踏襲しつつ、全幅はオリジナルモデル比で250 mmワイド化された。ボディパネルはすべてカーボン製で、大型のリアウィングも備わる。前後に設けられたピンク、ブルー、イエローのLEDストリップはドリフト走行中に点滅することで、1980年代から1990年代にかけてのビデオゲームの雰囲気を演出するという[5]

脚注 編集

関連項目 編集

外部リンク 編集

ルノー ロードカータイムライン 1980年代-
タイプ 1980年代 1990年代 2000年代 2010年代 2020年代
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 0 1 2 3
コンパクト トゥインゴ トゥインゴII トゥインゴIII
5/7 シュペール5 クリオI クリオII クリオIII クリオIV クリオV
シンボルI シンボルII
モデュス
カングー カングーII カングーIII
14 9/11 19 メガーヌI メガーヌII メガーヌIII メガーヌIV
フルエンス メガーヌIVセダン
パルス
スカラI スカラII
ミドル 18 21 ラグナI ラグナII ラグナIII
20/30 25 サフラン ヴェルサティス ラティテュード/サフラン
アッパー タリスマン(中国向け)
タリスマン
ミニバン セニックI セニックII セニックIII セニックIV
エスパスI エスパスII エスパスIII エスパスIV エスパスV エスパスVI
クーペ フエゴ アヴァンタイム ラグナクーペ
オープン ウインド
SUV キャプチャー キャプチャーII
カジャー
オーストラル
コレオス コレオスII
アルカナ
ピックアップトラック アラスカン
貨物自動車 マスターI マスターII マスターIII
トラフィックI トラフィックII トラフィックIII
エクスプレス
アルピーヌ/ルノースポール A310 V6 A610 スパイダー A110(2017)