JFAアカデミー福島

JFAアカデミー福島(ジェイエフエーアカデミーふくしま)は、日本サッカー協会(JFA)が福島県広野町楢葉町富岡町と連携して推進する中学・高校の6年間を対象としたエリート教育機関・養成システムである。略称はac福島[1]2006年平成18年)4月8日開校。スクールマスターはJFAの布啓一郎

東日本大震災における福島第一原子力発電所事故の影響により、2011年度より静岡県御殿場高原時之栖に一時的に移転している(後述)。

概要編集

 
Jヴィレッジスタジアムに隣接した男子寮「柊」
 
Jヴィレッジの天然芝フィールドの向こうに見える女子寮「扇」

サッカー選手のエリート養成において30年以上の歴史を持つフランスのクレールフォンテーヌ国立研究所をモデルに作られた。

アカデミー生はJヴィレッジ近郊に建てられた専用の寮に寄宿しながら地元の公立中学・高校に通学して学生としての学校教育を受け、放課後にアカデミーで各種の教育を受ける。アカデミーでの教育内容は日本サッカー協会の最高ランクの指導者資格であるS級コーチライセンス教員免許を併せ持つ専属コーチやモデルとなったINFで長年校長を務めたクロード・デュソーによるサッカーの指導だけでなく、英会話、論理的思考、ロジカルコミュニケーションスキル、リーダー教育、マナー講習、地元農家の協力による米作り体験、奉仕活動など多岐に渡る。また、日本サッカー協会の技術委員会、女子委員会、スポーツ医学委員会や、ドクター、アスレチックトレーナー、アスレチックカウンセラー、管理栄養士らによりメディカル・フィジカル・栄養・メンタルのケアにも注意が払われている。

入校編集

中高6年間の一貫教育を基本方針としているため、男女とも入学時に中学1年生となる者(応募時点で小学6年生)のみを対象に夏から冬にかけて3から4段階に及ぶ選考試験が行われて選ばれる。ただし初年度となった一期生の女子のみ例外で、中学1年生から高校1年生までの4学年が募集された。

費用編集

遠征や用具を含むサッカーの活動に関わる費用やアカデミーで受ける各種カリキュラムに掛かる費用は全額日本サッカー協会が負担しており、入学者の負担は20万円の入学金と月8万円の寮費のみ(学校教育に掛かる費用は別途)となっている。

学校教育編集

男子中学生は広野中学校、女子中学生は楢葉中学校、高校生は男女とも富岡高校に通学する。このアカデミー開始にあわせ楢葉地区教育構想が策定・実施され、富岡高等学校と広野中学・楢葉中学を含む地元の4つの中学校は連携型中高一貫教育を実施、富岡高校には「国際・スポーツ科」が新設されアカデミー生はこの科で学ぶ事になる。なお、男女で通う中学校が違っているのは男子寮が広野町に女子寮が楢葉町に建っているからであり、男女共に入学する富岡高校は連携する広野町・楢葉町・富岡町に存在する唯一の高校である。

一時避難編集

2011年3月に発生した福島第一原子力発電所事故を受け、拠点であるJヴィレッジ地図)が当面の間利用不可能となっていることから、同年4月から御殿場高原時之栖地図)に移転して活動することになった[2]

学校教育については中学生は御殿場市立富士岡中学校、高校生に関しては福島県立富岡高等学校のサテライト協力校である静岡県立三島長陵高等学校で行われる。

一時移転が長期化していることから、男子チームについては登録地も福島県から静岡県に変更される(U-15およびU-18セカンドは2013年度より、U-18は2014年度より)[3]

女子は2011年以降、男子は2013年以降、リーグ戦の会場は時之栖周辺を中心としつつ、一部で福島県の会場も使うという形態となっている(下記の表参照)。

Jヴィレッジが2019年春に全面再開予定であることを受け、日本サッカー協会会長の田嶋幸三は2021年度に同アカデミーを福島へ戻す意向であることを明かした[4]。その上で静岡に避難しているアカデミーの静岡での存続も検討していることも明かした[5]

2018年4月に日本サッカー協会は、福島でのアカデミー再開を以下の通りとすることを発表した[6]

  • 男子:福島では2021年4月より中学1年生から1学年ずつ入校(2026年に6学年が揃う)。また2019年4月・2020年4月の入校者(時之栖)は3年のみの在籍となる。
  • 女子:チーム編成上、2024年に全6学年が一斉に福島県に戻って活動を再開する。
一時移転後のホームゲームの試合会場
男子U-18 女子
所属リーグ ホームゲーム会場 所属リーグ ホームゲーム会場
2011年 プリンスリーグ東北2部 東北地方各地で実施
(ホーム&アウェーでない)
チャレンジリーグ 時之栖6, 御殿場陸2, ●西が丘1
2012年 プリンスリーグ東北1部 東北地方各地で実施
(ホーム&アウェーでない)
チャレンジリーグ 時之栖8, 御殿場陸1, 愛鷹ス1, ★いわきグ1
2013年 プレミアリーグEAST 時之栖8, ★鳥見山1 チャレンジリーグ 時之栖10, 御殿場陸1
2014年 プレミアリーグEAST 時之栖8, ★鳥見山1 チャレンジリーグ 時之栖10, ★鳥見山1
2015年 プレミアリーグEAST 時之栖7, ★鳥見山1, ●味スタ西1 チャレンジリーグWEST 時之栖6, 裾野陸1, 御殿場陸1
2016年 プリンスリーグ東海 時之栖9 チャレンジリーグWEST 時之栖3, 裾野陸3, 御殿場陸3[注 1]
2017年 プリンスリーグ東海 時之栖9 チャレンジリーグWEST 時之栖5, 裾野陸4[注 2]
2018年 プリンスリーグ東海 時之栖9 チャレンジリーグWEST 時之栖5, 裾野陸4[注 3]
2019年 プリンスリーグ東海 時之栖9 チャレンジリーグEAST 時之栖9[注 4]
2020年 スーパープリンスリーグ東海 時之栖3[注 5] チャレンジリーグEAST 帝人富士5、時之栖1[注 6]

印なしの会場は時之栖周辺、★印の会場は福島県内、●印の会場はその他

運営状況編集

2006年4月8日に福島県富岡町文化交流センターで開校式が行われた。

期生 年度 男子 女子
入校者数 受験者数 倍率 入校者数 受験者数 倍率
1 2006 17 455 26.8倍 23 202 8.8倍
2 2007 15 857 57.1倍 5 141 28.2倍
3 2008 15 685 45.7倍 6 140 23.3倍
4 2009 15 6
5 2010 14 504 36.0倍 6 131 21.8倍
6 2011 15 473 31.5倍 6 110 18.3倍
7 2012 16 306 19.1倍 6 100 16.7倍
8 2013 16 349 21.8倍 5 107 21.4倍
9 2014 16 248 15.5倍 6 124 20.7倍
10 2015 16 346 21.6倍 7 164 23.4倍
11 2016 16 7
12 2017 16 4
13 2018 16 6

主な戦績編集

男子U-15編集

年度 主な戦績
南東北リーグ クラブユース選手権 高円宮杯 (U-15) U-15大会
2008 ? グループリーグ - グループリーグ
2009 優勝 - グループリーグ - 詳細 3位
2010 3位 - 2回戦 - 詳細 -
2011 2位 - ベスト8 ?

男子U-18編集

リーグ チーム数 試合数 勝点 得失点差 リーグ順位
2009 福島県2部 9 8 22 7 1 0 36 4 +32 1位
2010 福島県1部 9 8 20 6 2 0 24 5 +19 1位
2011 プリンスリーグ東北2部 8 7 18 6 0 1 40 3 +37 1位
2012 プリンスリーグ東北1部 8 14 39 13 0 1 64 7 +57 1位
2013 プレミアリーグEAST 10 18 32 10 2 6 32 20 +12 3位
2014 10 18 24 6 6 6 29 28 +1 5位
2015 10 18 11 3 2 13 14 38 -24 10位
2016 プリンスリーグ東海 10 18 41 12 5 1 48 17 +31 1位
2017 10 18 30 10 0 8 33 26 +7 4位
2018 10 18 43 14 1 3 47 13 +34 2位
2019 10 18 46 15 1 2 46 14 +32 1位
2020 スーパープリンスリーグ東海 7 6 10 3 1 2 7 5 +2 4位

※2020年の戦績はグループリーグ(7チーム×2組で実施された)のもののみ。順位決定戦で敗戦したため最終順位は14チーム中8位。高円宮杯 JFA U-18サッカープリンスリーグ 2020を参照。

女子編集

日本女子サッカーリーグ2部を改組して2010年から設置されるなでしこチャレンジリーグへの参戦を目指し、2009年11月に開催された参入決定戦に出場、初日2日目と連勝し、最終日の日本体育大学女子サッカー部戦には敗れたものの、Aグループ2位となったことにより、なでしこチャレンジリーグ参戦が決定した。

リーグ チーム数 試合数 勝点 得失点差 リーグ順位
2010 チャレンジEAST 6 15 34 11 1 3 46 26 +20 2位
2011 6 15 30 9 3 3 44 23 +21 2位
2012 チャレンジ 12 22 41 13 2 7 52 20 +32 5位
2013 16 22 33 9 6 7 49 29 +20 7位
2014 16 22 36 11 3 8 42 31 +11 7位
2015 チャレンジWEST 6 15 20 6 2 7 27 28 -1 3位
2016 チャレンジ 6 15 20 6 2 7 25 24 +1 3位(WEST)
4 3 6 2 0 1 6 4 +2 6位(総合)
2017 6 15 15 4 3 8 18 25 -7 5位(WEST)
4 3 5 1 2 0 5 1 +4 9位(総合)
2018 6 15 24 7 3 5 25 15 +10 2位(WEST)
4 3 2 0 2 1 2 3 -1 3位(総合)
2019 6 15 29 9 2 4 25 14 +11 2位(EAST)
4 3 3 1 0 2 3 2 +1 3位(総合)
2020 6 10 22 6 4 0 16 6 +10 1位(EAST)
2 2 4 1 1 0 1 0 +1 1位(総合)
2021 なでしこ2部 8 14

その他編集

2008年には、富岡高校女子サッカー部が、第17回全日本高等学校女子サッカー選手権大会に東北地区第3代表として初出場した。女子サッカー部にはJFAアカデミー福島所属選手は不参加ではあるものの、JFAアカデミーと富岡高校との提携関係が結ばれ、男女双方のサッカー部設立・強化の方針が打ち出された事により、同高サッカー部で競技に打ち込む事を希望し、県内全域のみならず、県外からも入学者があった事が、創部間もないながら、東北地区予選を勝ち上がる事ができた理由のひとつである。 この大会には32チームが参加し、富岡高校はトーナメント1回戦で敗退した。また、富岡高校の男子チームは創部3年目にして2008年度の全国高校サッカー選手権大会に出場が決定している。

主な卒業生編集

男子編集

期生 名前 在籍年 卒業後進路 現所属
1 幸野志有人 2006 - 2010 FC東京 V・ファーレン長崎
呉大陸 2006 - 2011 ファジアーノ岡山 未定
三幸秀稔 2006 - 2011 ヴァンフォーレ甲府 湘南ベルマーレ
金城クリストファー達樹 2006 - 2011 フォルトゥナ・デュッセルドルフU-19 現役引退
遠藤翼 2006 - 2011 メリーランド大学 トロントFC[7]
2 松本昌也 2007 - 2012 大分トリニータ ジュビロ磐田
幡野貴紀 2007 - 2012 ファジアーノ岡山 ブリオベッカ浦安
平澤俊輔 2007 - 2012 早稲田大学 現役引退
3 金子翔太 2008 - 2013 清水エスパルス 清水エスパルス
安東輝 2008 - 2013 湘南ベルマーレ 水戸ホーリーホック
平岡将豪 2008 - 2013 AC長野パルセイロ いわきFC
小池龍太 2008 - 2013 レノファ山口FC 横浜F・マリノス
木下諒 2008 - 2013 早稲田大学 現役引退
4 金城ジャスティン俊樹 2009 - 2014 1860ミュンヘンU-19 ザスパクサツ群馬
似鳥康太 2009 - 2014 ファジアーノ岡山 ブランデュー弘前FC
草野侑己 2009 - 2014 阪南大学 レノファ山口FC
吉永大志 2009 - 2011 前橋育英高校 福島ユナイテッドFC
5 オビ・パウエル・オビンナ 2010 - 2015 流通経済大学 横浜F・マリノス
6 下口稚葉 2011 - 2016 ファジアーノ岡山 ファジアーノ岡山
上野瑶介 2011 - 2016 順天堂大学 ソニー仙台FC
延祐太 2011 - 2016 立命館大学 福島ユナイテッドFC
9 植中朝日 2014 - 2019 V・ファーレン長崎 V・ファーレン長崎
加藤聖 2014 - 2019 V・ファーレン長崎 V・ファーレン長崎
廣岡睦樹 2014 - 2019 モンテディオ山形 福井ユナイテッドFC
鎌田大夢 2014 - 2016 昌平高校 福島ユナイテッドFC
10 三戸舜介 2015 - 2020 アルビレックス新潟 アルビレックス新潟

女子編集

期生 名前 在籍年 卒業後進路 現所属
1 山根恵里奈 2006 - 2008 TEPCOマリーゼ 引退
菅澤優衣香 2006 - 2008 アルビレックス新潟レディース 三菱重工浦和レッズレディース
亀岡夏美 2006 - 2008 TEPCOマリーゼ
山名真妃 2006 - 2009 日本体育大学 引退
石原愛海 2006 - 2009 慶應義塾大学 引退
浜田遥 2006 - 2010 TEPCOマリーゼ マイナビ仙台レディース
中村沙樹 2006 - 2010 スペランツァFC大阪高槻
田中陽子 2006 - 2011 INAC神戸レオネッサ   スポルティング・ウエルバ英語版
川島はるな 2006 - 2011 ベガルタ仙台レディース サンフレッチェ広島レジーナ
和田奈央子 2006 - 2011 浦和レッドダイヤモンズ・レディース   ランクFCヴィラヴェルデンセ英語版
若林美里 2006 - 2011 アルビレックス新潟レディース   高雄陽信銀行女子足球隊中国語版
吉見夏稀 2006 - 2011 ノジマステラ神奈川   華川KSPOWFC英語版
本多由佳 2006 - 2011 大阪体育大学 ASハリマアルビオン
浦田佳穂 2006 - 2011 順天堂大学 引退
2 成宮唯 2007 - 2012 ベガルタ仙台レディース INAC神戸レオネッサ
小島ひかる 2007 - 2012 順天堂大学 大宮アルディージャVENTUS
吉武愛美 2007 - 2012 FC吉備国際大学Charme 引退
須永愛海 2007 - 2012 仙台大学 Farina高崎FC
3 三宅史織 2008 - 2013 INAC神戸レオネッサ INAC神戸レオネッサ
増矢理花 2008 - 2013 INAC神戸レオネッサ サンフレッチェ広島レジーナ
乗松瑠華 2008 - 2013 浦和レッドダイヤモンズ・レディース 大宮アルディージャVENTUS
井上ねね 2008 - 2013 日体大FIELDS横浜 府中アスレティックFCプリメイラ
4 小島美玖 2009 - 2014 アルビレックス新潟レディース ちふれASエルフェン埼玉
平尾知佳 2009 - 2014 浦和レッドダイヤモンズ・レディース アルビレックス新潟レディース
守屋都弥 2009 - 2014 INAC神戸レオネッサ INAC神戸レオネッサ
鳴海若菜 2009 - 2014 ノルディーア北海道 エスポラーダ北海道イルネーヴェ
水谷有希 2009 - 2014 筑波大学 三菱重工浦和レッズレディース
5 北川ひかる 2010 - 2015 浦和レッドダイヤモンズ・レディース アルビレックス新潟レディース
浅野菜摘 2010 - 2015 ASエルフェン埼玉 ちふれASエルフェン埼玉
橋沼真帆 2010 - 2015 ASエルフェン埼玉 ちふれASエルフェン埼玉
6 スタンボー華 2011 - 2016 INAC神戸レオネッサ 大宮アルディージャVENTUS
大熊良奈 2011 - 2016 浦和レッドダイヤモンズ・レディース 大宮アルディージャVENTUS
7 高平美憂 2012 - 2017 マイナビベガルタ仙台レディース マイナビ仙台レディース
代居鈴香 2015 - 2017[8] コノミヤ・スペランツァ大阪高槻 コノミヤ・スペランツァ大阪高槻
8 遠藤純 2013 - 2018 日テレ・ベレーザ 日テレ・東京ヴェルディベレーザ
武田あすみ 2013 - 2018 アルビレックス新潟レディース アルビレックス新潟レディース
9 石田千尋 2014 - 2019 ノジマステラ神奈川相模原 ノジマステラ神奈川相模原
10 伊藤めぐみ 2015 - 2020 AC長野パルセイロ・レディース AC長野パルセイロ・レディース
城和怜奈 2015 - 2020 ジェフユナイテッド市原・千葉レディース ジェフユナイテッド市原・千葉レディース
沼尾圭都 2015 - 2020 アルビレックス新潟レディース アルビレックス新潟レディース

脚注編集

[脚注の使い方]
  1. ^ チャレンジリーグWESTで7試合、順位決定戦で2試合
  2. ^ チャレンジリーグWESTで7試合、順位決定戦で2試合
  3. ^ チャレンジリーグWESTで7試合、順位決定戦で2試合
  4. ^ チャレンジリーグEASTで8試合、順位決定戦で1試合
  5. ^ グループリーグで3試合。順位決定戦(一発勝負)はアウェーで実施
  6. ^ チャレンジリーグEASTで5試合、順位決定戦で1試合

出典編集

  1. ^ JFAアカデミー福島”. Japan Women's Football League. 2020年12月21日閲覧。
  2. ^ JFAアカデミー福島 静岡県御殿場市 御殿場高原時之栖 に一時移転”. 日本サッカー協会 (2011年3月31日). 2012年4月7日閲覧。
  3. ^ 2012年度 第12回理事会 協議事項”. 日本サッカー協会 (2013年3月14日). 2013年9月21日閲覧。
  4. ^ 33年度にも県内帰還 JFAアカデミー福島 - 福島民報、2017年4月24日
  5. ^ JFAアカデミー福島、21年にも福島県内再開 田嶋会長見通し - 福島民友、2017年4月24日
  6. ^ JFAアカデミー福島 福島県での活動再開について - 日本サッカー協会、2018年4月13日
  7. ^ JFAアカデミー出身の遠藤翼がMLSで1巡目指名 - 2016年1月15日 日刊スポーツ
  8. ^ 2015年にJFAアカデミー堺より編入

関連項目編集

外部リンク編集