斉藤 暁(さいとう さとる、1953年10月28日[1] - )は、日本俳優声優。身長165cm、体重77kg。血液型はO型。趣味はトランペット。特技は殺陣福島弁。所属事務所はオフィスPSC

さいとう さとる
斉藤 暁
本名 斉藤 理
生年月日 (1953-10-28) 1953年10月28日(70歳)
出生地 日本の旗 日本福島県郡山市
身長 165cm
血液型 O型
ジャンル 俳優
声優
事務所 オフィスPSC
公式サイト プロフィール
主な作品
テレビドラマ
踊る大捜査線
電磁戦隊メガレンジャー
科捜研の女
映画
踊る大捜査線 THE MOVIE』シリーズ
容疑者 室井慎次
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福島県郡山市出身[1]東京都狛江市在住。福島県立郡山工業高等学校卒業。

略歴 編集

地元テレビ局で勤務する傍ら地元劇団に入団して演劇活動をはじめ、退団後に上京して劇団「自由劇場」に入団[1]。1986年、同劇団所属の大谷亮介余貴美子と共に劇団東京壱組の創立メンバーとなった[2]。福島時代から合わせて約20年間に渡り数多くの舞台で活動[1]

東京壱組入団した頃から、テレビドラマなど映像作品への出演が増えた[1]1990年代には、スーパー戦隊シリーズ(テレビ朝日系)や『うたう!大龍宮城』(フジテレビ系)など特撮作品にも出演[2]

1997年、『踊る大捜査線』の秋山春海副署長役、及び共演者の北村総一朗小野武彦と作中で名乗った“スリーアミーゴス”で大ブレイク[1]。以降同シリーズの映画の他、舞台公演やCM・バラエティーにまで出演するほどの人気を獲得[1]

1999年、『科捜研の女』に榎戸輝男役として出演(第1シリーズのみ)し、その後第5シリーズからは別役の研究員・日野和正として再登場し、以降レギュラー出演している。

2017年連続テレビ小説ひよっこ』(NHK)の米屋の店主・安部善三役では、娘役の伊藤沙莉とのテンポのいいやり取りが話題になった[3]

2019年に福島県にある安達太良山観光大使に任命され、同年9月20日には福島県二本松警察署の一日警察署長を務めた[4]

2022年公開の、出身地・福島県を舞台にしたアニメ映画『とんがり頭のごん太-2つの名前を生きた福島被災犬の物語-』では、ごん太の飼い主・富田清役の声を担当[1]

電磁戦隊メガレンジャー』や『科捜研の女』で監督を務めた田﨑竜太は、斉藤のセリフで視聴者が重要な情報を理解できると評しており、その演技力を評価している[5]

趣味はトランペット演奏で(詳しくは後述)、狛江市の市民吹奏楽団などで演奏している。

人物 編集

デビュー前 編集

実家は“でんき店”[注釈 1]を営んでおり、両親と兄のもとで育った[1]。父親の「将来息子たちに店を継がせたい」との考えにより工業高校電機科に進学したが、直後に「自分は、電機は好きじゃない」と気づいた[注釈 2]。高校卒業後に兄と共に家業を手伝ったが、渋々電機業に携わっていたため2年後に仕事が嫌になり、家業を継がせたい父親と取っ組み合いの大ゲンカになった[1]

家出した後、地元のテレビ局に勤める友人から「1人空きがある」と聞いてそこで働くようになり、2年経った頃に地元の劇団に入って芝居をやり始めた[1]。その後職場で照明と大道具を一人で全て任されたことで体調を崩し、腎盂炎により1ヶ月間の入院生活を送った[1]。ちなみに実家のでんき屋は兄が継いだが、その後2011年の東日本大震災により倒壊したとのこと[3]

劇団員時代 編集

地元の劇団で年1回の公演をやるなどして芝居の面白さを感じ始めたある日、同郷の画家・猪熊克芳と出会った。猪熊から「君は東京に行くべきだ」と発破をかけられた[注釈 3]ことがきっかけとなり、後日東京の劇団「自由劇場」の試験を受けて合格[1]。これを機に4年間勤めたテレビ局を辞め、地元劇団仲間の女性と結婚して郡山で妻との二人芝居をした後、上京した[1]

上記の劇団「自由劇場」の入団試験では、審査員からどういう役者になりたいかを聞かれたが、よく分からずとっさに「日本一の役者になりたいです」と答えた。同劇団の入団後は福島訛りがなかなか取れず、稽古のたびに先輩たちから罵倒された[注釈 4]。訛りを直すのに苦労したが、先輩女優の吉田日出子には気に入られ、後に本人は「あの頃吉田さんの励ましの言葉がなければ、今の役者人生はなかったかもしれない」と述懐している[1]。売れない役者なため当時はバイトをしながら貧乏生活を送り、同劇団の舞台『上海バンスキング』で初めてギャラをもらった[1]

映像作品について 編集

『踊る大捜査線』 編集

ドラマ及び映画『踊る大捜査線』シリーズのスリーアミーゴス(北村総一朗小野武彦)での出演シーンは、3つか4つしかないような簡単なシーンでも毎回何十回も念入りに練習を重ねてから本番に臨んだ。[注釈 5]。ただし、同シリーズの撮影期間中に取材を受けた時は、3人で「スリーアミーゴスのシーンの練習なんて全然やっていませんよ」と話し、陰で努力していることは言わなかった[2]

『とんがり頭のごん太』 編集

アニメ映画『とんがり頭のごん太』では、原案著者の仲本剛が出した映画化の条件として「福島弁の言葉を大事にして欲しい」との強い要望があった[3]。これに絡んで福島県出身で、味のある演技力の斉藤の配役が真っ先に決まった[3]。出演を依頼された本人は、「東北の震災関係の作品ということで、何か一つでも僕にできることがあるということが嬉しかった」と語った[注釈 6]

音楽関連 編集

中学2年生の頃にトランペットの演奏を始め、社会人になってからしばらく辞めていたが、28歳頃から再びプライベートで演奏するようになった[3]。以降、仕事の合間を塗ってコンサートやジャズフェスティバルなどに演奏者として積極的に参加している[3]

またトランペット演奏以外にも作詞・作曲を手掛けたり[注釈 7]、ヴォーカルを担当することもある[3]。60歳になった頃、還暦の記念にオリジナル曲『Beauty 安達太良(おっぱい山)[注釈 8]』を制作した[3]。2016年頃に“トランペットを演奏して時々歌う”というスタイルのバンドを結成した[3]

プライベート以外では、2007年頃にバラエティ番組『さんまのSUPERからくりTV』(TBS系)の企画バンド『サザエオールスターズ』のメンバーとしてトランペットで参加[3]2015年の映画『マエストロ!』では、ホルン(トランペットと同じく管楽器)を担当[3]。遡って2009年の映画『僕らのワンダフルデイズ』では、キーボードを担当したが鍵盤楽器なため勝手が違い、練習が大変だったとのこと[3]

出演 編集

テレビドラマ 編集

NHK 編集

日本テレビ 編集

TBS 編集

フジテレビ 編集

テレビ朝日 編集

テレビ東京 編集

WOWOW 編集

映画 編集

オリジナルビデオ 編集

舞台 編集

  • 幸せの黄色くもない石(1987年)
  • お金(1991年)
  • 火男の男(1993年)
  • チャフラフスカの犬(1994年)
  • もう大丈夫(1994年)
  • 違うチャフラフスカの犬(1995年)
  • ザ・近松(1999年) - 三十郎
  • サイドマン(2000年) - アル
  • 美女で野獣(2001年)
  • Kiss Me Honey(2002年)
  • イシマツ〜踊る東海道(2002年) - 浦島太郎
  • おしゃべり伝六捕物帖(2002年) - 村上敬四郎、敬四郎鬼
  • ファンタスティック(2005年・2010年)
  • スウィニー・ドット(2007年・2011年) - ビードル
  • おんな太閤記(2007年) - 彦兵衛
  • フライパンと拳銃(2008年)
  • 三田村組第18回公演『男の一生(2010年) - 天童
  • オーシャンズ11(2014年) - ソール・ブルーム
  • ヴェローナの二紳士(2014年) - 宿屋の主人
  • ミュージカル『TARO URASHIMA』(2016年8月 明治座) - カメ/乙姫のじいや [10][11]
  • 舞台ブラック・ジャック(2024年3月 博品館劇場) - 可仁桂三

劇場アニメ 編集

バラエティ 編集

CM 編集

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ ひらがな表記は出典のテレ朝POSTによる。詳細な業種形態は不明。
  2. ^ 本人によると「入学後から徐々に成績が落ちて最後はクラスでビリになった。45人中44番だったが、45番の生徒は試験を休んでいたから実質僕がビリ(笑)」と回想している[1]
  3. ^ 本人は後年のインタビューで、「猪熊さんは画家になるため東京に出て大成した人で、すごく行動力がある熱い人。彼から『君は東京に行くべきだ』って言われて、僕も『じゃあ、行かなきゃ』って思ったんだよね」と回想している。
  4. ^ 実際には、何度も「そんな話し方じゃ舞台で使えない、福島に帰れ!」、「お前の芝居は、田舎のシェイクスピア(作品)か!」などと言われたという。後日購入したアクセント辞典を用いて、標準語で話す努力を必死に行った[1]
  5. ^ 実際には、他の出演者の撮影が始まる前や待ち時間に北村が斉藤と小野を集め、3人のシーンを練習した。本人は後年、「スリーアミーゴスでの芝居合わせでは、アングラ演劇出身の僕にとって、新劇出身の北村さんと小野さんの演技や考え方が勉強になった」と語っている[2]
  6. ^ また、若い頃に劇団「自由劇場」で福島訛りで苦労した僕が、本作では“福島弁を使って演じられるんだ”ということも嬉しかった」とも語っている[3]
  7. ^ 2020年頃のコロナ禍で撮影がストップした期間は、ほとんど曲作りをして過ごしたという。
  8. ^ 曲名は、安達太良山が地元住民から『おっぱい山』や『乳首山』と呼び親しまれていることに因んで[4]

出典 編集

  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r 俳優・斉藤暁、家業がイヤで“脱出”。福島から上京するも、劇団では罵倒の日々「田舎のシェイクスピアか」”. テレ朝POST (2022年5月9日). 2023年4月26日閲覧。
  2. ^ a b c d 斉藤暁、『踊る大捜査線』で大ブレイク“スリーアミーゴス”3人の息ピッタリ演技の裏では「待ち時間もずっと練習」”. テレ朝POST (2022年5月10日). 2023年4月26日閲覧。
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m 斉藤暁、震災を題材にしたアニメ映画の声優に。注意され続けた福島弁でやれる喜び「僕にもできることがある」”. テレ朝POST (2022年5月13日). 2023年4月26日閲覧。
  4. ^ a b 二本松警察署で俳優・斉藤暁さんが一日警察署長 二本松縁のエピソードも”. 福島経済新聞 (2019年9月27日). 2023年4月26日閲覧。
  5. ^ 「スーパー戦隊制作の裏舞台 田﨑竜太」『スーパー戦隊 Official Mook 20世紀』《1997 電磁戦隊メガレンジャー講談社〈講談社シリーズMOOK〉、2018年6月25日、33頁。ISBN 978-4-06-509610-9 
  6. ^ 「花咲舞が黙ってない」ゲストに迫田孝也、犬飼貴丈、前野朋哉、浜田信也、武田航平ら”. 映画ナタリー. ナターシャ (2024年4月9日). 2024年4月9日閲覧。
  7. ^ “内藤剛志主演「警視庁強行犯係 樋口顕」SPドラマ放送 ゲストに生駒里奈、武田航平ら”. 映画ナタリー (ナターシャ). (2023年6月7日). https://natalie.mu/eiga/news/527573 2023年6月7日閲覧。 
  8. ^ “北大路欣也主演「さすらい署長」第16弾、A.B.C-Z戸塚祥太がITコンサル会社社長に”. 映画ナタリー (ナターシャ). (2023年4月6日). https://natalie.mu/eiga/news/519642 2023年4月6日閲覧。 
  9. ^ 営業100万回 - 作品情報・映画レビュー -KINENOTE(キネノート)”. 2018年9月25日閲覧。
  10. ^ “浦島太郎がミュージカルに!木村了主演「TARO URASHIMA」脚本は池田鉄洋”. ステージナタリー. (2016年5月1日). https://natalie.mu/stage/news/185708 2016年5月2日閲覧。 
  11. ^ “木村了、ミュージカルで浦島太郎になるも我が子には「一寸法師だと思われてる」”. ステージナタリー. (2016年7月8日). https://natalie.mu/stage/news/193839 2016年7月11日閲覧。 
  12. ^ STEAM BOY”. メディア芸術データベース. 2016年8月17日閲覧。
  13. ^ とんがり頭のごん太:劇場版アニメが6月3日公開 主人公の声優に石川由依 東日本大震災のペット救済ボランティアの物語”. MANTANWEB. MANTAN (2022年3月11日). 2022年3月11日閲覧。

外部リンク 編集