メインメニューを開く

波よ聞いてくれ』(なみよきいてくれ)は、沙村広明による日本青年漫画北海道札幌市を舞台に[2]、主人公がひょんなことからラジオパーソナリティとしてデビューし[3]、奮闘する姿を描く。『月刊アフタヌーン』(講談社)において、2014年から連載中。

波よ聞いてくれ
ジャンル 青年漫画
漫画
作者 沙村広明
出版社 講談社
掲載誌 月刊アフタヌーン
レーベル アフタヌーンKC
発表号 2014年9月号 -
発表期間 2014年7月25日[1] -
巻数 既刊6巻(2019年3月22日現在)
アニメ
原作 沙村広明
監督 南川達馬
シリーズ構成 米村正二
キャラクターデザイン 横田拓己
音楽 岩﨑元是
アニメーション制作 サンライズ
放送局 未定
放送期間 2020年4月 -
テンプレート - ノート
プロジェクト 漫画アニメ
ポータル 漫画アニメ

あらすじ編集

2015年6月4日、札幌市のスープカレー屋「VOYAGER」で働く鼓田ミナレは、職場のラジオから自分の声が流れていることに気づく。その前日、ミナレは、偶然知り合った地元のラジオ局「MRS」のディレクター・麻藤兼嗣を相手に失恋について愚痴っていたが、その愚痴は麻藤によって密録されており、その音源がラジオで流されていたのだった。ミナレは放送を止めるためにMRSに乗り込み、麻藤と再会するが、逆に彼に言いくるめられ、ラジオでアドリブトークを披露することになる。

その後、ミナレは、深夜帯に冠番組を与えられ、VOYAGERで働きつつラジオパーソナリティとしての活動を開始する。ミナレの番組『波よ聞いてくれ』は、麻藤の意向により「回ごとに企画を変える」という方針が採られており、ミナレも、自身の失恋から着想を得て制作された架空実況オーディオドラマを放送したり、隣人を訪ねて収録を行ったり、構成作家の取材旅行に同行してレポートを録音したりと、パーソナリティとして番組作りに携わっていく。

登場人物編集

「声」は、本作を原作としたテレビアニメにおける声優

鼓田 ミナレ(こだ ミナレ)
声 - 杉山里穂[4]
本作の主人公[5]。VOYAGERの従業員。麻藤との出会いを機にラジオ業界へ足を踏み入れ、MRSで自身の冠番組を持つ。
裏表がなく、サバサバとした性格の持ち主[6]。行き当たりばったりなところもあるが[7]、一方でアドリブ力は高い[8]
麻藤 兼嗣(まとう かねつぐ)
声 - 藤真秀[4]
MRSのディレクター。ミナレの喋りの才能を見出し[9]、ミナレをラジオ業界に誘った[5]。ミナレがラジオパーソナリティとしての活動を始めてからは、ミナレの番組のディレクターも務めている。
かつてテレビ局に勤務していたが、シセル光明という芸人と出会ったことがきっかけでラジオ局へ移った過去を持つ。
南波 瑞穂(なんば みずほ)
声 - 石見舞菜香[4]
MRSのアシスタントディレクター。ラジオパーソナリティとして活動を開始したミナレを自室に居候させており、また彼女の番組作りにも協力している。
高い女子力の持ち主だが[6]、男女交際の経験はない。同僚のミキサー・甲本龍丞(声 - 石川界人)に慕情を抱かれているが、自身は構成作家の久連子克三(声 - 山路和弘)に好意を寄せており、久連子の想い人である茅代まどかに対抗心を抱いている。
茅代 まどか(ちしろ まどか)
声 - 大原さやか[4]
MRSでトップクラスの人気を誇るラジオパーソナリティ[10]。ミナレのことを「面白い」と評価しているが、同時に敵視もしている。
中原 忠也(なかはら ちゅうや)
声 - 矢野正明[4]
VOYAGERの従業員。ミナレの後輩で[11]、彼女に好意を寄せている。一方で、同僚の城華マキエから好意を寄せられているが、そのことには気づいていない。
城華 マキエ(たちばな マキエ)
声 - 能登麻美子[4]
VOYAGERの従業員。過保護な兄がおり、兄によって自宅に軟禁されていたが、兄が交通事故を起こしてVOYAGERに迷惑をかけたため、その償いとして働き始めたという経緯を持つ。
VOYAGERに勤め出してからは中原の家に居候しており、またラジオのメール職人としても活動している。

登場用語編集

MRS
本作の舞台となるFMラジオ放送局。MRSは略称であり、正式名は藻岩山ラジオ局という。
JFLの系列局で、北海道内に7か所の中継局を有する[12]
VOYAGER(ボイジャー)
札幌市にあるスープカレー屋。ミナレ、中原、マキエが従業員として働いている。店内に置かれているラジオからはMRSの番組が流れており、ミナレがラジオパーソナリティになるきっかけを作っている。
東京都新宿区にあるスープカレー屋「東京ドミニカ」がモデルとなっている[13]

作風編集

本作はラジオを題材としており、主人公・ミナレの喋りを軸としてストーリーが展開されている[7]。作中ではラジオの話に加えてミナレの日常も描かれており[6]、その両方がユーモラスかつ生々しく描写されている[14]

本作は「今度こそ間違いなく、人の死なない漫画」というコンセプトで描かれた作品であり[15]、作者の代表作『無限の住人』とは正反対の作風である[16]。このコンセプトについて、作者は「誰が読んでも大丈夫なマンガ」を描くという意図があり、そのために本作では「アクションやエログロといった要素」を封じた、と語っている[7]。もっとも、作者の持ち味である「キャラクターのせりふのキレっぷり」は他の作品と変わらず、本作の担当編集者は、むしろラジオを題材にしたことで持ち味がより光る作品になった、と評している[2]

また、本作は作者が「現代的な恋愛劇」を志向して描いた作品でもあり[7]、作中には現代に実在するものも多く登場する。一例として、コミックス第4巻では元力士の琴欧洲勝紀ブログが取り上げられており、本作で取り上げられたことをきっかけに琴欧洲のブログのアクセス数が伸びるという現象が起きている[17]

制作背景編集

担当編集者によると、本作に関する設定で最初に決まったのは「札幌を舞台とすること」だったといい、その後、主人公・ミナレの設定を練る中で「ラジオのお仕事」をさせるという案が出され、そこからラジオを題材とすることが決まったという[2]

作者は、ミナレのキャラクター造形について、「自分が昔から描いてきたタイプの女性キャラ」が現代の職業人として登場したらどうなるか試す意図があった、と発言している[7]。その上で、ミナレの職業としてラジオパーソナリティが選ばれたのは、現場の雰囲気が番組の企画を左右するほど自由なラジオ業界を舞台にすれば漫画内イベントを起こしやすい、という理由からである[2]

他方で、本作にはミナレ以外にも作者がかつて描いた女性の流れをくむキャラクターが登場する。城華マキエが該当し、彼女は『無限の住人』の登場人物・乙橘槇絵を本作用に調整して再登場させたキャラクターである。作者によると、かつて知人の女性から「槇絵があの性格で現代にいたら相当、厄介な女」になると言われたといい、危うい女性像を描くために本作でマキエとして登場させたという[7]

メディア展開編集

ラジオ編集

2015年5月24日J-WAVEにて、本作とコラボレーションした特別番組「J-WAVE SELECTION RADIO×COMIC〜波よ聞いてくれ〜」が放送された[18]。この番組の中で、コミックス第1巻をベースに制作されたラジオドラマが放送された[19]。ミナレの声は秀島史香が担当している[19]

テレビアニメ編集

2019年10月8日、本作のテレビアニメ化が発表された[4]。放送開始は2020年4月を予定している。

スタッフ編集

賞歴・ノミネート歴編集

発表年 部門 対象 結果
2015 コミックナタリー大賞 2015 漫画『波よ聞いてくれ』 5位[20]
このマンガがすごい!2016 オトコ編 6位[21]
THE BEST MANGA 2016 このマンガを読め! 3位[22]
2015 コレ読んで漫画RANKING BEST50 10位[23]
2016 マンガ大賞2016 6位[24]
2017 マンガ大賞2017 5位[25]

書誌情報編集

出典編集

[ヘルプ]
  1. ^ 沙村広明:「無限の住人」作者の新連載が「アフタヌーン」でスタート 「波よ聞いてくれ」”. MANTANWEB. MANTAN (2014年7月25日). 2017年10月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年11月19日閲覧。
  2. ^ a b c d マンガ質問状:「波よ聞いてくれ」 人の死なない沙村マンガ 「せりふのキレっぷり」が魅力”. MANTANWEB. MANTAN (2015年6月27日). 2017年11月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年5月11日閲覧。
  3. ^ 沙村広明、新連載! アフタに約1年半ぶり登場”. コミックナタリー. ナターシャ (2014年7月25日). 2016年4月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年11月19日閲覧。
  4. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r 波よ聞いてくれ:「無限の住人」作者のマンガがテレビアニメ化 2020年4月放送 サンライズ制作”. MANTANWEB. MANTAN (2019年10月8日). 2019年10月8日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年11月3日閲覧。
  5. ^ a b このマン2016 2015, p. 44.
  6. ^ a b c ダ・ヴィンチ 2017, pp. 158–159.
  7. ^ a b c d e f ダ・ヴィンチ 2017, p. 167.
  8. ^ コンセプトは「絶対に人が死なない」? 注目の「波よ聞いてくれ」の是非見てほしい部分まとめ!”. music.jpニュース (2016年3月3日). 2017年11月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年11月19日閲覧。
  9. ^ 奈良崎コロスケ (2016年3月18日). “『波よ聞いてくれ』第2巻 沙村広明 【日刊マンガガイド】”. このマンガがすごい!WEB. 宝島社. 2017年6月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年5月11日閲覧。
  10. ^ 沙村広明『波よ聞いてくれ 3』講談社、2016年、157頁。ISBN 978-4-06-388214-8
  11. ^ 多根清史 (2015年6月17日). “『波よ聞いてくれ』(沙村広明)ロングレビュー! 失恋、失職、でも元気…なわけねーだろ! 崖っぷち女のサクセス(するのか?)ストーリーNOW ON AIR!!”. このマンガがすごい!WEB. 宝島社. p. 2. 2017年6月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年5月11日閲覧。
  12. ^ 沙村広明『波よ聞いてくれ 1』講談社、2015年、108頁。ISBN 978-4-06-388058-8
  13. ^ 増田桂己 (2016年7月4日). “『波よ聞いてくれ』のスープカレー屋が結構行きつけの新宿のカレー屋だった件”. マンガHONZ. 2016年7月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年11月19日閲覧。
  14. ^ ユメコ (2015年10月25日). “失恋、失業…崖っぷちアラサー手前女の魂の叫び! ハマる読者続出の『波よ聞いてくれ』”. ダ・ヴィンチニュース. 2019年5月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年5月11日閲覧。
  15. ^ 沙村広明『波よ聞いてくれ 1』講談社、2015年、191頁。ISBN 978-4-06-388058-8
  16. ^ 「無限の住人」沙村広明による、ラジオ局を舞台に元カリスマ・カレー店員が活躍する『波よ聞いてくれ』”. music.jpニュース (2017年4月20日). 2017年11月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年5月11日閲覧。
  17. ^ 山崎春奈 (2017年12月4日). “「カタコト感がかわいい」海老蔵さんもメロメロ 元大関琴欧洲、癒やしのブログの秘密”. BuzzFeed News. BuzzFeed Japan. 2019年5月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年5月11日閲覧。
  18. ^ RADIO×COMIC〜波よ聞いてくれ〜 5月24日OA”. J-WAVE SELECTION. J-WAVE (2015年5月22日). 2017年9月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年11月19日閲覧。
  19. ^ a b 沙村広明「波よ聞いてくれ」ラジオドラマ化! ラジオ局が舞台の新作”. コミックナタリー. ナターシャ (2015年5月22日). 2017年9月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年11月19日閲覧。
  20. ^ 編集者が選ぶコミックナタリー大賞、今年度の1位は九井諒子「ダンジョン飯」”. コミックナタリー. ナターシャ (2015年9月30日). 2017年3月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年11月19日閲覧。
  21. ^ このマン2016 2015, pp. 18–19.
  22. ^ 「このマンガを読め!」1位はダンジョン飯! コミナタ大賞、このマンに続き”. コミックナタリー. ナターシャ (2015年12月18日). 2017年10月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年11月19日閲覧。
  23. ^ エンタミクスが今年のマンガBEST50を発表、1位は「僕だけがいない街」”. コミックナタリー. ナターシャ (2015年12月19日). 2017年2月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年11月19日閲覧。
  24. ^ マンガ大賞2016:「ゴールデンカムイ」が大賞受賞 「僕だけがいない街」は三度目の正直ならず”. MANTANWEB. MANTAN (2016年3月29日). 2017年10月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年11月19日閲覧。
  25. ^ マンガ大賞2017:大賞「響〜小説家になる方法〜」は67ポイント 順位とポイント発表”. MANTANWEB. MANTAN (2017年3月28日). 2017年9月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年11月19日閲覧。

講談社コミックプラス編集

以下の出典は『講談社コミックプラス』(講談社)内のページ。書誌情報の発売日の出典としている。

  1. ^ 波よ聞いてくれ (1)”. 2018年7月23日閲覧。
  2. ^ 波よ聞いてくれ (2)”. 2018年7月23日閲覧。
  3. ^ 波よ聞いてくれ (3)”. 2018年7月23日閲覧。
  4. ^ 波よ聞いてくれ (4)”. 2018年7月23日閲覧。
  5. ^ 波よ聞いてくれ (5)”. 2018年7月23日閲覧。
  6. ^ 波よ聞いてくれ (6)”. 2019年3月22日閲覧。

参考文献編集

  • 『このマンガがすごい!2016』『このマンガがすごい!』編集部、宝島社、2015年。ISBN 978-4-8002-4731-5
  • 「世界は女が回してる 沙村広明」『ダ・ヴィンチ』第24巻第4号、KADOKAWA、2017年4月6日、 148-167頁。

外部リンク編集