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日本における車内チャイム編集

駅間距離の短い普通列車と違い特急列車などでは、停車駅間距離が長く、それに伴って放送の流れない"無音状態"の時間が長くなる。このため乗客たちは必然的に会話などを行うのだが次の停車駅が近づいた際に突然、車掌が喋り出しそれまでの会話が中断され、また、突然のことで驚くなどしていたために、一部の夜行特急列車で試験的に喋る前に音楽を流すということが取り入れられた。20系客車キハ80系気動車での「ブラームスの子守歌」がそれである。これが好評であったために東海道新幹線で正式に採用され、その後、多くの特急・新幹線にも採用されている。一部の普通列車でも流すこともある。

チャイムのメロディーは旧・日本国有鉄道(国鉄)時代は電車と東海道新幹線開業当時は「鉄道唱歌」、気動車は「アルプスの牧場」、客車は「ハイケンスのセレナーデ」が一般的だったが、後に鉄道唱歌やクラシック音楽童謡などのほか数多くのオリジナルメロディーを電子音風にアレンジしたものもある。

東海道・山陽新幹線では、2003年11月23日まで、「のぞみ」と「ひかり」・「こだま」で、始終着駅と途中駅で異なるチャイムが車種に関係なく使用されていたが、翌11月24日以降、JR東海車と西日本旅客鉄道(JR西日本)車で、種別に関係なく始終着駅と途中駅で異なる両社のキャンペーンソング(JR東海車 : 「AMBITIOUS JAPAN!」、JR西日本車 : 「いい日旅立ち・西へ」)を用いたチャイムを使用している[1]。なお、両社のキャンペーンソング導入以前に「のぞみ」号の始終着時に使用されていたチャイムは東京駅東海道新幹線ホームで発車メロディとして使用されている。また同じく、ひかり・こだま号の始終着時に使用されていたチャイムは山陽新幹線の各駅の(新大阪駅を除く)ホームで接近メロディとして使用されている。

山陽・九州新幹線では、JR西日本車は東海道・山陽新幹線と同じ「いい日旅立ち・西へ」に対して、JR九州車は向谷実によるオリジナルのチャイム[注釈 1]を使用している[2]

北陸新幹線では、JR東日本車は上越新幹線と共通のメロディを使用している。これに対し、JR西日本車は開業当初は「いい日旅立ち・西へ」を使用していたが、2015年10月より期間限定で谷村新司の「北陸ロマン」を使用している(JR西日本の特急「サンダーバード」も同様)。

山陽新幹線区間における特別車両では、2015年11月〜2018年5月までテレビアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」とのコラボレーション企画の一環として運行した「500 TYPE EVA」にて、車内チャイムに番組主題歌の「残酷な天使のテーゼ」が使用された[3]。同編成を再改造して運行開始した「ハローキティ新幹線」でも、オリジナルメロディが車内チャイムとして使用される[4]

近畿日本鉄道の一部特急車両(近鉄21000系電車近鉄50000系電車など)や沖縄都市モノレールでは各駅到着前に個別の車内チャイムを使用する。各停車駅毎に違うチャイムではないが、JR西日本の急行「能登」(489系)、特急「こうのとり」・「きのさき」等(287系など)、智頭急行の特急「スーパーはくと」(智頭急行HOT7000系気動車)などではその地域にあわせた民謡をアレンジした車内チャイムを使用している。

小田急電鉄では有料特急であるロマンスカーにおいて、小田急50000形電車(VSE)以降の車内チャイムに自社のCMソングである「ロマンスをもう一度」を使用している。

広島電鉄では通常はチャイムだが、広島電鉄本線原爆ドーム前停留場に限り鐘の音を流す。また、乗換え指定電停では専用のチャイムが流れる。

北越急行では、普通列車の始発・終着チャイムにJRバス各社が運行する都市間高速バス「ドリーム号」車内チャイムと同じものを使用している。

大阪市高速電気軌道(Osaka Metro)では、終着駅到着時に車内チャイムを使用している。通常はオリジナルのメロディだが、谷町線八尾南駅に限り「河内音頭」のアレンジが流れる[5]

これと類似のもので、ワンマン運転の鉄道・バスでは車内放送前に「ピンポーン」、「ポンポンポーン(ドミソ音)」、「ポーン」などごく短いチャイムを鳴らし乗客に注意を喚起する場合もある。一方、都市間高速バスではメロディチャイムを使用する事業者が多い[注釈 2]

東日本旅客鉄道(JR東日本)の特急・新幹線の車内チャイム音源はCD化され、テイチクが発売元である「JR東日本発車メロディー・特急車内メロディー音源集~山手線一周+α~」に収録されている。

ふるさとチャイム編集

 
東北・上越新幹線開業当時の自動放送装置 (1982年頃)

ふるさとチャイムとは、かつて日本国有鉄道(国鉄)・東日本旅客鉄道(JR東日本)の東北上越新幹線の車内で放送されていた案内放送チャイムの名称である[6]

東北新幹線は1982年(昭和57年)6月23日から上野駅 - 東京駅間開業前日の1991年(平成3年)6月19日まで、上越新幹線は1982年11月15日から1991年6月19日までこのチャイムを使用した。

チャイムは各停車駅にちなんだ地元の民謡など[6]をアレンジしていた。1990年3月にくりこま高原駅が開業するのに際して、同駅で使われるチャイムが検討されたが、「イメージに合致する地元の曲がない」として、盛岡始発・終着の「やまびこ」など同駅に停車する列車については現行のバロック調のチャイム(北千住駅1番線で使用されていた発車メロディに類似)に変更した。その他の列車(上野駅 - 仙台駅間の「あおば」など)ではふるさとチャイムが存置されたが、1991年6月19日の運行をもって全廃された。なお、2012年6月23日のやまびこ235号(東北新幹線大宮開業30周年記念号、200系K47編成)では一列車限りの復活が行われ[6]、通常のチャイムと自動放送の後、車掌の手動操作により21年ぶりに車内へ放送された。

ふるさとチャイムに使われていた楽曲一覧編集

東北新幹線

くりこま高原駅はふるさとチャイムを導入せず開業。東京駅・いわて沼宮内駅二戸駅八戸駅七戸十和田駅新青森駅山形秋田新幹線はふるさとチャイム廃止後に開業。

上越新幹線

(上野・大宮両駅は東北新幹線と共通)

ガーラ湯沢駅はふるさとチャイムを導入せず開業。本庄早稲田駅北陸新幹線はふるさとチャイム廃止後に開業。

その他編集

  • 東北・上越新幹線の上野駅延伸以前と以後で、メロディに使用されている楽器が異なる。(後述する(株)新日本企画のCD「懐かしの東北・上越新幹線チャイム」に収録されている音は上野・大宮(上野延伸以降のチャイムは微妙に異なっている)・浦佐駅のものを除き上野駅延伸以前のもので、外部リンクに示した「ふるさとチャイム全集」の音は上野駅延伸以後のものである)。また、上野駅延伸以前のチャイムは東北新幹線と上越新幹線で別の楽器が使われていたのに対し、上野延伸以降のチャイムは柔らかめの音に統一された。
  • 「自分の下車駅のもっと先まで聞かせて!」という鉄道ファンなどからの要望に応え、当時そのままの音を収録したカセットテープが1980年代後半に一部の鉄道ファン向け店舗で発売されており、これを1990年代にCD「懐かしの東北・上越新幹線チャイム」として再発売したものが、ふるさとチャイム制作に携わった(株)新日本企画より発売されている。ただし書店やCDショップでは取り扱わず、JR東日本管内各新幹線における車内販売および日本レストランエンタプライズ (NRE) 公式サイトにおける通信販売(2011年時点では休止中)、年数回の鉄道イベント(鉄道の日、毎年夏休みに銀座松屋で開催される「鉄道模型ショウ」など)のブースでのみで入手することが可能である(乗換案内等一部は省略)。
  • 1985年3月、東北新幹線上野駅開業時にメロディを収録したソノシートが付属した記念入場券が発売されている。全駅分のメロディが聞けるようになったのは、これが最初である。
  • 岡山惇 『東北・上越新幹線』(中公新書 中央公論社)では、上述のチャイムに使われた歌のリストが巻末に記載されるほか、ふるさとチャイムが使用されていた当時の両新幹線の車窓案内、車掌ら乗務員の業務活動などが記載される。
  • この車内放送は、既に開業していた東海道・山陽新幹線の無機質性への反省や、広告代理店の売り込みなどで開始されたものとされる。
  • 当初は郷土性の喚起ゆえに、乗客からは好評だった。しかし、通勤・通学など短距離利用も多くなったこと、「田舎くさい」として敬遠する乗客もいたこと、新たな駅への追加や列車ごとの停車駅が多様化したことにより設定を変えることが面倒なこと(カセットテープ方式だった)等が廃止の要因とされる。
  • なお、停車駅周辺地域の楽曲を用いているが、停車駅の所在する都市というよりは、その周辺(時に当該駅より数十キロも離れた箇所)にある代表的な観光地絡みの楽曲が多い(熊谷駅→秩父市の「秩父音頭」、高崎駅→桐生市の「八木節」、新潟駅→佐渡の「佐渡おけさ」など)。また、大宮駅等のように新民謡を入れたものも多く、さらに北上駅と越後湯沢駅以外のすべての駅は、その土地の民謡や音頭(または唱歌・童謡)を採用したため、当時最新鋭であった新幹線のイメージに合わない点もあり、この意味で無理もあったとされる。その中でも、「北上夜曲」(北上駅)と「湯沢旅情」(越後湯沢駅)は例外的に流行歌が採用された珍しいケースであった。
  • この試みは、日本各地の地域性を持たせた車内放送・駅構内放送の初期といえ、その意味で評価できるものだった。
  • この企画との直接の関係は不明だが、ふるさとチャイムは在来線列車にも波及している。国鉄民営化後の1987年12月から特急「あずさ」、1988年から特急「かいじ」で運行されている183系グレードアップ車両にて、車内チャイムに「武田節」(甲府駅到着時)、「信濃の国」(松本駅到着時)という、地域色ある車内チャイムが採用された。このほか当時のJR東日本の「LOOK EAST」キャンペーンCMソングちょっとだけストレンジャー」(歌・加山雄三)や、「故郷」、「雪山賛歌」も収録されており、季節などに合わせ183系での運行を終了するまで放送されていた。
  • 上越新幹線開業直後、NHK-FMの民謡番組で、旅行評論家の解説を交えながら、国鉄から借りた上越新幹線のふるさとチャイムと、その原曲をフルコーラス、続けて放送したことがあった。原曲と比べてもうまくアレンジされていると称えながらの放送だったが、全駅紹介するために越後湯沢だけを外すわけにもいかず、民謡番組ではあるが、例外的に加山雄三の湯沢旅情をワンコーラスだけ流すこととなり、とても珍しい放送となった。

台湾における車内チャイム編集

アジアの高速鉄道では、台湾高速鉄道において、日本と同じくチャイムに続き録音された案内が流れる。

ヨーロッパにおける車内チャイム編集

ヨーロッパ高速列車であるTGVタリスユーロスターでは放送前にチャイムを鳴らす。

ヨーロッパでは都市鉄道で音楽を流すことも多い。ドイツSバーン路面電車の車内放送では、ボーンと教会の音のようなチャイムが鳴る。特徴的なのは、フランスストラスブール市のLRTである。車内放送では各停留所毎に異なる音楽を流している。全停留所の音楽が異なるだけではなく、ジャンルが多岐にわたっていることも特徴である。一般的な電子音楽のほか、ロックレゲエ民族音楽なども採用されており、歌声が入っているものもある。

脚注編集

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注釈編集

  1. ^ JR東海車やJR西日本車と異なり、博多駅熊本駅(『おてもやん』のアレンジ)・鹿児島中央駅(『(鹿児島)おはら節』のアレンジ)とそれ以外の駅でチャイムを変えている。
  2. ^ 「ドリーム号チャイム」を使用するJRバス各社や「瀬戸の花嫁」を使用するせとうちバス、「JAMJAMライナー」の受託便において「ハイケンスのセレナーデ」を使用する新日本観光自動車つんく♂が手掛けた社歌「Go! 東京バス Go!大阪バス」を使用する東京バスグループなど。

出典編集

関連項目編集