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伊予鉄道

伊予鉄グループ傘下の鉄道事業者

伊予鉄道株式会社(いよてつどう)は株式会社伊予鉄グループの主要子会社であり事業会社である。愛媛県松山市に本社を置き、鉄道軌道事業を行っている。

伊予鉄道株式会社
伊予鉄道のロゴマーク
松山市駅ターミナル.jpg
伊予鉄グループ本社前にある松山市駅ターミナル
種類 株式会社
本社所在地 790-0807
愛媛県松山市平和通六丁目98番地
設立 2017年(平成29年)4月3日
(伊予鉄道分割準備株式会社)
業種 陸運業
法人番号 7500001020510
事業内容 鉄道・軌道事業
代表者 代表取締役社長 清水 一郎
資本金 1億円
主要株主 (株)伊予鉄グループ 100%
外部リンク www.iyotetsu.co.jp
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現在の法人は2018年(平成30年)4月1日伊予鉄グループ持株会社移行に伴い同社(旧・伊予鉄道)の会社分割により発足したもの[1]で、旧・伊予鉄道(現・伊予鉄グループ)は1887年(明治20年)に創立された、民営鉄道としては日本で2番目の歴史を持つ老舗企業である[2]

目次

概要編集

 
開業時から昭和中期にかけて運行された坊っちゃん列車(1910年)
 
1910年の松山駅(現・松山市駅)
 
高浜線電化と同時に登場した中四国初の大型ボギー電車・100系(1931年)

松山外港である三津と松山を結ぶ三津街道は平坦ではあるが道路事情が劣悪だったため、これを改善しようと鉄道の建設を決意したのが創業者の小林信近である[2]。小林はイギリス人技師から教えを受け、小資本でも建設できる鉄道として軌間762mmの軽便鉄道を採用。1887年に伊予鉄道を設立し、日本で初めての軽便鉄道[2]および中四国地方で初めての鉄道として、松山 - 三津間を1888年に開業させたものである。

以後、道後鉄道南予鉄道松山電気軌道買収するなどして路線網を広げ、松山の都市内交通を担っている。

なお、1951年(昭和26年)からバス事業も行ってきたが、2018年の伊予鉄グループ再編の際に伊予鉄バスとして事業会社化している。

沿革編集

  • 1887年明治20年)9月14日: 伊予鉄道会社設立。
  • 1888年(明治21年)10月28日: 松山(後の外側、再び松山、現在の松山市) - 三津間で鉄道開業。四国初の鉄道。
  • 1892年(明治25年)5月1日: 三津 - 高浜間が延伸開業。高浜線全通。
  • 1893年(明治26年)5月7日: 平井河原線(現在の横河原線)外側(現在の松山市)- 平井河原(現在の平井)間が開業[3]
  • 1895年(明治28年)8月22日: 道後線の前身である道後鉄道により古町 - 道後(現在の道後温泉) - 松山(後の一番町、現在の大街道付近)間が開業。
  • 1896年(明治29年)
  • 1899年(明治32年)10月4日: 平井河原線、平井河原 - 横河原間延伸開業。同時に横河原線と改称。横河原線全通。
  • 1900年(明治33年)5月1日: 道後鉄道南予鉄道を合併。それぞれを道後線、郡中線とする。
  • 1911年(明治44年)8月8日: 道後線 古町 - 道後間を1,067mm軌間に改軌、電化。
  • 1916年大正5年)12月31日: 伊予水力電気と合併し、伊予鉄道電気に商号を変更[4]
  • 1921年(大正10年)4月1日松山電気軌道を合併。
  • 1923年(大正12年)6月30日: 旧松山電気軌道線を1,435mm(標準軌)から1,067mmに改軌。
  • 1927年昭和2年)11月1日: 萱町 - 江ノ口間(旧松山電気軌道線)営業廃止。
  • 1931年(昭和6年)
    • 5月1日: 高浜線を1,067mm軌間に改軌、電化。
    • 10月6日: 横河原・森松線を1,067mmに改軌。
  • 1935年(昭和10年)11月4日: 梅津寺遊園地完成。
  • 1937年(昭和12年)7月22日: 郡中線を1,067mm軌間に改軌。
  • 1939年(昭和14年)5月10日: 郡中 - 郡中港間延伸開業。郡中線全通。
  • 1942年(昭和17年)4月1日: 伊予鉄道電気が電力事業を四国配電(現在の四国電力)に分離し、鉄軌道事業を担う伊豫鉄道株式会社を設立。
  • 1945年(昭和20年)
    • 2月21日: 不要不急線指定により高浜線を全線単線化。
    • 7月26日松山大空襲により本社事務所を始め、主要駅舎、車両工場、自動車営業所等々を焼失。被害甚大。鉄軌道全線の運行を中止。
    • 7月27日: 鉄道郊外各線で運行を再開。
    • 8月20日: 城北線運行再開。
    • 9月8日: 城南線運行再開。
  • 1947年(昭和22年)3月25日: 花園線開業。全通。
  • 1950年(昭和25年)5月10日: 郡中線電化。
  • 1952年(昭和27年)2月5日: 松山市内線では初のボギー車モハ50形電車運行開始。
  • 1954年(昭和29年)2月1日: 横河原線・森松線ディーゼル化により、蒸気機関車(坊っちゃん列車)が廃止。
  • 1958年(昭和33年)4月1日: 伊予鉄道初のカルダン駆動車600系電車運行開始。
  • 1963年(昭和38年)4月1日: 梅津寺遊園地をリニューアルし、梅津寺パークとして開園。
  • 1965年(昭和40年)12月1日: 森松線廃止。
  • 1967年(昭和42年)
    • 6月10日: 横河原線 松山市 - 平井間電化。
    • 10月1日: 横河原線 平井 - 横河原間電化。
  • 1969年(昭和44年)12月1日: 松山市内線環状運転開始。
  • 1980年(昭和55年)1月14日: 600系電車3両編成化。
  • 1981年(昭和56年)
    • 7月13日: 松山市内線冷房電車運行開始。
    • 8月10日: 高浜線と横河原線の間で直通運転開始。
  • 1984年(昭和59年)8月1日: 800系電車運行開始。3両固定編成。
  • 1985年(昭和60年)7月8日: 郊外線初の冷房電車が運行開始(800系)。
  • 1987年(昭和62年)9月12日: 700系電車運行開始。
  • 1991年(平成3年)8月1日: 郡中線ダイヤを高浜線・横河原線と同じ日中15分ヘッドに変更、松山市駅での路線間接続を改善。
  • 1992年(平成4年)6月25日: 伊豫鉄道から伊予鉄道に商号変更。
  • 1993年(平成5年)6月12日: 鉄道線でCTCの使用開始。
  • 1994年(平成6年)
    • 3月23日: 鉄道線でATSの使用開始(城北線を除く)。
    • 3月21日: バスで磁気式のプリペイドカード「バスカード」を導入。9月11日に「い〜カード」と改称し市内線電車でも利用可能に。
  • 1995年(平成7年)1月15日: 610系電車運行開始。伊予鉄道初のステンレス製電車。
  • 1998年(平成10年)
    • 2月1日: 「い〜カード」が鉄道線で利用可能に。四国で初めて自動改札機を導入(松山市駅
    • 7月18日: 古町 - 衣山間の高架工事完成。中四国民鉄初の高架区間。
  • 2000年(平成12年)ラッシュ時に限り運用されていた300系電車が休車(のち一度も運用に就くことなく2009年に廃車解体)。鉄道線全線において冷房化が実質完了。
  • 2001年(平成13年)10月12日: 松山市内線で「坊っちゃん列車」レプリカ運行開始。
  • 2002年(平成14年)3月19日: 松山市内線でモハ2100形超低床電車運行開始。
  • 2003年(平成15年): 軌道の専用化完成(上一万 - 道後温泉駅間専用軌道化)
  • 2004年(平成16年)
    • 4月1日: 電車・バス総合情報システム稼動開始。
    • 4月25日道後公園停留場の乗降ホーム整備が完了、軌道線から安全地帯のない停留場が消滅する。
  • 2005年(平成17年)
    • 8月23日: 日本初の電車・バス・タクシー共通ICカードシステム「ICい〜カード」の本格導入開始。携帯電話の電子マネー機能・iモードFeliCaおサイフケータイ)にも全国初対応。
    • 11月1日: IC定期券の発行を開始。前日限りで、い〜カード(磁気)の販売が中止される(利用は2006年10月31日まで)。
  • 2009年(平成21年)8月24日: 鉄道線で3000系電車が営業運転開始[5]。3両固定編成。
  • 2010年(平成22年)7月25日: 800系電車の全車両の営業運転終了。
  • 2011年(平成23年)6月24日: 松山市駅の発車メロディを『この街で』に変更[6]
  • 2014年(平成26年)2月16日: ICい〜カードの普及に伴い、松山市駅の自動改札機撤去。後日、普通乗車券を非磁気券化。
  • 2015年(平成27年)
    • 3月1日: 市内電車の車内放送に英語の案内放送を導入[7]。3月末には日本全国初となる路面電車での無料Wi-Fi(公衆無線LAN)サービスを開始[8]
    • 4月4日: 郊外電車でのサイクルトレインを土・日・祝日に本格運行開始。サイクルバス・サイクルタクシーも開始[9]
    • 5月25日: 車両デザインの一新、駅案内看板における英語表記の推進などの計画を盛り込んだ「IYOTETSUチャレンジプロジェクト」を発表。「IYOTETSU」の英字を主体にした新ロゴマークを制定[10]
    • 7月1日: 松山市駅の発車メロディを清水一郎社長作曲・演奏の『リズム』に変更[11]
  • 2016年(平成28年)
    • 4月1日: ICい〜カードにポイント制(い〜カードポイント)とオートチャージサービスを導入[12]
    • 4月12日: 愛媛県内の小学1年生全員に伊予鉄の電車・バスを土日祝日に無料で利用できる「小学1年生パスポート」を配布[13]
    • 8月5日: 毎週金曜日の郊外・市内電車の終電時間を約30分延長[14]
    • 12月9日: 松山市駅前 伊予鉄本社1階に「坊っちゃん列車ミュージアム」がオープンし[15]スターバックスコーヒー松山市駅前店もオープン。
  • 2017年(平成29年)
    • 4月3日: 2018年4月1日に持株会社制に移行するにあたり、鉄道部門の分割移管のための新会社「伊予鉄道分割準備株式会社」、およびバス部門の分割移管のための新会社「伊予鉄バス株式会社」を設立[16][17]
    • 5月30日: 市内電車に戦後初となる女性運転士が誕生[18][19]
    • 9月21日: 市内電車で流線型の5000形LRT車両が運行開始[20][21]
    • 12月22日: 道後温泉駅がリニューアルされ、スターバックスコーヒー道後温泉駅舎店がオープン[22][23]
  • 2018年(平成30年)
    • 4月1日: グループ会社を含めた持株会社体制に移行。(旧)伊予鉄道は商号を株式会社伊予鉄グループに変更[1]し、グループ統括会社となる。それに伴い伊予鉄道分割準備株式会社に鉄道部門および指定管理者事業を、伊予鉄バス株式会社にバス部門をそれぞれ移管し[17]、伊予鉄道分割準備株式会社は商号を(新)伊予鉄道株式会社に変更[17]

社章・ロゴマーク編集

現在用いられているロゴマークは2015年5月25日に発表されたものである。英字の「IYOTETSU」を基調に「O」の文字に動きを付けることで、車輪のイメージ、人と人とが向き合い乗客を大切にするイメージを表現している[10]

社章はカタカナの「イ」を四つ組み合わせて「イヨ」の意味を表したもので、「いびし(=イ菱)」と称される。デザインが考案された時期や使用が開始された時期については不明だが、草創期の会社資料にすでに現れていることから、創業と同時、あるいは創立後間もないころに定められたものとみられる[24]また中央のひし形内部の意匠は、黒地が松山市駅を中心とする4つの鉄軌道路線(郊外線3路線に、市内電車を加える)を示している[要出典]

路線編集

郊外線編集

 
伊予鉄道のターミナル駅であり、松山市の公共交通の中心である松山市駅

大型の電車を使用する鉄道各線の総体で、案内上「郊外電車」と呼ばれる。松山市駅を拠点に、約10kmの3路線が放射状に延びている。いずれの路線も日中15分間隔で準高頻度・等間隔運転している。平日朝の通勤ラッシュ時には最大4両編成で運行されている。鉄道線・軌道線全車両を管理する車両基地・工場として古町車両工場を有する。架線電圧は高浜線のみが600V、他の2路線は750Vと異なるが、高浜線と横河原線は直通運転をおこなっており、3路線間で車両も共用されている(詳細は後述)。

現有路線
廃止路線

高浜線の高浜駅より松山観光港への延伸構想があるが、費用などの面から具体化していない。現有路線にはトンネルが全くない。かつて高浜線には、衣山隧道と高浜隧道が存在したが、複線電化の際に開削され、跨線橋(道路)が架かっている。松山市駅に限って途中下車が可能である。

 
路線図(クリックで拡大)

松山市内線編集

 
大手町駅高浜線(郊外線)電車と大手町線(市内線)電車が平面交差する様子
 
坊っちゃん列車 撮影・松山市駅(同電停と古町駅道後温泉駅の3駅で機関車の方向転換が見られる)

いわゆる路面電車であり、市内線、市内電車とも呼ばれる。松山市駅を拠点に、松山城を囲む形で運行されている環状線(東回りと西回りあり)、および松山市の最大の観光地である道後温泉と松山市駅・JR松山駅前、松山市駅と本町六丁目を結ぶ系統が運行されている。南堀端 - 上一万間は全ての系統が集中するため多頻度の運行となっている。また、JR松山駅前・松山市駅・道後温泉駅を相互に結ぶ路線が複線化されている。

古町 - JR松山駅前 - 道後温泉、松山市駅 - 道後温泉間では、軽便鉄道時代に伊予鉄道で使用された蒸気機関車ディーゼル機関車として復元した「坊っちゃん列車」が運行されている。

幹線道路上を走る多くの区間において複線の軌道敷が確保され、一般の自動車が線路上を走行することはできないことになっているが、右折のため軌道敷内へ進入したまま停車して電車の進路を塞ぐ車や歩車分離式信号機のために、基本ダイヤ通りのスムーズな運行は難しいのが現状である。

1960年代に入ると、日本全国でモータリゼーションが進行し、路面電車は次々と淘汰されていった。その影響を受け、松山においてもタクシー業界が「路面電車廃止の陳情」を提出したことがあったが、採用されなかった[25]。そうした時代の流れに反し、道路の配置上やむを得なかった上一万 - 道後公園間を除いて、軌道内への進入禁止が徹底され[25]1962年(昭和37年)には路線が延長される。後に、上一万 - 道後公園間に関しても道路拡幅工事によって軌道内進入禁止となり、市内線全てが自動車の進入禁止となった。中心市街地を結ぶという運行ルートや、行政や市民の支持があったことで、路線縮小などが起こらずに路面電車が生き残り、現在も重要な交通手段として市民権を得ている。

欧州を中心に路面電車(「ヨーロッパのトラム」を参照)が再評価されており、日本においても富山市における新規開業を嚆矢として、各都市で導入計画が検討されるなど復権しつつある[26]愛媛県松山市も路面電車(LRT)に関して積極的な自治体の一つで、松山空港乗り入れや本町線延伸など、幾つかの延伸構想がある(後述)。

路線編集

城北線は鉄道事業法に基づく「鉄道」、他は軌道法に基づく「軌道」である。

路線名 距離 乗り入れる系統 区間 電停数
鉄道 城北線 2.7km     古町 - 平和通一丁目 9
軌道 城南線 3.5km             道後温泉 - 西堀端 11
城南線(連絡支線) 0.1km     平和通一丁目 - 上一万 2
本町線 1.5km   本町一丁目 - 本町六丁目 5
大手町線 1.4km         古町 - JR松山駅前 - 西堀端 5
花園線 0.4km           松山市駅 - 南堀端 2

 坊っちゃん列車

運転系統編集

系統 運行区間 電停数 運行間隔
  環状線 松山市駅JR松山駅前木屋町鉄砲町大街道→松山市駅 21 10分
  環状線 松山市駅→大街道→鉄砲町→木屋町→JR松山駅前→松山市駅 21 10分
  松山市駅 - 大街道 - 道後温泉 11 10分
  JR松山駅前 - 大街道 - 道後温泉 13 10分
  松山市駅 - 本町六丁目 7 40分
坊っちゃん列車 古町 - JR松山駅前 - 大街道 - 道後温泉 4
松山市駅 - 大街道 - 道後温泉 3

坊っちゃん列車は乗降できる電停数を表す。

 
運転系統図

延伸計画編集

大手町線(南江戸延伸と松山空港への乗り入れ)
松山市では2020年(平成32年)を目標に、JR予讃線とJR松山駅の高架化及び周辺地区の区画整備を完成させる予定だが、その都市計画の一環として、市内電車が延伸される[27]
具体的には、高架化されるJR松山駅の直下まで路面電車を乗り入れさせて利用の便を図るほか、そこから南江戸五丁目の国道196号線(松山環状線)までの700mを延伸するとしている[28][29]
この南江戸延伸は、将来の松山空港乗り入れも視野に入れた計画とされており[28][30]、2014年2月の県定例会で中村時広知事は、延伸を「将来の夢」と述べた議員の質問に対してそれに賛同しながら「実現には、多額の経費や事業採算性を初め、克服すべき多くの課題を有している」「今後、主体となる松山市や伊予鉄道などと連携しながら、将来の目指すべき交通体系の一つとして、その夢の実現の可能性を追求していきたい」と答弁した[31]。更に中村は、2期目の政策の一つとして、JR松山駅から松山空港までの路面電車延伸に本格的に取り組む姿勢をみせている[32][33]。道路の中央分離帯の活用や、国の補助なども勘案して検討するとしたうえで「空港を降りて、坊っちゃん列車が止まっているなんて、日本どころか世界でもありえない。PRにはもってこいだ」と意欲を語った[34]。また2014年11月17日、松山市長に再選された野志克仁は、「低床の連結路面電車の導入や、伊予鉄道路面電車の松山空港への延伸を進めていきたい」という展望を述べた[35]。伊予鉄道側も計画に積極的で[36]、新計画の一環として連接型LRT車両の導入検討や空港延伸の本格化を挙げている[10]
発足した検討会において、松山駅から南江戸延伸を前提としたそれぞれ新空港通り、旧空港通り、市道新玉49号付近(新玉街道)を経由する市内電車3ルートと、郡中線土居田駅から分岐して旧空港通りを経由する郊外電車1ルートの計4ルート案が示されている[37]

延伸構想編集

詳細は各路線の記事を参照。

本町線(山越・鴨川地区への延伸)
本町線を国道196号線沿いに延伸することにより、人口密度が非常に高いが鉄道空白地帯となっている山越・鴨川方面[38]まで延伸するという構想が昔からある。並行する伊予鉄バス北条線は、森松線や10番線、空港線などのバス路線と並んで、四国地方で最も高頻度運転が行われている区間であり、複線化などが必要ではあるものの延伸された場合は当路線は盲腸路線でなくなる。
松山市も公共交通の利便性向上や低炭素社会を実現するためには有効な手段であるとしており、国道196号を整備する時には、道路管理者である国に要望していきたいとしている[39]
高浜線松山観光港への延伸)
高浜線の終点である高浜駅は、高浜港の目の前であるが、港湾機能が限界に達したため、高浜港の北700mの地点に松山観光港が整備されフェリーなどの船舶の発着が移転した。このため、連絡バスへの乗り換えが必要となっており、高浜駅から松山観光港ターミナルまで延伸するという構想が20年以上前からある。松山観光港旅客ターミナルは将来の鉄道乗り入れを視野に入れた設計だが、予算の問題に加え[40]県道19号高浜トンネル開通により自社で運行する松山観光港リムジンバスの所要時間が短縮され鉄道と遜色なくなったことなどによって計画は停滞している。
行政側も、松山空港乗り入れ構想と合わせて重要な課題と位置付けており、当面は事業化の可能性を検討していくことになる[41]
森松線(森松線の復活と砥部町への乗り入れ)
かつて、伊予鉄道にはいよ立花駅から分岐して国道33号線沿いに、石井・森松地区までを結んでいた路線(森松線)が存在したが、1965年(昭和40年)12月1日に廃止された。伊豫豆比古命神社の椿祭りの開催日には臨時列車が運行されるなど賑わったが、平日日中は空気輸送状態であったという[42]
廃線後暫くすると、森松線沿線及びその延長にある砥部町は、当時からは想像もできないほどに発展した。ベッドタウンとしてだけでなく、愛媛県総合運動公園陸上競技場愛媛県立とべ動物園といった大型集客施設も開設されたため、国道33号線の渋滞は悪化の一途を辿った。そして1997年(平成9年)には松山自動車道松山インターチェンジが開通して更に道路渋滞に拍車がかかった。
現状を踏まえて、森松線の復活や重信川を渡河して砥部町まで延伸開業するという構想があるものの、予算の都合で具体化していない[43]

輸送人員編集

いずれも2011年度。それぞれピーク時より50% - 80%減っている[45]

  • 民鉄主要統計『年鑑世界の鉄道』1983年、朝日新聞社、『年鑑日本の鉄道』1985、1987-2007年、鉄道ジャーナル社
  • 鉄道の輸送実績の推移 鉄道部 組織別情報 四国運輸局 2013

戦前の輸送収支実績編集

  • 鉄道局年報、鉄道院年報、鉄道院鉄道統計資料、鉄道省鉄道統計資料、鉄道統計資料、鉄道統計各年度版

在籍車両編集

市内線のモハ61号
市内線のモハ2004号
市内線のモハ2107号
郊外線の700系
郊外線の610系
郊外線の3000系
かつて在籍した郊外線130系
かつて在籍した郊外線300系
かつて在籍した郊外線800系

2017年8月現在、松山市内線用42両および郊外線用53両の計94両が古町電車庫および古町市内線車庫に配置されている。

松山市内線編集

2017年8月現在、営業用の電車37両と「坊っちゃん列車」用のディーゼル機関車2両、客車3両の計42両が在籍する。

2002年3月に登場したモハ2100形電車は、伊予鉄道では「超低床式軌道電車」「(単車)LRT型車両」と呼んでいる。広島電鉄熊本市交通局等の超低床車両は連接車であるが、同社の拠点駅である松山市駅停留場では、連接車の導入は到着ホームの先端から出発ホームへの渡り線までの間に連接車を導入できるだけの長さがないため困難であり、単車型を車両製造会社と開発して投入した。乗降はスムーズであるが、在来型に比べると定員が80人から47人に減り、車内通路が狭隘になっている。

なお、2017年9月には15年ぶりの新形式となるモハ5000形電車が導入された[46]

電車
モハ50形 21両
51 - 55・57 - 59・61・66 ・68- 78(欠番は廃車)
モハ2000形 5両
2002 - 2006
モハ2100形 10両
2101 - 2110
モハ5000形 2両
5001・5002
坊っちゃん列車
D1形
1号
D2形
14号
ハ1形
1・2
ハ31形
31

過去に在籍した車両編集

電動貨車
モニ30形
30

郊外線編集

2017年8月現在、3系列53両が在籍する。高浜線(直流600V)と郡中線・横河原線(直流750V)は電圧が異なるが、通常の直流1500Vより低圧であり、低いほうの区間が比較的短く出力低下がそれほど大きくはならないため電車は通常複電圧車とは扱われない。

2004年1月から4月にかけて、当時長期休車中であった300系(後に運用に復帰することなく廃車解体)を除く全車両に車内案内装置が設置された。

電車
700系 7編成19両(元京王5000系〈初代〉
モハ720形 : 724 - 727,720
モハ710形 : 714 - 719,710
クハ760形 : 764 - 769,760
610系 2編成4両
モハ610形 : 611・612
クハ660形 : 661・662
3000系 10編成30両(元京王3000系
クハ3500形 : 3501 - 3510
モハ3100形 : 3101 - 3110
クハ3300形 : 3301 - 3310

過去に在籍した車両編集

電車
100系(1984年退役)
モハ100形 : 101 - 106
モハ200形 : 201 - 206
モハ210形 : 212
クハ400形 : 401 - 406
110系(1994年退役)
モハ110形 : 111 - 115
クハ410形 : 411 - 413
120系(1989年退役)
モハ120形 : 121 - 125
クハ420形 : 421
130系(1991年退役)
モハ130形 : 131 - 136
サハ510形 : 511・512
サハ530形 : 531
300系(2000年以降休車、2008年解体)
モハ300形 : 301 - 304
サハ500形 : 501・502
600系(1995年退役、2008年解体)
モハ600形 : 601 - 603
800系 6編成18両(元京王2010系、2010年退役)
モハ810形 : 811 - 816
クハ850形 : 851 - 856
モハ820形 : 821 - 826
機関車
DB-1形(1966年退役)
DB-1 - 8
甲1形(1954年退役)
1 - 4
甲2形(1954年退役)
5・6
甲3形
7・8
甲4形
9・10
甲5形
11 - 14
甲6形
15 - 17
甲6形 (2代目)
15
客車
ニ11形(1965年退役)
11 - 14
ハ31形(1965年退役)
31 - 34
ハ500形(1967年退役)
501 - 509
ハフ550形(1967年退役)
551 - 556
ハニフ570形(1967年退役)
571 - 576

運賃編集

大人普通旅客運賃(小児半額・10円未満切り上げ)。2014年4月1日改定[47][48]

キロ程 運賃(円)
初乗り3km 160
4 - 5 210
6 260
7 300
8 - 9 360
10 - 11 410
12 - 13 470
14 - 15 520
16 - 17 570
18km以上 620
  • 一日乗車券 - 2015年4月1日から発売券種が変更された[51]。2018年3月1日改定[52]。小児は半額。
    • 市内電車1Dayチケット:大人600円[53]
    • 市内電車2Dayチケット:大人900円[53]
    • 市内電車3Dayチケット:大人1100円[53]
    • ALL IYOTETSU 1Day Pass:大人1700円[54]
    • ALL IYOTETSU 2Day Pass:大人2200円[54]
    • ALL IYOTETSU 3Day Pass:大人2500円[54]
      • ALL IYOTETSU 1Day・2Day・3Day Passは、郊外電車・市内電車・バス全線(坊っちゃん列車・高速バス・特急バス・伊予鉄南予バス除く)が利用可能である。
    上記のどの一日乗車券でも伊予鉄高島屋の観覧車「くるりん」に1回に限り無料で乗車可能。2016年9月30日までは300円追加で坊っちゃん列車に乗車可能だった[49]

2015年3月31日までは以下の乗車券が販売されていた。

  • 市内電車・バス1Dayチケット:大人400円[55]
  • 郊外電車1日乗車券:大人1200円[56]

1965年以降の松山市内線の運賃(大人)

  • 1965年11月27日から 20円
  • 1969年2月5日から 25円
  • 1971年8月26日から 30円
  • 1973年11月8日から 40円
  • 1975年3月1日から 60円
  • 1977年2月18日から 80円
  • 1979年11月30日から 100円
  • 1981年11月28日から 120円
  • 1983年11月1日から 130円
  • 1985年11月1日から 140円
  • 1989年4月1日から 150円
  • 1994年2月1日から 170円
  • 2001年4月16日から 150円
  • 2014年4月1日から 160円(現行)

特記事項編集

 
市内線電車内の「俳句ポスト」
  • 復刻版坊っちゃん列車は、蒸気機関車風のディーゼル機関車によって牽引されるため、機関車の運転には市内電車を運転できる資格「乙種電気車運転免許」ではなく、「乙種内燃車運転免許」が必要になる。このため、同列車の運転開始にあたって、乗務予定の運転士は乙種内燃車資格を新たに取得する必要があった。しかし、路面軌道を走行するディーゼルカーは、札幌市交通局などで、かなり以前に数例見られただけであった。このため所管する四国運輸局や伊予鉄道は、試行錯誤しながらすっかり過去のものになったこの資格を復活させたと、伊予鉄道・坊っちゃん列車公式ホームページに記録がある。
  • 野球拳は、前身の伊予鉄道電気時代の野球部にて考案された。
  • 市内線電車内(2100形,5000形を除く)には、市内各所に設置されているものと同様な「俳句ポスト」が置かれている。
  • 郊外線で冷房車が投入された際、メーカー名入りの「冷房電車 三菱電機株式会社」というヘッドマークが取り付けられていた。
  • チャレンジプロジェクト実施による駅名板更新が完了した2015年夏頃までは、郊外線の自立式駅名標は縦書き表示が多く残っていた。中でも旧型の梅津寺駅郡中港駅などにある、青枠で囲ってある形式は、縦書き表示時代の阪急電鉄のそれとそっくりである。阪急も一部の駅では、当時の面影を残す青枠囲みの駅名標があるが、すべて横書き表示になっている。

伊予鉄道に関連する作品編集

  • 「伊豫鉄道唱歌」(1909年1月) - 鉄道唱歌に倣って、その作者である大和田建樹自身が作った歌で、伊予鉄道の鉄道線・軌道線を全25番で歌っている。現在その初めの1・2番と、松山駅(現、松山市駅)が入る6番がよく歌われる。
    • 1.名も常磐(ときわ)なる松山の 市街を中に取巻きて 葛の如く縦横に 蔓さしのばす伊豫鉄道
    • 2.先ず乗り出だす高浜の 港の海の朝げしき 艪(ろ)を押し連れて出でて行く 船は落葉か笹の葉か
    • 6.伊豫鉄道の本社ある 松山駅の近くには 役所兵営女学校 出で入る列車の数繁(かずしげ)し
    6番の「松山駅」は駅名改称で「松山市駅」となったため、戦後1953年に開催された愛媛国体の際に新しく歌詞が作られ、現在では「伊予鉄道の本社ある 松山市駅は昼も夜も 出て入る列車の数繁く 行き交うバスの絶え間なし」と言い換えることがある。
  • 坊っちゃん」(1906年) - 夏目漱石1895年から1896年の間に松山へ赴任したときの経験を元に執筆した小説で、作品中に登場する伊予鉄道の客車を「マッチ箱のような汽車」と表現している。2001年に運行が開始された「坊っちゃん列車」も、この作品がかかれた当時の様子を再現する試みである。

脚注編集

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  1. ^ a b 持株会社体制への移行に伴う組織体制について (PDF) - 伊予鉄道(2018年3月26日)
  2. ^ a b c 伊予鉄グループ会社案内2018 (PDF) , p.4, 2018年4月22日閲覧。
  3. ^ 『鉄道局年報. 明治26年度』(国立国会図書館デジタルコレクション)
  4. ^ 「合併契約書」『五十年史』伊予鉄道電気、1936年、pp.43-44(国立国会図書館デジタルコレクション)
  5. ^ 愛媛経済レポート 2009年1月5/15日合併号P6-8 新春インタビュー 伊予鉄道社長「佐伯要」さん
  6. ^ ことばのちからラッピングバス・電車 出発式実施と松山市駅 電車発車メロディーの変更について - 伊予鉄道、2011年6月24日。
  7. ^ 市内電車車内放送の英語案内開始について - 伊予鉄道、2015年2月23日
  8. ^ 市内電車「えひめFree Wi-Fi」サービス、およびサイクルトレイン・バス・タクシーの本格運行を開始します - 伊予鉄道、2015年3月18日
  9. ^ 4月4日からサイクルトレインの本格運行を開始 - インタープレス、2015年3月20日。
  10. ^ a b c IYOTETSUチャレンジプロジェクト (PDF) - 伊予鉄道、2015年5月。
  11. ^ いよてつ発車メロディー - 伊予鉄道、2015年7月。
  12. ^ 伊予鉄グループのカードが変わります - 伊予鉄道、2016年1月25日。
  13. ^ 県内小1に無料パスポート贈呈 - 愛媛新聞ONLINE(2016年4月12日)。
  14. ^ 終電延長、毎週金曜約30分 - 愛媛新聞ONLINE(2016年7月23日)。
  15. ^ 坊っちゃん列車ミュージアム 伊予鉄本社 - 愛媛新聞ONLINE(2016年12月9日)。
  16. ^ 第109期 有価証券報告書 (PDF)
  17. ^ a b c 2017/4/25付けEDINET提出書類「臨時報告書」 (PDF)
  18. ^ 伊予鉄に戦後初の女性運転士2人誕生 - 愛媛新聞ONLINE(2017年5月30日)。
  19. ^ 女性運転士デビュー 伊予鉄道で戦後初 - 朝日新聞デジタル(2017年5月31日)。
  20. ^ 「新型LRT車両 営業運転開始 (PDF) - 伊予鉄道(2017年9月1日)。
  21. ^ 伊予鉄の新型LRT 営業運転開始 - 愛媛新聞ONLINE(2017年9月22日)。
  22. ^ バリアフリー化 伊予鉄道道後温泉駅新装 - 愛媛新聞ONLINE(2017年12月22日)。
  23. ^ スタバ道後温泉駅舎店 - 愛媛新聞ONLINE(2017年12月19日)。
  24. ^ 2014年版会社案内 (pdf)”. 伊予鉄道. p. 1 (2014年7月). 2014年10月2日時点のオリジナル[リンク切れ]よりアーカイブ。2015年6月14日閲覧。
  25. ^ a b 「えひめの記憶」 - 『ふるさと愛媛学』調査報告書 - 愛媛県生涯学習センター
  26. ^ 「路面電車」が復活の動き その背景は? - THE PAGE、2014年6月19日
  27. ^ JR松山駅付近連続立体交差事業
  28. ^ a b 幹線道路・路面電車計画 - 松山市
  29. ^ JR松山駅付近の都市計画道路図 (PDF)
  30. ^ 路面電車の整備について - 松山市
  31. ^ 平成26年第336回愛媛県定例会愛媛県議会会議録検索システムで確認可能
  32. ^ 中村時広公約集
  33. ^ 愛媛知事再選の中村氏、松山の路面電車延伸を検討 - 日本経済新聞 電子版、2014年11月18日
  34. ^ 中村知事「観光に独自性」…ダブル選一夜明け - YOMIURI ONLINE、2014年11月18日
  35. ^ 当選から一夜、知事・市長が2期目へ抱負 - 愛媛新聞オンライン、2014年11月17日
  36. ^ 空港への延伸「前向きに検討」 清水・伊予鉄社長 - 朝日新聞デジタル、2015年7月26日
  37. ^ 松山空港路面電車延伸検討会 4ルート案公表 - 愛媛新聞オンライン、2015年12月22日
  38. ^ 平成22年度国勢調査
  39. ^ わがまちメール - 松山市
  40. ^ 松山・広島間の公共交通の利便性の向上について”. 知事に寄せられた提言(20年12月). 愛媛県. 2014年11月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年10月17日閲覧。
  41. ^ 路面電車の整備について - 松山市
  42. ^ 『伊予鉄道百年史』
  43. ^ 伊予鉄道森松線の復活について”. 知事に寄せられた提言(20年6月). 愛媛県. 2009年3月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年10月17日閲覧。
  44. ^ 「走る文化財 伊予鉄125年」 - 読売新聞、2012年9月15日
  45. ^ 「伊予鉄125周年 佐伯要社長に聞く」 - 愛媛新聞、2012年9月14日14面
  46. ^ 新型LRT車両が営業運転を開始しました! (PDF) - 伊予鉄道、2017年9月22日
  47. ^ 消費税率引き上げに伴う電車・バスの運賃改定について (PDF) - 伊予鉄道、2013年12月20日
  48. ^ 消費税率引き上げに伴う運賃改定について(4/1〜) - 伊予鉄道、2014年3月5日
  49. ^ a b 坊っちゃん列車 ご利用案内 - 伊予鉄道、2016年10月17日閲覧
  50. ^ 伊予鉄道の電車・バスの乗り方 - 伊予鉄道
  51. ^ 電車・バス全線乗り放題券を新発売 | 伊予鉄道
  52. ^ 市内電車「本町線」 松山市駅へのアクセス改善 ~長期滞在促進のため「3日券」を発売~ (PDF) - 伊予鉄道、2018年1月25日、同日閲覧。
  53. ^ a b c 乗車券・定期券 | 市内電車1Dayチケット・2Day・3Dayチケット - 伊予鉄道、2018年3月5日閲覧
  54. ^ a b c 乗車券・定期券 | ALL IYOTETSU 1Day Pass・2Day Pass・3Day Pass - 伊予鉄道、2018年3月5日閲覧
  55. ^ 乗車券・定期券 | 市内電車・バス1Dayチケット - 伊予鉄道
  56. ^ 乗車券・定期券 | 郊外電車1日乗車券 - 伊予鉄道

参考文献編集

  • 大野鐵・速水純『伊予鉄が走る街 今昔』JTBパブリッシング、2006年
  • 伊予鉄道株式会社 有価証券報告書

関連項目編集

外部リンク編集