NTTグループ

日本の企業グループ

NTTグループ(エヌ・ティ・ティグループ)は、日本電信電話公社(旧電電公社)の民営化によって誕生した日本電信電話株式会社(NTT)を中核とした日本企業グループ

NTTグループ
創立 1985年
国籍 日本の旗 日本
中核企業 日本電信電話株式会社
中核施設 大手町ファーストスクエア
中心的人物 澤田純
主要業務 電気通信事業
前身 日本電信電話公社
外部リンク NTT公式ホームページ
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概要 編集

 
日本国内の電気通信業界の主な変遷(2019年4月現在)

NTTグループは、統括持株会社の日本電信電話(NTT)および連結子会社952社、並びに関連会社141社で構成され、総合ICT事業、地域通信事業、グローバル・ソリューション事業を主力事業としている[1]。また資産規模、人員数、顧客数、取引先数などを含め総合的に鑑みると日本最大級の企業体である。NTT本体は民営企業であるが、日本電信電話株式会社等に関する法律(NTT法)適用のグループ会社が存在する。

2002年11月1日に商業登記規則が改正されるまでアルファベットでの社名登記ができなかったため、改正法施行前に設立された「NTT」の名がつくグループ会社の多くは、登記上、「エヌ・ティ・ティ」となっている。

経緯 編集

再編成前 編集

旧電電公社時代では法的な制約が厳しく、事業運営上、必要最小限の範囲で委託会社などへの出資しか認められていなかった。しかし1985年4月1日の民営化によるNTT発足に伴い、NTT法の下で郵政大臣認可を受けた上で、その目的を達成するために必要な業務を営むことができるとされ、組織のスリム化と事業領域の拡大をめざし、新しい分野への進出をはかった。

民営化後当初のNTTグループ戦略は、子会社の設立の性格から3つの分野に分けられる。第一の分野は「事業部をNTT本体から切り離した事業分離型会社」、第二の分野は「NTT本体の専門機能を集約特化して分社化する機能分社型会社」、第三の分野は「事業領域の拡大を目指した新規事業会社」である。第一の分野として、NTTデータ通信(現:NTTデータ)。第二の分野としてNTT電力建築事業企画(現:NTTファシリティーズ)、第三の分野としてNTTソフトウエア(現:NTTテクノクロス)、ぷらら等の会社が挙げられる。

また政府によるものとして、移動体業務の分社化がなされた。1990年3月30日、郵政省は「日本電信電話株式会社法附則第2条に基づき講ずるべき措置公表」の公正有効競争の促進に移動体業務についておいて、「移動体通信分野における公正有効競争を実現するため、移動体通信業務を一両年内を目途にNTTから分離し、移動体通信業務を営むこととなる会社については、これを完全民営化する。」と明記され、翌1990年NTTの出資によりNTT移動通信企画(現:NTTドコモ)が設立された[注 1]

1995年に始まったNTTの在り方の検討による再編成に控え、同社はNTT本体からグループ会社への業務の移管を更なる推進、これまで設立してきた既存の会社の整理、再編、統合、と再編成に向けた検討と改変を進めた。

再編成後 編集

1999年7月の再編成後、NTT(持株会社)はグループ経営を進めていく上での基本的考え方を整理し、2000年4月から4年間「NTTグループ3ヵ年経営計画」を策定具体化を進めた。この策定において、グループ会社のミッションの明確化をはかるため、グループ会社を日本電信電話会社法の規制の有無と業態により第1類から第4類に分類した。[2]

第1分類(規制会社 / NTT法対象[注 2]

:情報流通基盤としてのアクセス回線の光化等サービスの高度化・低廉化・多様化。財務基盤の確立とユニバーサル・サービスの安定的提供。地域通信市場の競争の本格化に向けた競争力強化。

第2分類(競争会社)

:自由競争下での情報流通サービス事業の拡大。国際展開競争力の強化。

第3分類(経営資源活用会社)

:受託業務の効率化によるサービス提供会社(第1類及び第2類)の競争力強化。受託業務での技術・ノウハウを活用した事業領域の拡大等。

第4分類(新事業開拓会社)

NTTグループ会社は、時勢に応じ随時見直しが行われている。携帯電話事業を営むNTTドコモは、2008年(平成20年)7月に地域各社を統合して1社体制に移行した。

2018年、国際市場への競争力強化を図るため、中間持株会社としてNTT, Inc.(現:NTT DATA, Inc.)を設立。NTTコミュニケーションズ、NTTデータ他5社をNTT, Inc.の傘下に収める[3]

2020年、NTTがNTTドコモを完全子会社化。

2022年、NTT, Inc.傘下のNTTコム、NTTコムウェアをNTTドコモが子会社化[4]。これにより、グループ内の長距離・モバイル通信事業はドコモグループに集約されることとなった。また同年10月には、2018年より進めてきた法人向けグローバル事業の再編について、NTT, Inc.をNTTデータの海外事業会社「NTT DATA, Inc.」(NTTデータ55%、NTT45%)とした上で、NTT Ltd.をNTT DATA, Inc.の子会社とした[5][6][7]

2023年7月、NTTデータが持株会社体制へ移行(法人向けグローバル事業再編が事実上の完了)[8]

グループ主要会社 編集

参照:NTT公式ホームページ「NTTグループについて」。その他、各社ホームページ

統括持株会社 編集

日本電信電話株式会社(NTTグループ全体の経営戦略の策定および基盤的研究開発の推進)

総合ICT事業 編集

:携帯電話事業、国内電気通信事業における県間通信サービス、国際通信事業、ソリューション事業、システム開発事業およびそれに関連する事業など(携帯電話サービス、ドコモ光など)

株式会社NTTドコモ(通信事業、スマートライフ事業など)

【機能分担子会社】

  • 株式会社ドコモCS中国
  • 株式会社ドコモCS四国
  • 株式会社ドコモCS九州

【新規事業子会社】

  • 株式会社ミナカラ
  • 株式会社ドコモ・インシュアランス
  • 株式会社アイキャスト
  • 株式会社Prism Partner
  • 株式会社NTT Sports X
  • 株式会社NTT コノキュー

【その他子会社】

  • 株式会社e-Craft

アジア・パシフィック

  • NTT DOCOMO, Inc. Philippine Branch(フィリピン マニラ市)
  • NTT DOCOMO ASIA Pte. Ltd.(シンガポール
  • DOCOMO PACIFIC, Inc.(グアム

欧州

米州

エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社

  • 恩梯梯通信系統(中国)有限公司
  • 上海恩梯梯通信工程有限公司
  • NTT Com Asia Limited
  • Mobile Innovation Co., Ltd.

エヌ・ティ・ティコムウェア株式会社

地域通信事業 編集

:国内電気通信事業における県間通信サービスの提供およびそれに附帯する事業など(フレッツ光、コラボ光など)

東日本電信電話株式会社(東日本地域における地域電気通信業務、及びこれに附帯する業務、目的達成業務、活用業務)

【地域子会社】

  • 株式会社NTT東日本-北海道

【情報通信エンジニアリング】

  • エヌ・ティ・ティ・レンタル・エンジニアリング株式会社

SI情報通信処理

  • エヌ・ティ・ティテレコン株式会社
  • 日本テレマティーク株式会社

電話帳印刷ビジネスマーケティング

【電話帳ビジネス・印刷】

  • NTT印刷株式会社

テレマーケティング

  • 株式会社NTT東日本サービス

不動産

  • 株式会社NTT東日本プロパティーズ

金融カード

【ファシリティマネジメント・福利厚生】

  • テルウェル東日本株式会社
    • テルウェル東日本アイピーエス株式会社
    • 株式会社アイ・エス・エス

移動体通信

  • 日本空港無線サービス株式会社

【食農】

  • 株式会社NTTアグリ
    テクノロジー

クラウド

  • ネクストモード株式会社

畜産酪農・資源循環】

  • 株式会社ビオストック

【国際】

  • NTTイーアジア株式会社

ドローン

  • 株式会社NTT e-Drone Technology

【文化芸術】

  • 株式会社NTT ArtTechnology

リスクマネジメント

  • 株式会社NTT Risk Manager

eスポーツ

  • 株式会社NTTe-Sports

【その他】

  • NTTスポーツコミュニティ株式会社

コンサルティング

  • 株式会社NTT DXパートナー

西日本電信電話株式会社(西日本地域における地域電気通信業務、及びこれに附帯する業務、目的達成業務、活用業務)

【エンジニアリング・マーケティング・コンサルティング】

  • NTTビジネスソリューションズ株式会社
    • NTT西日本ビジネスフロント株式会社
    • 株式会社NTTビジネスソリューションズMCS
  • 株式会社NTTフィールドテクノ

【SI・情報通信処理】

  • エヌ・ティ・ティ・スマートコネクト株式会社
    • 株式会社メディアプラットフォームラボ

【不動産活用等】

•株式会社NTT西日本アセット・プランニング

テルウェル西日本株式会社

  • デルソル株式会社
  • デルソル東海株式会社
  • デルソル九州株式会社
  • 株式会社電電広告
  • 株式会社広告通信社
  • 株式会社テルテック四国
  • 株式会社データプラス

·株式会社NTT西日本ルセント

·株式会社Actibaseふくい

グローバル・ソリューション事業 編集

:システムインテグレーション、ネットワークシステム、クラウド、グローバルデータセンターおよびそれに関連する事業など(クラウドサービス、データセンタサービスなど)

株式会社NTTデータグループ(NTTデータグループの統括など)

【研究開発】

株式会社NTTデータ(国内事業会社)

【公共・社会基盤】

  • 株式会社エヌ・ティ・ティ・データ東海
  • 株式会社エヌ・ティ・ティ・データ関西
  • 株式会社エヌ・ティ・ティ・データ中国

【金融】



  • 日本電子計算株式会社

【法人・ソリューション】

【その他】

  • エヌ・ティ・ティ・データ・マネジメント・サービス株式会社

株式会社NTT DATA, Inc.(海外事業会社)

北米

  • NTT DATA Services International Holdings B.V.(オランダ アムステルダム
    • NTT DATA Services Holdings Corporation(アメリカ テキサス州)
      • NTT DATA Services, LLC(アメリカ テキサス州)

EMEA中南米

•NTT DATA Europe & Latam, S.L.U.(EMEA・中南米事業の統括)

  • NTT DATA EMEA LTD.
  • NTT DATA Spain, S.L.U.
  • NTT DATA Business Solutions AG
  • NTT DATA EUROPE GmbH & CO. KG

APAC

  • NTT DATA ASIA PACIFIC PTE. LTD.(APAC事業の統括)
    • VietUnion Online Service Corporation

≪NTT Ltd.≫

•NTT Limited(ICTサービス)

  • Dimension Data Investments South Africa (Pty) Ltd
  • NTT America Holdings II, Inc.
  • NTT Australia Pty Ltd
  • NTT Singapore Pte. Ltd.
  • NTT Cloud Communication Infrastructure Australia Pty Ltd
  • NTT Global Data Centers Holdings Asia Pte. Ltd.
  • NTT Global Data Centers Holdings S.a.r.l.

その他 編集

:不動産事業、エネルギー事業など

NTTアーバンソリューションズ株式会社(街づくりに係る窓口業務など)

エヌ・ティ・ティ・都市開発株式会社

【運営・管理】

  • 品川シーズンテラス株式会社
  • 基町パーキングアクセス株式会社

【グローバル】

【施設サービス】

  • UDホスピタリティマネジメント株式会社

【投資マネジメント】

【地域冷暖房】

  • 株式会社エネスクエア東京
  • 東京オペラシティ熱供給株式会社

•株式会社NTTファシリティーズ

  • 株式会社NTTファシリティーズ エンジニアリング
  • 株式会社NSFエンゲージメント
  • 日本メックス株式会社
  • NTT FACILITIES USA, Inc.(アメリカ サンノゼ
  • PRO-MATRIX PTE LTD(シンガポール)

NTTアーバンバリューサポート株式会社

  • デイ・ナイト株式会社

•株式会社NTTアーバンソリューションズ総合研究所

NTTアノードエナジー株式会社(グリーン発電事業、地域グリッド事業など)

  • 株式会社NTTスマイルエナジー

NTTファイナンス株式会社(ビリング・ソリューション事業、クレジットカード事業、財務サービス事業)

  • NTTファイナンスインベストメント株式会社
  • NTTグローバルデータセンター株式会社
  • NTT・TCリース株式会社
  • NTT Finance Americas Inc.
  • NTT Finance UK Limited
  • NTT Finance Germany GmbH
  • NTT Finance Israel L.P.
  • 環宇郵電国際租賃有限公司

NTTイノベーティブデバイス株式会社(光電融合デバイスの企画・設計・開発・製造・販売等)

  • NTTデバイステクノ株式会社
  • NTTデバイスコプロ株式会社
  • NTTデバイスオブテック株式会社
  • NTTデバイスクロステクノロジ株式会社
  • NTT Devices America
  • NTT Devices Hong Kong Limited
  • 深圳恩梯梯光電子有限公司
  • NTT Devices Europe S.r.l.
  • fjscaler Inc.

エヌ・ティ・ティ・アドバンステクノロジ株式会社(先端技術開発事業)

  • NTT-ATシステムズ株式会社
  • NTT-ATテクノコミュニケーションズ株式会社
  • NTT-ATアイピーエス株式会社
  • NTT-ATクリエイティブ株式会社
  • NTT-ATエムタック株式会社

NTTテクノクロス株式会社(先端技術開発事業)

  • NTTテクノクロスサービス株式会社

NTT Research, Inc.(アメリカ カリフォルニア州

株式会社NTT ExCパートナー[注 3]

  • 株式会社NTT HumanEX
  • きらら保険サービス株式会社(関連会社)

株式会社エヌ・ティ・ティ・ロジスコ(3PL事業)

  • 株式会社エヌ・ティ・ティ・ロジスコサービス

株式会社エヌ・ティ・ティ・アド(広告事業)

  • 日本コンピュータ・アーツ株式会社

NTT Reinsurance, Inc.(アメリカ ハワイ州

日本情報通信株式会社(日本アイ・ビー・エムとの共同出資)

  • エヌアイシー・ソフト株式会社
  • エヌアイシー・ネットシステム株式会社
  • エヌアイシー・パートナーズ株式会社

NTTクラルティ株式会社(特例子会社)

エヌ・ティ・ティ・インフラネット株式会社(情報通信設備関連事業など)

  • アイレック技建株式会社

NTTライフサイエンス株式会社(データサイエンスに係る事業など)

新医療リアルワールドデータ研究機構株式会社(京都大学との合弁会社)

NTTセキュリティホールディングス株式会社(中間持株会社)

  • NTTセキュリティ・ジャパン株式会社
  • サイバーアクティブディフェンス研究所株式会社
  • NTT Security (Sweden) AB
  • NTT Security (Norway) AS
  • NTT Security (Netherlands) B.V.

NTTソノリティ株式会社

NTT Innovation Laboratory Israel LTD(イスラエル

SI Tech B.V. NTT Global Sourcing, Inc.

日本カーソリューションズ株式会社(東京センチュリーとの共同出資)

  • 株式会社マックス
  • 昭和レンタリース盛岡株式会社

医療機関 編集

 
NTT東日本関東病院

旧逓信病院のうち以下の病院がNTTの管轄となっている。このほか東京逓信病院日本郵政の管轄となる。NTTグループ関係者以外の患者も利用可能となっている。

他の医療法人などに経営移管した病院・診療所 編集

グループ外の類似名企業 編集

下記はNTTのOBが設立した会社であり、当初はNTTグループ企業であったが、グループから独立したものである。現在も社名に「NTT」を付けているが、東京コンピュータサービス(TCS)のグループ企業であり、NTTグループの子会社ではない。当該企業は、創業時から下請けとしてNTTおよびNTT関連会社のソフトウェアの受託開発を中核の事業とするシステムインテグレーターである。

  • NTTシステム開発株式会社(エヌ・ティ・ティ・システム開発(株))※TCSグループ企業
  • NTTシステム技研株式会社(エヌ・ティ・ティ・システム技研(株))※2019年1月1日付けで、NTTシステム開発株式会社に統合された

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ 近年は国際的にみても通信業者の巨大化が進められ、NTT分割のモデルとされたAT&Tにおいても、かつての同根企業を再び傘下に収めるなどの動きがある。このため一部には、NTT中核企業を再統合し、世界と対抗すべきだとする意見も上がっている。
  2. ^ 地域会社は役員の選任・解任、利益処分について郵政省の認可が不要となったが特殊法人としての政府規制が残るものとされた。
  3. ^ 2023年7月1日、NTTビジネスアソシエおよびNTTラーニングシステムズの経営統合により設立

出典 編集

関連項目 編集

  • みずほインベスターズ証券 - 同社の前身企業の一つ、勧角証券(旧日本勧業角丸証券、旧第一勧銀系)が当時、元NTTグループで経営再建中であった公共証券を吸収合併した。
  • ドコモ・センツウ(旧日本船舶通信) - NTTドコモの関連会社。主に船舶間の通信システム(衛星船舶通信システム)を中心に展開。2008年4月下旬にグループ各社に吸収分割方式での事業移管を発表、同社自体も同年12月にドコモ・モバイルへ吸収合併された。
  • アッカ・ネットワークス - ADSL関連のインターネット接続事業者。初期はNTTコミュニケーションズが筆頭株主であったが、のちに国内同業大手のイー・アクセスが筆頭株主となり、2009年6月下旬に同社と合併し解散した。
  • 夢の扉+ - 2015年7月12日より当グループによる単独提供番組。7月5日まではグループ会社のNTTドコモの一社提供。
  • 以下NTTグループ傘下または関連のあるスポーツの項目
社会人野球
サッカー
ラグビー

外部リンク 編集