ブルーノート・レコード
ブルーノート・レコード(Blue Note Records)とは、ドイツ出身のアルフレッド・ライオンによって、1939年、ニューヨークで創設されたジャズ専門のレコード・レーベル。作品に一貫した理念を持ち、その独自の録音方法や洗練されたジャケットデザインなどは、ジャズ・シーンに多大な影響を与えた。また、同名のジャズクラブとは直接的な関係は有していない。
ブルーノート・レコード Blue Note Records | |
---|---|
![]() | |
親会社 | キャピトル・レコード |
設立 | 1939年 |
設立者 | アルフレッド・ライオン |
現況 | 現存 |
販売元 | ![]() |
ジャンル | ジャズ |
国 | ![]() |
公式サイト | http://www.bluenote.com/ |
商業性に拘らず少人数のスタッフで優れた作品を数多く発表した、ハイクオリティなインディーズレーベルの一つとして、ジャズの歴史にその名を刻んでいる。第一期のブルー・ノートは、戦前の1939年から戦後の1979年まで続いた。その間、1度倒産している。
キャピトル・レコードを親会社に持ち、長年EMI傘下であったが、M&Aにともなう親会社の買収で、現在はユニバーサル ミュージックの傘下となっている。
歴史編集
初レコーディングは1939年1月6日にピアニストのアルバート・アモンズとミード・ルクス・ルイスにより行われた[1]。1940年には、ライオンのドイツ時代からの親友で写真家のフランシス・ウルフがアメリカに移ってくる。翌年ライオンが徴兵されるもウルフによりブルーノートは守られた。 戦後、ライオンとウルフは、プロデュース=ライオン、経理とジャケット写真撮影=ウルフの分担で共にブルーノートの運営を行った。1940年代のビバップの勃興に際しては早くからその本質を理解し、レコーディングを行っている。その後も時代毎の優れたミュージシャンの演奏を多く録音し、モダン・ジャズ界の有名レーベルになった。ジャズはアルバムで聴くものという印象が強いが、ブルーノートは45回転シングルも、かなり発表している。また、ジミー・スミス、ベイビーフェイス・ウィレットらのオルガン・ジャズ奏者のアルバムも発表した。彼らのジャズは、ソウル・ジャズと呼ばれた。
- 1950年代中期からは、レコーディング・エンジニアのルディ・ヴァン・ゲルダーの手を介した録音[注釈 1]、新進デザイナーのリード・マイルスが手がけた斬新なレコードジャケットを得、1960年代中期までの最盛期に、後世に残る傑作アルバムを数多く送り出した。
- アルフレッド・ライオンが手がけたレコードのシリーズは世界的に有名であり、マイルス・デイヴィス、セロニアス・モンク、アート・ブレイキー、ホレス・シルヴァー、ジミー・スミス[2]、ジョン・コルトレーン[3]など、多くの著名な演奏家による演奏が記録されている。なかでも2つの傑作シリーズは特に有名で、生産されたレコードの番号から1500番台および4000番台と言われている。1500番台は1956年にスタートしたもので98タイトルがあり、1553番と1592番は欠番だった。後に1592番ソニー・クラーク[4]の「ソニー・クラーク・クインテッツ」は、強い要望に応える形で、1976年、日本の当時の東芝EMIから、世界初発売された[5]。
- 1957年3月7日、エンジニアのヴァン・ゲルダーの薦めもあり、遂に、同レーベル初のステレオ録音を始める(最初のステレオ録音は、アート・ブレイキーの"Orgy in Rhytjm Vol.1&2"(1554、1555)の2枚で、これらはステレオのオープン・リール・テープでも発売された)。このお陰で、その後録音されたジョン・コルトレーンの「ブルー・トレイン」(1577)、ソニー・クラークの「クール・ストラッティン」(1588)を初めとする一連の録音、ポール・チェンバースの「ベース・オン・トップ」(1569)、キャノンボール・アダレイとマイルス・デイヴィスらによる「サムシン・エルス」(1595)、ジミー・スミスの「ハウス・パーティー」(4002)「ザ・サーモン」(4011)、ソニー・ロリンズの「ニュークス・タイム」(4001)等、後にこのレーベルの顔とも言える名盤がステレオでも残ったのは、非常に大きなことである。なお、リー・モーガンのアルバム「サイドワインダー」が大ヒットしすぎたために、ブルーノートは一度倒産している。アメリカでは弱小レーベルのレコードが売れすぎて、倒産してしまった例がいくつかある。
- 1966年、アルフレッド・ライオンはブルー・ノートを米リバティー社に売却する。これを期に、米以外でもブルー・ノートのレコードがプレス、販売される様になる。
- 1967年、当時の東芝音楽工業から、日本プレスによる同レーベル初のレコードが発売される。
- 1977年頃、米リバティーの日本での発売権が、当時の東芝EMIからキングレコードに移行したことにより、ブルーノートの日本盤も同社に発売権が移行し発売される様になる。
- 1979年11月2日のホレス・シルヴァーの録音を最後に活動停止。
- 1983年に、キャピトル・レコードが米リバティー社を買収したことにより、キャピトルの親会社であるEMIの傘下になった。同年6月、新作の録音を再開。
- 1984年7月、社長にブルース・ランドヴァルを迎え入れた。この新体制によりジャズ・レーベルとして復活され、日本での発売元は、再び、東芝EMIに戻った。
- 1985年2月22日、復活イベント「ワン・ナイト・ウィズ・ブルーノート」を開催。
- ブルーノート60周年を記念して1998年から始まった、ルディ・ヴァン・ゲルダーによる24ビットリマスター・シリーズ"RVG Edition"は大好評であり[注釈 2]、2013年頃まで続いていた。[注釈 3]。特に日本では大絶賛をもって迎えられ、1998年のスィング・ジャーナル社主催の「ジャズ・ディスク大賞」で、同年度のリマスタリング部門と企画部門の2部門を受賞した。
- 2000年代にはノラ・ジョーンズの大ヒットで知られている。
- 2006年には、ブルー・ノート・レーベル・グループを発足し、ナラダ・プロダクション、その姉妹レーベルハイアー・オクターヴ・レコード、バック・ポーチ・レコードが傘下に入る。
- 2012年、ユニバーサル ミュージックがEMIの音楽ソフト部門を買収したことにより、ユニバーサルの親会社であるヴィヴェンディの孫会社になった。これにより日本での発売元は、EMIミュージック・ジャパンからユニバーサル クラシックス&ジャズに移行した。
代表的なアーティスト編集
トランペット編集
ピアノ編集
サクソフォーン編集
- ウェイン・ショーター
- オーネット・コールマン
- キャノンボール・アダレイ
- ジャッキー・マクリーン
- ジョン・コルトレーン
- スタンリー・タレンタイン
- ソニー・ロリンズ
- ティナ・ブルックス
- デクスター・ゴードン
- ハンク・モブレー
- ルー・ドナルドソン
ドラム編集
ギター編集
ボーカル編集
他楽器編集
- カーティス・フラー(トロンボーン)
- ジミー・スミス(オルガン)
- ボビー・ハッチャーソン(ヴィブラフォン)
所有レーベル編集
- ブルー・ノート・レーベル・グループ
- ブルー・ノート・レコード
- ナラダ・プロダクション
- バック・ポーチ・レコード
- リール・ワールド・レコード
- モザイク・レコード
- マンハッタン・レコード
- パシフィック・ジャズ・レコード
- ルーレット・レコード
関連書籍編集
- マイケル・カスクーナ、油井正一『ブルーノートJAZZストーリー』新潮社〈新潮文庫〉、1987年
- 行方均『ブルーノート再入門』径書房、1994年。のち〈朝日文庫〉、1999年。
- 行方均『ブルーノートの名盤』立風書房、1996年
- リチャード・クック『ブルーノート・レコード』前野律訳、行方均監修、朝日新聞社〈朝日文庫〉、2002年
- 中山康樹『超ブルーノート入門:ジャズの究極・1500番台のすすめ』集英社〈集英社新書〉、2002年
- 小川隆夫『ブルーノート・ジャズ』平凡社〈平凡社新書〉、2003年
- 中山康樹『超ブルーノート入門完結編:4000番台の至福』集英社〈集英社新書〉、2004年
- 小川隆夫『ブルーノートの真実』東京キララ社、2004年
- 『ブルーノート決定盤100』宝島社、2004年
- 小川隆夫『はじめてのブルーノート』音楽之友社、2005年
- 小川隆夫『ザ・ブルーノート、ジャケ裏の真実』講談社、2008年
- 中山康樹『ブルーノート名盤 其の壱《鍵弦打編》』プリズム〈プリズム・ペーパーバックス〉、2009年1月
- 中山康樹『ブルーノート名盤 其の弐《管楽器編》』プリズム〈プリズム・ペーパーバックス〉、2009年4月
- 行方均『ブルーノートの名盤 改訂新版』学研パブリッシング、2010年3月
- 中山康樹『黒と白のジャズ史』平凡社、2011年10月
- 行方均『名曲・名盤のブルーノート物語:最強のジャズ100年史』学研プラス、2016年
脚注編集
注釈編集
- ^ 彼は同レーベルに於いては、1954年2月初旬頃から録音を開始している。
- ^ このシリーズは、日本の当時の東芝EMIの強いリクエストによって実現されたシリーズである。
- ^ その後は、新規発売がなく、現在は中断している模様である。
出典編集
- ^ http://www.allmusic.com/album/1936-1939-mw0000060126
- ^ http://www.bluenote.com/artists/jimmy-smith
- ^ アルバム「ブルー・トレイン」を発表している
- ^ アルバム「クール・ストラッティング」のジャケットと演奏で有名である
- ^ ソニー・クラークのアルバム「クール・ストラッティン」(BLP/BST-1588)の、日本にて2013年10月26日に発売されたCD(規格番号:TYCJ-81003、ユニバーサル・ミュージック合同会社より発売)のブックレットの1ページに記載されている。
関連項目編集
外部リンク編集
- BLUE NOTE RECORDS
- BLUE NOTE / ブルーノート(EMIミュージック・ジャパン内)
- ブルーノート特集:ジャンル虎の穴 - OnGen(2008年4月15日時点のアーカイブ)