メインメニューを開く

フェンネル

フェンネル(英:Fennel、学名:Foeniculum vulgare)およびフェネルは、セリ科ウイキョウ属の多年草。和名はウイキョウ(茴香)、または、ショウウイキョウ(小茴香)。仏名はフヌイユ (fenouil)。

フェンネル
Illustration Foeniculum vulgare1.jpg
フェンネル
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
階級なし : コア真正双子葉類 core eudicots
階級なし : キク類 asterids
階級なし : キキョウ類 campanulids
: セリ目 Apiales
: セリ科 Apiaceae
: ウイキョウ属 Foeniculum [1][2]
: ウイキョウ F. vulgare [3]
学名
Foeniculum vulgare Mill. (1768) [3][4]
和名
ウイキョウ
英名
Fennel[4]

目次

特徴編集

地中海沿岸が原産とされ[5]古代エジプト古代ローマでも栽培されていた記録があり、歴史上もっとも古い作物のひとつとされる。主産地はインド中国エジプトなど。日本には平安時代に中国から渡来し、長野県岩手県富山県などで多く栽培されている。

草丈は1 - 2メートル (m) [6]。全体が枝分かれし、は次第に分かれて糸状に細くなり、全草が鮮やかな黄緑色をしている[5]葉柄の根元部分は鞘状になっている[5]。花期は、6 - 8月、茎頂に黄色の小花を多数つけて傘形に咲かせる[5]。秋には7ミリメートル (mm) 程度の長楕円形をした麦粒状の茶褐色の果実をつける[5]

粉砕した果実を水蒸気蒸留して精油を採る。収率はおよそ4-7%とされる。

植物全体がアニスやスターアニス(トウシキミ)に似た甘い香りがあり、中国では「香りが回り来る」の意味で茴香(ハイチャン)と名付けられ、日本では「茴」を唐音読で「ウイ」、「香」を漢音読で「キョウ」としたことから名付けられた[5]。この芳香は女性ホルモン(エストロゲン)と同じ働きをするフィトエストロゲン(植物性エストロゲン)[7][8]が豊富に含まれている。 芳香の主成分はアネトール(t-anethol、C6H4(OCH3)C3H5)。

北米更年期学会(NAMS)の研究班の調査から、女性の更年期障害のほてり(ホットフラッシュ)や不眠、不安の症状の改善に効果があることが判明している[9][10][11]

利用編集

若い葉および種子(フェンネルシード)は、甘い香りと苦みが特徴で消化促進・消臭に効果があり、香辛料スパイス)、ハーブとして、食用、薬用、化粧品用などに古くから用いられている。

食用編集

ウイキョウ, 鱗茎, (生)
100 gあたりの栄養価
エネルギー 130 kJ (31 kcal)
7.29 g
食物繊維 3.1 g
0.20 g
1.24 g
ビタミン
チアミン (B1)
(1%)
0.01 mg
リボフラビン (B2)
(3%)
0.032 mg
ナイアシン (B3)
(4%)
0.64 mg
パントテン酸 (B5)
(5%)
0.232 mg
ビタミンB6
(4%)
0.047 mg
葉酸 (B9)
(7%)
27 μg
ビタミンC
(14%)
12 mg
ミネラル
カリウム
(9%)
414 mg
カルシウム
(5%)
49 mg
マグネシウム
(5%)
17 mg
リン
(7%)
50 mg
鉄分
(6%)
0.73 mg
亜鉛
(2%)
0.20 mg
マンガン
(9%)
0.191 mg
%はアメリカ合衆国における
成人栄養摂取目標 (RDIの割合。
出典: USDA栄養データベース(英語)

西洋では魚料理やピクルスの風味付けに用いられ、インドではカレー料理に、中国では五香粉の原料として用いられる。またパスティス[12]アクアビットなどの酒類・リキュール類の香り付けにも用いられる。またフェンネルシードをさまざまな色の砂糖でコートしたもの(ヒンディー語で「ソーンフ」。フェンネルの意味。)がインド料理店で口直しとしてレジの横などに置かれていることがある。

沖縄料理においては『いーちょーばー(胃腸葉)』と呼ばれ[注釈 1]、整腸作用のある島野菜として珍重されていた。魚汁やまーす煮などの魚料理の臭い消しとして用いられ、時に平焼きなどの薬味としても用いられた。

フェンネルの鱗茎(葉柄基部が肥大したもの)はフィノッキオ (finocchio) とも呼ばれ、野菜としてタマネギなどのようにサラダ煮物スープなどに用いられる。茎・葉は生食されるが、その他にも佃煮シチューなど肉料理の香味野菜として使用される。

薬用編集

果実は、精油3 - 8%、脂肪油12 - 18%、ビタミンAビタミンCなどを含む[5]。精油成分は、アネトール50 - 60%、フェンコンピネンジペンテンなどである[5]。同じセリ科のイノンドと同様に、健胃腸内ガスの排出(駆風)、去痰などの効用があるとされ、年間100トンが製薬原料として消費される[5]

7 - 9月にかけて、果実を採取して陰干しにしたものが茴香(ういきょう)という生薬で、フェンネルともよばれ、薬用とともに香味料としても使われる[5]。芳香健胃作用があり、食べ過ぎ、飲み過ぎ、胃もたれ、消化不良、食欲増進、痰切、膨満感などには、紅茶にウイキョウ数粒を入れて食間に飲んだり、そのままよく噛んで飲んでもよいとされる[5]。また、口臭を消す効果もあるところからイノンドと効用がよく似る[5]

フェンネル・シーズの代わりに生葉を細かく刻み、スープの具として多めに入れたものを飲んでもよく、駆風、たんきり、せき止めに役立つものとして考えられている[5]

漢方方剤の安中散(あんちゅうさん)や、太田胃散(漢方+西洋薬の処方)、口中清涼剤の仁丹などに使われている。

果実を収穫したあとに残された茎葉は、イノンドと同様に浴湯料として使用できる[5]

脚注編集

[ヘルプ]

注釈編集

  1. ^ ウイキョウの沖縄方言が「イーチョーバー」なのは正しいが、もともとはヰーチョウバー、もしくはウィーチョウバーであり、「茴香葉(ういきょうば)」の意味であって、「胃腸葉」と解するのは牽強付会の説である。

出典編集

参考文献編集

  • 田中孝治 『効きめと使い方がひと目でわかる 薬草健康法』 講談社〈ベストライフ〉、1995年2月15日、66-67頁。ISBN 4-06-195372-9

関連項目編集

外部リンク編集