ガイナックス

日本のアニメ制作会社。『新世紀エヴァンゲリオン』などを制作

株式会社ガイナックス: GAINAX Co., Ltd.)は、日本アニメ制作会社日本動画協会正会員。

株式会社ガイナックス
GAINAX Co., Ltd.
Gainax (Lucida Sans).png
種類 株式会社
本社所在地 日本の旗 日本
180-0005
東京都武蔵野市御殿山1-4-20
服部ビル202
設立 1984年12月24日
業種 情報・通信業
法人番号 1012401005220
事業内容 アニメーションを主とした映像作品・コンピューターソフトウェアの企画、制作および販売
代表者 代表取締役 山賀博之
資本金 2億2千万円
従業員数 18名
外部リンク http://www.gainax.co.jp/
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目次

概要編集

 
東京都小金井市本町6丁目時代のガイナックス入居ビル(2003年-2006年、現・イトーヨーカドー武蔵小金井店の一部)
 
東京都三鷹市下連雀時代のガイナックス入居ビル(2011年-2016年

アニメーション等のメディア制作を中心に行っている。中でもアニメーション部門に関しては世界的にも有名であり、1990年代には社会現象を巻き起こした大ヒットアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』を制作。他の代表作には『ふしぎの海のナディア』『トップをねらえ!』など。1980年代末からのコンピュータゲーム制作では『プリンセスメーカー』シリーズなどのヒット作品を残した。

テレビアニメーションを中心に制作の多くは共同制作名義で他社へ委託する形をとっていたが、2004年開始のシリーズOVAトップをねらえ2!』で制作部門を立ち上げ、2015年の『放課後のプレアデス』(テレビシリーズ)にかけて自社単独名義による元請制作を手がけたほか、他社のテレビシリーズのグロス請けも行っていた。

社名は島根県の東部、鳥取県の西部の方言雲伯方言)で「大きい、凄い」という意味の「がいな」に未知を表す「X」をつけたもの。なお「がいな」という方言自体は紀南四国の一部、また愛媛県から海を隔てた大分県の沿岸部でも使用される。

オリジナル作品の特徴編集

各話ラストで「つづく」のテロップを挿入する演出は、『トップをねらえ!』以降、歴代ガイナックスオリジナル作品へと引き継がれた。最終話サブタイトルにSF小説の題名を流用している作品も多い。

版権管理編集

2014年、『新世紀エヴァンゲリオン』テレビシリーズと旧劇場版の版権が、元取締役で制作を手がけた庵野秀明が経営するアニメーション制作会社カラーに移された[1]

2015年、『フリクリFLCL』の版権原作権をプロダクションI.Gに売却した[2]

成人向けコンテンツ編集

他社が自社作品のイメージを保つ為に18禁同人作品に対して厳しい姿勢を示している中、ガイナックスは自社の一般アニメ作品のキャラクターを使った『電脳学園III トップをねらえ!』『エヴァと愉快な仲間たち 脱衣補完計画!』や現存する社員を扱った『ガイナックス連続殺人事件(エロ)』といった成人向けゲームを自ら制作した。ただし、『エヴァと愉快な仲間達 脱衣補完計画』では『ふしぎの海のナディア』のキャラクターは対象外だった。

沿革編集

1980年代編集

同人時代編集

1981年日本SF大会「DAICON 3」のオープニングアニメーションに関わり、大阪府門真市海洋堂の常連でもあった岡田斗司夫武田康廣赤井孝美山賀博之庵野秀明村濱章司ら関西の学生は、その後も「DAICON FILM」として映像制作を行った。このうち、DAICON 3後に大学を中退した岡田と武田は1982年2月大阪市天王寺区SFグッズショップ「ゼネラルプロダクツ」を開業した。

ゼネラルプロダクツはDAICON FILMと密接な関係を持ちながら活動。経営が軌道に乗ったところで岡田に山賀が「プロになる」ことを持ちかけ、ゼネラルプロダクツが岡田と山賀に200万円の活動資金を提供する形を取って1983年9月OVA向け長編アニメーション『王立宇宙軍』の企画を開始した。

ガイナックスの設立編集

自身の不倫問題発覚で1984年に上京した岡田斗司夫と、ゼネラルプロダクツおよびDAICON FILMメンバー、テレビアニメ『レンズマン』プロデューサーの井上博明によって同年12月24日、『王立宇宙軍』の制作スタジオとしてガイナックスを設立。約4分の『王立宇宙軍』パイロットフィルムを制作し、1985年4月に完成した。岡田はこのパイロットフィルムと企画書を、DAICON FILM時代に自主製作特撮映画販売でつながりのあったバンダイに持ち込んで出資を取り付け、劇場用映画『王立宇宙軍 オネアミスの翼』として制作。1987年3月に公開した[3]

ガイナックスは『王立宇宙軍』が完成すると同時に解散する予定であったが、同作品の制作費が過大で予算超過分が同社の負債となったため、経営を継続。OVA作品『トップをねらえ!』を制作し好評だったが、同作品も制作費が過大となって負債がさらに拡大。他社の下請けや孫請けも手がけ、経営を続けざるを得なくなった[4]

1989年から1990年にかけては、池沢さとしが「週刊プレイボーイ」に連載した漫画『ビートショット!!』『サーキットの狼II モデナの剣』をOVAで制作。また『サイレントメビウス』のゲーム化も行った。

パソコンゲームへの進出編集

1989年からパソコン向けコンピュータゲーム制作にも乗り出し、パソコン雑誌『I/O』編集部の柏原康雄を迎え入れた。『電脳学園』シリーズ、『バトルスキンパニック』などを制作。赤井が監督とキャラクターデザインを担当した1991年の『プリンセスメーカー』シリーズは、育成シミュレーションゲームジャンルの先駆けとして大ヒットし、赤井は人気クリエイターの仲間入りを果たした。

1990年代編集

1992年2月、ゼネラルプロダクツはワンダーフェスティバルの権利を海洋堂に委譲しガイナックスと合併した。同年9月には村濱章司前田真宏山口宏樋口真嗣らが退社し、GONZOを設立した。岡田もこの年に代表取締役を辞任して退社し、澤村武伺が後任の代表取締役となった。

1990年4月放映開始のテレビアニメ『ふしぎの海のナディア』(グループ・タック・世映動画共同制作)は、アニメ雑誌の表紙や巻頭特集を度々飾り、人気投票でも1位を取って同年最大の話題作となった。翌1991年発表のOVA『1982おたくのビデオ』『1985続・おたくのビデオ』は、1970年代末から1980年代前半のアニメブームを背景として活躍したDAICON FILM時代のガイナックスメンバー自身をセルフパロディ。1995年10月放映開始のテレビアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』(竜の子プロダクション共同制作)は、アニメ-ションの枠を乗り越えて社会現象を巻き起こし、ガイナックスは一躍脚光を浴びた。

1999年、所得隠しにより5億8000万円を脱税したとして東京国税局がガイナックスと代表取締役の澤村を告発。澤村は2000年に代表取締役を辞任し退社した。

2000年以降編集

2001年には『まほろまてぃっく』(シャフト共同制作)、2003年に『ぷちぷり*ユーシィ』(AIC共同制作)を発表するなど、他社との共同制作ながらもテレビアニメシリーズの元請実績を重ね、OVA『フリクリ』(2000年-2001年、プロダクションI.G共同制作)も話題作となった。

2003年には本社を武蔵野市中町2丁目から小金井市本町6丁目に移転。武蔵小金井駅南口第1地区第一種市街地再開発事業[5]に伴い、2006年には小金井市梶野町1丁目に設けた仮設社屋[6]に再移転した。2004年から2006年にかけて、ガイナックス設立20周年記念作品として単独元請のOVAシリーズ『トップをねらえ2!』を発表。2007年にはガイナックス初の単独元請テレビシリーズ『天元突破グレンラガン』の放映が行われた。2010年にはテレビシリーズ『パンティ&ストッキングwithガーターベルト』が放映された。

一方、創業時から作品制作の主軸を務めてきた庵野秀明は、『トップをねらえ2!』完結後の2006年9月、アニメ制作スタジオ・カラーを設立し、翌2007年10月に取締役を辞任してガイナックスを退社。庵野に追随して鶴巻和哉摩砂雪らもカラーへ移籍した。2007年9月公開の『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』以降の『新世紀エヴァンゲリオン』リメイクシリーズ(ヱヴァンゲリヲン新劇場版)はカラーが制作し、版権も持つ形となった。

近年の動向編集

2011年1月、本社を小金井市梶野町から三鷹市下連雀の旧・春日電機株式会社本社ビルに移転し、同年2月には富士重工業との共同アニメプロジェクトの「第1弾」をうたった『放課後のプレアデス』(ウェブアニメ版)を配信。また赤井の郷里である鳥取県米子市に『ヨナゴフィルム』を開設し、同市主催の映画祭『米子映画事変』の事業を手がけはじめた。

しかし同年8月、大塚雅彦今石洋之が退社し、アニメ制作スタジオ・トリガーを設立。これに追随する形で庵野退社後の制作の主力だったすしお[7]吉成曜貞方希久子山口智錦織敦史、上村泰らが同年秋までに退社した。2013年にはプロデューサーの白石直子が退社し、アニメ制作スタジオ・ミルパンセを設立した[8]

ガイナックスの制作元請作品は、2015年4月から放映されたテレビアニメ『放課後のプレアデス』(テレビシリーズ版)以降途絶えており、「蒼きウル」などの新作構想に関する言及が断片的にあるものの、実質的な事業については過去の同社作品に関係するグッズの企画販売以外に目立った動きはない。

2016年12月、庵野を代表取締役とするカラーが、ガイナックスに対して貸付金1億円の支払いを求めて東京地方裁判所立川支部に提訴したことが明らかになった。2017年6月、カラーの訴え通り1億円を支払うよう命じる判決が下り判決が確定した[9]

不祥事等編集

2007年4月、テレビ東京系で放映されたアニメ『天元突破グレンラガン』第4話に関して、放映終了後、通常の商業アニメ作品の方法論と比較する一部の視聴者から批判的な意見が同アニメの公式ブログなどに相次いで書き込まれた。程なく、これらの意見に反発するガイナックス女性社員がmixiの日記に視聴者に対しての批判的な意見を書き込んでいたことが発覚したため、批判していた視聴者に油を注ぐ形になった。同時に、この日記内容に同調するコメントをつけたmixiユーザーの中に取締役の赤井がいた事が判明したため、最終的に赤井が取締役を辞する事態へと発展した[10][11]

作品履歴編集

太字は元請制作作品。

テレビアニメ編集

放送年 タイトル 備考
1989年 小松左京アニメ劇場 - 1990年、制作協力: AIC
1990年 ふしぎの海のナディア - 1991年、共同制作: グループ・タック、世映動画(現:同友アニメーション
1995年 新世紀エヴァンゲリオン - 1996年、共同制作: 竜の子プロダクション
1998年 彼氏彼女の事情 - 1999年、共同制作: ジェー・シー・スタッフ
1999年 おるちゅばんエビちゅ アニメーション制作: グループ・タック
小梅ちゃんが行く!! アニメーション制作: グループ・タック
愛の若草山物語 アニメーション制作: グループ・タック
2001年 まほろまてぃっく 共同制作: シャフト
2002年 アベノ橋魔法☆商店街 共同制作: マッドハウス
まほろまてぃっく〜もっと美しいもの〜 - 2003年、共同制作: シャフト
ぷちぷり*ユーシィ - 2003年、共同制作: AIC
2004年 この醜くも美しい世界 共同制作: シャフト
忘却の旋律 アニメーション制作: ジェー・シー・スタッフ
2005年 これが私の御主人様 共同制作: シャフト
シュガシュガルーン - 2006年、各話制作協力、オープニング・エンディング制作、元請: ぴえろ
BLACK CAT - 2006年、各話制作協力、元請: ゴンゾ
BLOOD+ - 2006年、各話制作協力、元請: プロダクション・アイジー
2007年 天元突破グレンラガン
電脳コイル 各話制作協力、元請: マッドハウス
PRISM ARK 各話制作協力、元請: フロントライン
2008年 俗・さよなら絶望先生 各話制作協力、元請: シャフト
ロザリオとバンパイア 各話制作協力、元請: ゴンゾ
薬師寺涼子の怪奇事件簿 各話制作協力、元請: 動画工房
ひだまりスケッチ×365 各話制作協力、元請: シャフト
屍姫 赫 共同制作: フィール
ミチコとハッチン 各話制作協力、元請: マングローブ
2009年 屍姫 玄 共同制作: フィール
ヤッターマン(第2作) 各話制作協力、元請: タツノコプロ
まほろまてぃっく特別編 ただいま◆おかえり
2010年 はなまる幼稚園
WORKING!! 各話制作協力、元請: A-1 Pictures
kiss×sis 各話制作協力、元請: フィール
パンティ&ストッキングwithガーターベルト
2011年 ダンタリアンの書架
2012年 めだかボックス
めだかボックス アブノーマル
バックステージ・アイドル・ストーリー 各話制作協力、元請: 吉祥寺トロン
2013年 ステラ女学院高等科C3部
2014年 魔法少女大戦
花物語 各話制作協力、元請: シャフト
憑物語 各話制作協力、元請: シャフト
2015年 放課後のプレアデス

劇場アニメ編集

公開年 タイトル 備考
1987年 王立宇宙軍 オネアミスの翼
1989年 トップをねらえ!
1991年 おたくのビデオ 劇場版
1997年 新世紀エヴァンゲリオン劇場版 シト新生 共同制作: プロダクション・アイジー
新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に 共同制作: プロダクション・アイジー
1998年 REVIVAL OF EVANGELION 新世紀エヴァンゲリオン劇場版 DEATH(TRUE)2/Air/まごころを、君に
2003年 ワンダフルデイズ 日本語吹替版制作及び配給
2006年 トップをねらえ!&トップをねらえ2! 合体劇場版!!
2008年 劇場版天元突破グレンラガン 紅蓮篇
2009年 劇場版天元突破グレンラガン 螺巌篇

OVA編集

発売年 タイトル 備考
1988年 アップルシード 制作協力: AIC・センテスタジオ
トップをねらえ! - 1989年、制作協力: スタジオ・ファンタジア
1989年 ビートショット!!
1990年 哭きの竜 - 1991年
サーキットの狼II モデナの剣
1991年 おたくのビデオ 制作協力: スタジオ・ファンタジア
続・おたくのビデオ 制作協力: スタジオ・ファンタジア
炎の転校生 制作協力: スタジオ・ファンタジア
マネーウォーズ 狙われたウォーターフロント計画
1992年 KO世紀ビースト三獣士 制作協力、元請: アニメイトフィルムゼロGルーム
2000年 フリクリ - 2001年、共同制作: プロダクション・アイジー
2003年 サブマリン707R 制作協力、元請: グループ・タック
2004年 Re:キューティーハニー 共同制作: 東映アニメーション
トップをねらえ2! - 2006年

ウェブアニメ編集

ミュージッククリップ編集

実写作品編集

その他の作品編集

ゲームソフトウェア編集

ゲームの他にもCG集やデスクトップアクセサリー集なども発売。他社からも版権作品が発売されている。

関連施設編集

Shooting Bar EA
東京都武蔵野市御殿山にあるエアガンシューティングバー。

関連人物編集

参考資料編集

  • 岡田斗司夫、唐沢俊一眠田直『オタクアミーゴス!』(1997年、ソフトバンク
  • 岡田斗司夫『世紀の大怪獣!!オカダ 岡田斗司夫のお蔵出し』(1998年、イースト・プレス)
  • 中島紳介、斉藤良一、永島収『イデオンという伝説』(1998年、太田出版)
  • 岡田斗司夫、山本弘、小牧雅伸『空前絶後のオタク座談会1 ヨイコ』(2001年、音楽専科社)
  • 武田康廣『のーてんき通信 エヴァンゲリオンを創った男たち』(2002年、ワニブックス
  • 多田信『これがアニメビジネスだ』(2002年、広済堂出版)
  • 『ガイナックス・インタビューズ』(2005年、講談社

注釈編集

出典編集

  1. ^ 庵野秀明監督が初めて語る経営者としての10年(下) 週間ダイアモンドオンライン 2016年11月16日付
  2. ^ プロダクションI.Gが「フリクリFLCL」原作権をガイナックスより獲得  
  3. ^ .ANIME コラム
  4. ^ 竹熊健太郎編 『庵野秀明 パラノ・エヴァンゲリオン』 1997年、太田出版
  5. ^ 本社入居のビル跡地周辺はI-I街区(商業施設棟)となり、イトーヨーカドー武蔵小金井店となった。
  6. ^ 三鷹市下連雀移転後の跡地には小金井市立けやき保育園が立地
  7. ^ ぴあBOOKSHOP PIXAR ぴあ
  8. ^ 自己紹介と「はじめました」のご挨拶
  9. ^ アニメ会社に1億円支払い命令 庵野監督の古巣 共同通信2017年6月23日
  10. ^ 公式ブログとmixiをめぐる騒動について。”. ガイナックス (2007年4月27日). 2007年4月27日閲覧。 アーカイブ
  11. ^ ガイナックスの取締役がmixi日記での記述の責任を取って辞任”. GIGAZINE (2007年4月27日). 2007年4月27日閲覧。
  12. ^ エヴァの続編?正体は? ネギマン、ネット公開中 鳥取朝日新聞 2011年9月20日
  13. ^ GAINAX初実写TVドラマ、大橋裕之キャラデザの戦隊ものマイナビニュース 2012年2月23日
  14. ^ 主人公アリシアを操作し、稲妻攻撃と4人の下僕モンスターを任意に切り替えながら敵を倒していくアクションゲーム。稲妻はゲージを消費するため一定間隔でゲージを溜める必要があるが、稲妻攻撃自体は自動で狙いを定めてくれる。システム自体はゲームアーツの『テグザー』を流用しており、自機を女性キャラ、世界観をファンタジーにそれぞれ置き換えた作品に仕上がっている。難易度は高いがアクションゲームとしての完成度は高く、2018年のゲームムックの報告では2万円もの価格で中古品が取り引きされていることが明らかになっている。
    株式会社QBQ編 『懐かしのメガドライブ 蘇れメガドライバー !!』マイウェイ出版発行、2018年。ISBN 9784865118704 p98

関連項目編集

外部リンク編集