MBSメディアホールディングス

毎日放送グループを統括する放送持株会社

株式会社MBSメディアホールディングス(エムビーエスメディアホールディングス、: MBS MEDIA HOLDINGS, INC.)は、2017年4月1日に設立された認定放送持株会社である[2]近畿広域圏放送対象地域とする日本特定地上基幹放送事業者である株式会社毎日放送(MBS)が商号変更・会社分割を行って設立した。

株式会社MBSメディアホールディングス
 MBS MEDIA HOLDINGS, INC.
本社が所在する毎日放送本社
種類 株式会社
略称 MBSHD
本社所在地 日本の旗 日本
530-8304
大阪府大阪市北区茶屋町17-1
北緯34度42分30.5秒 東経135度29分59.5秒 / 北緯34.708472度 東経135.499861度 / 34.708472; 135.499861座標: 北緯34度42分30.5秒 東経135度29分59.5秒 / 北緯34.708472度 東経135.499861度 / 34.708472; 135.499861
設立 1950年昭和25年)12月27日
(新日本放送株式会社)
業種 情報・通信業
法人番号 9120001059692 ウィキデータを編集
事業内容 放送法に基づく認定放送持株会社
代表者 代表取締役社長 高山将行
代表取締役 虫明洋一
資本金 40億7249万円
売上高 連結: 669億4,100万円
単独: 58億8,800万円
(2023年3月期)
[1]
営業利益 連結:36億8,100万円
単独: 32億2,700万円
(2023年3月期)[1]
経常利益 連結:48億2,600万円
単独: 43億2,200万円
(2023年3月期)[1]
純利益 連結:27億9,500万円
単独: 36億2,200万円
(2023年3月期)[1]
純資産 連結:1,169億7,000万円
単独: 1,130億2,300万円
(2023年3月期)[1]
総資産 連結:1,445億4,300万円
単独: 1,263億4,500万円
(2023年3月期)[1]
決算期 3月31日
主要子会社 株式会社毎日放送 100%
株式会社MBSラジオ 100%
株式会社GAORA 100%
株式会社MBS企画 100%
株式会社放送映画製作所 100%
関係する人物 杉道助
高橋信三
坂田勝郎
高木一見
斎藤守慶
山本雅弘
河内一友
三村景一
梅本史郎
外部リンク https://www.mbs-mhd.jp/
特記事項:2017年4月1日、(旧)株式会社毎日放送から商号変更[2]
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概要 編集

毎日放送(MBS)は、1951年昭和26年)9月1日正午に日本における民間放送ラジオ局の第2号[注釈 1]として「新日本放送株式会社」(しんにっぽんほうそう、略称・NJB)が開局し、ラジオ放送を開始。1958年(昭和33年)6月1日に商号を「株式会社毎日放送」(まいにちほうそう、略称・MBS)に改め、1959年(昭和34年)3月1日にはテレビ放送も開始した。

ラジオは、開局時はラジオ東京(JOKR。現・TBSラジオ)、中部日本放送(CBC。現・CBCラジオ)とネットを組むことが多かった。その後、日本文化放送(NCB。現・文化放送)の開局に伴い、同局ともネットワークを締結。またニッポン放送(JOLF。1954年(昭和29年)開局)とは「FOLスポーツネットワーク(FOLは3局のコールサイン…FR[RKB]・OR[MBS]・LFの頭文字を組み合わせた物)」をRKB毎日放送(RKB)と共に結成。1964年(昭和39年)、TBSラジオの提唱により、同局昼枠『オーナー』の同時ネットをRKBと共に行った。翌1965年(昭和40年)このネットワークを母体としてJRNが発足。朝日放送(ABC)と共に加盟した。次いで文化放送・ニッポン放送をキー局とするNRNにも加盟。現在は、事実上JRNとNRNのクロスネットとなっている。またテレビは、開局時に日本教育テレビ(NET、現・テレビ朝日)とフジテレビジョン(CX)をキー局としていたが、関西テレビ放送(KTV)へのCX系番組完全移行に伴い、CXのネットワークから脱退。1975年(昭和50年)3月31日には、テレビのネットワークを朝日放送(ABC)とトレード(いわゆる“腸捻転”解消)する形で、これまでのNETと東京12チャンネル(現・テレビ東京[注釈 2])のクロスネットから、東京放送(TBS、現・TBSテレビ)をキー局とする系列の準キー局にネットチェンジした。ニュース系列もABCとのトレードでANNを脱退し、5社連盟(HBC、TBS、CBC、MBS、RKB)・JNNに加盟し現在に至る。

近年の日本における放送事情は、テレビアナログ放送からデジタル放送への完全移行やAMを親局とするラジオFM補完放送(ワイドFM)の開始など、放送業界全体で事業環境が変化を遂げている。また、インターネットスマートフォンなどの普及によるメディア環境の変化も持株会社移行の背景にあり、資本提携に備えて迅速に対応できる体制にするという[3]

毎日放送も、こうした事情をにらみ、非上場企業ながら放送持株会社への移行を計画。2016年平成28年)7月28日持株会社の移行準備会社として「毎日放送分割準備株式会社」を設立し、2017年(平成29年)4月1日を以て現法人(初代)の株式会社毎日放送は、放送法の諸手続や総務大臣の認可等を経て「株式会社MBSメディアホールディングス」に商号変更、現法人が所有するテレビ・ラジオの放送免許・放送事業全般の業務は毎日放送分割準備から商号変更した新法人(2代目)の「株式会社毎日放送」が承継した[4][2]。2代目毎日放送は、MBSメディアホールディングスの傘下に入った[2]

日本の放送持株会社は、フジ・メディア・ホールディングス(フジHD)、東京放送ホールディングス(TBSHD、現・TBSホールディングス)、テレビ東京ホールディングス(TXHD)、日本テレビホールディングス(日テレHD)、テレビ朝日ホールディングス(テレビ朝日HD)、中部日本放送(CBC)、RKB毎日ホールディングス(RKBHD)に次いで全国で8番目、在阪準キー局の放送持株会社移行および非上場の民放局の持株会社移行は、毎日放送が初となり[注釈 3]TBS系列局の放送局を子会社に置く放送持株会社としてはTBSホールディングス・中部日本放送・RKB毎日ホールディングスに次いで4社目となる。

発足時点ではラジオ・テレビの分社化は行わず、放送事業を一括して行うラテ兼営を維持していたが、2021年令和3年)4月1日付で毎日放送のラジオ部門を「株式会社MBSラジオ」として分社・独立させた。

今回の持株会社移行に伴い、新法人の株式会社毎日放送と、株式会社GAORA、株式会社MBS企画を事業子会社化するほか、複数の放送局を傘下に置くことも可能となる。

また2023年(令和5年)4月14日完全子会社である株式会社MBSイノベーションドライブが、コンテンツ領域での事業拡大を目指すためにVtuber事務所である.LIVEを運営する株式会社アップランドの発行株式総数の過半数を取得し、完全子会社化することを発表[5]

ラジオの分社化 編集

前述の通り、発足時からは放送事業会社の毎日放送はラテ兼営を維持しているが、開局70周年に当たる2021年(令和3年)10月1日を目処に吸収分割によるラジオの分社化を行う方針であることを2020年(令和2年)5月28日に発表した。同日付でMBSメディアホールディングスの子会社として分割準備会社として「毎日放送ラジオ分割準備株式会社 [6]を設立し、関係省庁による許認可を得た上で新・毎日放送からラジオ関連事業及び放送免許を分割準備会社に承継、商号変更してラジオ事業会社にするとともに、2代目毎日放送も商号変更の上でテレビ事業会社へ変更するスキームを取る。これによりラテ兼営の在阪局は消滅し、在阪5局全てがテレビ単営局として運営することになる。なお新会社の商号や免許継承に伴うコールサインの変更[注釈 4]については発表時点では未定となっていた[7]。その後2020年(令和2年)8月26日の社長記者会見において、分社化の計画を半年間前倒しし2021年(令和3年)4月1日を目処に分社化すると発表し[8]、2021年(令和3年)1月20日の社長記者会見において分割準備会社の商号を「株式会社MBSラジオ」に変更、テレビ事業会社については「株式会社毎日放送」のまま商号変更しないことを発表した[9]

資本構成 編集

「MBSメディアホールディングス」および「毎日放送(2017年3月31日以前)」の資本構成。

企業・団体は当時の名称。出典:[10][11][12][13]

概要 編集

  • これまで自社の大株主にはTBSHDが入っていなかったが、2005年度中に取得[注釈 5]した模様。
    • 在阪放送局中、同社と読売テレビ(ytv)、関西テレビ(KTV)の3社が各々の在京キー局(TBSテレビ、日本テレビ(NTV)、フジテレビ(CX))の大株主となっている。なお、読売テレビと関西テレビは元来持ち合いの目的でキー局株を取得したものだが、毎日放送は事情が異なり、1977年(昭和52年)に経営危機で再建策がとられた毎日新聞社から肩代わりする形で株式を取得したもので(上位10社に入らない範囲での保有は継続)、毎日新聞社が株式の大半を手放して以降は、TBSHDとともに毎日新聞社とは一定の距離を保ってきたが、一連のマスコミ株式を巡る騒動を契機に、ネットワークの再団結を図る狙いがあるものと見られる。
    • また、これとは別にTBSHDが安定株主対策として、毎日放送や電通などに第三者割当増資を行った際の見返りとして毎日放送株を取得し、持ち合いとなったとみられる。
    • 毎日新聞社とは、前身の新日本放送時代は大株主であったが、1977年の経営悪化の際、新旧分離経営を行うにあたって、東京放送(現・TBSHD)共々、株式会社毎日新聞社(旧社=債務整理のための清算会社に移行)が保有していた株式を手放し、毎日放送への毎日新聞社の出資株を東京放送に譲渡する代わりとして、毎日新聞株式会社(新社=本来の新聞・出版業務の受け皿会社)にTBS・MBSがそろって出資し、MBSテレビの夕方のニュース番組にスポンサーとして協賛するなど、一定の関係は保っているが、現・毎日新聞グループホールディングスはMBSMHD・TBSHDとも株主の上位には名を連ねていない。
  • 2007年(平成19年)1月30日、58億円の第三者割当増資(普通株式290万株)を実施。引受先は電通東レ、TBSHDなど既存株主のほかコクヨ大和ハウス工業など計15社。調達資金はスタジオや制作・事業機能の茶屋町本社付近への集約や、地上デジタル放送対応に充てる。新株の発行価格は2000円。その結果、資本金は増資額の半分の29億円分増加し11億7249万円から40億7249万円となり、残る29億円は資本準備金に組入れ。

2016年3月31日 編集

資本金 発行済株式総数 株主数
40億7249万円 26,349,800株 278
株主 株式数 比率
東京放送ホールディングス 2,570千株 9.75%
ソニー 1,172千株 4.44%
りそな銀行 1,166千株 4.42%
三菱東京UFJ銀行 1,166千株 4.42%
三井住友銀行 1,166千株 4.42%
日本電気 0,938千株 3.56%
大林組 0,842千株 3.19%
日本生命保険 0,774千株 2.94%
第一生命保険
※常任代理人 資産管理サービス信託銀行
0,744千株 2.82%
電通 0,650千株 2.46%

過去の資本構成 編集

株式を保有している放送局 編集

2015年3月31日時点。

放送局
出資企業 株式数 計上額
東京放送ホールディングス 6,576,100株 99億6900万円
テレビ東京ホールディングス 518,050株 11億4300万円
RKB毎日ホールディングス 990,000株 9億7800万円
あいテレビ 6,802株 3億4000万円
FM802 3,120株 3億2300万円
WOWOW 70,000株 2億6800万円
中部日本放送 418,900株 2億5700万円
テレビユー福島 1,000株 1億1000万円
北海道放送 60株 7400万円
広島ホームテレビ 50,000株 2500万円
その他
出資企業 株式数 計上額
電通 357,700株 18億4200万円
博報堂DYホールディングス 200,000株 2億5500万円
毎日新聞グループホールディングス 240,800株 1億2500万円
ベイ・コミュニケーションズ 2,000株 1億1200万円
ジェイコムウエスト 2,684株 1億0400万円
解説

テレビ東京ホールディングスと広島ホームテレビ[注釈 6]の株式を所有しているのは、いわゆる「腸捻転」の名残である[注釈 7]

テレビユー福島については、2005年のマスメディア集中排除原則に基づく総務省の点検の結果、キー局のTBSが制限を超えて直接保有していた分の一部を引き取ったものである。なお毎日放送自体は各局に対する株式の保有比率が極めて低く、10%を超えて保有している局がFM802しかなかった[注釈 8]ため、行政指導を受けなかった。

上記にはないが、岡山放送フジテレビ系列=関西テレビも株保有)や瀬戸内海放送[注釈 9][注釈 10]などかつて腸捻転時代にNETテレビ系列(現在のテレビ朝日ネットワーク)だったテレビ局にもわずかながら資本関係が残っている。

TBSホールディングスは、腸捻転の名残や、ラジオでの系列関係から当社だけでなく朝日放送グループホールディングスとも少数株主として相互の資本関係を結んでいる[注釈 11]

グループ企業 編集

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ 第1号は、NJBの5時間半前に開局した中部日本放送(CBC。現・CBCラジオ)。
  2. ^ なお、毎日放送は12チャンネル時代より同局の設立ならびに経営に携わっており、その名残りで2013年(平成25年)現在でもMBSがテレビ東京→テレビ東京ホールディングスの大株主に名を連ねている。また、テレ東の系列局であるテレビ大阪(TVO)開局時(1982年(昭和57年))の社員研修や、TVO開局を告知するCMもMBSで行われた。
  3. ^ 在京キー局を子会社に置く放送持株会社全社と朝日放送グループホールディングス東証第1部→プライムに上場。中部日本放送は名証第1部→プレミア、RKB毎日ホールディングスは福証にそれぞれ上場している。なお、特定地上基幹放送事業者として株式上場している企業はJASDAQ→東証スタンダード上場の新潟放送(BSN)だけで、BSNが2023年(令和5年)4月1日に実施予定の放送持株会社化(BSNメディアホールディングス)と共に株式上場の特定地上基幹放送事業者は消滅する。
  4. ^ テレビ放送のみで、ラジオ放送はそのままJOORを使用する。事実上も含めた日本の兼営局で唯一のテレビ先行型だったためにラジオ参入当初から別サインだった札幌テレビ放送STVラジオを除き、過去にラジオを分社化した局でも総じて同様。
  5. ^ 2005年3月31日時点で上位10位に入っておらず、2006年3月31日時点で3.83%所有の第5位株主。
  6. ^ 1970年代には、毎日新聞社をはじめとした全国紙各紙も広島ホームテレビの株式を所有していた。
  7. ^ 腸捻転時代は、広島ホームテレビの編成から外れた番組を、ラジオでは系列関係があり、資本関係が共通していた中国放送(TBS系列)や、ニッポン放送・フジテレビを通じて間接的に関係があった広島テレビ放送(当時は日本テレビ系列・フジテレビ系列クロスネット局)にも販売していた。
  8. ^ TBSHDで3.2%、TXHDでは2.5%、比較的割合の高いBS-TBSでも8.5%にすぎない。
  9. ^ 毎日放送が制作に関与したテレビアニメ結城友奈は勇者である』は、舞台が香川県であることもあり、放送地域の本来の系列局ではあるものの、毎日放送や毎日新聞社との経営面での関係が希薄で、かつ本社が岡山県に所在する山陽放送(RSKテレビ)(現:RSKホールディングスおよびRSK山陽放送)ではなく瀬戸内海放送へのネットとなった。なお当時の朝日放送が制作に関与した『Free!』は山陽放送で放送という、これとは逆の現象が発生した。
  10. ^ 毎日放送・毎日新聞社・加藤汽船が中心となって開局した歴史的経過から、テレビ朝日系列局では唯一、朝日新聞社が上位10社の株主に入っていないが、資本関係が皆無なわけではなく、2018年時点では25,000株を保有している(出典:有価証券報告書-第165期〈平成29年4月1日 - 平成30年3月31日〉、88ページ、朝日新聞社EDINET提出書類)。
  11. ^ 出典:有価証券報告書(東京放送ホールディングス:第91期〈平成29年4月1日 - 平成30年3月31日〉・39ページ、302,610株のABCHD株を保有。朝日放送グループホールディングス:第92期〈平成30年4月1日 - 平成31年3月31日〉・37ページ、240,000株のTBSHD株を保有。EDINET提出書類。

出典 編集

  1. ^ a b c d e f MBSメディアホールディングス (2023年5月25日). “第97期(2023年3月期)” (PDF). MBSメディアホールディングス. 2024年1月20日閲覧。
  2. ^ a b c d 会社紹介 - 毎日放送
  3. ^ “毎日放送が持株会社へ 来年4月、在阪局で初”. 産経WEST. (2016年7月28日). https://www.sankei.com/west/news/160728/wst1607280082-n1.html 2016年7月28日閲覧。 
  4. ^ 毎日放送が認定放送持株会社に移行を計画、社名は「MBSメディアホールディングス」 日経クロステック 2016年7月28日
  5. ^ “コンテンツ領域での事業拡大をめざし VTuber運営の株式会社アップランドを子会社化”. https://mbs-id.co.jp/information/760/ 2023年4月14日閲覧。 
  6. ^ 毎日放送ラジオ分割準備株式会社の情報,国税庁法人番号公表サイト,2020年6月1日
  7. ^ ラジオの分社に向けた新会社設立について,毎日放送・MBSメディアホールディングス,2020年5月28日
  8. ^ 社長記者会見を書面で開催しました,毎日放送,2020年8月26日
  9. ^ 社長記者会見をオンラインで開催しました』(PDF)(プレスリリース)MBSメディアホールディングス、2021年1月20日https://www.mbs-mhd.jp/pdf/210120.pdf2021年1月20日閲覧 
  10. ^ 有報リーダー”. Lafla. 2017年6月8日閲覧。[リンク切れ]
  11. ^ 日本民間放送連盟『日本放送年鑑'78』洋文社、1978年12月、236頁。 
  12. ^ 日本民間放送連盟『日本民間放送年鑑'92』コーケン出版、1992年11月、343頁。 
  13. ^ 日本民間放送連盟『日本民間放送年鑑2003』コーケン出版、2003年11月、366頁。 

外部リンク 編集