日本国政府専用機

日本政府が所有する航空機
政府専用機(ボーイング777)

日本国政府専用機(にっぽんこくせいふせんようき)は、日本国政府が所有・運航を行い、政府要人の輸送、在外の自国民保護などのために使用される航空機政府専用機)である。防衛省航空自衛隊が管理および運用している。

概要編集

 
羽田空港を離陸する政府専用機
(ボーイング747)

日本は1992年(平成4年)からボーイング747-400を2機運用し、2019年(平成31年)4月1日からボーイング777-300ERを2機運用している[1]

通常は任務機と副務機が共に飛行し、任務機に支障が生じた場合は直ちに副務機が代替する。

皇族と政府要人の使用予定が重複した場合は、多くで皇族が優先して使用する。2012年5月に天皇と皇后の英国訪問と総理大臣野田佳彦キャンプ・デービッドサミット出席が重複し、天皇と皇后が政府専用機を、野田首相が全日本空輸の特別機を使用した。

2機が予備機を伴わず単独で運用される事例もある。

両機は総理府の予算で購入して運用は航空自衛隊に委託した。のちに航空自衛隊機として防衛庁へ転籍し、乗組員は、操縦士[脚注 1]航空士である航空整備員[脚注 2]航法士[脚注 3]、機上無線員[脚注 4]日本航空で訓練を受けた特別空中輸送員(客室乗務員[脚注 5][2] 、運航をバックアップする運行管理者[脚注 6] ら全員が、特輸隊と通称される「航空自衛隊特別航空輸送隊第701飛行隊」の航空自衛官である。自衛隊機であるため機体記号は数字のみで構成される。

1機に7人の整備員要員が同乗し、あらゆる状況を想定し、寄港地でも機体整備を可能とするために予備部品や消耗備品などを搭載し、基本的に随伴機を必要としない。

2機体制であるが、本来、要人輸送機は最低でも「正(要人搭乗・主務機)」、「副(随行・副務機)」、「予備(正・副が出発したあと基地で待機・非常時の代替機)」の、3機以上の体制で運用されるのが望ましいといわれている。もし1機が故障していると使用できるのが1機のみになり予備機がなくなってしまうほか、国外寄港地で正・副の2機とも故障した場合は代替機がなくなり、危機管理上の問題を呈すとみなされているからである。1999年2月にヨルダン国王フセイン1世が死去した際、フセイン1世が行政府の長を兼ねていたことから、国葬は皇太子・同妃と小渕恵三内閣総理大臣夫妻が共に参列することになり、両者が2機に分乗したため、双方が主務機扱いとなった。このため両機は予備機なしで0泊3日の往復飛行をこなすこととなった。

しかし、当初の2機購入の数年後に防衛庁が上記の理由で3機目の予算も原案に組み込んだところ、大蔵省の査定で却下された。そもそも政府専用機の導入は、当時日米間の最大懸念だったアメリカの巨額の対日貿易赤字を減らすための国策的要素が強いものだっただけに、やがてバブル景気弾けて日本経済が長期にわたる不況に陥ると、3機目の購入に数百億円もの税金を充てるのは出来ない状況となった。

イラク戦争以後、自衛隊の国外派遣などで政府専用機を活用する機会が増えたことに伴い、政府は3機目の購入を再び模索、防衛庁はこれを受けて空中給油機としての併用が可能なボーイング767を視野に入れた検討を始めた。しかし、同じころ政府が導入を決定したミサイル防衛関連予算が膨大なものとなったことから、このときも結局導入を断念している。

同じボーイング747シリーズを使用していることもあり、アメリカ合衆国大統領専用機のVC-25と比べられることも多い日本の政府専用機だが、両者の大きな違いはその用途にある。VC-25は「政府」専用機ではなく、事実上の「大統領のプライベート機」で、大統領個人が「良識の範囲内」で公私にわたって自由に使用することが認められており、国内遊説や選挙戦はもとより、休暇時の保養地への移動にも使われ、国賓公賓を同乗させたりもしている。一方、日本の政府専用機は内閣総理大臣専用車御料車と同様にあくまで国有資産であり、その用途は公用に限られる(内廷や首相の所有物ではない)。しかも通常は外遊時にのみ使用され、国内での移動に利用されることはほとんどない。国内での利用は、2000年の九州・沖縄サミットの際の森喜朗首相の沖縄入り、2004年の日韓首脳会談の際の小泉純一郎首相の鹿児島入り、2008年の北海道洞爺湖サミットの際の福田康夫首相の北海道入り、2009年5月の太平洋・島サミットの際の麻生太郎首相の北海道入りなどこれまでに数回しかなく、しかもそのほとんどが国内遠隔地における外国首脳との会談がらみとなっている。したがって年間の飛行回数や飛行時間は、米国大統領専用機にくらべると格段に少なく、導入当初は「虎の子」「宝の持ち腐れ」などといった批判を浴びることも少なくなかった。

導入への過程編集

第二次世界大戦終結後、皇族や首相、閣僚の国外公式訪問や国内移動の際に、半官半民の経営体制である日本航空の特別機が頻繁に使用されることになり、1954年8月に、北海道で開かれた国民体育大会開会式から帰京する昭和天皇香淳皇后のために、初の皇族向け特別機のダグラス DC-4千歳空港-羽田空港間で運航された[脚注 7]

 
1989年竹下登首相の訪米時に政府特別機としてチャーターされた日本航空のマクドネル・ダグラスDC-10

その後も、特に国外公式訪問の際の特別機として、当時日本の航空会社で唯一国際線を運航していた日本航空の機材が利用されるケースが多かった[脚注 8] ものの、1970年代に入りアメリカ合衆国連邦政府から対日貿易赤字の縮小を求められ、その過程で、アメリカ製の航空機を政府専用機として購入することで、アメリカ合衆国連邦政府の態度を和らげる一助にすることなどを背景に、アメリカ製のボーイング707747-SPや、DC-10などを中心に導入が検討されはじめた。

有事の際の国外移動を一民間会社に任せることへの問題が噴出し、この様な問題がない政府専用機の導入への検討が進められた。

その上、1951年の設立から長らく半官半民という経営体系であった同社が、1985年9月に、当時の中曽根康弘首相が進めた、国営企業や特殊法人の民営化推進政策を受けて、完全民営化の方針を打ち出したことなど様々な理由から、1980年代半ばになり、急速に政府専用機の導入が推し進められることとなった。

最終的に、日本から無給油でヨーロッパ北アメリカの主要都市に飛ぶことができる当時唯一の機材であったことから、アメリカのボーイング社が当時開発していた、ボーイング747-400の導入が1987年閣議決定され、予備機を含め2機が導入されることとなった。

運用機材の更新編集

各国での政府専用機に相当する航空機の採用状況をみると、ボーイング747-400エアバスA340など、非常に高価なワイドボディ新型機を新規に購入した例は、航空機製造国以外では極わずかな国家のみであり、日本やブルネイカタールなどに限定される。

実際、航空機製造国(アメリカやEUロシアフランスドイツなど)は、自国製の新造機を政府専用機としている。しかしそれに対し航空機製造国以外(その他多くの国)はボーイング ビジネスジェットエアバス・コーポレート・ジェットなどの中型機を導入したり、民間からボーイング757ボーイング727などの中古の中・小型機またはボーイング747-SPなどの中古のワイドボディ機を買い上げて改造したりする例が多い。

その一方、2000年頃からは政府専用機にも小型化の傾向が見られている。その理由は、短い滑走路を持つ地方の空港からでも容易に離着陸できるなど、小振りの機種が汎用性においてより優れた選択肢となったためである。その背景に、中・小型機の航続距離、双発機(ボーイング737ボーイング777エアバスA330ボーイング787など)の燃費やETOPSなどが飛躍的に向上した事実がある[脚注 9]

実際の大型機の運用においても、運用自体が中途半端になり、警備上の問題や経済性の低さなどが生じることも指摘されるようになっている。この指摘の根拠には、ボーイング747が安全な離着陸を行うためには最短でも2,500から2,750m以上の滑走路が必要であり、そのような条件を満たす滑走路を持つ空港が、大都市の国際空港や空軍基地に限られてしまうことが挙げられている[脚注 10][脚注 11][脚注 12]。その点、ボーイング737-600以降の新型機種などでは、2,000mの滑走路があれば余裕を持って離着陸できるため、運用できる空港が非常に多くなる。

2008年(平成20年)10月17日付の産経新聞は、三菱重工業が開発中の日本製小型旅客機「MRJ」(現:Mitsubishi SpaceJet)を10機発注する予想を報じた。MRJはボーイング737よりさらに小型で燃料効率がよいとされ、開発に関して国が補助金を出していることから販売を促進する目的も兼ねている。ただし、MRJは太平洋無着陸横断飛行などの長距離洋上飛行ができない。したがって、仮にMRJが政府専用機として使用されるとしても、日本国内および近距離の外国渡航用といった、補助的な役割に留まるものと考えられている。

2010年、日本航空の経営再建のため、同社のボーイング747が全機退役するのに伴い、整備面での問題が浮上した。2019年以降は同社で整備を受けられなくなるため、後継機の選択を実施しなければならなくなった(下記「運航および整備の委託」の項を参照)。

2013年8月に、前述の通り2018年度末に現用の2機を退役させる方針が明らかにされている。新たな政府専用機の候補としては複数の報道によりボーイング777787エアバスA350 XWBが挙がっており、2019年の導入に向け機種を選定するとしていた。[3][4][5]。2014年4月になって飛行性能に加えて日米同盟の関係強化に向けた姿勢などを重視し、導入後のメンテナンス委託先も確保しやすいことからボーイング777を導入する方向で最終調整していることが報道された。選定候補に挙がっていたボーイング787は機内空間の狭さ、エアバスA350は現行機がボーイング製という継続性と日米安保同盟という外交的政治判断によって、選定から外れている[6]

2014年8月12日、日本国政府はボーイング747-400の後継機として、ボーイング777-300ERを選定し、機体整備は全日本空輸に委託されることを明らかにした[7][8]

2018年8月1日、航空幕僚監部は政府専用機(ボーイング747-400)の運用終了を前に、この機材の処分に関する情報提供の募集を開始した[9][10]

2018年8月17日、午前7時ごろに新機材が北海道新千歳空港に到着した[11][12]

2019年4月1日、旧型機「B-747-400」が退役し、新型機「B-777-300ER」が就役した[13]

用途廃止後編集

初代専用機は貴賓室や自衛隊専用の機器を取り外した後、入札によりエンビプロ・ホールディングス傘下の株式会社エコネコルに売却された[14][15]。日本経済新聞によると1機約7億円[16]。この機体は海外に売却され[17]、2019年8月、航空機の中古市場において、2機のうち1機が2,800万米ドル(約30億円)で売りに出された[18]

運用状況編集

用途編集

とされている。自衛隊法施行令が定める「要人」[22]を下記する。

  1. 天皇および上皇を始めとする皇族
  2. 国賓およびこれに準ずる賓客
  3. 最高裁判所長官
  4. 衆議院議長および参議院議長
  5. 内閣総理大臣
  6. 国務大臣(ただし、重要な用務の遂行のため特に必要があると認められる場合)

ただし、実際は内閣総理大臣や天皇と上皇を始めとする皇族による使用がほとんどとなっており、その他の閣僚(国務大臣)や三権の長は一般の定期便を利用している。国家安全保障会議の内規で同じ機体での移動は2人までとなっている[23]

皇族はオランダ公式訪問のため2009年8月21日に出発した秋篠宮夫妻が、成田国際空港から民間機を利用した。2015年4月の天皇・皇后のパラオ訪問時は全日本空輸のチャーター機としてボーイング767-300ERが使用されたが、ロマン・トメトゥチェル国際空港滑走路が2195mで、当時の政府専用機ボーイング747の必要着陸滑走路長は2500mで、発着ができないため[24]である。

運航および整備の委託編集

政府専用機は航空自衛隊千歳基地に所属する自衛隊機であるが、通常は千歳基地と誘導路で繋がる新千歳空港の専用ハンガーに格納されている。

日本航空とグループ企業が国際線運航とサービス経験の豊富さから、政府専用機の国内外における運航ハンドリングおよび機体整備を一括して受託し、2017年(平成29年)現在で機内サービスを行う特別空中輸送員の訓練も受託していた。しかし日本航空は、会社更生法適用による機材の効率化、老朽化および燃費効率の悪さから2011年(平成23年)3月1日にボーイング747機を全機退役させ、同型向けの資材や人員を保持する見込みがなくなり専用機も数年後に整備を受けられなくなる見通しとなった。このため2010年(平成22年)12月から、ボーイング747-400F(貨物)型機を運航して同型機最終受領が遅く当面の運用が見込まれる日本貨物航空に、本機に携わる航空自衛官の民間免許取得支援業務を委託した[25]

後継機となるボーイング777-300ERの機体整備は全日本空輸に委託される。

ヒッチハイク外交編集

 
ドイツ政府要人専用機 “A310-304 VIP”

カナダの保養地であるカルガリー郊外のカナナスキスで行われた第28回主要国首脳会議を終えた2002年(平成14年)6月28日に、ドイツゲアハルト・シュレーダー首相と秘書官・警護員ら5人が小泉純一郎首相帰途の日本国政府専用機に同乗して来日した。

6月30日に横浜国際総合競技場で行われる2002 FIFAワールドカップの決勝ブラジルドイツ戦を控えて「この観戦に間に合うよう、ぜひ相乗りで行かせて欲しい」とドイツから要請されて日本が受諾した。シュレーダー首相夫人が急用のため政府専用機で先に帰国したためにシュレーダー首相は政府専用機が使えず、民間機のチャーターでは決勝戦のキック・オフに間に合わないことから異例の要請となった。小泉首相は当初断るつもりだったが、事情を察知したフランスジャック・シラク大統領から口添えされ、搭乗者はシュレーダー首相以下5人と説明されて、最終的に小泉総理大臣が判断した[26]

約10時間の飛行中はくつろいだ雰囲気で日独首脳会談(「ヒッチハイク外交」外務省)が行われ、両首脳は食事を共にしながら歓談した。小泉首相は執務室をシュレーダーに譲り、自らは安倍晋三が使う予定であった官房副長官用の個室で休息した[26]

首脳が他国の政府専用機に同乗して移動する事例は、外交プロトコルや危機管理で異例[脚注 15] で、日本政府専用機では本件が唯一の事例である。ドイツ政府は元東ドイツインターフルーク所有機であったエアバスA310-300コンラート・アデナウアー英語版)を政府要人専用機として保有しており、シュレーダーは同機でカルガリー入りしている。A310-300はカナダ太平洋岸やアラスカなどで1回給油すれば羽田まで飛行可能な航続距離を有する。

副務機の活用編集

通常は任務機と副務機の2機体制で運航する。任務機に何らかの問題が発生した場合に副務機が代替して乗客を輸送する。通常は一般乗客は搭乗しないが副務機に搭乗させる事例もある。

2004年5月に、北朝鮮による日本人拉致問題2002年に日本に帰国していた蓮池薫夫妻と地村保志夫妻の子供5人を日本に帰国させる際に、副務機を使用した[27]

2009年4月に、タイ中部のパタヤで開かれる予定だった東南アジア諸国連合 (ASEAN) の会議に出席するため、麻生太郎総理大臣が政府専用機でパタヤ入りしたが、反政府派の暴動で会議は中止されてタイ政府が非常事態を宣言したため、当初は民間機で帰国する予定の日本政府関係職員らを帰国させるために副務機が活用された。

第2次安倍内閣で経済政策のために、日本経済団体連合会会長ら企業関係者の移動に副務機が活用された[28]

2016年9月に任務機が飛行中にバードストライクに見舞われ、キューバから日本へ帰国中の安倍晋三総理大臣がサンフランシスコで副務機に乗り替えて帰国した[29]

2019年11月に、東南アジア諸国連合関連首脳会議に出席する安倍総理大臣が搭乗して羽田空港からバンコクへ飛行中、機体後部ギャレーのオーブンでパンを加温すると発煙したため、消火器を使用して沈静化後に確認すると機内設備に問題無く運航を継続して着陸した[30]。復路は予防的措置で首相搭乗機を予備機へ変更して運航された[31][32]

その他の要人輸送機編集

政府専用機とほぼ同時期に購入して陸上自衛隊が運用する、フランス製のアエロスパシアルAS332Lヘリコプターが近・中距離移動に用いられ、のちにユーロコプター EC225LPへ更新された。航空自衛隊の多用途支援機のガルフストリーム・エアロスペースU-4が日本国内の高速移動に用いられている。

福田康夫総理大臣が北京オリンピック開会式に出席のために北京市へ2008年8月8日に赴き、8月9日の長崎原爆の日平和式典に出席する日程であったことから、深夜の日中両国間を移動する手段にU-4が用いられた[33]

1994年2月の小笠原行幸啓で、目的地に飛行場が無く船舶では時間がかかるため海上自衛隊US-1Aが使用された[34]

沿革編集

 
訪米した小泉総理を迎える儀典官と儀仗兵 ワシントンD.C.郊外アンドルーズ空軍基地にて(2006年6月28日)
 
安倍総理による政府専用機(2代目)の内覧(2018年10月19日)

諸元編集

名称編集

  • 政府による正式呼称:「日本国政府専用機」
  • 航空自衛隊における正式名称:「特別輸送機」
  • 英語表記:「Japanese Air Force One/Two」

コールサイン編集

  • Japanese Air Force 001/002:主務機/予備機。通常の任務飛行中に用いる。"Japanese Air Force"を"JF"の略記も散見されるが、JFは航空会社コードに割り当てがない[脚注 17]
  • 2015年1月25日と26日に、皇太子徳仁親王と福田康夫政府特派大使がサウジアラビア王国のアブドッラー国王を弔問した際は、単独で「002」を用いた。
  • Japanese Air Force 701:2013年1月にアルジェリア人質事件の邦人救出任務で、20-1102機が往路復路ともに用いた。
  • Japanese Air Force 901:2013年4月28日から5月3日まで皇太子徳仁親王夫妻がオランダのウィレム・アレクサンダー国王即位式に赴いた際、2013年6月10日から16日まで皇太子徳仁親王が日西交流400周年記念で公式訪問時、それぞれで20-1101機が往路復路ともに用いた。
  • Japan/Japanese Air Force 1101:1993年2月11日から14日まで渡辺美智雄外相がワシントンを訪問時、初の任務飛行となる20-1101機が、往路はJapan Air Forceを復路はJapanese Air Forceをそれぞれ用いた[41]
  • Cygnus 01/02[脚注 18]:訓練および回送の際に使用される。"CYGNS"と表記されることがある。
  • PLANETA[脚注 19]:訓練飛行時に使用されたことがある[42]
  • AKITSUA:2019年6月28から29日に大阪で開催された「G20 大阪サミット」で、羽田 - 伊丹の運行で往路復路ともに用いた。

初代編集

機体編集

日本国政府専用機

 

日本国政府専用機、編隊

政府専用機 [43][44]
機種 製造番号 機体番号 受領日 登録日 備考
ボーイング747-47C 24730 / 816 20-1101 1991/09/17 1992/04/01 元JA8091
24731 / 839 20-1102 1991/11/18 1992/04/01 元JA8092

外装編集

  • 胴体: 白地に、金のアンダーライン付き赤の帯。前方の左側に「日本国   JAPAN」、右側に「JAPAN   日本国」の文字(左右対称にするため)、後方の両側に小さく「航空自衛隊」の文字
  • 主翼: 左翼の上に「JAPAN」の文字。両翼の上下計4か所に航空自衛隊の国籍標章   [脚注 22]
  • 尾翼: 垂直尾翼の左右両側に大きく航空自衛隊の国籍標章   、その前方部に小さく機体番号。
  • 貨物室: エアステア

内装編集

内装[脚注 23] は要人や同行する記者、運航要員などの輸送用に設計されており、座席や壁面などは茶色やベージュを基調とした暖色系の色調でまとめられている。

  • コックピット内は民間仕様とほぼ同じだが、敵味方識別装置などの軍用機器が追加されている。コックピット天井にある非常脱出ハッチの開口部は、特別機として使用されるケースを想定した民間機体と同様に器材を取り付けて、国旗の掲出が可能である。
  • 機内は前方より、貴賓室、夫人室、秘書官室(11席)、会議室(4席)、事務室(2席)、随行員室(12席+21席)、一般客席(89席)がある[14]。随行員室は2-3-2アブレスト、一般客室は2-4-2アブレストである。一般客席の中央部に記者会見席(3席)がある。秘書官室や随行員室ではライフラットのビジネスクラス用シート[45] が、一般客室ではレッグレスト付きのプレミアムエコノミーに相当する座席[45]で、ノートパソコン向けの電源コンセントを備えているが、エンターテイメント設備は設置されていない[45]記者会見や清掃に備えて、壁面にコンセントが設置されている[45]
  • 要人が使用する貴賓室は、1階最前方のコックピット真下、民間機はB747のみに存在するL1/R1ドアよりも前にあるキャビンに位置する。従来は保安のために非公開であったが、退役後に1機の調度品を浜松広報館に展示、もう1機分は一般公開展示を条件に小松市の石川県立航空プラザへ無償で譲渡され[14][46]、リサイクル業者へ引き渡す前の2019年5月24日に初めて内部が報道関係者に公開された[47][48]
  • 一般客席に搭乗する同行記者らは、民間航空会社運航便と同程度の航空券運賃を支払う[49]
  • 2階部分は、通信室や運航要員の座席(25席)とその休憩室が設けられている[50]。運航要員用の座席はエコノミークラス用シートの3-3アブレストとなっているが、前方左側の4席は1階の一般客室と同じ座席が設置されているため2-3アブレストとなっている。運航要員の空間を2階に集約して、1階に搭乗する要人の間を通り抜けることなく業務の遂行を可能としている[45]
  • 旧式の機体で遮音性が優れず、機内の会話に大声を要した[14]
  • 747-400の乗客数は416から524名であるが、本機は約140人である。
  • 同行者らも機内サービスが提供され、機内食は和食、洋食、肉、魚を選ぶことができる。食材は日本から持ち込んだ物と現地調達がある[14]。アメニティグッズは航空自衛隊のロゴが入った特注品である[14]。映画上映時は前方のスクリーンへ投影する[14]栄養ドリンクも搭載されて要人の警護官に好評である[14]

2代目編集

機体編集

日本国政府専用機(2代目)

政府専用機(2代目)
機種 製造番号 機体番号 備考
ボーイング777-300ER 62439 80-1111 元N509BJ[51]
62440 80-1112 元N511BJ[52]

外装編集

  • 胴体: 白地に曲線の赤の帯。後方の両側に小さく「航空自衛隊」の文字。
  • 主翼: 左翼の上に「JAPAN」の文字。両翼の上下計4か所に航空自衛隊の国籍標章  
  • 尾翼: 垂直尾翼の左右両側に大きく航空自衛隊の国籍標章   、その前方部に小さく機体番号。

内装編集

  • 客室は全日本空輸仕様と同等の青系の座席となり、エンターテイメント設備や機内Wi-Fiが追加された[14]。貴賓室は公開されていない[14]
  • 初代専用機にあった記者会見席はスペースの都合で設置されていない[53]が、会議室が増えて機能的になった[14]
  • 初代の政府専用機(B747-400型機)と異なりコクピットにハッチのような小窓が無く、国旗はコクピットから掲出する。乗機と降機はL2ドアから行う。

注釈編集

  1. ^ 自衛隊機は日本の航空法の適用を受けず(自衛隊法第107条)、パイロットの養成は自衛隊が国土交通省の指定養成所となっているため教育訓練において、航空法での航空従事者技能証明である事業用操縦士の国家試験を受験して事業用操縦士免許を取得する。本機パイロットはさらに1年に及ぶ部外委託教育により、航空法での航空従事者技能証明である事業用操縦士免許(ボーイング747-400型限定)を取得している。
  2. ^ 自衛隊機は、検査(点検・整備)の場合も航空法の適用を受けず、自衛隊独自の検査の体制があるため、航空法での航空従事者技能証明である航空整備士免許を取得しなくても検査できるが、ここでの航空機整備幹部は2年半に及ぶ部外委託教育により、航空法での航空従事者技能証明である一等航空整備士を取得しており、航空整備員は部隊配属後に部外委託による教育を受ける。また資格者を技術曹として受け入れる制度もある。
  3. ^ 部外委託も含む10か月の訓練により、国家資格である運航管理者を取得している
  4. ^ 部外委託も含む10か月の訓練により、無線従事者である航空無線通信士を取得している。当機の航空機局を含む自衛隊のレーダーおよび移動体の無線設備は電波法の適用を受けない(自衛隊法第112条)ため、本来は航空通信士の搭乗を要しないが、必ず有資格者が搭乗している。資格者を技術曹として受け入れる制度もある。
  5. ^ 航空自衛隊に客室乗務員業務のノウハウはなかったので、担当の自衛官は運航ハンドリングを委託している日本航空に約3か月間出向してサービス技能の研修を受ける。
  6. ^ 部外委託も含む10か月の訓練により、国家資格である運航管理者を取得している。
  7. ^ 往路はお召し列車青函連絡船洞爺丸を用いた。
  8. ^ 全日本空輸(ANA)の国際線運行開始は1986年
  9. ^ 2007年5月8日、麻生外相が閣僚懇談会で、緊急時の機動性などを理由に小型の政府専用機導入を提案したことが報じられた。ロシアのエリツィン前大統領の葬儀に日本の首脳特使が派遣できなかった事態を踏まえたもの。小型の政府専用機候補としてボーイング C-40 (737-700)エアバスA320ガルフストリーム IVなどが候補としてあげられている
  10. ^ アメリカ大統領が米国内の地方都市を訪れる際、VC-25は乗り入れが不可能でVC-137BやC-9を使用することも多い。日本政府がボーイング747-400の導入を閣議決定した1987年当時、日本からアメリカ東海岸や欧州へ無寄港で飛行可能な唯一の機種で、同じ理由で日本航空はボーイング747を世界一多く保有していた。
  11. ^ 2002年4月の小泉純一郎内閣総理大臣の東ティモール訪問の際、首都ディリプレジデンテ・ニコラウ・ロバト国際空港の滑走路が短かったため、政府専用機での直接訪問が出来ず、ジャカルタまでの運航となった。
  12. ^ 2009年2月、麻生太郎内閣総理大臣ドミートリー・メドヴェージェフロシア連邦大統領との日露首脳会談が、ロシア連邦サハリン州ユジノサハリンスクで開催された。麻生総理は、当初政府専用機で現地入りする予定であった。しかしユジノサハリンスク空港の滑走路幅が狭く、着陸が不可能であるとして、政府専用機での現地入りを取りやめた[1][リンク切れ]
  13. ^ 総理大臣の外遊に報道各社の同行記者が同乗し、機内で記者会見が行われることもある。
  14. ^ 特に、北部方面隊普通科に所属する軽武装の陸上自衛官の緊急輸送。
  15. ^ もし本国で緊急事態が発生した場合、迅速な情報収集に支障が出るばかりか、本国政府機関と首脳との交信が他国に筒抜けになってしまうため。
  16. ^ a b 納入時は政府保有民間機として機体記号 JA8091 と JA8092 で登録訓練運用されていたが、自衛隊への移管時に軍用機扱いとなり、20-1101と20-1102の機体記号識別番号が与えられた。[要出典]
  17. ^ 公式に「JF」をコードとして利用しているのはタイのジェットアジア・エアウェイズである。
  18. ^ “Cygnus”(シグナス、意味は「はくちょう座」)は特別航空輸送隊所属機のコールサイン
  19. ^ "planeta" スペイン語ポルトガル語で「惑星」を意味する
  20. ^ ボーイングのカスタマーコードは747-47Cで、末尾の「-7C」が「日本国政府」を表す。自衛隊では B-747-400で、「B-」が「ボーイング」を表す(軍用の輸送機は通常「C-」、要人輸送にも使う多用途支援機は通常「U-」ではじまる)。
  21. ^ 日本航空・全日空と同じ仕様
  22. ^ 国籍標章は左右主翼の上下と垂直尾翼の両側の計6か所につけられており、どこから見ても日本国政府専用機だということが一目で分るよう配慮されているが、これを見た細川総理は「どこかの七つ紋みたいだね」と漏らしたという。
  23. ^ テレビ番組(「NEWS ZERO」など)や航空専門誌(「エアライン2014年5月号」)などで政府専用機が取材され、貴賓室などセキュリティ上重要な部分を除いて内装が度々公開されている。

出典編集

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関連項目編集

外部リンク編集

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