明星中学校・高等学校 (大阪府)
明星中学校・高等学校(めいせいちゅうがっこう・こうとうがっこう、英: Meisei Junior/Senior High School)は、大阪府大阪市天王寺区餌差町にある私立中学校・高等学校。
明星中学校・高等学校 | |
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過去の名称 |
明星学校 (1898) 明星商業学校 (1900) 明星工業学校 (1944) 明星商業学校 (1945) 明星中学校 (1946) |
国公私立の別 | 私立学校 |
設置者 | 学校法人大阪明星学園 |
校訓 |
地の塩・世の光 よき明星紳士たれ! |
設立年月日 | 1898年9月1日 |
創立者 | ヨゼフ・ウォルフ(マリア会) |
共学・別学 | 男女別学(男子校) |
中高一貫教育 | 併設型 |
課程 | 全日制課程 |
単位制・学年制 | 学年制 |
設置学科 | 普通科 |
学期 | 3学期制 |
学校コード |
C127310000050 中学校) D127310000085 (高等学校) | (
高校コード | 27523K |
所在地 | 〒543-0016 |
外部リンク | 大阪明星学園 明星中学校・明星高等学校 |
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ミッションスクールで男子校であり、明治から続く学校では現在大阪府で唯一である。マリア会による日本で3番目の設立で、カトリックを教義とする。
概要
大阪で明治期に設立された中等教育の学校ではキリスト教主義学校が多くいくつかあるが、ほとんどが女子校であり、現在まで男子校である唯一の学校である。
マリア会(フランス)設立のカトリックによるミッションスクールであり、暁星中学・高校、海星中学・高校 (長崎県)、札幌光星中学・高校と同じく聖母マリアを示す”星”を中心に据え、本校の屋上には「明星」に学ぶ生徒たちを温かく優しい眼差しで見守る「聖母マリア像」がある。
現在の校地に移転したのは1903年(明治36年)のことである。当初は外国語学校であり、その後高等小学校を開くが、いずれも生徒が集まらず、商都・大阪という立地を考え、商業学校として再スタートしてからは次第に人気が集まり、校舎が手狭になるほどだったという[1]。
かつては野球部が私学7強として有名であり、1963年(昭和38年)には第45回全国高等学校野球選手権大会で優勝、以後の10年で5回の夏の甲子園出場を果たしている。サッカー部もまた、1965年(昭和40年)の第44回全国高等学校サッカー選手権大会で優勝を果たしている。当時は入試でスポーツ推薦枠もあったが、現在は廃止されている。
昭和50年代からは進学校としての道を歩み、東大・京大・阪大・神戸大や関関同立に合格している。
2012年度入学生から6ヵ年課程・3ヵ年課程それぞれにコース制を再開。週6日制となっている。
近隣には、高等学校や中高一貫校が多い。現在の校地は、大坂冬の陣・夏の陣の折に真田幸村が構築したとされる大阪城の出城であった真田丸が所在した地の跡地に当たると比定され、現在はそのことを示す顕彰碑が敷地内に設置されている[2][3]。
沿革
- 1898年 - 日本マリア会管区長ヘンリックより初代校長ウォルフに学校設立の命が与えられ、大阪市西区江戸堀北通1丁目(現:江戸堀1丁目)に「明星学校」が設立。
- 1901年 - 大阪市南区千年町(現:中央区東心斎橋2丁目)に移転。生徒数50人。
- 1902年 - 文部省より甲種商業学校に認定。「明星商業学校」となる。
- 1903年 - 大阪市東区餌差町(現:天王寺区餌差町)の現在の敷地(真田丸跡)を購入。第1回卒業式挙行(卒業生5人)。生徒数238人。
- 1904年 - 現在の校地に移転。木造校舎が落成。以後、増改築を重ねる。
- 1905年 - 第1回陸上大運動会(現在の体育祭)開催。
- 1908年 - 「明星商業学校同窓会」発足。
- 1915年 - 図書館開設。
- 1944年 - 「明星工業学校」に転換。
- 1945年 - 戦災により、木造校舎が全焼。
- 1946年 - 明星中学校(旧制)として再建。
- 1947年 - 新制明星中学校設立。
- 1948年 - 新制明星高等学校設立。
- 1951年 - 学校法人大阪明星学園設立。
- 1952年 - マリア会総長ジョルゲンス師来校。
- 1957年 - マリア会教育長フェリー師来校。聖母像除幕式挙行。
- 1958年 - 新校舎落成。
- 1963年 - 第45回全国高等学校野球選手権大会優勝。
- 1965年 - 第44回全国高等学校サッカー選手権大会優勝。
- 1969年 - 明星会館落成。
- 1979年 - 第4回全日本高等学校選抜ソフトテニス大会優勝。
- 1983年 - 第8回全日本高等学校選抜ソフトテニス大会優勝。
- 1992年 - 第15回全日本アンサンブルコンテスト金賞受賞。
- 2002年 - 中高一貫教育コースである、「エスポアール」設置。
- 2005年 - 高校新入課程のI類・II類を廃止し、高校に「ルミエール」新設。
- 2012年 - 「エスポアール」「ルミエール」制を廃止し、「6カ年一貫コース(特進コース・英数コース)」・「3カ年コース(文理選抜・文理)」設置。
- 2016年 - 2月1日、敷地内に真田丸の跡地として顕彰碑が設立される[2][3]。
- 2023年 - 創立125周年を迎える。
特色
- 卒業生は3万人を超える。
- フランスのマリア会を母体としている。
- 校名は聖母マリアの称号の一つである「明けの明星(みょうじょう)」に由来する。校章は、聖母マリアの象徴である「星」を中央に据え、聖母マリアの勝利の「月桂樹」を周りに配したものである。
- 制服は金ボタン7個の黒詰襟学生服。1995年までは制帽もあった。
- 全教室に「地の塩、世の光」という聖句と絵画が入った額縁と、マリア像が描かれた時計が飾られている。
- 正門横に、聖堂がありクリスマスなどにはミサが行われる。
- 授業開始のベルには校歌、授業終了のベルには「アヴェ・マリア」が流れる。
- 25mプール、大講堂、聖堂、638席ある食堂、3つの体育館、2つのICT教室、広いグラウンド、クラブハウス、4面のオムニコート、蔵書5万冊の図書館など様々な設備が充実している。またエレベーター、地下駐車場、職員トイレは生徒の利用が禁止されている。
- 長髪や染髪、脱色などは禁止されており、月1回の頭髪検査がある。
- 自転車通学は禁止されている。
- 携帯電話の持ち込みは禁止されていたが、2018年6月の大阪府北部地震を受けて、許可制で持込可となった。登校後、ロッカーにしまうように指導されており、持ち込み許可を受けた場合でも、校内および登下校中の使用は緊急時以外禁止されている。
- 年1回の体育祭では、「ビン釣り競走」「ラケット玉運び」「そろそろいそげ」など、本校特有の競技がある。
教育課程
本校では、履修漏れが無いことが確認済みである。ただし、大学受験に関係の薄い教科・科目の履修は卒業に必要な最低限度に抑えられている。
中学では中2までに数学、英語、国語については中学課程を終わらせる授業を行っている。
2012年から、エスポアールコース・ルミエールコース制、ならびに週5日制による「土曜セミナー」(土曜日開設の希望制補講)を廃止し、6カ年一貫コース(特進コース・英数コース)・3カ年コース(文理選抜コース・文理コース)制にし、週6日制となっている。
設置コース
- 6ヵ年コース
- 特進コース(4クラス)- 最難関国公立を目指すコース
- 特進選抜(2クラス)- 中2からの編成
- 特進(2クラス)- 中2からの編成
- 英数コース(2クラス)- 難関国公立を目指すコース
- 特進コース(4クラス)- 最難関国公立を目指すコース
中1終了時に、習熟度に応じて、特進コースの中でも特進選抜(2クラス)、特進(2クラス)を編成。また、高2まで各学年ごとに特進コース・英数コースの入れ替えが行われる。さらに、高2では、特進選抜・特進・英数からそれぞれ文系・理系に分かれる。ただし、高2終了時にはクラス替えおよびコース入れ替えは行われない。
- 3ヵ年コース
- 文理選抜クラス(2クラス)- 最難関国公立を目指すコース
- 文理クラス(1クラス)- 難関国公立を目指すコース
高1終了時に文理選抜・文理コースの入れ替え、および文理選抜の中から文系選抜・理系選抜が編成される。高2終了時ではクラス替えおよびコース入れ替えは行われない。なお、6ヵ年コースと3ヵ年コースが同じクラスになることはない。
グローバル教育
本校では、外国語学校としてスタートしたということもあり、グローバル教育に力を入れており、大学受験に対する英語の学習にとどまらず、英会話学習や海外研修などを通して、高度な語学力の取得や異文化理解などを目指している。
英会話学習
本校では、外国人講師 (ALT) による英会話学習だけでなく、英語を通して国際問題の学習を行い、ディスカッションやプレゼンテーションを行うことで、自らの考えや意見を英語で発信する力を身につけること目指している。この他にも、海外大学の教授を招いて、授業を行うこともある。
海外研修
様々な海外留学のプログラムを実施しており、留学先もアメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、カンボジアなど様々である。それらのプログラムのほとんどは夏季休暇中に実施されているが、中には3ヵ月間の留学プログラムもある。これらの留学プログラムを通して、コミュニケーション能力の上達や異文化理解を目指しているが、これらのグローバル教育の集大成として位置付けられているのが、洛星高校と共同で行われている「次世代リーダー養成プログラム」である。これは世界トップレベルの大学であるアメリカのハーバード大学の学生寮に滞在し、現地の学生と共に学ぶことで、高度な英語の発信力の獲得にとどまらず、次世代のリーダーに求められるリーダーシップを養うことを目的としている。またこれらの留学プログラムとは別に本校を休学して、1年間の海外留学を行うことも可能である。
部活動
野球部
1906年(明治39年)創部。1915年の第1回全国中等学校優勝野球大会(現在の全国高等学校野球選手権大会)から予選に参加している。かつては大阪私学7強として有名であり、夏の甲子園に8回、春の甲子園に4回出場している。特に、1963年の第45回全国高等学校野球選手権大会では、プロ野球でも活躍した真田重蔵監督の采配の下で優勝を果たした。以後、1972年までの10年間で夏の甲子園に5回出場した。
サッカー部
1912年(大正元年)創部。1918年の第1回日本フートボール優勝大会(現在の全国高等学校サッカー選手権大会)から8年連続で全国大会に出場した。これまで選手権大会には27回出場しており、1965年の第44回全国高等学校サッカー選手権大会で優勝したほか、5回の準優勝を記録している。特に、1957年から1966年にかけては10年連続で大阪代表となり、この間、優勝1回、準優勝2回を含めベスト8以上に8回進出した。
その他
かつては、入試においてスポーツ推薦枠もあったが、現在は廃止されている。しかし、今なおクラブ活動は盛んで、2006年度には、ソフトテニス部、2007年度には、陸上競技部、2008年度には、水泳部、2019年度には、剣道部からインターハイ出場者を輩出した。(水泳部は1992年、1993年、1994年にも出場)
文化系部活動は、近年特に活発であり、ディベート部や弁論部などが全国大会へ毎年のように頻繁に出場している。2019年度より、コンピュータ同好会が、コンピューター研究部に昇格した。
かつてのコース編成
2011年度入学生までの編成
- 中学校・高等学校(中高6ヵ年課程)
- エスポアール (Espoir) コース
- エスポアール - 中2まで6クラス 中3以降4クラス
- エラン (Elan) - 中3からの編成 2クラス
- エスポアール (Espoir) コース
中3で選抜クラスである「エラン」を選抜する。エラン・エスポアール間の入れ替えは、中2の2学期と高1の2学期の2回行われる「到達度判定試験」の成績に、定期試験の成績を加味して、前学年の3学期末に決定されていた。ただし、高1でもエランの成績不振者とエスポアールの成績上位者を若干数入れ替えていたことはあった。さらに高2では、エラン・エスポアール共に文系クラスと理系クラスに分かれ、以降クラス分けは行われなかった。
- 高等学校(高校3ヵ年課程)
- ルミエール (Lumiere) コース
- 文理クラス(2クラス)
- 理系選抜クラス(1クラス)
- ルミエール (Lumiere) コース
「文理クラス」では従来の特進クラスであるI類のカリキュラムを採用、「理系選抜クラス」ではI類のカリキュラムをベースアップした新カリキュラムを組んでいた。文理クラスは高2で文系クラスと理系クラスに分かれる。同時に理系選抜クラスの成績不振者と文理理系クラスの成績上位者の入れ替えや、志望を文系に変更した理系選抜クラスの生徒の文系クラスへの移動も行われる。理系選抜クラス・文理理系クラス間の入れ替えは、高1の2回に渡って行われる校内実力試験の成績に、定期試験の成績を加味して、高1の3学期末に決定され、以降行われない。
なお、このコース編成になってから、中学校から内部進学した生徒(6ヵ年生)と、高等学校から入学した生徒(3ヵ年生)が同じクラスになることはなくなった。
高2から一部を除き内部進学者・外部入学者の混成クラスとなっていた時代は、両者間での学習進度の違い(大抵の私立中高一貫校では、中3終了段階で概ね高1の範囲を履修済み)のため、外部入学者は、高1の1年間で、内部進学者の学習進度に追いつくための追加授業を実施せざるを得なかった。両者の完全分離は、このような問題の解決策の一つである。
エスポアールは「希望」、エランは「飛躍」、ルミエールは「光」を、それぞれ意味するフランス語である。
2001年度入学生までの編成
- 高等学校(6ヵ年課程・3ヵ年課程)
- I類
- II類
I類が上位クラスである。I類・II類とも高2で文系と理系に分かれていた。 高1時点では、内部進学者(6ヵ年)と外部入学者(3ヵ年)は別クラスとなっており、高2以降は、I類理系クラスを除き、全て両者混成クラスとなっていた。 I類理系クラスは、1998年度以前の入学生ではすべて内部進学者のみであり、1999年度以後の入学生から、内部進学者のみの選抜クラスと、外部入学生と内部進学者の混成のクラスに分かれた。
- 中学校(6ヵ年課程)
- 特進クラス(4クラス)
- S特進クラス(1クラス)
- 標準クラス(2クラス)
入試時に、特進クラスと標準クラスを分けて募集していた。特進クラスの方が人数が多いという、他校にはない特徴を持つ。2002年に特進クラスに代わりエスポアールコースが設置され、標準クラスが廃止された。高校進学時に、I類・II類に分かれた。
アクセス
出身者
- 政治・行政
- 経済
- 文化・芸能
- 五百籏頭眞治郎(経済学者)
- 伊藤正宏(放送作家、脚本家)
- 今川泰宏(アニメ監督、演出家、脚本家、放送作家)
- 稲川榮一(チューバ奏者)
- 桂三金(落語家)
- 康すおん(俳優)
- 小市慢太郎(俳優)
- 渋谷天外(俳優・松竹新喜劇座長)
- 島田正吾(俳優。※明星商業学校中退)
- 頭師孝雄(俳優)
- 頭師佳孝(俳優)
- 住田洋(テレビ愛媛元アナウンサー・フリーアナウンサー)
- 諏訪雅(俳優・ヨーロッパ企画)
- 清竜人(ミュージシャン)
- 津田健次郎(俳優・声優)
- 壺井勘也(彫刻家)
- 土井善晴(料理研究家)
- 中山康樹(音楽評論家)
- はたけ(ミュージシャン・シャ乱Qリーダー)
- 松井朝敬(ミュージシャン・スウィートストリングス主宰)
- 三澤肇(毎日放送元アナウンサー・報道局記者・ベルリン支局長、現:報道局解説委員)
- 三浦徹(ユーフォニアム奏者)
- 森内俊雄(小説家)
- スポーツ
- 野球
- サッカー
- その他
- 岡野武志(弁護士、税理士、YouTuber、TikToker)
- 森田勝之(英語教育学者、哲学研究者)
- 松浦悟郎(カトリック名古屋教区司教)
教諭・クラブ指導者(元職も含む)
姉妹校
かつて姉妹校関係にあった学校
- 泰星中学校・高等学校(1946年 - 1969年までマリア会が経営)
- セント・ジョセフ・インターナショナル・カレッジ(廃校)
参考文献
- 2012年度 大阪明星学園 明星中学校・高等学校 入学案内
注釈
- ^ 『2001年 価値のある学校(ラッキースクール)を探そう 関西男子校+共学校』旺文社、2000年7月1日、213頁。ISBN 4-01-008958-X。
- ^ a b 「真田丸」跡地の学校に顕彰碑 ゆかりの地、大阪PR 朝日新聞 2016年2月1日 2016年11月19日閲覧
- ^ a b 「真田丸」の地に顕彰碑 NHK 真田丸ニュース 2016年2月1日配信 2016年11月19日確認