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概説編集

日本では、キー局全国紙など広範囲に影響を与えるメディアほど報道を自主的に控える傾向が著しく、こうした姿勢に対する批判も多数存在する。そのため、日本にも他社が報道しないことを報じていることを売り物にするマスコミもある[1]が、欧米を中心とした諸外国ほど多くはない。日本共産党赤旗編集局長を務めたジャーナリストの韮沢忠雄は、(赤旗以外の)既存のマスコミにはアメリカ合衆国広告主創価学会皇室部落解放同盟などに関する事項にタブーがあるとしている[2]

メディアタブー編集

TBSビデオ問題はその最たるものであった。新聞特殊指定廃止や新聞の軽減税率など新聞業界の権益に関わることは新聞や系列下にあるテレビ局では深く報じられることはなく[3]、場合によってはそれに対して批判した政治家の発言をスルーした例も見られる[4]

記者クラブタブー編集

記者クラブは、日本の報道における最大のタブーといわれる。閉鎖性が堅固になったのは1969年博多駅テレビフィルム提出命令事件最高裁判決以降である。

海外の報道機関も日本の特殊性をKisha Kurabuと称して批判している[5]

スポンサー・広告代理店タブー編集

スポンサーから番組の制作費や広告収入提供されることで事業が成立している民放(特に東京キー局において)では、広告媒体として視聴者のレスポンス、消費意欲を損ねうる番組内容は実現しにくいのが通例である。

2008年6月1日、テレビ東京で放送された『新ニッポン人』において司会者の久米宏は「民放というのは、物が売れない、人々が物を買わない、という番組は非常に難しい。よくこの番組ができたと思う」と皮肉を交えて述べた。また、CMを軽視する発言をした乱一世が一時的に番組から外された例がある。

このため、民放(特に県域放送、衛星放送局)で昼夜を問わず連日通販番組が多く放送されている。とりわけ一日の多くをテレビショッピングで占められている局が問題視されることはほとんどない(この批判は従来からあり、2011年には各局が量を明確に削減するよう求められた[6])。

近年はネットの使用率の増加とともに、テレビラジオの視聴率や聴取率が減少しており、この手のタブーには広告代理店は以前よりも敏感になってきている。

例えば、2013年にホテルや百貨店の食品偽装が相次いで発覚し、それを最初に公表した新阪急ホテルはマスコミから大バッシングを受けたのに対し、それよりも前に食品偽装が発覚した東京ディズニーリゾート系のホテルに対してはマスコミはほとんど報じなかった[7]

また、旧グッドウィルなどの日雇い派遣会社で相次いだ違法行為が、旧グッドウィルが廃業する前年の2007年までマスコミに見過ごされてきた事例もある。

ただし中小企業や、大企業であっても民間放送への影響の小さい企業はこの限りではない。

大手広告代理店のタブーについては2016年の電通女子社員の過労自殺をめぐる集中報道をきっかけに破られつつあるが、広告代理店体質そのもののタブーは未だ根強く存在する[8]

芸能プロダクションタブー編集

芸能関係者が犯罪加害者として報道される場合において、本来「容疑者」や「被告(人)」、「書類送検」と表記される部分を、「(元)メンバー」、「(所属)タレント」、「司会者」、「狂言歌舞伎俳優」、「ボーカル」、「ギタリスト」、「落語家」、「書類送付[9]などと本人の芸能界での肩書きによる不自然な呼称表現で済まされることがある。2011年8月に島田紳助暴力団との親密な関係を問われて引退に追い込まれた際、記者会見で当該問題を質した取材者は皆無で、ほとんどの質問が「芸能界での思い出について」など当たり障りのない内容であった。また会見の生中継はニコニコ生放送のみで行われた[10]

これらはおもに、逮捕後処分保留で釈放された直後や、略式起訴・在宅起訴で済まされた事例で多く、後述のように逮捕→起訴→有罪の場合はこの限りではない。

しかし、読売テレビアナウンサー道浦俊彦は、「『メンバー』などの不自然な呼称を付けるのは、実名に肩書きを付けて報道するのが原則の在宅捜査に切り替わるにあたり、適当な呼称が存在しないからであり、芸能プロの圧力ではない」としている[11][12]

過去に吉本興業松竹芸能事務所間で所属芸人の引き抜き合戦があったことに端を発したことから、両事務所のタレントが同じ場所に出演する場合同時に他事務所のタレントを起用しなければならないといった慣例が続いている。一方、事務所から独立した個人事務所タレントである場合は制約も緩くなり、柔軟なバーター営業が可能となっている。2014年にはプロ野球パブリックビューイング企画で松竹芸能所属の森脇健児が吉本の劇場であるなんばグランド花月の舞台に立つという異例も起きた(森脇以外全て吉本所属)[13]

それとは逆にSMAPのメンバーだった香取慎吾草彅剛稲垣吾郎といった芸能人を、事務所の意向で報道しないケースもある。

また、劇団四季において、所属俳優がパワーハラスメントを受け自殺未遂事件を起こした際も、報じたのは週刊文春毎日新聞のみであった[14]

桜タブー編集

桜は日本の警察紋章つまり旭日章に由来する。

桜タブーを破った事例として、最近では『北海道新聞』(以下「道新」。地元ではこの愛称で知られる)が2004年1月より行った北海道警裏金事件追及が挙げられる。2年間で1,400件の記事が掲載された一連のキャンペーンで北海道警察(道警)は組織的な裏金作りを認め、使途不明金約9億6千万円の返還に追い込まれた。また道新は日本ジャーナリスト会議大賞・日本新聞協会賞・菊池寛賞・新聞労連ジャーナリスト大賞など、各賞を受賞した。しかし、一連のキャンペーンは道警の報復を呼び取材活動で多くの支障が生じた。2006年1月の「道警の泳がせ捜査の失敗で道内に覚醒剤が流入」とした記事は道警への直接取材ができない中、伝聞に基づくものであったため、2005年3月に「不適切な記事」として「おわび」の記事掲載を余儀なくされた[15]

また、テレビ朝日の『ザ・スクープ』は桶川ストーカー殺人事件の検証報道において埼玉県警察の怠慢捜査が殺人に至った最大の原因であると暴き、徹底追及した結果、ついに警察に非を認めさせることに成功した。

さらに、メインキャスターの鳥越俊太郎が『サンデー毎日』の記者時代にイエスの方舟事件で主宰の千石イエスを匿っていたという過去からか、警察庁総務省を介して番組打ち切りの圧力をかけるようになり、ついには製作元がこれに抗することができず、ローカル枠格下げを経て放送打ち切りに追いやられたとされている。ただし現在は不定期スペシャルとして継続している。

また、人権上問題である痴漢冤罪や、多くのドライバーが不満に感じている「ネズミ捕り」に代表される警察の交通違反取り締まりのやり方の問題[16]についてはメディアではほとんど報じられることはない。

さらに学校現場で生徒のいじめ自殺事件が起こると報道機関は競ってその事柄を報道するが[17]、警察内で起こったいじめ自殺事件[18]は大きく報じられることはない[19]

なお、マスコミは警察24時などの警察活動に密着したドキュメンタリー番組を頻繁に制作しているが、マスコミ・警察双方が利益を享受しているとの指摘がある(同記事にて詳述)。

菊タブー編集

天皇皇室に対する批判や毒のある風刺に対する社会的圧力などによるタブー。しかし、2019年には報道が菊タブーを重視するどころか、民間人がそれ以上に菊タブーを重視し自重を求める例が出現している[20]

荊タブー編集

荊(いばら)は部落解放同盟の団体旗である荊冠旗に由来する。部落解放同盟をはじめとする一部の同和団体が政府の同和政策に癒着し、同和利権を構成していることについてマスコミが批判できない。また、一般的な事件の犯人や関係者が同和関係者であり、事件の本質的な原因として同和問題が関わっている場合であっても同和問題には一切触れず、一般的な事件であったかのような報道をする傾向がある。

万が一、部落解放同盟をはじめとする同和団体を批判すると部落解放同盟から確認・糾弾などを受け強要や暴力行為の被害に発展する可能性もあるため、各社ともこうした問題には及び腰となっている。

しかし21世紀に入ってから、同和対策事業が終わり、部落解放同盟をはじめとする同和団体に関する問題点が徐々に指摘されるようになってきている。中でも毎日放送の関西ローカルのニュース番組『VOICE』による追及シリーズは群を抜き、スクープを連発し、大阪市など行政当局による不正な補助金支出をたびたび暴露した。

アーレフタブー編集

マスメディア癒着し、すでにAlephに改称したオウム真理教に関するこのタブーは、呼称と報道内容に対するものに分けられる。

呼称に対するタブーとしては、アーレフを報道する際、「オウム真理教(アーレフに改称)」などと必ず旧名称「オウム真理教」を中心にして報道され(単に「オウム」とだけ省略されることもよくある)、「アーレフ」のみまたは「アーレフ(旧オウム真理教)」のように「アーレフ」を中心にして報道することがまずない現象がみられる[21]。アーレフから分派したひかりの輪に対しても「オウム真理教上祐派」のように報道されることがある。

また、代表だった麻原彰晃の呼称を、日本テレビでは1996年の初公判から、松本智津夫に「改名」した。その後も追随するようにマスコミでは行われ、今日では中日新聞東京新聞)・産経新聞を除くほぼすべてのメディアは本名報道に切り替わっており、「麻原彰晃」と報道するものはほとんどない。NHKは裁判中も「麻原」を使用していたが、2006年の結審後は改名されている。

A』などアーレフに関するドキュメンタリー作品を発表しているドキュメンタリー監督の森達也は、マスコミは言葉の使い方に作為や意図があることに対して無自覚になっていることが一番危険だと指摘している[21]

報道内容に対するタブーとしては、マスコミが視聴者・読者からアーレフを擁護していると非難されることを恐れるあまり[22]、教団を排斥する運動や[23]、信者への微罪逮捕別件逮捕を問題視した報道が避けられる傾向があると森は指摘している[24]。また、麻原の出演した番組やTBSビデオ問題を取り上げる報道は2018年現在まで行われておらず、「今後も同じことが起こってしまうのではないか」との声もある[25]

鶴タブー編集

日本における多くのマスメディアが報道や出版において、宗教法人である創価学会に対する批判を控えることを指す。鶴タブーという名称は創価学会がかつてとして属していた日蓮正宗の紋がであることに由来している[26]

鶴タブーという言葉は1970年代にはすでにマスコミ界、言論界で広く流れていたという[27]。鶴タブーの背景にある理由は以下の通り。

  • 創価学会、公明党およびそれに関する団体・信者からの抗議や訴訟などを懸念する。1970年代に創価学会批判本を出版した著者、出版社、取次店、書店などにさまざまな圧力がかけられた。これは「言論出版妨害事件」として社会の強い批判を浴び、池田大作会長(当時)が公式に謝罪している。また、2000年代においても、創価学会を批判した『週刊新潮』などは、機関紙『聖教新聞』や関連企業である第三文明社が出版する雑誌などで激しく批判されたり、裁判で訴えられたりしている。
  • 公明党の政治的影響力を恐れているため。特に1999年10月に公明党が与党入りしてから、各誌における創価学会批判が激減したという指摘もある[28]
  • 映画業界に絶大な影響力を持つため。スタジオジブリの後継者争いにおいても、創価学会員のどの派閥であるかが重視された選考であったため、各報道機関においても深くは報道されなかった。
  • 鶴タブーの例外として、1970年代の「言論出版妨害事件」を『しんぶん赤旗』がさきがけてスクープ報道し、他の大手マスメディアもそれに追随したことが挙げられる。また、2003年頃から『週刊新潮』『週刊文春』 『週刊ポスト』などの一部週刊誌が創価学会に対する批判報道を行っている[29]

在日韓国・朝鮮人タブー編集

太平洋戦争後、在日本朝鮮人総聯合会(朝鮮総連)、在日本大韓民国民団、および在日韓国・朝鮮人の犯罪事件に関して積極的に報道することは、朝鮮総連が組織的な示威行為などを起こしたことからタブーとされてきた。しかし朝鮮総連に関しては北朝鮮による日本人拉致問題が露呈して以降、比較的タブー視されることなく報道されるようになった。

なお、現在でも在日韓国・朝鮮人の犯罪行為に関して、本名ではない通名報道を行う報道機関もある。おもに朝日新聞毎日新聞テレビ朝日TBSテレビNHK、まれに読売新聞などがあげられる(詳細は聖神中央教会事件を参照)。またこれと同様に、かつては在日朝鮮人、在日韓国人の著名人の出自を報じることも1980年代あたりまではなかばタブーであった(詳細は黒シール事件を参照)。 力道山は日本復興の英雄とされてきたが、彼が朝鮮民主主義人民共和国出身であると伝えることは生涯タブーとされてきた[30]

ただし近年では、在日の世代交代や時流などで孫正義李忠成などは日本への帰化後も通名を使わず、またマスコミも在日であったことを大々的に報じるなど出自を伝えること自体のタブーは以前と比較し薄れてきてはいる。

中華人民共和国タブー編集

現在においても、日本内外に関わらず「新聞社やテレビ局は日中双方の新聞記者交換に関するメモのせいで中国に不利な報道が出来ない」「日本のマスメディアは中国にマイナスになる情報、真実を伝えない」という認識を持つ者がいる[31]

実際に、1972年の日中国交正常化までは、日本の大手マスメディア(新聞・テレビ放送)は1964年LT貿易で結ばれた「日中双方の新聞記者交換に関するメモ」の効力により、中国共産党政府の意向にそぐわない内容は報道できなかった。しかし、「日中双方の新聞記者交換に関するメモ」は日中国交正常化後の1973年に廃止されており、その後に結ばれた「日中両国政府間の記者交換に関する交換公文」は報道を規制するような条項は含まれておらず、この公文をもって報道機関の国外退去を求めることはできない[32]

そもそも「日中双方の新聞記者交換に関するメモ」およびその後の「日中両国政府間の記者交換に関する交換公文」は国家間での取りきめであり特定社が協定を結んだり結ばなかったりできるものではなく、実際に先述の産経新聞社も「日中両国政府間の記者交換に関する交換公文」に基づいて1998年に北京に中国総局を開設している。ちなみに(諜報活動等の明確な敵対行為の発覚以外ではほとんど実行されたことはないが)、協定の有無に限らず、すべての主権国家は記者の滞在許可を取り消し国外に追放することが可能である。

このため、台湾香港を含む自治区の実態が正確に報道されない事態が続いている。

ユダヤタブー編集

イスラエル、そしてユダヤ人に対するタブーが、イスラエルとは比較的縁の薄い国である日本においても若干存在した(詳細は1995年に発生したマルコポーロ事件を参照)。ただし、ツンデル裁判の勝訴他、ホロコーストの歴史修正主義的研究および訴訟が日本でも深く知られるようになり、以前ほどではなくなってきている。

核タブー編集

戦後、日本国憲法施行後の国会で民主的に決定された(とされる)「国策」を批判することは、民間放送局、NHKともにその放送基準で規制対象とすることを公開している。原子力の平和利用、特に原子力発電は1950年代より国策とされ、国(自民党政権による55年体制下、および東日本大震災発生までの民主党政権)の原子力発電推奨、および原子力発電所を運営する各電力会社の運営方針、あるいはたとえ事故が起こっても日本における原子力利用を積極的に批判することは避けられる傾向にある。

市民運動が盛んであった1970年代においてでさえ、朝日新聞などの左派系マスコミも原子力発電の存在自体は肯定的に報道している。電力会社がスポンサーについている民間放送局などにとってはスポンサータブーの一種と言えなくもないが、各放送局ともに国策批判を規制対象にすることを相当具体的に公開していることから、必ずしもこれは「タブー」に分類されるものだとは言えない。また民間放送局でも、スポンサーについている電力会社の原子力発電所で深刻な事態が発生した場合などで、当該電力会社がスポンサーであるからという理由でその報道を控えることは視聴者からの信頼を失い、他のスポンサーとの契約に影響を生じて経営悪化に直結することになる。そのため、通常実施される、問題を起こしたスポンサーに対する処置と同じく速やかに契約解除を行うという前提がある[33]

核タブーの一例としては、BARAKAN MORNINGの2014年1月20日放送で、出演者のピーター・バラカンが、複数の放送局から「都知事選終了まで原発の話題に触れるな」と言われたことを暴露しており[34]、また東日本大震災直後の2011年4月の放送でも、反核・反原発ソングとして知られるRCサクセションの「ラブ・ミー・テンダー」にリクエストが集中し、バラカンも今かけるべきと判断したが、局に止められたと暴露している[34]

菱タブー編集

菱は山口組の代紋である山菱に由来する。山口組を含む暴力団に対し、報復を恐れてマスコミは大々的に出版や報道することができないことを指す。ただし、山口組の分裂にともなう事件は随時報道されるなど、昭和期ほどの制約ではなくなってきた。

作家タブー編集

『週刊新潮』や『週刊文春』などの出版社系週刊誌が小説家などの作家のスキャンダルを報道することができないことを指す[35][36][37][38]元木昌彦によれば、噂の真相が休刊したからだとしている[39]。ただし、群像新人文学賞受賞作「美しい顔」における盗用嫌疑などは深く報じられており、作家の実力に関するスキャンダルは報道されるようになってきている。

野球タブー編集

ファン増加する傍らメディアにおいてスポーツ界を支配し続けている野球に対する、批判や不祥事などの報道することができないことを指す。

2015年ごろから発覚した読売ジャイアンツ所属選手による野球賭博問題の際には、読売巨人軍の親会社である読売新聞グループ読売新聞社報知新聞社日本テレビ)でこの問題を取り上げることが少なかったという声が多い。

このようなタブーは巨人に限らず他球団でも存在するとされており、広島県のマスコミ(主に中国新聞中国放送など)が広島東洋カープに関する批判や問題点を事例によっては詳細に報道することができないとされている(マツダスタジアムのビジターパフォーマンス席のカープファンによる買い占め問題や分割縮小など。特に球団の成績と業績が復調した2010年代半ば以降こうした傾向がある)。

近年ではプロ野球選手のドーピング違反や献金が即座に報じられるなど、かつてほどのタブーではなくなってきている[40]

地方と都市の格差に関するタブー編集

地方と都市の学力格差・経済格差・文化格差については、多くのキー局は報道を避ける傾向にある。

2010年代に入ると、地方から都市へ逃れることのできた団塊ジュニア以降世代の人間の手によって、地方と都市の格差タブー[41][42]が指摘されるようになってきた。

諸外国の報道におけるタブー編集

欧米を中心とした諸外国、特に米国では理論化された「明白かつ現在の危険」基準(表現行為が重大な害悪を発生させ、明白かつ現在の危険をもたらさない限り表現の規制を認めないとするもの)がよく用いられる。表現の責任の所在は原則、個人であるため、タブーは表現者個人(被取材者のみならず、各マスコミや個別案件ごとの担当者)の中にそれぞれある。また、過去の歴史的経緯などから特定の内容の報道について、法律による一定の規制を課しているところもある。一方で「いちいち規制するものという概念」そのものがないことも多く、結果、日本以上に無数に存在している。

ナチス・ヒトラー礼賛タブー編集

ナチス・ドイツ当時のユダヤ人へのヘイトクライムにより、世界、特に欧米ではナチスやヒトラーを礼賛することが徹底的にタブー視され、特にドイツでは民衆扇動罪刑法第130条)により禁止、違反者は処罰対象とされている。フランスやドイツなどではユダヤ人を罵倒・差別することは法律で禁じられている。

戦時大統領タブー編集

政治学者の砂田一郎は、『アメリカ大統領の権力…変質するリーダーシップ』にて、“アメリカ合衆国では「戦時大統領制」という常時に対する制度が存在する”と主張している[43]。また、“戦時大統領(戦争を遂行する大統領)を報道にて批判してはならない”というタブーも存在する[44]。これを利用したのがアメリカ同時多発テロ事件およびイラク戦争当時のジョージ・W・ブッシュであるという[45]

脚注編集

  1. ^ 例えば、日本共産党の機関紙『しんぶん赤旗』はタブーを打ち破る報道で世論を動かしてきたとアピールしている。“「しんぶん赤旗」2万号……創刊78年”. しんぶん赤旗 (日本共産党). (2006年7月22日). http://www.jcp.or.jp/akahata/html/senden/over20000/200607_78ht.html 2010年3月4日閲覧。 他には噂の眞相サイゾー紙の爆弾など。
  2. ^ 『「マスコミのタブーと『赤旗』』(白石書店)
  3. ^ 読売新聞2015年12月20日の社説では新聞の軽減税率を全面的に支持し、それに反対する野党に対して真っ向から批判していた
  4. ^ 「進次郎が訴えてもメディアはスルー…「新聞軽減税率」はなぜタブーか– 現代ビジネス  2017年11月17日掲載 2019年8月12日閲覧
  5. ^ The Press Clubs of Japan”. www.jstor.org. 2019年10月6日閲覧。
  6. ^ “BS各局 「多すぎる」の批判受け通販番組を削減へ”. スポーツニッポン. (2011年7月9日). http://www.sponichi.co.jp/society/news/2011/07/09/kiji/K20110709001174850.html 2013年7月23日閲覧。 
  7. ^ ディズニーランド食品偽装はなぜ批判されない?(Business Journal、2013年11月20日 2014年11月5日閲覧)
  8. ^ 政界スキャンダルで何が報じられ、何が報じられないのか? 依然として根強い大手広告代理店のタブー MEDIA KOKUSYO 2017年7月24日配信分(2017年7月29日閲覧)
  9. ^ 山P、キムタク、稲垣、大野…ジャニーズの犯罪はぜーんぶなかったことに! 1/22/2 LITERA2014年10月22日
  10. ^ “生中継認めぬ―しばり会見、メディア大半受け入れ”. 朝日新聞デジタル. (2011年8月30日). オリジナルの2012年3月31日時点によるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20120331044324/http://digital.asahi.com/articles/TKY201108290489.html?id1=2&id2=cabbaida 
  11. ^ 道浦俊彦 (2001年10月2日). “◆ことばの話426「稲垣メンバー」”. 道浦俊彦/とっておきの話. 讀賣テレビ放送. 2010年3月4日閲覧。
  12. ^ 実際に、酒井法子が2009年8月に覚せい剤取締法で逮捕された場合においては、在宅捜査ではないことから、大手芸能プロダクションであるサンミュージックプロダクション所属であるにもかかわらず、「酒井法子女優・タレント」などではなく「酒井法子容疑者」として報道されている。
  13. ^ 本日NGKで野球芸人とオリVSホークス観戦-お笑いナタリー
  14. ^ 劇団四季 男性俳優が飛び降り重傷 パワハラか 毎日新聞 2018年9月7日
  15. ^ しかし記事の訂正には応じない姿勢を示したため、道警が記事の削除と結果説明を要求し対立が続いている。
  16. ^ 法令作成の常識 林修三著 日本評論社
  17. ^ 例えば大津市中2いじめ自殺事件など
  18. ^ 新人警察官が配属2か月めに署内トイレで拳銃自殺――「息子は警察に殺された」現職警官・父が語る、愛知県警のイジメ体質(My News Japan、2015年4月12日 2015年7月27日閲覧)
  19. ^ 上記の警察官いじめ自殺事件は発生日翌日の地元・中日新聞では報じられたもののベタ記事扱いでその後の深く掘り下げた報道はなく、地元テレビ局はこの事件を殆ど報じなかった
  20. ^ あいちトリエンナーレ2019の企画展「表現の不自由展・その後」は、わずか3日で中止になりました。中止の判断を受け、改めて注目されている「表現の自由」について考えるための6つの視点を紹介します。”. www.asahi.com (2019年8月20日). 2019年10月6日閲覧。
  21. ^ a b 『ご臨終メディア』 93頁。
  22. ^ 『ご臨終メディア』 120頁。
  23. ^ 『ご臨終メディア』 105-108・196頁。
  24. ^ 『ご臨終メディア』 75・151-153頁。
  25. ^ オウム大量死刑でビートたけしが麻原彰晃絶賛の過去をネグってごまかし発言! TBSなどマスコミも自らの責任に頰被り(LITERA、2018年7月10日 2018年7月13日閲覧)
  26. ^ 日蓮正宗と関係を断った創価学会は1977年昭和52年)以降、シンボルマークとして八葉蓮華を用いている。
  27. ^ 特集/「言論出版妨害事件」を再検証する”. フォーラム21. フォーラム (2003年7月1日). 2008年9月24日閲覧。
  28. ^ 山田直樹 『新「創価学会」を斬る [第2回]「そして誰も批判できなくなった『鶴のメディア支配』」』『週刊新潮』2003年11月13日号。
  29. ^ 『しんぶん赤旗』2003年11月30日号。
  30. ^ 昭和のヒーローは、なぜ「在日」をタブーにしたのか?”. news.kodansha.co.jp (2016年4月5日). 2019年10月6日閲覧。
  31. ^ マット安川 (2013年11月22日). “ウイグルの真実が中国を役立つ国際国家に変える 人間以下に扱われるウイグル族、中国政府こそがテロリスト~トゥール・ムハメット氏”. 日本ビジネスプレス. http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/39250 2013年11月22日閲覧。 
  32. ^ 「昭和49年版わが外交の近況」(お)記者交換取極、外務省、1974年(昭和49年)
  33. ^ 『放送ハンドブック:文化をになう民放の業務知識』日本民間放送連盟編、東洋経済新報社、1992年3月16日(原著1991年5月23日)、第4刷 p319。ISBN 4492760857
  34. ^ a b 「原発に触れないで」放送局が要請 ピーター・バラカン氏の衝撃の生告白がネットで反響
  35. ^ 月刊宝島 : 百田尚樹“作家タブー”の深い闇…「たかじん長女手記」を潰していた『週刊文春』 宝島社
  36. ^ 週刊誌スクープとテレビ報道のあり方新・フジテレビ批評
  37. ^ 林真理子さんのコラムに異議あり。(花田紀凱) 個人 - Yahoo!ニュース
  38. ^ 「殉愛」騒動、林真理子さんの芸能人蔑視。(花田紀凱) 個人 - Yahoo!ニュース
  39. ^ 元木昌彦 (2019年2月14日). “なぜ作家スキャンダルはタブーになったか”. プレジデントオンライン. 2019年3月23日閲覧。
  40. ^ 原辰徳氏「1億円」文春報道は真実 巨人の敗訴確定”. www.nikkansports.com (2016年6月29日). 2019年10月6日閲覧。
  41. ^ 田舎という日本の大半を占める地獄”. twitter.com (2017年12月29日). 2019年10月6日閲覧。
  42. ^ 「底辺校」出身の田舎者が、東大に入って絶望した理由”. gendai.ismedia.jp (2017年12月29日). 2019年10月6日閲覧。
  43. ^ 『アメリカ大統領の権力』 44-45頁。
  44. ^ 『アメリカ大統領の権力』 4-5頁。
  45. ^ 『アメリカ大統領の権力』 4-11頁。

参考文献編集

関連項目編集