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食品

人間が食事で摂取する物
食糧から転送)
野菜類や果物
類の一種、鶏卵
乳製品の一種、チーズ
味噌類。

食品(しょくひん、: food[1])とは、人が食べるために直接使用できる、食用可能な状態のもの[2]人間が日常的に食物として摂取するものの総称[3]食料品しょくりょうひんとも。

目次

概説編集

「食糧」と「食品」と「食物」といった近接した意味の用語があるが、 おおむね、「食糧」は食品よりも材料寄りの概念で、食物は食品が調理されたもの、という関係にある、とも説明できる[2]。 例えば稲から収穫した米(稲の実)はそのままでは「食糧」であるが、それを精米すると「食品」という位置づけになり、精米された米を炊飯すると「ご飯」(米飯)という食物になる、という関係にあるとも説明できる[2]。ただし「食物」という表現は、指す範囲がはっきりせず、漠然と用いられる傾向がある[2]

食品には、さまざまな分類法がある。「植物性食品 / 動物性食品 ...」といった大分類以外にも、それらをさらに細分化した分類、また「タンパク質性食品 / デンプン性食品 / 脂肪性食品 ...」といった栄養学的分類、「生鮮食品 / 加工食品」という加工状態による分類、「醸造品 / 缶詰食品 / レトルト食品 / 冷凍食品 ...」といった加工法による分類法 等々がある。→#分類

食品は安全・栄養・経済・実用・嗜好などの価値で評価・分析できる。→#食品の価値

近・現代で「食品」に分類されているものでも、もともと古代では「食品」であり同時に「薬」としても認められてきたものは多い。また東洋医学では伝統的に「医食同源」と言い、本質的には「食べ物」と「薬」の間に境目は無い、とされている。ただ「医薬品」という分類も別に設ければ、それは特に慎重に扱うことができ便利なのでそうした分類も広く行われているわけで、現代では「医薬品」に分類する場合は法的に特に厳しい規制をかけることが可能になっている。→#食品と薬の関係

食品は、品質低下の防止、輸送・供給の安定、食の安全、栄養価の保持などのために保存が行われている。→#食品の保存

食品をそのまま保存する方法には、冷蔵、冷凍、包装、乾燥などの方法があり、加工した上で保存する方法としては塩蔵、砂糖漬け、酢漬け、醤油・味噌づけ、瓶詰・缶詰などがある。→#食品の保存方法

分類編集

日本の6群分類編集

日本では、栄養による食品の6群分類がしばしば使われる。

食品 備考
第1群 、肉、卵、大豆、大豆食品 主にたんぱく質の供給源。筋肉やさまざまな組織をつくるもの。
第2群 牛乳乳製品、海藻、小魚類 主にカルシウムの供給源。をつくり、体の各機能を調節するもの。
第3群 緑黄色野菜 主にカロチンの供給源。皮膚粘膜を保護し、体の各機能を調節するもの。
第4群 淡色野菜、果物 主にビタミンCの供給源。体の各機能を調節するもの。
第5群 砂糖、穀類、芋類 主に炭水化物の供給源。エネルギー源となるもの。
第6群 油脂類、脂肪の多い食品 主に脂肪の供給源。エネルギー源となるもの。

主要な食品編集

以下は日々の食事の材料として使われる代表的な食品である。

植物性食品編集

動物性食品編集

真菌類性食品編集

  • キノコ

生鮮食品編集

原則として何等加工が加えられていない天然の食材・食品であり、採取されたときの状態で流通している。

加工食品編集

天然の食材に様々な加工を加えた食品である(単なる料理惣菜は含まれないが、保存を目的として調理品に対し加工のプロセスを経たものも加工食品とみなされる)。古くからある食塩・砂糖などの調味料や豆腐蒟蒻寒天などもこれに含まれる。加工に微生物が積極的に関与するもの(大豆などを使用した味噌醤油納豆、穀類などを原料とした味醂など)は発酵食品といわれる。パンや乳製品、生菓子など日持ちのしない(消費期限の短い)加工食品を日配食品と呼ぶ場合もある。

嗜好食品等編集

加工食品の一つの形態。

調理、調味用材料編集

飲料編集

健康食品編集

  • 健康食品(機能性食品)サプリメントを含む - 法的には食品と同じ区分。栄養素の補給や健康の維持増進が目的。
  • 特別用途食品
    • 病者用食品 - 腎臓病など特定の疾患に対応して、たんぱく質や塩分など特定の栄養素の強化あるいはカットをしたもの。
    • 高齢者用食品
    • 育児用粉ミルク
  • 保健機能食品
    • 特定保健用食品(トクホ) - 消費者庁の認可を受けた、健康の維持増進に関する特定の効能(例・「コレステロールを下げる」「お腹の調子を整える」「血圧が高めの方に」)を標榜して販売することのできる食品。
    • 栄養機能食品 - 食生活等の理由により、不足しがちな栄養成分の補給を目的とした食品。

加工材料編集

その他編集

食品の価値編集

食品は、以下のような価値を有する[4]

  1. 安全的価値 - 飲食物は摂取する者の健康に大きな影響を与えるため、最も重要となる[5]
  2. 栄養的価値 - さまざまな栄養素が含まれ、容易に消化、吸収されることが求められる[6]
  3. 経済的価値 - 日常食品として常用することの容易性に関わる[7]
  4. 実用的価値 - 保存・調理・貯蔵・運搬などの簡易性[8]
  5. 嗜好的価値 - 美感や美味感など。嗜好品だけでなく、すべての食品が嗜好性を有する[8]

つまり食品というのは一般に、安全性という見地、栄養素(栄養価)という見地、経済性価格)という見地、実用性という見地、嗜好性という見地 から評価し分析することができる。

このうち最も重要なのは「安全的価値」である。食品は摂取する人の健康や生命に影響を与えるからである。

食品と薬の関係編集

人間が口から摂取するものは、人間の健康に影響を及ぼす。例えば「野菜」と呼ばれることになったものの多くが、もともとは(人間が関与せずとも)野生で自生していた植物であり(あるいは野生の植物に人間が若干の品種改良をほどこしたもの)、人間が試しにそれをそれを食べてみたら健康状態が改善した(=健康に役立つ微量成分が含まれていた)り、活力を得られた(=熱量を得られた、糖質を含んでいた)りしたので、「この植物は食べるのに適している」と人間が判断し、それを食習慣に取り込むために「野菜」に分類するようになったり「食品」に分類するようになった、といういきさつを持つ。つまり、もともとある植物を「野菜」に分類した理由は、(全てではないにしても)その多くが、人間の健康の維持や改善に役立つと判断されたからで、その意味で、もともと「食品」と「医薬」との間にはっきりした境目は無く、「食べ物 / くすり」や「野菜 / 生薬」や「食品 / 薬」などという呼び分けは、同じものでもそれが使われる文脈に応じて呼び分ける、ある意味で便宜的な分類である。

例えば、マメ科の植物のクズは、その根にデンプンを多く含み、それを粉にして、水を加えあたため食べると(主成分がデンプンなので、カロリー補給にもなり、それだけでも)元気にもなる。プルンとしており食感も良いので和菓子の材料にもなっている。こうした形で口に入れる場合は「クズの根」は「食品」に分類されている。ところでクズの根には、さまざまな微量成分が含まれ、乾燥させたものは古代から薬効があり風邪(など)に効くことが知られており、「葛根かっこん」と呼び、他のさまざまな生薬と組み合わせて用いられている。こうした用い方をしている場合は「クズの根」は「葛根」と表記され「生薬」に分類されている。同じ物が、使われる文脈に応じて「食品」に分類されたり、「生薬」に分類されたりするわけである。

また例えば、玉ねぎも、もともと古代では、スタミナをもたらしてくれる食品であり、たいていの病気の治癒に役立つ「薬」とも位置付けられていた[9]。近代の先進国では 玉ねぎをただ「野菜」や「食品」に分類して済ませてしまうことが多くなっていたわけだが、最近になってあらためて大規模な疫学調査をしてみたら、玉ねぎを食べることが胃ガン・大腸ガン・食道ガンを減らす効果があることや、高脂血症に対する顕著な改善効果があることが明らかになった[9]。つまり、玉ねぎは「食品」でもあり、そのままで同時に「薬」でもあるわけである。別の言い方をすると、人類は玉ねぎという「薬」の効果を持つものを見つけ、それを「野菜」や「食品」と呼んで、日常的に摂取するようなしくみ(食習慣)にとりこみ、(後の時代の人が、それを意識していようとも、していなくとも)実際にその効能(薬の効能)の恩恵を日々受け続けているわけである。ここでは玉ねぎを一例として挙げたが、他にも「野菜」に分類されているさまざまな植物が、「野菜」(「食品」)であり同時に「薬」の効果を持っていることが明らかになってきている。

また(最近の疫学調査で明らかになる前から)東洋の医学でも、伝統的に、人間の健康のためには、口から摂取するもの全てが重要だ、と言われており、本当は食品と医薬(品)の間には境目が無い、本質的には同じものだ、とか、その時々の健康状態に応じて適切な食品を注意深く選んで食すことが大切だと言われている(医食同源薬膳も参照。)

ただし、「食品」というカテゴリ以外に「医薬品」というカテゴリをしっかり用意しておくと、食品は食品として日常的に(そして気軽に)扱えるようにし、医薬品は医薬品として より慎重に取り扱ったり、法律でよりしっかりと規制することができるようになり、便利な面がある。そんな事情もあり、大抵の文化で「食品」という分類や概念とは別に「医薬品」という分類や概念を持っており、それらを使い分けている。

日本で1947年に制定した食品衛生法第4条では、「この法律で食品とは、すべての飲食物をいう。ただし、医薬品医療機器等法(昭和35年.法律第145号)に規定する医薬品及び医薬部外品は、これを含まない。」と規定した[10]食品安全基本法2条における「食品」の定義も同様である。日本では、「食品」は「食品」として法的な規制や緩くし、「医薬品」や「医薬部外品」は別のカテゴリとして用意し、それらに対し法的規制をしっかりと強化することができるしくみを整えているわけである(そのかわりに、法規の範囲内で、定められた方法で、病気治療などの効能を標榜できるようにする)。全く同じ植物材料であっても(全く同じ材料なので、当然、口に入れた時の影響や効果は本当は全く同じなのだが)「野菜」や「食品」と表示している場合は規制は緩く生産も販売もしやすくし(そのかわり、食品のパッケージ上の表示などでは、具体的な効能は(ほぼ)表示させない方向で指導し)(ただし、科学論文やそれを伝える報道などで、一般論として、個々の野菜に、特定の医学的効能があることを、疫学的に説明するのは大丈夫であり、どれだけ行ってもよい。報道などでも野菜の効能をどれだけ伝えてもよい。)、「医薬品」や「医薬部外品」と表示する場合は規制は厳しく(そのかわり、厳密な試験によって証明された効能について、法的なきまりに従った範囲での表示を許す)、特に「医薬品」と表示する場合は厳しく規制の網をかける、という使い分けができるしくみになっているのである。

地域・宗教的な差編集

 
赤ワインアルコール類は地域によって禁忌とされる地域が存在する
 
フグの刺身。フグは有毒であるため食用とする地域が極端に少ない

食品とされるものは文化・地域的な的な差が小さくなく、ある地域において重要な食品とされているものが他地域では食品とみなされていないということは珍しくない。例えば昆虫は、熱帯亜熱帯を中心にかなりの文化が昆虫食の文化を持っている一方、ほとんど昆虫食文化を持たず食品とすることに強い抵抗感を示す地域も多く存在する[11]

また各宗教ごとに戒律などの食物規定が大きく異なるので、各宗教圏ごとに食べられるものが異なっている。例えばユダヤ教ではトーラー(モーセ五書)の規定によりカシュルートと呼ばれる食物規定がありその規定に適合したものだけが「カシェル」(=清浄規定に適合し食べてよいもの)とされ、反芻せず蹄が分かれていない動物の肉、およびひれと鱗のない魚などは食べることを禁じられているため、豚肉、クラゲ、ナマズ、サメ、アワビ、ハマグリ、ホタテガイ、カニ、エビ、イカなどはそもそも「不浄な生き物」とされ食べることを禁じられており[12]、また血は絶対に食べてはいけないとトーラーで規定されているので、たとえ「食べても良い」とされる種類の動物であっても定められた手順であらかじめ血抜きをしなければ「カシェル」とは認定されず、ユダヤ教徒は食べることができない。また狩猟で得られた動物の肉も食べていけないと規定されているので、フランスなどで「ジビエ」と呼ばれ好まれている肉類もユダヤ教徒は食べることができない。キリスト教ではトーラーに書かれていることはあくまで「旧い(ふるい)契約」と考え、イエス・キリストによってヤハウェと人間との間に「新しい契約」が確立された、とされており、またイエスは「聞いて悟りなさい。口に入るもの(=食品)が人を汚すのではない。口から出てくるもの(=発言の内容や、ひとりひとりが心に思っていること)が人を汚すのである。」との教えを残し(『マタイによる福音書』15:10-)、食物規定を守ることばかりに必死になって、それよりも肝心なことはないがしろにしてばかりのユダヤ教徒たちに向かってユダヤ教の食物規定を真っ向から否定し、もっと大切なことのほうに意識を向けなさい、と教え諭した。こうしてキリスト教では、食物規定に意識を奪われそれを守ろうとこだわり続けること自体がイエスの教えに反すること、との位置づけになり、パウロはユダヤ教の(既に廃止された旧い契約の)食物規定群のほとんどを撤廃すべきだ、としエルサレム会議にて(わずかな規定を残して)ほぼ全て廃止した。その結果キリスト教的には大抵の食品はキリスト教の規定違反などとはならないのでキリスト教徒は安心した状態で様々な食品を(純粋に栄養学的な観点や、個人的な嗜好や、またただの興味などの観点からでも)試すことができる状態なのである。

イスラム教ではクルアーンで「不浄」とされるを食べることが禁忌とされ、またその他にも食肉を中心にイスラム法で許された食材(ハラール)を食べることが求められる[13]ヒンドゥー教においては「聖獣」とされるを食することが強く忌避されているが、この他にも肉食全般への忌避感は強く、上位カーストを中心に魚やニワトリ、卵さえも口にしない厳格な菜食主義を実践する人びとも多い。ただしヒンドゥー教はヴィーガンのような完全菜食主義は採っていないため、殺生を伴わない乳製品はむしろ盛んに食されており、ヒンドゥー教徒の食生活にとってなくてはならないものとなっている[14]。同様に禁忌とされることが多い食品としては酒がある。イスラム教では酒は教義上禁じられている[15]。ヒンドゥー教では酒は禁忌とされてはいないが、社会的には非常に好ましくないものとされている[16]

さらに、世界のほとんどで食用とされないものを、ある文化の人々が特殊な処理方法によって食品とすることもある。例えばフグには強いがあるためほとんどの文化では食用としないものの、日本においては有毒部分を取り除いたものが美味として広く流通している。

上記のような極端な例を除いても、各地域において主に用いられる食品の違いはなお大きい。各地域はそれぞれ主に炭水化物を供給する主食を持つが、それにもコムギ、コメ、トウモロコシなどの穀物を主食とする地域から、キャッサバタロイモなどのイモ類を主食にする地域まで幅がある。乳製品も地域的な差の多い食品であり、遊牧民を中心に広い範囲に乳製品の利用圏が広がっている一方で、東アジアや東南アジアでは伝統的に乳製品を用いてはこなかった。しかしこうした食品の地域差は、とくに1990年代以降の急速なグローバリゼーションの進行によって標準化が進みつつあり、全体として縮小する傾向にある[17]

歴史編集

太古の人類は狩猟によって動物を狩り、海や川で漁労を行って魚や海産物を手に入れ、採集によって植物性の食品を手に入れていた。現代でもこれらの手段による食糧生産は行われているものの、漁業を除いては食糧供給にそれほど大きな役割を占めてはいない。やがての利用が始まると、それまで生では食べることのできなかった穀物や豆、芋などが食用可能になり、食品の幅は大きく広がった[18]。こうして入手した食品の貯蔵も行われており、乾燥や燻製といった保存技術も氷河時代末期には存在が確認されている[19]

その後、世界各地で農耕が開始されると、各地域の人々はその地方の植物の中から食用に用いやすい植物を選抜し、栽培化していった。農耕のはじまった地域では多かれ少なかれ栽培化は行われたが、なかでも穀物の栽培化は地域の偏りが大きく、中国北部、中国雲南省東南アジアインド北部、中央アジア近東アフリカサヘル地帯及びエチオピア高原)、中央アメリカ、南米のアンデス山脈の7地域を発祥の地としている[20]。同様に世界の各地で動物にも家畜化が行われ、これにより肉だけでなく持続的に入手可能な二次生産物、すなわち乳製品の利用も可能となった[21]。この農耕と牧畜によって人類はより効率的に食糧の生産を行うことができるようになった。各地域で独自に家畜化または栽培化された動植物は、やがて交易や交流の増加によって他地域へと伝播していくようになった。なかでも1492年クリストファー・コロンブスアメリカ大陸を発見すると、旧大陸と新大陸との間で大規模な交換(コロンブス交換)が行われ、旧世界にトウモロコシジャガイモ、新世界にコムギやサトウキビなどが持ち込まれることで食品の種類は双方ともに大幅に増加した[22]

19世紀に入り、産業革命によって科学および工業力が大幅に進歩すると食品もその影響を受け、流通システムの進歩と合わせて近代的食品工業の成立[23]や食品科学および栄養学の成立[24]、そして食品の安全規制の導入[25]などが行われ、食品に関する事情は大きく様変わりした。

食品の保存編集

食品の保存とは、食品を腐敗変敗させることなく保つことをいい[26]、以下のような目的がある[27]

  1. 品質低下の防止
  2. 食品を生産地から遠隔地へ輸送し、供給の安定を図る
  3. 衛生上の危害を防止し、食生活の安全を確保する
  4. 食品の栄養価を保つ

食品の保存方法編集

食品をそのままの形で保存する方法編集

 
冷蔵庫の中で保存された食品
 
冷凍されたピザ
冷蔵
食品を凍結させず0から10℃で保存する方法である[27]。細菌の活動を完全に抑えることはできないため、短期間の保存に向いている[28]
冷凍
マイナス20℃からマイナス25℃の温度で急速に凍結させた後、マイナス15℃以下で保存する方法[29]。長期の保存に向いているが、細菌を死滅させるわけではないため、解凍後の取り扱いに注意する必要がある[29]。また、凍結により食品の組織に変化が起こり、鮮度が失われるという短所がある[29]
包装
包装により食品を外界から遮断することで、異物の混入や空気の流入を防ぐ[29]。様々な形態があり、包装用の素材の開発も進んでいる[30]
乾燥
天日熱風電気凍結(フリーズドライ)によって細菌の増殖や酵素の作用に必要な水分を減少させる[27]。乾燥の程度は、概ね約15%以下である[27]
地下貯蔵
食品を土中や、コンクリートの穴に入れる方法[27]さつまいもなどの保存に用いられる[27]
加熱殺菌
加熱により腐敗・変敗の原因となる微生物を死滅させ、酵素を破壊する[29]。具体的な方法としては蒸煮焙煮のほか、液体瓶詰食品に用いられる低温殺菌法、缶詰食品に用いられる高温殺菌法がある[29]。加熱殺菌した食品は、開封後腐敗しやすい点に注意する必要がある[29]
保存料の添加
保存料を使用して細菌の死滅や増殖阻止を実現し、酵素の働きを阻害する方法[29]。添加することのできる保存料の量は法律で定められている[29]

食品を加工して保存する方法編集

塩蔵
食品に食塩を添加する方法[31]。食品を塩度の高い状態に置くと浸透圧によって脱水が起こり、細菌の増殖を阻止する[31]塩漬けの漬物が典型で、魚介類の保存にも用いられる[31]
 
ジャムの瓶詰。
砂糖漬け
濃度50%以上の砂糖液に漬け、脱水作用によって細菌の増殖を抑える[31]。例としてジャムゼリー羊羹加糖練乳など[31]
酢漬け
酢がもつ殺菌作用や、水素イオン濃度を変化させる性質を利用して細菌の増殖を抑える方法[31]
醤油漬け味噌漬け
食塩の脱水作用を利用し、調味と同時に保存性を高める[32]
  • 調味 - 調味加工の過程における加熱や脱水によって、保存性が高められる場合がある[33]。例として佃煮など[33]
瓶詰・缶詰
調味加工した食品をに入れ、密封・脱気・加熱殺菌する[33]
塩乾
食塩の添加と乾燥によって、調味とともに保存を図る方法[33]。塩分が多く水分が少ないほど長期保存に向く[33]。魚介類の干物が例として挙げられる[33]
 
魚類の燻製
燻煙
塩漬けにした肉類や魚類を、木材を不完全燃焼させて発生させた煙の中に置き、脱水により殺菌する方法[33]。煙の成分を食品が吸収し、特有の香気や風味がつく[33]
細菌・酵母・カビなどの利用
有用な細菌・酵母・カビを増殖させることで、他の細菌の増殖を抑える方法[33]。食品の成分が変化し、風味が増す[33]。例として、納豆、酒、味噌、醤油、チーズなど[34]

食品の貯蔵編集

食品を貯蔵するには、古くから蔵や地中・氷雪に埋設された容器などに蓄えたほか、近代以降はパントリー冷蔵庫冷凍庫などが利用される。

日本の制度編集

日本では多くの食品が農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律(通称JAS法)によって日本農林規格に従った表示が義務付けられている。1999年の改正によって、消費者向け飲食料品への品質表示(産地・原料など)が義務化された。このほか食品衛生法および健康増進法にも食品表示の規定が存在したが、2013年に食品表示法が制定されたことでこれら三法の食品表示規定が一本化された[35]。また、2009年10月の消費者庁発足により、食品安全行政の所管省庁が消費者庁に一元化された[36]

食品衛生法編集

食品衛生法(昭和22年法律第233号)は、日本において飲食によって生ずる危害の発生を防止するための法律。所管は厚生労働省・消費者庁。食品と添加物と器具容器の規格・表示・検査などの原則を定める。食品表示に関しては食品衛生法でも基準が定められている。使用した添加物については表示をさせる。また2003年には、食品安全管理の基本法として食品安全基本法が制定された[37]

脚注編集

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注釈編集

出典編集

  1. ^ 他言語では、: alimentum : Lebensmittelなど。
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m 小学館『日本大百科全書』「食品」河野友美 執筆。
  3. ^ 広辞苑第6版
  4. ^ 食品保健研究会(編) 1989, pp. 29-31.
  5. ^ 食品保健研究会(編) 1989, p. 29.
  6. ^ 食品保健研究会(編) 1989, pp. 29-30.
  7. ^ 食品保健研究会(編) 1989, p. 30.
  8. ^ a b 食品保健研究会(編) 1989, p. 31.
  9. ^ a b タマネギの医学
  10. ^ 食品衛生法(昭和二十二年十二月二十四日法律第二百三十三号)”. e-Gov法令検索. 総務省行政管理局. 2009年11月30日閲覧。
  11. ^ 「食文化としての昆虫食」p43 野中健一 (「文化昆虫学事始め」所収 三橋淳・小西正泰編 創森社 2014年8月20日第1刷)
  12. ^ 「イスラエルのユダヤ料理」p110 鴨志田聡子(「イスラエルを知るための62章 第2版」所収 立山良司編著 明石書店 2018年6月30日第2版第1刷)
  13. ^ 『イスラームと食』p370 山根聡(「インド文化事典」所収)インド文化事典製作委員会編 丸善出版 平成30年1月30日発行
  14. ^ 「食と健康 インドの浄・不浄観と社会」p107-109 松尾瑞穂(「世界の食に学ぶ 国際化の比較食文化論」所収 河合利光編 時潮社 2011年11月25日第1版第1刷
  15. ^ 『イスラームと食』p370 山根聡(「インド文化事典」所収)インド文化事典製作委員会編 丸善出版 平成30年1月30日発行
  16. ^ 『アルコール』p384 池亀彩(「インド文化事典」所収)インド文化事典製作委員会編 丸善出版 平成30年1月30日発行
  17. ^ 「食文化の多様性と標準化」p79 岩間信之(「グローバリゼーション 縮小する世界」所収 矢ヶ﨑典隆・山下清海・加賀美雅弘編 朝倉書店 2018年3月5日初版第1刷)
  18. ^ 「火と人間」p4 磯田浩 法政大学出版局 2004年4月20日初版第1刷
  19. ^ 「図説 人類の歴史 別巻 古代の科学と技術 世界を創った70の大発明」p119 ブライアン・M・フェイガン編 西秋良宏監訳 朝倉書店 2012年5月30日初版第1刷
  20. ^ 「新訂 食用作物」p3 国分牧衛 養賢堂 2010年8月10日第1版
  21. ^ 「図説 人類の歴史 別巻 古代の科学と技術 世界を創った70の大発明」p110-111 ブライアン・M・フェイガン編 西秋良宏監訳 朝倉書店 2012年5月30日初版第1刷
  22. ^ 南直人『ヨーロッパの舌はどう変わったか 十九世紀食卓革命』講談社〈講談社選書メチエ〉、1998年、56-58頁。ISBN 4-0625-8123-X
  23. ^ 南直人『ヨーロッパの舌はどう変わったか 十九世紀食卓革命』講談社〈講談社選書メチエ〉、1998年、98頁。ISBN 4-0625-8123-X
  24. ^ 南直人『ヨーロッパの舌はどう変わったか 十九世紀食卓革命』講談社〈講談社選書メチエ〉、1998年、195-200頁。ISBN 4-0625-8123-X
  25. ^ 南直人『ヨーロッパの舌はどう変わったか 十九世紀食卓革命』講談社〈講談社選書メチエ〉、1998年、209-212頁。ISBN 4-0625-8123-X
  26. ^ 食品保健研究会(編) 1989, pp. 91-92.
  27. ^ a b c d e f 食品保健研究会(編) 1989, p. 92.
  28. ^ 食品保健研究会(編) 1989, pp. 92-93.
  29. ^ a b c d e f g h i 食品保健研究会(編) 1989, p. 93.
  30. ^ 食品保健研究会(編) 1989, pp. 93-94.
  31. ^ a b c d e f 食品保健研究会(編) 1989, p. 94.
  32. ^ 食品保健研究会(編) 1989, pp. 94-95.
  33. ^ a b c d e f g h i j 食品保健研究会(編) 1989, p. 95.
  34. ^ 食品保健研究会(編) 1989, pp. 95-96.
  35. ^ 「食べ物と健康 食品の安全」(健康・栄養科学シリーズ)p13 有薗幸司編 独立行政法人国立健康・栄養研究所監修 南江堂 2013年4月1日第1刷
  36. ^ 「食べ物と健康 食品の安全」(健康・栄養科学シリーズ)p13 有薗幸司編 独立行政法人国立健康・栄養研究所監修 南江堂 2013年4月1日第1刷
  37. ^ 「食べ物と健康 食品の安全」(健康・栄養科学シリーズ)p8-9 有薗幸司編 独立行政法人国立健康・栄養研究所監修 南江堂 2013年4月1日第1刷

参考文献編集

  • 『知っておきたい食品衛生 六訂版』食品保健研究会(編)、厚生省生活衛生局食品保健課(監修)、大蔵省印刷局、1989年。ISBN 978-4-17-217507-0
  • 『広辞苑』第5版

関連項目編集

外部リンク編集