牧田 和久(まきた かずひさ、1984年11月10日 - )は、静岡県焼津市出身のプロ野球選手投手)。右投右打。埼玉西武ライオンズ所属。登録上は右打ちであるが、左打席に入ることもある(詳細は後述)。愛称は「牧やん[2]

牧田 和久
埼玉西武ライオンズ #35
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2011年
基本情報
国籍 日本の旗 日本
出身地 静岡県焼津市
生年月日 (1984-11-10) 1984年11月10日(32歳)
身長
体重
177 cm
85 kg
選手情報
投球・打席 右投右打
ポジション 投手
プロ入り 2010年 ドラフト2位
初出場 2011年4月15日
年俸 1億円+出来高(2017年)[1]
経歴(括弧内はプロチーム在籍年度)
国際大会
代表チーム 日本の旗 日本
WBC 2013年2017年
プレミア12 2015年

目次

経歴編集

プロ入り前編集

焼津市立小川中学校から静清工業高に進学。1年時の秋にアンダースローに転向した。甲子園出場はなし。アンダースロー転向は監督の指示で、本人は「同学年に140キロを投げる投手がいた。うちの高校は毎年、(2番手として)打者の目先を変える技巧派を用意していたので」と考えたが、野球部部長の藪崎雄大は 「球の速い子はほかにいたが、野球センスは牧田のほうがあった。下半身もできてきて、下手にしたら伸びしろがある。ブルペンで試しに投げさせると、ソフトボールの投球のようにホップする球筋。高めの直球だけで勝負できるな」と理由を述べている[3]

平成国際大学ではエースとして活躍。2年時には大学日本代表入りも果たし、日米大学野球選手権大会にも出場した。

大学卒業後は日本通運に入社。1年目から当時エースで同じアンダースローだった益田隆芳の後継者として期待されるも、2年目の2008年日本選手権本大会の1回戦、対トヨタ自動車戦の試合中に荒波翔のバントの打球を処理しようとして転倒、右足前十字靱帯を断裂し全治1年の大怪我を負う[4]2009年の後半に復帰すると、翌2010年の第65回JABA東京スポニチ大会の対明治安田生命戦では7回コールドゲーム参考ながらノーヒットノーランを達成。同年の第81回都市対抗野球大会でも1回戦の対日本新薬戦では4安打完封勝ちを収めている[5]。同期には中日ドラゴンズ野本圭がいる[6]

2010年10月28日に行われたプロ野球ドラフト会議埼玉西武ライオンズから2巡目で指名され[7]、契約金7000万円、年俸1300万円で仮契約を結んだ[8]

西武時代編集

2011年は開幕一軍入りし、4月15日の福岡ソフトバンクホークス戦でプロ初登板・初先発。7回1/3を1失点の投球を見せたが、8回1死から四球を与えたところで右手中指に血マメができたため降板[9]。5月6日の東北楽天ゴールデンイーグルス戦で、この年の新人で1番乗りとなる完封でのプロ初勝利を挙げる[10]。しかし好投しても打線の援護と噛み合わず、なかなか勝ち星が付かないこともあった。交流戦明けになると中継ぎ陣の絶不調を理由にクローザーへ配置転換され、6月26日の楽天戦でプロ初セーブを挙げた。その後も抑えとして安定した投球を続け22セーブをあげた[11]。7月4日にはオールスターゲームに監督推薦で選出された。これらの活躍が認められ、チームとしては1999年松坂大輔以来となる新人王を受賞した。チームは終盤の快進撃で3位とり、クライマックスシリーズ進出を果たした。ファーストステージでは2位の北海道日本ハムファイターズをストレートの2連勝で退け、ファイナルステージに進出。ファイナルステージでは第2戦と第3戦に登板したが、第2戦は8回の途中から登板し松中信彦に試合を決める満塁ホームランを打たれる。第3戦では延長12回表でチームは勝ち越せず、ソフトバンクはアドバンテージの1勝を含めて3勝しているため、引き分けがある場合は1位のチームはアドバンテージを含めた3勝でも日本シリーズ進出が決まるため、チームは延長12回表終了でCS敗退が決まってしまった。そしてその裏に10回に同点タイムリーを打っている長谷川勇也にサヨナラタイムリーを打たれ、ストレートの3連敗を喫してしまった。

2012年は再び先発としてシーズンを迎えた。9月6日の福岡ソフトバンクホークス戦で初の2桁勝利を達成、その後も勝利を重ねてチーム最多となる13勝を挙げた。このシーズン中で1度も出場選手登録を抹消されておらず、西武においては中島裕之エステバン・ヘルマンに次ぐ3人目で、投手陣では唯一。オフの12月4日に、第3回WBC日本代表候補選手34人に選出された[12]

2013年2月20日に第3回WBC日本代表選手28人に選出された[13]。同大会では抑えとして活躍。台湾戦では相手の小フライをダイビングキャッチしてチームを盛り立てた[14]。シーズン開幕後は先発を任され、4月23日千葉ロッテマリーンズ戦で無三振での完封勝利をマーク。ライオンズでは1978年石井茂雄以来35年ぶりの快挙だった[15]。好投してもなかなか勝ち星に恵まれず、2年連続2桁勝利はならなかったが、リーグ3位の防御率を残し、Aクラス入りに貢献。オフに選手会長に就任した[16]

2014年5月に1勝も挙げられない[17]など勝ち星が中々伸びず、夏場も2カ月で2勝と苦しんだ。本拠地最終戦となった10月2日の日本ハム戦で7失点を喫し、プロ入り後最短の2回途中で降板するなど前年と比べて打ちこまれる場面も増え、防御率は一点近く悪化した。オフの10月9日日米野球2014日本代表に選出された[18]。第3戦では1イニングを無失点に抑え、日米野球史上初のノーヒットノーラン達成に貢献した[19]

2015年2月16日に「GLOBAL BASEBALL MATCH 2015 侍ジャパン 対 欧州代表」の日本代表に選出され[20]、3月10日に行われた第1戦において2番手で登板し、2回を投げ被安打2、与死球1、自責点2の成績だった[21]。3月27日のオリックス・バファローズとの開幕戦(西武プリンスドーム)において先発登板し、自身初めての開幕投手を務めた[22]。8月、抑えを務めていた高橋朋己の不振により先発から抑えに配置転換され[23]、6日の対楽天戦では2点リードの9回に登板、無失点に抑えて4年ぶりにセーブを挙げた[24][25]。その後3セーブを挙げたが、郭俊麟の不振などにより同月中には再び先発に戻ることが決定的になると[26]、27日の対日本ハム戦において7月26日以来に先発登板し、6回を投げ無失点で勝利投手になった[27]。オフの10月9日に第1回WBSCプレミア12の日本代表最終ロースター28名に選出された事が発表された[28]

2016年は開幕から中継ぎを担当。勝ちゲームで1回のみ登板するセットアッパーと、先発が早々に崩れた試合で長い回を投げるロングリリーフなど様々な状況で起用され、前半戦終了時点で一軍投手陣トップの6勝を挙げる。球宴ファン投票中継ぎ部門で1位を獲得し、2013年以来3度目のオールスターゲームに選出された。右膝痛で6月16日から出場選手登録を抹消されたが、7月18日に一軍復帰。50試合に登板し7勝をあげ、中継ぎ最多の78 2/3イニングを投げた。

プレースタイル編集

地面すれすれの位置からアンダースローで放たれる平均球速約128km/h[29]、最速137km/h[29]ストレートスライダーカーブ高速シンカー(シュート)、チェンジアップを投げ分ける[30][29]

早い投球テンポで優位に立ち[31]、フォームに強弱をつけることでタイミングをずらすなど[32]、打者を幻惑する投球スタイル。握りを変えるなどして数種類のストレートを投げることを意識しており、「スピードガンの数字以上に見せるキレと技術がアンダースローの面白いところ」だという[33]

登録は右打ちだが、交流戦では「左の方が(打球が)飛びやすい」という理由から左打席に入ることがあり[34]2013年5月15日ヤクルト戦では実際に左打席に入った[35][36]。 高校時代はスイッチヒッターだった。

詳細情報編集

年度別投手成績編集





















































W
H
I
P
2011 西武 55 10 2 1 0 5 7 22 1 .417 510 127.2 105 5 16 1 9 86 0 1 39 37 2.61 0.95
2012 27 27 3 1 0 13 9 0 0 .591 739 178.0 175 4 36 0 9 108 0 1 55 48 2.43 1.19
2013 26 26 3 1 0 8 9 0 0 .471 690 166.0 169 13 39 1 9 87 2 0 54 48 2.60 1.25
2014 26 26 0 0 0 8 9 0 0 .471 734 170.2 170 10 50 0 12 89 0 0 74 71 3.74 1.29
2015 34 21 1 0 0 9 11 3 0 .450 596 137.2 143 7 44 2 11 66 1 0 68 56 3.66 1.36
2016 50 0 0 0 0 7 1 0 25 .875 312 78.2 54 3 16 2 10 43 0 0 15 14 1.60 0.89
NPB:6年 218 110 9 3 0 50 46 25 26 .521 3581 858.2 816 42 201 6 60 479 3 2 305 274 2.87 1.18
  • 2016年度シーズン終了時
  • 各年度の太字はリーグ最高

年度別投手成績所属リーグ内順位編集


















2011 27 パ・リーグ - 4位 - - -
2012 28 3位 - - 8位 7位 
2013 29 10位 - - - 3位
2014 30 - - - 9位
2015 31 - - - -
2016 32 - 4位 - -
  • -は10位未満(防御率は規定投球回到達未満の場合も-と表記)

WBCでの投手成績編集










































2013 日本 3 0 1 0 1 14 3.0 4 0 1 1 0 5 0 0 0 0 0.00
2017 5 0 1 0 2 26 6.0 5 0 2 0 0 6 0 0 3 2 3.00

WBSCプレミア12での投手成績編集










































2015 日本 2 0 0 0 0 5 1.1 0 0 1 0 0 1 0 0 0 0 0.00

年度別守備成績編集



投手












2011 西武 55 9 23 1 0 .970
2012 27 7 39 4 0 .920
2013 26 17 44 1 5 .984
2014 26 13 34 0 1 1.000
2015 34 10 36 2 1 .958
2016 50 0 16 0 0 1.000
通算:6年 218 56 192 8 7 .969
  • 2016年度シーズン終了時

表彰編集

記録編集

初記録
その他の記録

背番号編集

  • 35 (2011年 - )

登場曲編集

代表歴編集

脚注編集

  1. ^ 西武牧田1億、2年契約「断りました」来季FA権も - 野球”. 日刊スポーツ (2016年12月6日). 2017年4月11日閲覧。
  2. ^ 西武牧田の愛称は「牧やん」日刊スポーツ、2011年5月7日。
  3. ^ フォーム、高校で改造・成長 埼玉・牧田和久”. 日本経済新聞 (2012年2月4日). 2015年7月22日閲覧。
  4. ^ その後遺症で現在でも正座をする際に足が折り曲げられないという(雑誌「野球小僧 アンダースロー論」の記事より)。
  5. ^ スポニチニュース
  6. ^ 中日野本が元同僚牧田をKO日刊スポーツ、2011年5月21日。
  7. ^ 2010年 ドラフト会議開催! 埼玉西武ライオンズ
  8. ^ 西武ドラ2牧田が仮契約「開幕1軍目標」”. 日刊スポーツ (2010年11月23日). 2016年11月13日閲覧。
  9. ^ 惜しいっ!牧田7回1/3を1失点も初勝利逃すスポニチ、2011年4月16日。
  10. ^ 牧田4度目登板で初勝利新人完封一番乗り日刊スポーツ、2011年5月7日。
  11. ^ 牧田初S「足ブルブルした…」日刊スポーツ、2011年6月26日。
  12. ^ 2013WBC日本代表候補選手発表 日本野球機構 (2012年12月4日) 2015年4月3日閲覧
  13. ^ 2013WBC日本代表28選手の発表 日本野球機構オフィシャルサイト (2013年2月20日) 2015年4月2日閲覧
  14. ^ 牧田 逆転呼ぶダイビングキャッチ!選手生命脅かすプレーも必死”. 2013年3月28日閲覧。
  15. ^ “35年ぶり!西武・牧田、奪三振なしで完封”. サンケイスポーツ. (2013年4月24日). http://www.sanspo.com/baseball/news/20130424/lio13042405040001-n1.html 2013年4月24日閲覧。 
  16. ^ “西武牧田、人間性で新選手会長に内定”. ニッカンスポーツ. (2013年11月14日). http://www.nikkansports.com/baseball/news/p-bb-tp0-20131114-1217916.html 2014年1月26日閲覧。 
  17. ^ “牧田 4日先発へ汗流す、5月は勝ち星なし「必死にやるしかない」”. スポーツニッポン. (2014年6月2日). http://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2014/06/02/kiji/K20140602008287160.html 2015年2月15日閲覧。 
  18. ^ 2014年10月9日 侍ジャパン「2014 SUZUKI 日米野球」出場選手発表! 侍ジャパン公式サイト (2014年10月9日) 2015年3月26日閲覧
  19. ^ “「吐きそうだった」4投手のお立ち台が実現!終盤登板の牧田&西野は冷や汗”. サンケイスポーツ. (2014年11月15日). http://www.sanspo.com/baseball/news/20141115/npb14111521190013-n1.html 2015年2月17日閲覧。 
  20. ^ 欧州代表戦、侍ジャパン出場選手発表!6選手が小久保体制下で初招集 侍ジャパン公式サイト (2015年2月16日) 2015年3月22日閲覧
  21. ^ GLOBAL BASEBALL MATCH 2015 試合結果(第1戦) 日本野球機構オフィシャルサイト
  22. ^ 2015年3月27日 埼玉西武 対 オリックス 成績詳細 埼玉西武ライオンズ オフィシャルサイト
  23. ^ 西武8年ぶり10連敗、投手陣テコ入れ高橋光成投入へ 日刊スポーツ 2015年8月1日紙面から
  24. ^ 西武・牧田 4年ぶりセーブ チームは13連敗から2連勝 スポニチ Sponichi Annex 2015年8月7日掲載
  25. ^ 2015年8月6日 楽天イーグルス 対 埼玉西武 成績詳細 埼玉西武ライオンズ オフィシャルサイト
  26. ^ 牧田、先発復帰へ…郭俊麟KO 田辺監督「配置転換考えないと」 スポニチ Sponichi Annex 2015年8月21日掲載
  27. ^ 2015年8月27日 北海道日本ハム 対 埼玉西武 成績詳細 埼玉西武ライオンズ オフィシャルサイト
  28. ^ 「WBSC プレミア12」侍ジャパントップチーム最終ロースター28名発表!! 野球日本代表 侍ジャパンオフィシャルサイト (2015年10月9日) 2015年10月9日閲覧
  29. ^ a b c 変化球ラーニング シンカー編 牧田和久『週刊ベースボール』2011年26号、ベースボール・マガジン社、雑誌20441-6/20、30-31頁。
  30. ^ ストレートに関して言えば、ソフトボールの「ライズボール(ホップアップ)」に似る、ストライクから外す高めのボール球に打者は目の錯覚から振ってしまい、結果的に空振りを奪われる事が多い。『野球小僧』2010年10月号、白夜書房、雑誌18801-10、172-98-99頁。『週刊ベースボール』2011年6月20日号、雑誌20443-6/20、30~31p頁。
  31. ^ 守護神・牧田は、球速130kmでなぜ勝てる 2/5 東洋経済オンライン 2013年03月05日
  32. ^ 守護神・牧田は、球速130kmでなぜ勝てる 3/5 東洋経済オンライン 2013年03月05日
  33. ^ ドラフト指名選手の野球人生ドキュメント『野球小僧』2010ドラフト総決算号、白夜書房、雑誌67614-98、176-177頁。
  34. ^ 4勝目の西武・牧田、投球も打撃も変幻自在!?、サンケイスポーツ、2013年5月16日閲覧
  35. ^ 左利きの苦労livedoor NEWS 2013年5月16日閲覧
  36. ^ 牧田 あくなき探求心 打撃で“二刀流”「結構ざわついてましたね」

関連項目編集

外部リンク編集