ベラ・ズボナレワVera Zvonareva, ロシア語: Vera zvonareva.ogg Вера Игоревна Звонарёва, 1984年9月7日 - )は、ロシアモスクワ出身の女子プロテニス選手。4大大会で女子ダブルス2勝、混合ダブルス2勝を挙げた選手で、シングルスでも2010年ウィンブルドン全米オープンで準優勝している。自己最高ランキングはシングルス2位、ダブルス9位。これまでにWTAツアーでシングルス12勝、ダブルス8勝を挙げている。右利き、バックハンド・ストロークは両手打ち。身長172cm、体重59kg。ベースライン・プレーヤー。

ベラ・ズボナレワ
Vera Zvonareva
ベラ・ズボナレワ
基本情報
フルネーム Vera Igorevna Zvonareva
国籍 ロシアの旗 ロシア
出身地 同・モスクワ
生年月日 (1984-09-07) 1984年9月7日(39歳)
身長 172cm
体重 59kg
利き手
バックハンド 両手打ち
ツアー経歴
デビュー年 2000年
ツアー通算 20勝
シングルス 12勝
ダブルス 8勝
生涯獲得賞金 16,472,853 アメリカ合衆国ドル
4大大会最高成績・シングルス
全豪 ベスト4(2009・11)
全仏 ベスト8(2003)
全英 準優勝(2010)
全米 準優勝(2010)
4大大会最高成績・ダブルス
全豪 優勝(2012)
全仏 ベスト8(2006)
全英 準優勝(2010)
全米 優勝(2006)
優勝回数 2(豪1・米1)
4大大会最高成績・混合ダブルス
全豪 ベスト8(2005・06)
全仏 ベスト4(2006)
全英 優勝(2006)
全米 優勝(2004)
優勝回数 2(英1・米1)
国別対抗戦最高成績
BJK杯 優勝(2004・08)
キャリア自己最高ランキング
シングルス 2位(2010年10月25日)
ダブルス 9位(2005年8月8日)
獲得メダル
女子 テニス
オリンピック
2008 北京 シングルス
2018年10月22日現在

来歴 編集

1980年モスクワオリンピックホッケー銅メダリストの母ナタリアの手ほどきで6歳からテニスを始め、2000年にプロ入り。2002年全仏オープン4大大会に初出場した時、予選3試合を勝ち上がって本戦出場権を獲得し、いきなりセリーナ・ウィリアムズとの4回戦まで進出した。この試合でズボナレワはセリーナから第1セットを 6-4 で奪ったが、続く2セットを 0-6, 1-6 で落としている。翌2003年全仏オープンで、ズボナレワは4回戦でセリーナの姉ビーナス・ウィリアムズに 2-6, 6-2, 6-4 の逆転勝利を収めた。2002年全仏オープンから2003年全豪オープンまで、4大大会の4大会連続でビーナスとセリーナによる「ウィリアムズ姉妹対決の決勝」が続いていたため、ビーナスを4回戦で止めたズボナレワの活躍は大きな話題を呼んだ。ズボナレワは次の準々決勝で同じロシアナディア・ペトロワに 1-6, 6-4, 3-6 で敗れる。

2004年8月、ズボナレワはシングルスの世界ランキングを9位に上げた。この後全米オープンの混合ダブルス部門で、ボブ・ブライアンとペアを組んで優勝する。ズボナレワとB・ブライアンは、決勝でオーストラリアペアのトッド・ウッドブリッジ&アリシア・モリク組を 6-3, 6-4 で破った。しかし、2005年度のズボナレワは不振に悩み、年間最終ランキングを42位に落としてしまう。

2006年全豪オープン1回戦で、現役復帰を発表したマルチナ・ヒンギスと対戦し、ズボナレワは25歳になったヒンギスに 1-6, 2-6 で完敗した。2006年ウィンブルドンの混合ダブルスで、ズボナレワはイスラエルアンディ・ラムとペアを組み、ボブ・ブライアン&ビーナス・ウィリアムズ組を 6-3, 6-2 で破って優勝した。これは彼女にとって2つ目の4大大会混合ダブルス優勝である。シングルスでは2006年の後半に入った頃から復調を見せ、6月第2週のイギリスバーミンガム大会と7月第3週のアメリカシンシナティ大会で優勝した。全米オープンはシングルス3回戦でエレーナ・デメンチェワに敗れたが、女子ダブルス部門でフランスナタリー・ドシーとペアを組み、決勝でディナラ・サフィナ&カタリナ・スレボトニク組を 7-6, 7-5 で破って初優勝を飾った。

2008年北京五輪で、ベラ・ズボナレワは女子シングルスの銅メダルを獲得した。準決勝で同じロシアのエレーナ・デメンチェワに 3-6, 6-7 で敗れた彼女は、準決勝敗退選手2名による「銅メダル決定戦」で地元中国李娜を 6-0, 7-5 で破った。この北京五輪テニス競技の女子シングルスでは、デメンチェワが金メダル、ディナラ・サフィナが銀メダル、ズボナレワが銅メダルを獲得したため、3つのメダルをすべてロシア勢が独占した。11月の女子ツアー年間最終戦「WTAツアー選手権」にも、4年ぶり2度目の出場権を獲得し、決勝でビーナス・ウィリアムズに 7-6, 0-6, 2-6 で敗れて準優勝者になる。これにより、彼女のシングルス自己最高ランキングは7位に上がり、4年前に記録した9位を上回った。

2009年全豪オープンで、ズボナレワは4大大会シングルスの自己最高成績を更新し、初のベスト4進出を果たした。彼女のシングルス上位進出は、ベスト8に入った2003年全仏オープン以来の出来事だった。この準決勝ではディナラ・サフィナに 3-6, 6-7 で敗れ、決勝進出を逃した。

2010年ウィンブルドンで単複ともに決勝進出したが、シングルスはセリーナ・ウィリアムズに、3-6, 2-6 で敗れ、マリア・シャラポワ以来のロシア人の優勝はならなかった。ダブルスも、バニア・キング&ヤロスラワ・シュウェドワ組に、6-7, 2-6 で敗れ、単複ともに準優勝となった。全米オープンでも決勝に勝ち上がったが、前年優勝のキム・クライシュテルスに 1-6, 2-6 で完敗した。この年はシングルスで6大会で決勝に進出したが、優勝は2月のパタヤ大会だけで残りの5大会は準優勝であった。最終ランキングは自己最高の2位となった。

2011年全豪オープンでズボナレワは2年ぶりにベスト4に進出した。準決勝ではキム・クライシュテルスに 3-6, 3-6 で敗れ3大会連続の4大大会シングルス決勝進出を逃した。2月のドーハ大会でキャロライン・ウォズニアッキを 6-4, 6-4 で破り1年ぶりのツアー11勝目を挙げた。7月のバクー大会で12勝目を挙げている。9月の東レ パン・パシフィック・オープン・テニストーナメントでは決勝に進出したが、アグニエシュカ・ラドワンスカに 3–6, 2–6 で敗れ大会初優勝を逃した。

2012年全豪オープンの女子ダブルスで同じロシアのスベトラーナ・クズネツォワと組んで決勝に進出。決勝ではイタリアのサラ・エラニ&ロベルタ・ビンチ組を 5–7, 6–4, 6–3 で破り2006年全米オープン以来の4大大会女子ダブルス2勝目を挙げた。7月のロンドン五輪で2度目のオリンピックに出場した。シングルス3回戦で金メダルを獲得したセリーナ・ウィリアムズに 1–6, 0–6 で敗れた。この試合を最後にウイルス性疾患のため全米オープンなど2012年シーズンの残り試合を全て欠場した。

2013年以降は大会出場が少なくなった。2016年に結婚し女児を出産した[1]2017年全米オープンでは2年ぶりに4大大会に出場したが、予選で敗退している。

しかし2023年のBNPパリバ・ワルシャワオープン直前に入国を拒否

WTAツアー決勝進出結果 編集

シングルス: 30回 (12勝18敗) 編集

大会グレード
2008年以前 2009年以後
グランドスラム (0–2)
WTAファイナルズ (0–1)
ティア I (0–3) プレミア・マンダトリー (1-1)
プレミア5 (0-2)
ティア II (0–2) プレミア (1-2)
ティア III (6-1) インターナショナル (3–0)
ティア IV & V (1-4)
結果 No. 決勝日 大会 サーフェス 対戦相手 スコア
準優勝 1. 2002年7月8日   パレルモ クレー   マリアナ・ディアス=オリバ 7–6(6), 1–6, 3–6
優勝 1. 2003年5月4日   ボル クレー   コンチタ・マルティネス・グラナドス 6–1, 6–3
優勝 2. 2004年2月21日   メンフィス ハード (室内)   リサ・レイモンド 4–6, 6–4, 7–5
準優勝 2. 2004年8月16日   シンシナティ ハード   リンゼイ・ダベンポート 3–6, 2–6
準優勝 3. 2004年10月24日   フィラデルフィア ハード   アメリ・モレスモ 6–3, 2–6, 2–6
優勝 3. 2005年2月19日   メンフィス ハード (室内)   メガン・ショーネシー 7–6(3), 6–2
準優勝 4. 2006年1月7日   オークランド ハード   マリオン・バルトリ 2–6, 2–6
優勝 4. 2006年6月18日   バーミンガム   ジェミー・ジャクソン 7–6(12), 7–6(5)
優勝 5. 2006年7月23日   シンシナティ ハード   カタリナ・スレボトニク 6–2, 6–4
準優勝 5. 2007年1月6日   オークランド ハード   エレナ・ヤンコビッチ 6–7(9), 7–5, 3–6
準優勝 6. 2008年1月11日   ホバート ハード   エレニ・ダニリドゥ 不戦敗
準優勝 7. 2008年2月24日   ドーハ ハード   マリア・シャラポワ 1–6, 6–2, 0–6
準優勝 8. 2008年4月20日   チャールストン クレー   セリーナ・ウィリアムズ 4–6, 6–3, 3–6
優勝 6. 2008年5月4日   プラハ クレー   ビクトリア・アザレンカ 7–6(2), 6–2
優勝 7. 2008年9月21日   広州 ハード   彭帥 6–7(4), 6–0, 6–2
準優勝 9. 2008年10月12日   モスクワ カーペット (室内)   エレナ・ヤンコビッチ 2–6, 4–6
準優勝 10. 2008年10月26日   リンツ ハード (室内)   アナ・イバノビッチ 2–6, 1–6
準優勝 11. 2008年11月9日   ドーハ ハード   ビーナス・ウィリアムズ 7–6(5), 0–6, 2–6
優勝 8. 2009年2月15日   パタヤ ハード   サニア・ミルザ 7–5, 6–1
優勝 9. 2009年3月22日   インディアンウェルズ ハード   アナ・イバノビッチ 7–6(5), 6–2
優勝 10. 2010年2月14日   パタヤ ハード   タマリネ・タナスガーン 6–4, 6–4
準優勝 12. 2010年4月18日   チャールストン クレー   サマンサ・ストーサー 0–6, 3–6
準優勝 13. 2010年7月3日   ウィンブルドン   セリーナ・ウィリアムズ 3–6, 2–6
準優勝 14. 2010年8月23日   モントリオール ハード   キャロライン・ウォズニアッキ 3–6, 2–6
準優勝 15. 2010年9月11日   全米オープン ハード   キム・クライシュテルス 2–6, 1–6
準優勝 16. 2010年10月11日   北京 ハード   キャロライン・ウォズニアッキ 3–6, 6–3, 3–6
優勝 11. 2011年2月26日   ドーハ ハード   キャロライン・ウォズニアッキ 6–4, 6–4
優勝 12. 2011年7月24日   バクー ハード   クセーニャ・ペルバク 6–1, 6–4
準優勝 17. 2011年8月7日   サンディエゴ ハード   アグニエシュカ・ラドワンスカ 3–6, 4–6
準優勝 18. 2011年10月1日   東京 ハード   アグニエシュカ・ラドワンスカ 3–6, 2–6

ダブルス: 14回 (8勝6敗) 編集

結果 No. 決勝日 大会 サーフェス パートナー 対戦相手 スコア
準優勝 1. 2003年10月5日   モスクワ カーペット (室内)   アナスタシア・ミスキナ   ナディア・ペトロワ
  メガン・ショーネシー
3–6, 4–6
準優勝 2. 2004年2月21日   メンフィス ハード   マリア・シャラポワ   アサ・スベンソン
  メイレン・ツー
4–6, 6–7(0)
優勝 1. 2004年10月10日   モスクワ カーペット (室内)   アナスタシア・ミスキナ   ビルヒニア・ルアノ・パスクアル
  パオラ・スアレス
6–3, 4–6, 6–2
優勝 2. 2005年5月2日   ベルリン クレー   エレーナ・リホフツェワ   カーラ・ブラック
  リーゼル・フーバー
4–6, 6–4, 6–3
準優勝 3. 2005年6月18日   イーストボーン   エレーナ・リホフツェワ   リサ・レイモンド
  レネ・スタブス
3–6, 5–7
準優勝 4. 2005年7月25日   スタンフォード ハード   エレーナ・リホフツェワ   カーラ・ブラック
  レネ・スタブス
3–6, 5–7
優勝 3. 2006年1月2日   オークランド ハード   エレーナ・リホフツェワ   エミリー・ロワ
  バルボラ・ストリコバ
6–3, 6–4
優勝 4. 2006年8月28日   全米オープン ハード   ナタリー・ドシー   ディナラ・サフィナ
  カタリナ・スレボトニク
7–6(5), 7–5
準優勝 5. 2008年7月20日   スタンフォード ハード   エレーナ・ベスニナ   カーラ・ブラック
  リーゼル・フーバー
4–6, 3–6
優勝 5. 2009年3月21日   インディアンウェルズ ハード   ビクトリア・アザレンカ   ヒセラ・ドゥルコ
  シャハー・ピアー
6–4, 3–6, [10–5]
準優勝 6. 2010年7月5日   ウィンブルドン   エレーナ・ベスニナ   バニア・キング
  ヤロスラワ・シュウェドワ
6–7(6), 2–6
優勝 6. 2012年1月27日   全豪オープン ハード   スベトラーナ・クズネツォワ   サラ・エラニ
  ロベルタ・ビンチ
5–7, 6–4, 6–3
優勝 7. 2018年2月4日   サンクトペテルブルク ハード
(室内)
  ティメア・バシンスキー   アーラ・クドゥリャフツェワ
  カタリナ・スレボトニク
2–6, 6–1, [10–3]
優勝 8. 2018年7月29日   モスクワ クレー   アナスタシア・ポタポワ   アレクサンドラ・パノワ
  ガリナ・ボスコボワ
6–0, 6–3

4大大会ダブルス優勝 編集

  • 全豪オープン 女子ダブルス:1勝(2012年)
  • ウィンブルドン 混合ダブルス:1勝(2006年)[女子シングルス・女子ダブルス準優勝:2010年]
  • 全米オープン 女子ダブルス:1勝(2006年)/混合ダブルス:1勝(2004年)[女子シングルス準優勝:2010年]

4大大会シングルス成績 編集

略語の説明
 W   F  SF QF #R RR Q# LQ  A  Z# PO  G   S   B  NMS  P  NH

W=優勝, F=準優勝, SF=ベスト4, QF=ベスト8, #R=#回戦敗退, RR=ラウンドロビン敗退, Q#=予選#回戦敗退, LQ=予選敗退, A=大会不参加, Z#=デビスカップ/BJKカップ地域ゾーン, PO=デビスカップ/BJKカッププレーオフ, G=オリンピック金メダル, S=オリンピック銀メダル, B=オリンピック銅メダル, NMS=マスターズシリーズから降格, P=開催延期, NH=開催なし.

大会 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 通算成績
全豪オープン A 1R 4R 2R 1R 4R 1R SF 4R SF 3R A 1R 2R A A LQ 23–12
全仏オープン 4R QF 3R 3R 1R A 4R A 2R 4R A A A A A A A 18–8
ウィンブルドン 2R 4R 4R 2R 1R A 2R 3R F 3R 3R A 3R A A A 1R 23–11
全米オープン 3R 3R 4R A 3R 3R 2R 4R F QF A A A A A LQ 2R 26–10

: 2009年ウィンブルドンの不戦敗は通算成績に含まない

脚注 編集

  1. ^ “元ウィンブルドン準優勝のズボナレワが復帰を予定”. THE TENNIS DAILY. (2017年3月11日). https://www.thetennisdaily.jp/news/contents/overseas/primary/20170311_0022055.php 

外部リンク 編集