コククジラ(克鯨[7]学名: Eschrichtius robustus)は、哺乳綱偶蹄目[注釈 1]コククジラ科[注釈 2]コククジラ属に分類されるヒゲクジラである。本種はかつては北半球の広範囲に分布したが、北大西洋では18世紀絶滅し、北太平洋においてもアジア系個体群も一度は絶滅したか、または少数が生存しているという状況にある[8][9]

コククジラ
コククジラ
保全状況評価[1][2][3]
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
: 偶蹄目/鯨偶蹄目
Artiodactyla/Cetartiodactyla
: コククジラ科/ナガスクジラ科 Eschrichtiidae/Balaenopteridae
: コククジラ属
Eschrichtius Gray, 1864[4]
: コククジラ E. robustus
学名
Eschrichtius robustus
(Lilljeborg, 1861)[3]
シノニム
  • Balaenoptera robusta
  • Lilljeborg, 1861[4]
和名
コククジラ[5][6]
英名
Gray whale[3][5]

名称 編集

 
スパイホッピング

日本語では、別名として「コクジラ[注釈 3]という表記が存在し、これらは「クジラとしては小柄」である点に由来するともされている[7]

また、古くには「稚児鯨[注釈 4]」「青鷺[注釈 5]」「シャレ」「シロサキ」などの呼称もみられ、捕鯨業者は「外見上の特徴」や「油の色」から「青鷺」と「シャレ」と「シロサキ」を使い分けて区分していたとされる[10][11]

韓国語では、民間伝承における超自然的な描写や、浅瀬でスパイホッピングなどの浮き沈みを繰り返す様から「鬼神鯨」または「幽霊鯨」という意味の呼称である「귀신고래」が通名として用いられている[12][13]

英語では、捕鯨時代には「悪魔の魚[注釈 6]」とも呼ばれたが、これは人間による捕殺に抵抗し、とくに子供を守ろうとする母鯨が激しく暴れたことに由来するとされる[14]

18世紀までは北大西洋にも本種が生存しており、本種を指す英語での表記として「Scrag Whale」や「Scragg Whale」というものがみられた。

分類 編集

コククジラの系統については長らく議論されてきた。

上方へと湾曲した吻の形状からセミクジラ科と近縁であるとする意見も出される一方、祖先的な形態を留める事からケトテリウム科と近縁であるとする説もある[15]。しかしSINEを使用した遺伝子解析においては、ナガスクジラ内の3系統と挿入パターンの矛盾が見られる。これは、祖先多系[注釈 7]を保った状態のまま、急激に四つの系統に分化した事を示している[注釈 8][16]

これらのことから、コククジラの分類は見直される可能性が示唆され、2019年の分子系統解析では完全にナガスクジラ科に内包されることが明らかになった[注釈 9][17]

なお、比較的に知名度の高い近縁種としてアキシマクジラ英語版)が存在する。

形態 編集

 
ブリーチング

上記の通り、本種はヒゲクジラ類としては比較的に小柄な部類であり、成獣は体長が12 - 15メートル、体重12 - 40トン[5][18]になる。

背鰭はないが、背から尾柄の背面にかけて複数の隆起がある[5][18]。腹面に平行に入る細い溝(畝)はないが、下顎に2 - 4本の溝がある[6]。体色は灰黒色で、不規則に灰色の斑紋が入る[5]。皮膚の表面には、フジツボ類やクジラジラミ類が着床している個体が多い[6]

ヒゲクジラ類としては例外的に下顎よりも上顎の方が長い[6]が、一方で採餌様式から下顎も発達している[19]。口の中のクジラヒゲは左右に140 - 180枚ずつ存在する[5][6]

(人間の概念に当てはめれば)ほとんどの個体が「右利き」であり、採餌時に体を右側に傾けるために右側のクジラヒゲがより摩耗して短くなっている事例が多く、またそれに影響されて、フジツボなどの寄生生物の付着量も体の左右側のどちらか一方に偏向している傾向にある[20][21]

後述の北米沿岸に存在する「レジデント」は、より長距離の回遊を行う個体よりも概して小柄であり、また、頭骨や尾びれも小型化している[22]

生態 編集

 
採餌方法の構図
 
波打ち際干潟などの浅瀬を好み、陸上からも頻繁に観察できる(ヌートカ湾)。
磯で採餌する個体(ヤクイナ岬)。

ブローはハート型になる[23]

本種は現生のヒゲクジラ類では特に底生生物の採餌に特化しており、本種の沿岸性の強さの理由の一つにもなっている。海底の泥や砂ごと口に含み、底生生物を髭で濾しとって捕食する[6]。上述の通り「右利き」の個体が多く、海底での採餌時の癖が各個体に定着しているため、フジツボなどの付着生物が頭部の片側に編重している事例が目立つ[20]。通常はこれらの底生生物を主な餌とするが、後述の通り環境汚染気候変動などの生息環境の悪化によって健康状態の悪化や餓死を中心とした大量死が何度か発生しており[24]底生生物の減少からかカタクチイワシ科などの通常は食糧としない小魚を捕食する事例が散見される様になった[25]

11月下旬から12月上旬に交尾を行う[6]。妊娠期間は13か月[5][6]。寿命は70年[5]セミクジラと同様に複数の雄が一頭の雌と交代で交配する繁殖形態を持ち、コククジラの場合は雌雄合わせて3頭の場合が多いとされる[26]

通常は外洋に出ることは少なく、浅い沿岸部を南北に往復し、年間2万キロメートル以上を回遊する。これは現生哺乳類の年間の通常の回遊距離としては(ザトウクジラと同様に)おそらく最長の部類とされている。

きわめて沿岸性が強く、水深が数メートルの浅瀬にも頻繁に現れ、干潟で採餌を行う事も少なくない[23]。しかし、稀にではあるが河川を一ヶ月以上も遡上して死亡したり[27]、街中の水路に入り込んでしまう事例も存在する。

セミクジラホッキョククジラザトウクジラニタリクジラカツオクジラ)・ミンククジラなど他の沿岸性が強いヒゲクジラ類と共通する特徴としてブリーチング(ジャンプ)などの海面行動を活発に行ったり、人間に興味を示して積極的に接近する傾向がある。コククジラも人懐っこく好奇心が旺盛であり、陸上からも容易に観察できるためにホエールウォッチングの対象として人気であり(後述の通り、産業としてのホエールウォッチングは本種を対象として開始された)、人間とのスキンシップを積極的に行う事も知られている[28]

天敵 編集

 
子鯨はシャチホオジロザメに狙われることがある。

自然界における人間以外の主な天敵はシャチであり、他の大型鯨類同様に通常は子鯨や弱った個体が狙われやすい。コククジラに限った話ではないが、絶滅危惧種にとってシャチの襲撃は脅威であり、2009年の時点で本種のアジア系個体群の全個体の約44%にシャチによる襲撃痕が確認されており、確認されている中では現在のヒゲクジラ類においてもっともシャチからの影響が重圧的である事例とされている[29]

他の大型鯨類への襲撃と同様に、シャチは集団で対象を狙うが、子鯨を狙っても母鯨の抵抗にあうため、捕食は容易ではない[30]。しかし、稀には健康な成獣が襲撃されることもあり、2023年にモントレー湾にて30頭のシャチの群れが2頭の成獣を約6時間にわたって攻撃しつづけ、結局は捕食に失敗したが、2頭とも負傷したとされる[30]

また、ザトウクジラはシャチの狩りを積極的に妨害して他の生物を守ることが確認されており、2012年の観察以降、シャチによるコククジラの狩りや殺害後の捕食を妨害した観察例が複数回報告されている[31][32]

商業捕鯨の禁止後は、人類による主だった脅威は少数民族による生存捕鯨、定置網への混獲、船舶との衝突、騒音、ゴミの誤飲、環境汚染とそれによる餌や生息地の減少[33]、などが挙げられているが、これらの他にも日本国内にて密猟と思わしき事例が数度記録されたり[34][35][36]、日本国内の市場から本種の肉が複数回発見されたこともある[37]。また、日本などでは「混獲」と称した疑似的な捕鯨によって絶滅危惧種が標的にされる危険性も存在し[38]、日本国内では混獲による死亡事例が相次いできた[39]。上記の密猟に関しても、本種だけでなくセミクジラシロナガスクジラなどの他の絶滅危惧種日本において密猟の対象にされる懸念が存在する[40]。また、日本では本種もふくめた絶滅危惧種の鯨類の管轄も環境庁ではなく農林水産省の範疇にあり、国内の自然保護の界隈でも鯨類などの保護は外国の思想の受け売りとみなされるなど軽視されてきた[39]

なお、後述の通り現在確認されている「アジア系個体群」はカムチャッカ半島を経由して北米大陸にも回遊していることが判明しているため、チュクチ自治管区ワシントン州などで行われている原住民による「生存捕鯨」に絶滅危惧のアジア系個体群が影響を受ける可能性の有無については明らかになっていない。

分布 編集

 
夏季の回遊(クラークワット海峡
 
冬季の回遊(ロサンゼルス郡

現在生存している北太平洋のコククジラは、アジア側の沿岸を回遊する西の系統(ニシコククジラ)と、北米側の沿岸を回遊する東の系統とに分かれる。北太平洋では、メキシコからカナダに至る北米大陸からアリューシャン列島を経て、ロシアからベトナム[41]に至る東アジアの沿岸などに分布する[3]。以前は北大西洋にも分布していた[3][5][6]

基本的には大陸の沿岸に多いが、沖合や海洋島でも確認される事があり、東シナ海の沖合[42]青ヶ島[43]ハワイ諸島などの比較的沿岸から距離が離れている島々でも目撃されている[44]

上記の通り、オホーツク海から中華人民共和国の南部沿岸やベトナム[41]にかけて分布する(していた)個体群(ニシコククジラ)と、チュコト半島からカリフォルニア湾や北米大陸側のメキシコの沿岸にかけて分布する個体群に分かれる[5]

なお、北米大陸北太平洋岸からは鮮新世の化石が出土していない事から、現生種のコククジラはアジアで誕生した可能性が指摘されている[45]

北米 編集

東の系統は、北米大陸バンクーバー島ウランゲリ島チュクチ自治管区などで採餌し、カリフォルニア州メキシコの沿岸を繁殖場としている。

カリフォルニア州からアラスカ州の南東部にかけて、小柄で[22]他の大多数と異なり大規模な回遊を行わない「レジデント」が 200 - 300頭前後存在し、「PCFG[注釈 10]」として知られている[23]。これらの中には、バンクーバー島ピュージェット湾の沿岸で、北方への回遊の途中で3-5月まで滞在する少数の個体が存在し、通称「サウンダーズ[注釈 11]」と呼ばれている[46]

以前はコルテス海や大陸側のメキシコの沿岸[注釈 12]にも定期的に回遊しており、1980年代までは2つの繁殖海域がソノラ州シナロア州に存在したが、おそらくは人間による開発の影響で放棄されたとみられている[33][47]

2010年にはエルサルバドルにて死骸が発見され、中央アメリカにおける初の記録となった[48]

アジア 編集

 
盤亀台岩刻画[注釈 13]には、本種を含めた古代の朝鮮半島の沿岸に回遊していたと思わしい鯨類相の一部が描写されている。

西の系統は、過去の記録から推測すると夏はオホーツク海黄海渤海[49]などで過ごし、冬に朝鮮半島日本列島中国大陸広東省海南島などの沿岸で繁殖し、春と秋の回遊時には、朝鮮半島近海から日本列島を通過していたとみられる。

かつては東京湾瀬戸内海なども含め、東アジア圏沿岸のほぼ全土が生息域であった。済州島黄海渤海[注釈 14]、中国南部[注釈 15]に繁殖海域が存在したと思われる[50]南西諸島台湾に越冬海域が存在したかは未確認であるが、完新世に該当する化石が台湾と澎湖諸島の付近から発見されていたり[51]トンキン湾[41]青ヶ島[43]ハワイ諸島[44]東シナ海の沖合[42]など、既存の分布外での確認も散見されることから、南西諸島や台湾も通常の分布域に含まれていた可能性があるだけでなく[51]バブヤン諸島などのフィリピン国内等にも到達した可能性もある。

アジア系個体群に現在のバンクーバー島ピュージェット湾に見られる夏季の地方滞在群[46]が存在したか否かに関しても不明であるが、渤海黄海から中国南部にかけて年間を通して棲息していた可能性は示唆されている[49]

捕鯨以前は日本列島の沿岸にも数多く、北海道ではセミクジラツチクジラなどと同様に一種の風物詩とされるほどよく見られ、とくに採餌海域が到達していた可能性がある北海道全域[注釈 16]本州九州の北部[注釈 17]土佐湾などは捕獲上の統計的に見ても数が多かったとされる[52]北海道北東部[注釈 18]陸奥湾伊豆半島周辺[53][注釈 19]丹後半島周防灘鳥取砂丘沿い、有明海などにも本種に適した自然環境が存在する。かつて、日本列島の日本海沿岸は本種の分布には当てはまらないとされてきたが、少数の目撃や混獲等の記録が存在する事から覆された[54][55][56]大村秀雄祝島小野田市沿岸や別府湾などの瀬戸内海および豊後水道が本種の繁殖海域であったとする説を発表しており[57][58]広島県三原市の二つの無人島からなる「鯨島[注釈 20]に回遊していた鯨種を本種だと推定する説もある[59]が、これらの説を科学的に支持する資料は少数の捕獲記録以外には存在しないために検証が必要である[11]

これまで日本では、大隅半島以南および南西諸島など東シナ海での確認は考古学的検証や記録からも発見された事はなかった[60][注釈 21]が、上記の通り東シナ海のかなりの沖合で音響調査によって遊泳している事が判明している[42]。近年、未確認の目撃例がトカラ列島および宮古島であったが、過去、このような記録がこれまで一切存在しなかった理由は謎である。

大西洋と南半球 編集

一度は絶滅した北大西洋では、本来は北米大陸側ではカナダからメキシコ湾、ヨーロッパ側ではアイスランドスカンジナビア半島ブリテン諸島から地中海サハラ砂漠の沿岸にかけて分布していたと思われる。

ハドソン湾バルト海パムリコ湾などの閉鎖的海域を含め、フロリダ半島ワッデン海地中海西サハラなどに至る北大西洋の東西の広範囲に分布していた[62][63][64][65][66][67]。化石や骨などの遺伝子情報の解析の結果、更新世から完新世にかけて、気候変動に伴うベーリング海峡の開通により、太平洋から大西洋への数度の「移住」があったと推測されている[68]

おそらく18世紀に絶滅したとされている[69]。 本種を対象とした捕鯨が、大西洋でいつ頃からどの程度の規模が行われていたのかは不明であるが、ローマ帝国によるジブラルタル海峡での狩猟や中世オランダフランデレン地域などの捕鯨業により、本種とタイセイヨウセミクジラ地中海北海イギリス海峡などから消え去ったという説も提唱されている[67][70]。その後の調査でも、この2種がとくに重点的に中世ヨーロッパで捕獲対象になっていたことが判明している[71]

しかし、1980年代にボフォート海での目撃が複数寄せられ[72]、2010年代にもラプテフ海ノヴォシビルスク諸島ゼムリャフランツァヨシファにて目撃されている[73][74]

そして、2010年以降、太平洋由来と思われる個体が何度か大西洋や南半球で確認されている。地球温暖化によって極地の海氷が減少し、大洋間の行き来が可能になったためと推測されている[75]

2005年に、北米側の個体群から50頭前後を空輸して、アイリッシュ海などを中心に大西洋に再導入する計画が持ち上がったが、2023年時点で実行される予定はない[84][85][86]

個体数 編集

 
個体数が回復傾向にある北米側では、ホエールウォッチングが人気である(デポー・ベイ)。
 
世界自然遺産エル・ビスカイノ生物圏保護区にて。

かつては北半球全域に生息していた。沿岸性であり、和名の由来通り「クジラ」としてはさほど巨大でなかったことから、古くから捕鯨の対象とされてきたが、特に近世になってからは乱獲により急速に個体数が減少させられた。北大西洋の個体群は18世紀ごろまでに絶滅し、北太平洋においても激減した。

1975年のワシントン条約の発効時から、ワシントン条約附属書Iに掲載されている[2]北太平洋では北米大陸側の個体群に関してはその後の捕鯨禁止が功を奏し、直近の絶滅の懸念が無くなる程に回復してきているが、後述の通り生息環境の悪化によって大量死が複数回発生している。また、東アジア沿岸の個体群は一時は絶滅したと判断される程に減少が著しく、現在の残存数はわずか100-150頭と危機的な状況にある[87]。数値統計上、アジア系個体群は実質的に日本の捕鯨業によって壊滅した[注釈 22]。沿岸の開発の影響も受けやすく、アジア系個体群にとってはサハリン北部で行われているロシア油田開発事業「サハリン2」による影響がとくに懸念されている。

保護活動の結果、北米大陸側の個体群は一時期は28,000頭前後まで回復したが、人間活動との軋轢によって死亡する個体だけでなく、人類の影響による環境破壊と環境収容力の低下から餓死する個体が増え、2023年もふくめて何度かの大量死が発生しており、これらの複数回の大量死によって14,000~16,000頭前後まで個体数が激減し、最大で50%以上が死亡したとされる[24]。この様な生息環境の悪化による北太平洋での大量死はザトウクジラにも発生しており、2013年から2021年にかけて北太平洋で7,000頭以上のザトウクジラが餓死したと推測されている[88]

本種が人類によって減少する以前の生息数には諸説あるが、遺伝子座などを利用した測定の結果、76,000頭から118,000頭という範囲で推定されており、いずれにしても現在の生息数(14,000~16,000頭前後)よりも遥かに多く生息していたことが示唆されている[89]。また、環境収容力の推定ではさらに多くが生息していた可能性も指摘されており、生息環境のデータが得られた地域に限定しても北太平洋だけで最大で約173,000頭の生息が可能であり、データが得られなかった北太平洋の他の地域も合わせればこれ以上になった可能性がある。さらに、この推定には北大西洋環境収容力の推定値は含まれていない[90]

アジア系個体群の動向 編集

 
アジア系個体群の一頭と思われる個体(サハリン)。
 
2017年3月に青ヶ島で観察された個体。2018年の2月-3月にも同島で確認された[注釈 23]

アジア系の個体群(ニシコククジラ)は、日本列島における古式捕鯨の他にも、ユーラシア大陸における日本由来の商業捕鯨によって大量に捕獲されて壊滅したとされており[注釈 24]、その際に本種がもっとも捕獲されていたのは朝鮮半島だった[36]

朝鮮半島で日本の捕鯨業者によって捕獲された個体を測定した結果、胸ビレやヒゲ板、頭部のプロポーション等に北米系とは異なる特徴が見られたとされる。アジア系の個体数は、捕鯨以前の規模ですら北米系統よりは遥かに少なかったとする説が存在する[9][8][56]。その一方で、生息環境のデータなどから分析・推定された東アジア圏の環境収容力は、データが限定されていながらも、日本列島サハリンの南半分、千島列島などだけでも66,000頭以上とされており、これだけでも判明している限りは北太平洋全体の環境収容力の4割に達しており、データが得られなかった他の地域も合わせればこれ以上の個体数の生息が可能だったとされている[90]

現存するニシコククジラの何割が、純粋なアジア系の生き残りなのか北米系の個体群に由来しているのか、それとも両群の交配に由来するのかは不明である[95]混獲された個体や漂着個体などを解剖した結果、近年に中国日本の沿岸に出現してきた個体は北米側の個体群に由来する可能性および本来のアジア系群が実質的に絶滅した可能性も指摘されている[8][9][96]。また、個体数が激減したことによる近親交配の増加と遺伝的多様性の低下による悪影響も懸念されている[97]

なお、カムチャッカ半島の東岸などでは北米由来の個体が度々確認されてきたが、2010年以降、ニシコククジラの唯一の安定した生息域であるサハリンの北西部からカリフォルニア半島への回遊をする個体が複数存在すると判明しており、サハリンにおける個体数が急速に増加している[注釈 25]ことからも、近年の「アジア系」とされてきた個体には、北米の個体群に由来する個体が含まれている可能性が示唆されている[95]。しかし、本種を対象とした生存捕鯨が行われているカムチャッカ半島の北に位置するチュクチ自治管区に、アジア系の個体が回遊している可能性の有無などに関しては未知数である。

韓国および中国では、国家指定の保護動物に指定されてきたが、近年の同種の定期的な回遊を示す情報は存在しない。大韓民国では、大韓民国指定天然記念物にも「蔚山のコククジラ廻遊海面」が登録されており、賞金を付与する形式で目撃情報も募集されているが、1977年に蔚山広域市沖で2頭が目撃されて以降は確実な記録が存在していない[99]。しかし、2015年には三陟市で本種と思われるクジラの目撃が報告されている[100]

中国では、1933年から24件の記録が存在し、最新のものは1996年に黄海大連市荘河市に座礁した雌の成獣と、2011年の台湾海峡平潭県での雌の成獣の混獲である[96][101]ベトナムでは、1994年にハロン湾でサメと間違えられて殺された個体が、山田格などの協力の結果、コククジラと断定され、本種のベトナムでの分布を示す初の証拠となった[41]

日本はおろか、現代のアジアでは同種の確認は他の多くの大型種同様、非常に稀である。日本では近年になるまで保護対象となることもなく、積極的な保護対策は取られずにきた。結果、2000年代に東京湾に迷入した個体や親子を含む雌4頭が定置網で混獲されて犠牲になった。1996には 北海道寿都郡で密猟されたと思われる死体が発見された[34]。市場から同種の肉が発見された事もある[37]

絶滅していたと思われていたが、アジア系では初の水中撮影が1993年に伊豆大島で行われた[注釈 26]。この時の撮影は、同種の採餌行動を水中で鮮明に捉えたものでも世界初であった。伊勢湾三河湾では1980年代より3度生存個体が確認されており、数ヶ月にわたる定着行動も見られた[注釈 27]。また、2010年に伊良湖岬近くの田原市赤羽根町沖で確認された若年個体が2012年に湾内に定着していた事も証明され[104]、アジア圏では初の定期的な回遊の記録となった。2009年に尾鷲沖で観察された幼鯨も同一の可能性がある[105]

日本海では、2014年に新潟県長岡市の沿岸で確認され[106]、捕鯨時代以降、生存個体では日本初の記録である。

その他の注目すべき事例として、1982年に宗谷海峡で14頭が目撃され(1987年にも2頭目撃されている)、1989年には沿海地方で17-18頭の目撃がある(1987年にも2頭の目撃がある)[11]

2011年にはアメリカ海軍の音響調査によって、東シナ海の沖合で、約2時間で最大11頭に匹敵する鳴き声が録音されている[42]

ホエールウォッチング 編集

 
エル・ビスカイノ生物圏保護区における観察業

本種は、産業としてのホエールウォッチングの起源になった種類である。1950年代のサンディエゴ近郊にて、本種を対象としたツアーが漁師を中心に開催され始めたのがホエールウォッチングの草分けであるとされる[107]

北米の沿岸ではホエールウォッチングが各地で行われており、人気のアトラクションになっている。

世界自然遺産エル・ビスカイノ生物圏保護区では、クジラが自らボートに近寄ってきて人間との交流を楽しむ事が目立ち、人間とのスキンシップを積極的に行う場合が少なくない。そのため、ここでは(クジラが自ら寄ってくるという条件下に限定しているが)世界で唯一クジラに触れる事が法的に許可されている[28]

飼育 編集

 
J.J.
 
「ギギ」の搬入

コククジラは、ミンククジラやライスクジラ(英語版[注釈 28]と同様に、ヒゲクジラ類では珍しく水族館で飼育された事例が存在する。

これまでに3例が存在し、3頭とも雌ですべてがシーワールド サンディエゴ(英語版)による飼育記録である。

  • 1965年にスキャモン・ラグーン(英語版)にて捕獲計画が実行された。日本人の捕鯨業者が起用され、母鯨を殺して残された子供を捕獲した。この雌の子鯨は「ギギ[注釈 29]」と名付けられ、シーワールド サンディエゴに輸送された。しかし、捕獲の際の銛による傷と感染症に苦しみ、約二か月後に死亡した[109]
  • 1971年にやはりシーワールド サンディエゴで飼育するためにスキャモン・ラグーンにて捕獲が行われ、同じく雌の子供が捕獲された。その際、母鯨は子供を守ろうと暴れて何度も船を攻撃し、船が少し損傷したが、最終的には母鯨は逃げ去った。この雌は「ギギ2[注釈 30]」と名付けられ、シーワールド サンディエゴに輸送された。捕獲当時は体長が約5.5メートルだったが、一年間で急激に成長し、飼育設備が間に合わなくなったので放流されたが、親から引き離された子供の放流だったので、ギギ2が生存できたのかは不明である[109][110]
  • 1997年にマリナ・デル・レイ座礁した個体は、海へ戻す努力もされたが失敗し、母鯨も発見できなかったために飼育が決定された。この個体は衰弱していたが回復し、「J.J.」と名付けられ、シーワールド サンディエゴ にて14か月間飼育されて大きな話題と人気を誇った。しかし、成長に伴って飼育環境が限界を迎えたために、アメリカ沿岸警備隊の協力の下で放流された。放流時には体長が9.4メートル、体重が8.7トンに達しており、人類が飼育した生物では世界最大の個体である[111]

画像 編集

関連項目 編集

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ 鯨偶蹄目」とする説もある。
  2. ^ またはナガスクジラ科
  3. ^ 「小鯨」または「児鯨」。
  4. ^ 「チゴクジラ」
  5. ^ 「アオサギ」または「アオサキ」
  6. ^ Devil fish
  7. ^ 一つの種内で異なるサイン配列を持ったグループが存在する事。この状態は長続きせず、いずれ一つの配列パターンに落ち着く。
  8. ^ こうした現象は真獣類の三大系統北方真獣類アフリカ獣上目異節上目の間にも見られる。
  9. ^ 詳細はナガスクジラ科#分子系統を参照。
  10. ^ Pacific Coast Feeding Group
  11. ^ The Sounders
  12. ^ イスラス・マリアスを含むナヤリット州ハリスコ州など。
  13. ^ 韓国蔚山広域市太和江付近で発見されたペトログリフ
  14. ^ 大連市沖の海洋島など。
  15. ^ 福建省沿岸、香港大亜湾マカオ海南島および雷州半島など。
  16. ^ 礼文島利尻島宗谷岬天塩町北見市根室市十勝日高町石狩湾積丹半島噴火湾など[11]
  17. ^ 対馬海峡山口県沖の玄界灘若狭湾周辺の地域(伊根湾丹後半島)など[11]
  18. ^ 知床半島周辺(標津町野付半島など)と根室海峡周辺(根室半島落石岬など)など。
  19. ^ 三浦半島小田原など。
  20. ^ 大鯨島および小鯨島。岡山県玉野市無人島の「くじら島」とは異なる。
  21. ^ 日向灘沿岸で白骨化個体の発見が一例ある[61]
  22. ^ 朝鮮半島大亜湾などの中国の大陸部の各地、台湾など様々な地区に日本の捕鯨基地を林立し、東アジアの沿岸のザトウクジラやアジア系のシロナガスクジラナガスクジラセミクジラなど数多くのヒゲクジラ類日本由来の商業捕鯨によって大打撃を受けた[36][8]
  23. ^ 地上波の報道では、2018年の観察が青ヶ島における初の記録だと報じられた[91]
  24. ^ 日本朝鮮半島、現在の中国の各地、台湾に捕鯨基地を乱立した。中国や朝鮮半島や台湾では商業捕鯨は海南省など現在の中国の南部をのぞき、日本が導入するまでほとんど行われてこなかった[92][93][94]
  25. ^ 2016年の段階で約200頭とされている[98]
  26. ^ この時は3頭が目撃されており、ロシア以外での一度の出現数では最多となる[102]。この時の撮影を行ったのは、世界初のセミクジラの水中撮影に小笠原諸島で成功した望月昭伸や中村宏治、小笠原ホエールウォッチング協会会長を務めた森恭一らである[103]
  27. ^ 同地域は日本列島における商業捕鯨業の発祥地でもある。
  28. ^ 飼育当時はニタリクジラと判別されていた[108]
  29. ^ Gigi
  30. ^ Gigi II

出典 編集

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