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トヨタ・スープラ

トヨタ自動車のスポーツカー

スープラSUPRA)は、トヨタ自動車が製造・販売しているスポーツカーである。

目次

概要編集

1970年代に北米で人気を博していたダットサン・フェアレディ280Zの対抗馬として、現地ディーラーからの直列6気筒クーペが欲しいという要望を受けて初代が開発された。この時はスペシャリティカー・ラグジュアリークーペの位置づけであったが、代を重ねるごとにスポーツ路線へと舵を切り、トヨタブランドのフラッグシップクーペにまで成長した。5代目では後部座席も取り外されるほどに走行性能が追求されている[1]

2代目まではセリカのボディに直6エンジンを載せたような存在で、北米では『セリカ・スープラ』を名乗っていた。また日本国内向けはスープラを2代目まで名乗らず、『セリカXX』という名前でトヨタカローラ店から販売されていた[2]1986年から2002年までの累計生産台数は28万5,280台。

初代から通して直列6気筒エンジンのみが搭載されていたが、2019年に復活した5代目ではそれに加えて直列4気筒エンジンも搭載される。

初代 A40型/50型(1978年-1981年)編集

 
北米仕様

セリカXX/北米スープラの初代モデル。

当時のアメリカでは「Xの列記」が映画の成人指定度合いを示すため、北米を含めた全ての輸出車は「Xの列記」を避けスープラと命名し発売された。

2代目 A60型(1981年-1986年)編集

 
北米仕様
 
セリカスープラ 初期型 北米仕様

セリカXX/北米スープラの2代目モデル。

日本国内仕様も1983年からドアミラーが認可された。

3代目 A70型(1986年-1993年)編集

トヨタ・スープラ(日本国内初代)
GA70/GA70H/JZA70/MA70型
日本仕様前期型2.0GTツインターボ
日本仕様後期型2.5GTツインターボR
販売期間 1986年6月 - 1993年
乗車定員 5人
ボディタイプ 3ドアファストバッククーペ
エンジン 2.0L 直6 1G-EU
2.0L 直6 1G-FE
2.0L 直6 1G-GEU
2.0L 直6 1G-GTEU
2.5L 直6 1JZ-GTE
3.0L 直6 7M-GTEU
駆動方式 FR
最高出力 105PS(1G-EU型)
135PS(1G-FE型)
140PS(1G-GEU型:1986年)
150PS(1G-GEU型:1988年)
185PS(1G-GTEU型:1986年)
210PS(1G-GTEU型:1989年)
240PS(7M-GTEU型)
270PS(7M-GTEU型:ターボA)
280PS(1JZ-GTE型)
変速機 4速AT/5速MT
サスペンション 4輪ダブルウィッシュボーン
全長 4,620mm
全幅 1,745mm
全高 1,300mm
ホイールベース 2,595mm
車両重量 1,500kg
ブレーキ 4輪ベンチレーテッドディスク
データモデル 2.0GT ツインターボ 5速MT(後期型)
先代 トヨタ・セリカXX(日本国内)
-自動車のスペック表-

A70型よりセリカから独立、日本国内でも北米仕様と同じ「SUPRA」という車名を採用。発売当時のキャッチコピーは「TOYOTA 3000GT」であり、1960年代の名車トヨタ・2000GTをイメージしていた[2]ソアラと共通のプラットフォーム(ただし補強は少ない)を使用し、当初の主なエンジンは、2Lは1G-EU、1G-GEU、そのツインターボ版1G-GTEU、3Lターボの7M-GTEUであった。

1986年6月にはエアロトップが発売され、1987年1月にはソアラと同時に7M-GTEUにも5速MTが設定され、それまでは輸出仕様のみに採用されていたブリスターフェンダーの3ナンバー仕様ボディーの「3.0GTリミテッド」が追加された。

1988年8月にはマイナーチェンジが行われ、フロントマスクおよびテールライトのデザインが変更された。1G-GTEU、7M-GTEUはハイオク仕様へ改良されパワーアップした。また3Lグレードは全て輸出仕様車と同様のワイドボディーとなった。

1989年8月に一部変更が行われ、ツインターボ版1G-GTE仕様にワイドボディが追加され、さらにE仕様もワイドボディ化。また3.0Lターボ仕様にTEMS、パワーシート、デジタルメーターを省略して価格を抑えた廉価仕様の「3.0GTターボS」が追加された。

モデル末期の1990年8月に最後のマイナーチェンジ。エンジンの変更やサスペンションの設定見直し等が主体となる。これまでの最上級グレード「3.0GT」系のエンジンを新たにX80系マークIIのスポーツグレードに採用された2.5Lツインターボ 1JZ-GTEに換装し、またサスペンションにドイツのビルシュタイン社と共同開発した専用ダンパーを採用[注 1]。タイヤもインチアップされ、スポーツカーとしての性能を大幅に引き上げた。そのためグレード名は「2.5GTツインターボ」に改称され、2.5Lモデルは、日本市場専用にラインナップされた。従来の3Lターボ仕様の7M-GTE搭載車は、引き続き北米および欧州市場で販売が継続された。また、外観では、フロントノーズのエンブレムが縦長のスープラ独自のものから1989年に発表された初代セルシオより採用されている新トヨタCIマークに変更されている。ちなみにこの「2.5GTツインターボ」は、当時のトヨタ車として初の280PSの5速MT設定車であり(AT仕様もあり)、当時の国産市販車の280PSクラスのレシプロエンジン車では2.5Lと最小排気量であった。

また、全日本ツーリングカー選手権グループA)のホモロゲーション取得用モデルとして7M-GTEに専用開発のターボAタービン(CT26型ベース)を搭載した3.0Lターボ車「ターボA」が、1988年8月のマイナーチェンジと同時に500台限定で販売され、価格は405万1千円であった。特徴はフロントバンパーセンター部の3連ダクトで、このダクトの形は「ターボAダクト」と呼ばれた。その他の特徴として、ボディカラー、ホイールも黒、内装は本革シートを採用し5速マニュアルのみの設定でメーター類はアナログのみとなる。吸入空気量測定方式を従来のLジェトロからDジェトロとした。インタークーラーも大型の物が装着され、最高出力は量産型の240PSから270PSにまでパワーアップされた。サスペンションはバネ定数やダンパーの減衰力を高め、前後スタビ径を拡大した専用のものに変更されている。

搭載エンジンについて詳細は以下。

形式 項目\年代 1986年2月 - 1987年1月 - 1988年8月 - 1990年8月 -
1G-EU 排気量
形式
最高出力
最大トルク
1,988cc
OHC-自然吸気
105PS/5,200rpm
16.0kgf·m/4,000rpm



   
1G-FE 排気量
形式
最高出力
最大トルク
    1,988cc
DOHC-自然吸気
135PS/5,600rpm
18.0kgf·m/4,400rpm
 
1G-GEU 排気量
形式
最高出力
最大トルク
1,988cc
DOHC-自然吸気
140PS/6,400rpm
16.5kgf·m/4,600rpm



17.6kgf·m/4,000rpm


150PS/6,400rpm
18.6kgf·m/5,600rpm



1G-GTEU 排気量
形式
最高出力
最大トルク
1,988cc
DOHC-ツインターボ
185PS/6,200rpm
24.5kgf·m/3,200rpm





210PS/6,200rpm
28.0kgf·m/3,800rpm



7M-GTEU 排気量
形式
最高出力
最大トルク
 
2,954cc
DOHC-ターボ
230PS/5,600rpm
33.0kgf·m/4,000rpm
 




 


240PS/5,600rpm
35.0kgf·m/3,200rpm
(※1)
 
1JZ-GTE 排気量
形式
最高出力
最大トルク
      2,491cc
DOHC-ツインターボ
280PS/6,200rpm
37.0kgf·m/4,800rpm

(※1)最高出力270PS/5,600rpm/最大トルク36.5kgf·m/4,400rpmのターボA仕様有り

4代目 A80型(1993年-2002年)編集

トヨタ・スープラ(日本国内2代目)
JZA80型
販売期間 1993年5月 - 2002年8月
乗車定員 4名
ボディタイプ 3ドアクーペ
エンジン 2JZ-GE型:
2,997cc 直列6気筒DOHC
2JZ-GTE型:
2,997cc 直列6気筒DOHCツインターボ
駆動方式 後輪駆動
最高出力 2JZ-GE型:
165kW (225PS)/6,000rpm
2JZ-GTE型:
206kW (280PS)/5,600rpm
最大トルク 2JZ-GE型:
284N・m (29.0kgf・m)/
4,800rpm
2JZ-GTE型:
431N・m (44.0kgf・m)/
3,600rpm
1993年5月-1997年8月
451N・m (46.0kgf・m)/
3,600rpm
1997年8月-2002年8月
変速機 5速MT
6速MT
4速AT
サスペンション 前:ダブルウィッシュボーン式コイルスプリング
後:ダブルウィッシュボーン式コイルスプリング
全長 4,520mm
全幅 1,810mm
全高 1,275mm
ホイールベース 2,550mm
車両重量 1,410-1,570kg
1993年5月-1995年5月
1,410-1,540kg
1995年5月-1996年4月
1,430-1,510kg
1996年4月-2002年8月
ブレーキ 前:ベンチレーテッドディスク
後:ベンチレーテッドディスク
-自動車のスペック表-

THE SPORTS OF TOYOTA」をキャッチコピーに、A80系スープラは1993年にデトロイトモーターショーにて公開され、同年5月に販売開始された。日本では2代目にあたる。

シャシーはスポーツラグジュアリークーペのソアラ(Z30系)に採用された、前後サスペンションがダブルウィッシュボーン方式(フロントアッパーアームがアルミ鍛造のローマウント式)で、A70系より改良が行なわれている。Z30系ソアラとのシャシーの大きな違いは燃料タンクの位置で、ソアラがリアシート背後なのに対し、より全長の短いスープラでは重量配分や前後オーバーハングの長さを適正化すべくトランク下に移設されている。

エンジンは直6 3L 2JZ系に変更され、新開発の電子制御サブスロットルシステム「ETCS」が初搭載された(このETCSは後に改良型の1JZ-GTEへ技術転用されている)。


NA仕様(クラウンなどと同一型式のエンジン)で225PS、ターボ仕様はアリスト(JZS147系)に搭載されていたシーケンシャル方式ツインターボ(トヨタは「2ウェイツインターボ」と呼称)で、最高出力が280PS、最大トルクは44kgf·m(1993年 - 1996年)を発生した。

また、当時の日本産国内向け乗用車としては初となる6速MT(ドイツ・ゲトラグ社とトヨタとの共同開発)を搭載した。なお上級モデルには17インチタイヤ・ホイールとそれに対応した大型ブレーキキャリパー(前・対向4ポット 後・対向2ポット)と大径ローターを装備するものの、発売当初はアメリカ専売モデルのみの採用で、日本国内モデルへは当時の運輸省の認可が下りなかったために翌年まで持ち越された。

1994年8月にマイナーチェンジ。先述の17インチタイヤ・ホイール&大径ブレーキ(ABSも専用のスポーツABSとなる)装着車の追加(発売当初、ホイールの色がターボ車がガンメタリック、NAはシルバーだったが、後に全てシルバーに統一)、グレード体系の一部見直し(RZ-SとSZ-Rの追加)が行われた。RZは6速MTのみの設定と17インチが標準、RZ-SはATと6速MTの設定で17インチはオプション、SZ-RはATの設定は無く、前期がアイシン製5速MTのみで後期よりSZ-R専用ギア比のゲトラグ製6速MTが標準となった。ちなみにGZとSZは変更なし。

1996年4月に再びマイナーチェンジ。内外装の小変更が行われ、最上級グレードのGZはカタログから消滅。それに伴いターボのエアロトップ仕様もラインナップより消えている。NAエンジンのSZ-RにもRZと同じゲトラグ社製6速MTが改良され搭載された。また全車にABS、デュアルエアバッグが標準装備された。

1997年8月に最後のマイナーチェンジ。同一型式のエンジンを積むアリストが2代目(JZS16#系)へとフルモデルチェンジし、それに伴いA80系スープラもエンジンをVVT-i化された(NAの2JZ-GEは変更なし)。これにより最高出力はそのままながら、最大トルクは46kg-mへ増加、燃費や扱いやすさも向上している。同時に電子制御スロットルも「ETCS-i」へと変更されている。また、サスペンションに「REAS(Relative Absorber System, リアス、相互連携アブソーバーシステム)」を採用。これは左右のダンパーをオイルラインで結び、走行状況に応じてオイルを左右に循環させ、左右の減衰力差を発生させるもので、ヤマハ発動機とトヨタが共同開発したものである。このREASは、後に進化版が同じトヨタのハイラックスサーフクラウンアスリートVX(特別限定車)に「X-REAS」として搭載されている。これ以外にもボディ補強などの小変更が行われた。

1999年8月、SZの後輪に245タイヤを採用(フロントは225のままで前後異サイズとなった)。

2002年8月、「平成12年度自動車排出ガス規制」に対応できなかったため(同一型式のエンジンを搭載するアリストはターボ・NAともに対応)生産を終了した。

高剛性のボディや頑丈で強力なエンジンに加え、トヨタ車におけるスポーツフラッグシップ車であったことから、TRD等のメーカー直系だけでなく、他社からも多くのアフターパーツが発売された。チューニングの度合いによっては1000馬力を超えるほどのパワーを出すことすら可能であるため、2017年現在でもチューニングベースとして使用されることが多い。

また映画の初代ワイルド・スピードでは主人公のブライアンがスープラをメインに使っていたことから、北米ではカルト的な人気がある[3]


5代目 DB型(2019年-)編集

トヨタ・スープラ(日本国内3代目)[4]
DB82/DB22/DB42型
RZ
SZ-R
SZ
製造国   オーストリア
販売期間 2019年5月17日 -
乗車定員 2名
ボディタイプ 3ドアクーペ
エンジン B48型[注 2]
1,998cc 直列4気筒 直噴DOHCターボ
B58型[注 3]
2,997cc 直列6気筒 直噴DOHCターボ
駆動方式 後輪駆動
最高出力 B48型[注 4]
145kW (197PS)/4,500rpm
B48型[注 5]
190kW (258PS)/5,000rpm
B58型[注 6]
250kW (340PS)/5,000rpm
最大トルク B48型[注 4]
320N・m (32.7kgf・m)/
1,450-4,200rpm
B48型[注 5]
400N・m (40.8kgf・m)/
1,550-4,400rpm
B58型[注 6]
500N・m (51.0kgf・m)/
1,600-4,500rpm
変速機 8速スポーツAT
サスペンション 前:マクファーソンストラット式コイルスプリング
後:マルチリンク式コイルスプリング
全長 4,380mm
全幅 1,865mm
全高 1,295mm[注 7]
1,290mm[注 8]
ホイールベース 2,470mm
車両重量 1,410-1,520kg
ブレーキ 前:ベンチレーテッドディスク
後:ベンチレーテッドディスク
製造事業者 BMWマグナ・シュタイア
-自動車のスペック表-

2002年に生産を終了してから17年後に復活した5代目は、トヨタが2011年から技術提携を結ぶBMWとの共同開発車となる。開発責任者は“弟分”となる86SUBARUとの共同開発)においても手腕を発揮した多田哲哉が担当した。また「味付け」は成瀬弘の直弟子である、ヘルフィ・ダーネンスに一任されている[5]

開発コストの低減を考慮し、車両構成の基礎となるエンジンやシャシーなどのプラットフォームBMW・Z4の第3世代モデル(G29型)と共有し、車両の製造に関してもZ4と同じくオーストリアの自動車製造会社であるマグナ・シュタイアが担当する[6]。このため、製造事業者はBMW(Bayerische Motoren Werke AG)名義。

スープラはZ4をハードトップにして外観デザインを変えただけの車と思われることも多いが、実際は開発の初期段階でエンジンやプラットフォームを共通にすることを決めた後は、両車とも完全に別々に開発を行っている。[7]

5代目ではトヨタのスポーツモデル専用ブランド「GR」初の専売車種となり、車名にも「GR」が冠された。したがって、5代目スープラには「TOYOTA GR SUPRA」(トヨタ・ジーアール スープラ)の別名が与えられた(国土交通省へ届け出た車種名は「トヨタ・スープラ」のまま)。 また、他の車種には「車名+GR」となっているが、GRスープラはGRの専売であるため、「GR+車名」のネーミングが用いられ差別化されている。(GRスープラは、GRシリーズ初のグローバルモデルとなっている。)

メカニズム編集

前述のとおりプラットフォームはトヨタとBMWの共同開発になるが、その目的は歴代モデルからの伝統となる「直列6気筒エンジン+後輪駆動(FR方式)」というパッケージングを実現するためであった。5代目の開発プロジェクトが開始された2012年当時に直列6気筒エンジンを世界で唯一製造していた自動車メーカーがBMWであった。 シャシーは、ホイールベースとトレッドの比率(走りの“黄金比”とも呼ばれる)を1.6以下にすることを目標に開発が行われた結果、目標値の1.6を大きく下回る1.55を実現した。そして4代目よりも旋回性能を向上させるべく、歴代モデルとしては初となる純2シーター化に踏み切った。これによってホイールベースが弟分となる86(2+2シーター)より100mmも短い2,470mmとなり、車両の前後重量配分比率が50:50[8]となった。さらに水平対向エンジンを搭載して460mmの低重心化を実現した86よりも一層の低重心化が図られている。これらに加え86と比較して約2.5倍に向上させた車体剛性は、高価なCFRP(カーボンファイバー)素材を用いたレクサス・LFAをも凌駕する[9]。また、車両の乾燥重量は1,410Kgから1,520kgと先代(A80型)とほぼ同数値となっている。 O エンジンはBMW製のものが搭載され、歴代モデルからの伝統となる直列6気筒エンジンに加え、初の直列4気筒エンジンが用意される。6気筒は排気量2,998ccのDOHC直噴ツインスクロールターボエンジン「B58B30-M1」型で、最高出力は250kW(340PS)、最大トルクは500N·m(51Kgf·m)である。そして4気筒は排気量1,998ccのDOHC直噴ツインスクロールターボエンジン「B48B20」型で、標準型145kW(197PS)・320N·mと高出力型190kW(258PS)・400N·mの異なる2種類のチューニングが施されたものが用意されている[10]。なお4気筒エンジン搭載車に関しては、日本のように排気量で自動車税の税額を決定する地域に仕向けたものであり、そのような制度が存在しない北米においては展開されない[11]。トランスミッションは6気筒、4気筒エンジン搭載車ともにZF製の8段変速ATである「8HP」型が組み合わされ、MTはトルク容量増大に伴うシフトフィールの悪化を懸念した多田の意向により設定されていない[12]

マフラーは騒音規制に合わせて仕向地ごとに合わせて開発されており、BMWからも評判が良かったことから兄弟車のZ4にもトヨタがスープラ向けに開発したマフラーが採用されている[13]。また低燃費車を多くラインナップに持つトヨタはCAFE(メーカー別平均燃費)を余裕でクリアしているので、ガソリンを噴く過激なアフターファイアーを実現することが可能となっている[14]

正式に開発が始まってから最初の2年間は、車体の構成に不可欠な主要部品をBMWと共同開発したのちにトヨタ側は5代目スープラ、BMW側では第3世代型のZ4を開発するチームが別個に立ち上げられ、互いの車両の構想を練った後に共有できるものは両車種で共有するという、通常の自動車開発における手順とは異なる手法が執られた[15]。そのため、バンパー等の外装デザインとサスペンション等のセットアップが僅かに違うだけの“双子車”であった86とスバル・BRZに比べ、各々で開発目標が異なる5代目スープラとZ4(G29型)では車体形状(スープラはクーペ、Z4はオープンカー)から大きく異なっている。

デザイン・パッケージング編集

初代(A40/50型)より続く「ロングノーズ・ショートデッキ」と呼ばれるパッケージングを5代目でも踏襲した。これは車体前方部を長く車室内部分を短く構成するというFRの2ドアクーペ特有のもので、トヨタブランド車では1967年に発表・発売された2000GTから伝統的にFRの2ドアクーペ車で採用されてきたものである。全長は2シーター化によって先代(A80型)から140mm短縮され、それに伴いホイールベースも80mm短縮された。しかし全幅は55mm広くなり、全高は15mm - 2mm高くなっている。

装備編集

安全性能においては、ミリ波レーダー+単眼カメラ方式のプリクラッシュセーフティ、ブラインドスポットモニター、レーダークルーズコントロール(全車速追従機能付)、レーンディパーチャーアラートが全車に標準装備されている。

また、車載通信機DCMが全車に標準搭載されており、iPhone専用アプリや専用ユーザーサイトを利用して車両の遠隔操作や確認が可能な「リモートサービス」、バッテリー電圧低下を自動的にメールで通知する「バッテリーガード」といった専用コネクティッドサービス「Toyota Supra Connect」が提供されるほか、CarPlayに対応している。

さらに、販売店装着オプションとして、車両情報記録装置「Toyota GAZOO Racing Recorder」が用意されている。この装置はドライバーの操作情報(アクセル・ブレーキ・ステアリング・シフトポジションなど)、車速、エンジン回転数、加速度など各種センサーの値、および車両の位置と方位情報をSDメモリーカードに記録するデータロガーとなっており、SDメモリーカードに記録された情報は専用アプリを用いて表示することが可能なほか、トヨタが奨励する別売りのソニー製アクションカムの動画の場合は記録した情報と自動で時間同期して再生されるほか、Bing Maps上に走行軌跡を表示・再生することも可能である。

年表編集

2011年12月1日
BMWグループとトヨタ自動車は、次世代環境車・環境技術における中長期的な協力関係の構築に向けた覚書に調印したと発表[16]
2012年6月29日
BMWグループとトヨタ自動車は、2012年12月に締結した両社の戦略的な協力関係を強化することを発表[17]
「FCシステムの共同開発」「スポーツカーの共同開発」「電動化に関する協業」「軽量化技術の共同研究開発」という4つのテーマで、長期的な戦略的協業関係構築を目指していく覚書に調印した。
2013年1月24日
BMWグループとトヨタ自動車が協業に関する正式契約を締結[18]
契約内容のうち「スポーツカーの共同開発」においては、ミッドサイズのスポーツカーに搭載する共通のプラットフォームのコンセプトを決定するための検討を開始することで合意。
2014年1月13日
2014年北米国際自動車ショー(デトロイトモーターショー)にクーペデザインコンセプト「TOYOTA FT-1」を出展[19]
設立40周年を迎えたトヨタ自動車の米国デザイン拠点「Calty Design Research, Inc.」(CALTY)がデザインを担当。フロント・サイドガラスのカーブ形状などに「トヨタ 2000GT」を彷彿とさせるデザインを採り入れた。
「FT-1」のネーミングは「FT」が「Future Toyota」を、「1」は「頂点」を表している。
 
FT-1コンセプト
2018年3月6日
第88回ジュネーブ国際モーターショーにおいて「GR Supra Racing Concept」を世界初公開[20]
「GR Supra Racing Concept」は、TOYOTA GAZOO Racingが手がけるスポーツカーシリーズ「GR」のスタディモデルとして製作された。開発は、欧州のモータースポーツ活動拠点であるトヨタモータースポーツ有限会社(Toyota Motorsport GmbH)が担当した。
2018年7月6日
市販モデルを2019年前半に発売すると発表[21]
2018年7月25日
イギリスで開催された「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード」にて開発中の試作車で走行を披露[22]
2019年1月14日
2019年北米国際自動車ショー(デトロイトモーターショー)において、新型スープラを世界初披露[23]
記者発表の壇上には、トヨタ自動車代表取締役社長の豊田章男が赤、F1の元世界王者で2018年にTOYOTA GAZOO Racingドライバーとしてル・マン24時間レースを制覇したフェルナンド・アロンソがグレーのスープラで登場した[24]
2019年3月25日
同年3月初旬、新型スープラが、オーストリアマグナ・シュタイア グラーツ工場(Magna Steyr Graz Plant)でラインオフした、と発表[25]
量産第一号車は、車両識別番号が「20201」(スープラのモデルイヤー「2020」と量産第一号車を示す「1」)で、エンジンカバーに豊田章男社長の直筆サインが入った特別なモデルである。エクステリアはマットグレーのボディカラーに赤いドアミラーカバー、ツヤ消しブラックのホイールを採用。インテリアはレッドの革シートで、ダッシュボードにカーボン装飾が施された。本車両は、世界最大級の名車オークションである「バレットジャクソン・オークション」に出品され、同年1月19日に210万ドル(約2億3,000万円)で落札された。収益金は全額、アメリカ心臓協会などに寄付される予定である、と公表された。
2019年5月17日
日本で正式にフルモデルチェンジを発表・発売された[26]
日本仕様車はマグナ・シュタイヤー グラーツ工場で生産された車両を海路にて運ばれた後、元町工場を経由しユーザーに届けられる。取扱店はトヨタ販売店全チャネル(東京都はトヨタモビリティ東京およびトヨタ西東京カローラ、ネッツトヨタ多摩、ネットトヨタ東都)となる。
グレード体系は2.0L・B48型エンジン搭載車の「SZ」と「SZ-R」、3.0L・B58エンジン搭載車の「RZ」の3グレードを設定。
なお、「RZ」のうち、ボディカラーの「マットストームグレーメタリック」については、2019年度分の生産が24台となることから、発売から6月14日までの約1か月間限定で専用Webサイトにて商談申し込みの受付を行い、抽選を経て、6月22日 - 23日に行われる第47回ニュルブルクリンク24時間耐久レースの決勝当日に商談順が発表される。

モータースポーツ活動編集

A70系編集

世界ラリー選手権(WRC)でグループB規定およびグループS構想が急遽廃止された際、グループAセリカST165 GT-Four登場までの代役として1987年 - 1988年にスープラが参戦。元々ラリー向けの車両ではない・熟成の時間が取れない・FR車という三重苦の中、サファリ・ラリーで3位表彰台を獲得している。またWRC以外にも登場し、1987年にビョルン・ワルデガルドが香港ー北京ラリーで総合優勝を飾っている[27]

全日本ツーリングカー選手権(JTC)には1987年から参戦。デビュー戦で優勝を飾ったが、その後はレギュレーション変更によって重量増加がなされたため、フォード・シエラ日産・スカイラインに追従できず、1990年限りで撤退した。

北米のIMSAではトヨタのセミワークスであったオール・アメリカン・レーサーズ(AAR)が採用し、GTUクラスで10勝を挙げている[28]。1991年にはオーストラリアで初開催されたバサースト12時間耐久レースに登場し、フォード・レーザー三菱・ギャランなどを破って初代優勝車となった。

A80系編集

全日本GT選手権 - SUPER GTのGT500クラスで、日産・スカイラインGT-Rホンダ・NSXと長きに渡る戦いを繰り広げた。2002年の生産終了後も2006年レクサス・SCに交代するまで活躍し、1997年トムス、2001年セルモ、2002年チームルマン、2005年セルモの4度チャンピオンに輝いている。なおエンジンは1994年のデビュー2戦のみ2JZ-GTEであったが、翌年 直4ターボ3S-GTE、2003年からはV8 NAエンジンの3UZ-FE(排気量は参戦年度により異なる)に変更された。またサスペンションなどは参戦当初においてトヨタ・TS010のパーツを流用したものに変更された。

耐久では1995・1996年にSARDスープラLM-GTル・マン24時間レースに参戦。2000年にはタイヤメーカーのファルケンニュルブルクリンク24時間に参戦し、一時総合3位を走行したが、クラッシュによりリタイアした。2007年スーパー耐久第3戦・十勝24時間レースでは、2005年のSUPER GTで使用された車両をベースにレース用ハイブリッドシステムを搭載したスープラHV-Rが参戦、総合優勝を果たした。これはトヨタ史上初のハイブリッドレーシングカーによるレース優勝でもあった。

ドリフトでも活躍し、織戸学のRS・RスープラがD1グランプリに参戦していたことが有名である。また2008年のD1ストリートリーガルにはセリカのフロント部を移植した車両が、松井有紀夫のドライブで参戦している。アメリカのフォーミュラ・ドリフトでも2017年現在も用いられている。

A90型GRスープラ編集

GRスープラは、市販車の発表よりも早くモータースポーツに絡めたプロモーションが行われており、2018年にはTMGがデザインしたLM-GTE仕様[29]NASCARエクスフィニティ・シリーズ仕様、2019年初頭にはGT500、FIA-GT4仕様と、市販車発売前に4種類ものレーシングコンセプトカーが公式発表されている。市販車のプロトタイプも、2018年10月のVLN(ニュル耐久シリーズ)に「スープラA90」としてエントリーし、モリゾウ(豊田章男社長)含む3人のテストドライバーがドライブ。クラス2位で完走した[30]

D1グランプリでも、やはり市販より早く、川畑真人斎藤太吾がドリフト仕様のGRスープラを公開。わずか42日の突貫作業で開発された斎藤のスープラは、心臓部にA80系の2JZ-GTEを搭載し、800psを発生する。

市販直後の2019年6月にはTOYOTA GAZOO Racingがニュルブルクリンク24時間のSP8Tクラスに投入。モリゾウを含むテストドライバー中心のラインナップだったが、総合41位・クラス3位で完走を果たしている[31]

また近年発展を遂げているe-Motorsportにも公式に参入し、グランツーリスモとの提携で『GR Supra GT Cup』を開幕している。


ギャラリー編集

車名の由来編集

  • ラテン語で「至上かつ最高」「上へ」「超えて」といった意味を持つ[注 9]

脚注編集

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注釈編集

  1. ^ ビルシュタイン製ショックアブソーバーが装着されていたグレードは2.5ターボRのみ、その他はTEMS付き、またはスタンダードショックアブソーバが装着されていた。また、2.5ターボRにはレカロ社製シート、MOMO社製ステアリングが装着されていた。
  2. ^ 「SZ」・「SZ-R」に搭載
  3. ^ 「RZ」に搭載
  4. ^ a b 「SZ」
  5. ^ a b 「SZーR」
  6. ^ a b 「RZ」
  7. ^ 「SZ」・「SZ-R」
  8. ^ 「RZ」
  9. ^ 英語のsuperに相当する。

出典編集

  1. ^ 夢と希望の スープラ ヒストリー…セリカXX 誕生から40年の歴史を振り返るRESPONSE.JP 2018年4月25日(水) 12時00分
  2. ^ a b 『昭和55年 写真生活』(2017年、ダイアプレス)p86
  3. ^ 世界初公開!新型スープラ、伝統を守った部分と変革した部分 山本晋也Car Me 2019年1月15日
  4. ^ トヨタ スープラ カタログ 2019年5月版 49ページ 主要諸元表”. トヨタ自動車株式会社. 2019年5月20日閲覧。
  5. ^ GRスープラがついに日本で発売! 「直6」、「FR」で歴代のDNAを受け継ぐ クルマ グーネット 2019年5月17日
  6. ^ トヨタ スープラ 新型は欧州製、BMW Z4 と同じ工場で生産へ…マグナが生産を受託 Response.jp 2019年1月17日
  7. ^ スープラはBMW Z4なのか? (1/6)” (日本語). ITmedia ビジネスオンライン. 2019年7月1日閲覧。
  8. ^ 直列4気筒エンジン搭載車の場合。
  9. ^ トヨタ新型スープラ(日本仕様)国内最速試乗レポート!【レーシングドライバー飯田 章 × モータージャーナリスト桂 伸一】 web option 2018年12月8日
  10. ^ トヨタ、新型「スープラ」(日本仕様)詳細。直6エンジンは340PS/500Nm、直4エンジンは258PS/400Nmと197PS/320NmCar watch 2019年1月15日
  11. ^ Toyota Won’t Offer Four-Cylinder Supra In The U.S. Toyota Won’t Offer Four-Cylinder Supra In The U.S. motor1.com 2019年1月15日
  12. ^ 「スポーツカーにMTって、まだ必要ですか?」スープラ開発責任者・多田哲哉氏に聞く(後編) 藤野 太一 2018年3月29日(木)
  13. ^ 【トヨタ スープラ 新型】「最短でスープラを出すには、BMWの直6しかなかった」多田哲哉CEインタビュー[後編]RESPONCE.JP 2019年6月7日
  14. ^ 車高を低くしたらアゴを擦る? それならこうして解決! トヨタ・スープラ開発責任者の多田哲哉さんが激白「BMW Z4とはこんなに違う」MotorFan 2019年5月31日
  15. ^ トヨタ「スープラ」とBMW「Z4」、両開発チームの協力関係は2014年から途切れていたことが明らかに!Autoblog.jp 2018.10.01
  16. ^ “BMWグループとトヨタ、環境技術における中長期的な協力関係の構築に合意” (プレスリリース), トヨタ自動車株式会社, (2011年12月1日), https://newsroom.toyota.co.jp/jp/detail/1492823 
  17. ^ “BMWグループとトヨタ、協力関係強化で合意― FCシステム、スポーツカー分野での協業に向けた覚書に調印 ―” (プレスリリース), トヨタ自動車株式会社, (2012年6月29日), https://newsroom.toyota.co.jp/jp/detail/1606850 
  18. ^ “BMWグループとトヨタ、協業に関する正式契約を締結― FCシステム、スポーツカー、軽量化分野での協業に着手、リチウム空気電池技術の共同研究も開始 ―” (プレスリリース), トヨタ自動車株式会社, (2013年1月24日), https://newsroom.toyota.co.jp/jp/detail/1786531 
  19. ^ “トヨタ自動車、2014年北米国際自動車ショーにクーペデザインコンセプト「TOYOTA FT-1」を出展” (プレスリリース), トヨタ自動車株式会社, (2014年1月13日), https://newsroom.toyota.co.jp/jp/detail/1024325 
  20. ^ “TOYOTA、ジュネーブモーターショーで「GR Supra Racing Concept」を世界初公開-「スープラ」が16年ぶりにレーシングカーコンセプトとして復活-” (プレスリリース), トヨタ自動車株式会社, (2018年3月6日), https://newsroom.toyota.co.jp/jp/toyota/21234911.html 
  21. ^ “TOYOTA、「スープラ」で2019年のNASCARエクスフィニティ・シリーズに参戦-市販モデルは2019年前半に販売を開始-” (プレスリリース), トヨタ自動車株式会社, (2018年7月6日), https://newsroom.toyota.co.jp/jp/toyota/23283971.html 
  22. ^ “TOYOTA、「スープラ」試作車の走行を英国で初披露-「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード」で直列6気筒のサウンドが響く-” (プレスリリース), トヨタ自動車株式会社, (2018年7月25日), https://newsroom.toyota.co.jp/jp/toyota/23596679.html 
  23. ^ “TOYOTA、デトロイトモーターショーで新型スープラを世界初披露-「GR」シリーズ初のグローバルモデル-” (プレスリリース), トヨタ自動車株式会社, (2019年1月14日), https://newsroom.toyota.co.jp/jp/toyota/26144305.html 
  24. ^ “TOYOTA、デトロイトモーターショーで新型スープラを世界初披露” (プレスリリース), トヨタ自動車株式会社, (2019年1月14日), https://newsroom.toyota.co.jp/jp/toyota/26144305.html?padid=ag478_from_kv 
  25. ^ “新型スープラ ラインオフ” (プレスリリース), トヨタ自動車株式会社, (2019年3月25日), https://global.toyota/jp/newsroom/toyota/27289530.html 
  26. ^ “TOYOTA、新型スープラを発売” (プレスリリース), トヨタ自動車株式会社, (2019年5月17日), https://global.toyota/jp/newsroom/toyota/28086838.html 
  27. ^ 『RALLY CARS ― TOYOTA CELICA GT-FOUR』三栄書房刊行 2018年5月27日 8 - 10ページ
  28. ^ "The Angriest Celicas by Matthew Hayashibara, Sports Compact Car, September 1999".
  29. ^ スープラ、来年復活へ トヨタ、欧州のディーゼルは撤退
  30. ^ トヨタ新型スープラ、レースデビュー Response 2018年10月23日
  31. ^ ニュル24時間:トヨタ、GRスープラとLCがダブル完走。豊田代表「すべての悔しさが、ずっと私のブレない軸。今日も悔し涙を流した」AS-web 2019年6月24日

関連項目編集

外部リンク編集