石井ふく子
石井 ふく子(いしい ふくこ、1926年9月1日 - )は、日本のテレビプロデューサー、舞台演出家。東京府東京市下谷区[1](現・東京都台東区下谷)出身。TBSテレビプロデューサー。
いしい ふくこ 石井 ふく子 | |
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本名 | 石井 ふく子 |
生年月日 | 1926年9月1日(93歳) |
出生地 |
東京府東京市下谷区[1] (現・東京都台東区下谷) |
国籍 |
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血液型 | A[2] |
職業 |
テレビプロデューサー 演出家 |
ジャンル | テレビドラマ |
活動期間 | 1961年 - |
活動内容 |
テレビドラマのプロデュース、 舞台演出 |
著名な家族 |
伊志井寛(継父) 三升延(母) |
主な作品 | |
プロデュースした作品 『女と味噌汁』 『肝っ玉かあさん』 『ありがとう』 『心』 『渡る世間は鬼ばかり』 他多数 |
来歴・人物編集
母は分川本の君鶴と呼ばれた芸者で小唄の家元になった三升延である。父は劇団新派の俳優伊志井寛だが、義父であるため戸籍と血縁ともに関係がない。母の三升延が前夫の間に儲けて実祖母の子として届けた連れ子で、伊志井が三升と結婚の際に石井の入籍を拒否したため、のちの三升が養子として迎えた。「戸籍上は伊志井は母である三升の夫であり、石井の父では無い[3]」と、著書「想い出かくれんぼ」で記している。伊志井の没後に遺産の分配を求めて伊志井が認知した実子と騒動するも、継子であるふく子に相続権は存在せずに和解し、のちに「20年以上経過してもなお、母と共に受けた屈辱として、その騒動のことを忘れていない[3]」と前著書で記している。
東京女子経済専門学校を卒業後に、新東宝の女優などを経て、1950年に日本電建へ入社して宣伝部で務める。1961年にTBSテレビへ入社。
プロデューサーとして『肝っ玉かあさん』『ありがとう』を筆頭に、『女と味噌汁』「カミさんと私」「おんなの家」「ぼくの妹に」「はじめまして」「家族」「道」「愛」「心」「出逢い」など、数々のホームドラマをヒットさせる(特に脚本家で盟友の橋田壽賀子と協業する「渡る世間は鬼ばかり」は、およそ29年以上も継続される長寿番組として知名度が高い)。
赤木春恵、淡島千景、山田五十鈴、森光子、杉村春子、山村聰、一路真輝、熊谷真実、長山藍子、泉ピン子、中田喜子、野村真美、藤田朋子、乙羽信子、山岡久乃、奈良岡朋子、京塚昌子、香川京子、河内桃子、佐藤英夫、草笛光子、池内淳子、若尾文子、藤岡琢也、宇津井健、佐久間良子、大空眞弓、石坂浩二、三田佳子、佐良直美、吉永小百合、波乃久里子、大原麗子、井上順、前田吟、岡本信人、角野卓造、沢田雅美、高島礼子、音無美紀子、東てる美、松坂慶子、竹下景子、坂口良子、松村雄基などを起用し、「石井ファミリー」「石井組」などと巷伝される。坂上忍、伊藤淳史、えなりかずきらは、子役当時より着目していた。
橋田とは公私に渡り間柄が長く、橋田と元TBSテレビプロデューサー岩崎嘉一の結婚に携わり(結婚式の仲人も石井が務めた[4])、石井をモデルにして『春よ、来い』の花井涼子役は描かれた。岩崎が1988年9月24日に肺腺がんの宣告を受け、橋田は翌年元日から始まるNHKの大河ドラマ「春日局」の準備をしていたが岩崎の看病をしながら1年続くドラマの脚本を書き上げる自信はなかったが、橋田が石井に相談すると「いま番組から降りたら嘉一ちゃんは、自分ががんだって気づくかもしれないよ」と首を横に振った[4]。
橋田の作品に大きく影響するほどの親交があり、石井ファミリーと橋田ドラマの常連俳優は、事実上同じである。
1974年にTBSを退社後、「TBS専属のフリーランスプロデューサー」の立場[3][5]だったが、2000年代以降は「想いでかくれんぼ」(2000年)、「夫婦」(2006年)、「結婚」(2009年)など、橋田壽賀子脚本・渡哲也主演のスペシャルドラマをテレビ朝日で手掛けている。
1968年11月の新派公演「なつかしい顔」(新橋演舞場)から舞台の演出を手掛けるようになり、以来足掛け40年に渡り386作品を演出。近年は舞台作品の演出が活動の中心になっている。義父の伊志井寛との関係から劇団新派との関わりが深く、京塚昌子を筆頭に新派出身の役者を多く自身のドラマや舞台に起用し、また新派公演の演出も度々担当している。劇場は、名鉄ホール・芸術座・新橋演舞場・明治座・帝国劇場・飛天・近鉄劇場・松竹座・博多座・御園座・中日劇場・日生劇場・ル テアトル銀座・大阪新歌舞伎座・京都南座・新宿コマ劇場・三越劇場などで演出実績がある。
長年の活動により、過去に3度ギネス世界記録に認定されている[2](1985年に「テレビ番組最多プロデュース」(1,007本)、2014年に87歳342日の「世界最高齢の現役テレビプロデューサー」、2015年に舞台初演作演出本数183作品)。
2014年4月より淑徳大学人文学部表現学科客員教授に就任。
作品編集
テレビドラマ編集
※ 特記がない限り、プロデューサーを担当。
※ 放送局はすべてTBS。
- 肝っ玉かあさん[6]
- ありがとう
- 渡る世間は鬼ばかり[11]
- 第1シリーズ(1990年10月11日 - 1991年9月26日、全48回)[12]
- 第2シリーズ(1993年4月15日 - 1994年3月31日、全49回)[13]
- 秋のスペシャル(1994年9月29日)
- 第4シリーズ(1998年10月1日 - 1999年9月30日、全51回)
- 二時間年末特別企画(1999年12月23日)
- 春の二時間スペシャル(2000年4月6日)
- 第5シリーズ(2000年10月5日 - 2001年9月27日、全50回)[14]
- 第6シリーズ(2002年4月4日 - 2003年3月27日、全51回)
- 第7シリーズ(2004年4月1日 - 2005年3月31日、全51回)
- 第8シリーズ(2006年4月6日 - 2007年3月29日、全50回)[15]
- 第9シリーズ(2008年4月3日 - 2009年3月26日、全49回)[16]
- 最終シリーズ(2010年10月14日 - 2011年9月29日、全47回)
- ただいま!!2週連続スペシャル 前後編(前編:2012年9月17日・後編:2012年9月24日)
- 2013年2時間スペシャル 前後編(前編:2013年5月27日・後編:2013年6月3日)
- 2015年2時間スペシャル 前後編(前編:2015年2月16日・後編:2015年2月23日)
- 2016年二夜連続特別企画(2016年9月18日 - 9月19日)
- 2017年3時間スペシャル(2017年9月18日)
- 3時間スペシャル2018(2018年9月17日)
- ドラマ特別企画「あにいもうと」(2018年6月25日)
- 新春ドラマ特別企画「あしたの家族」(2020年1月放送予定)[17]
舞台演出編集
- なつかしい顔(1968年 新橋演舞場 舞台初演出 出演:伊志井寛、水谷良重)
- 春秋めおと囃子(1973年 名鉄ホール 出演:中村玉緒、長門裕之)
- 夏のふたり(1976年 御園座 出演:林与一、小川知子)
- 秋のかげろう(1977年 名鉄ホール 出演:林与一、長山藍子)
- 花の巴里の橘や(1978年 帝国劇場 京マチ子主演)
- 花の三角野郎(1980年 名鉄ホール 若山富三郎主演)
- 幸福(1985年 名鉄ホール 出演:芦田伸介、山岡久乃、沢田雅美、石野真子、広岡瞬)
- 花のこころ(1986年 帝国劇場 池内淳子主演)
- お嫁に行きたい!!(1987年 芸術座 池内淳子主演)
- 春日局(1989年 帝国劇場 佐久間良子主演)
- 男を金にする女(1991年 芸術座 大原麗子主演)
- 品川心中(1993年 日生劇場 大原麗子主演)
- お夏狂乱(1994年 帝国劇場 大原麗子主演)
- お美津(1995年 新宿コマ劇場 水前寺清子主演)
- あさき夢みし(1997年 帝国劇場 泉ピン子主演)
- 規子と弓代(1999年 名鉄ホール 坂口良子主演)
- 男を金にする女(2000年 南座 古手川祐子主演)
- 空のかあさま(2001年 芸術座 斉藤由貴主演)
- 初蕾(2004年 芸術座 京野ことみ主演)
- 初蕾(2004年 南座 高橋恵子主演)
- 男を金にする女(2004年 名鉄ホール 竹下景子主演)
- 娘よ(2005年 ル テアトル銀座 一路真輝主演)
- 喜和(2005年 名鉄ホール 三田佳子主演)
- 京紅ものがたり(2006年 新橋演舞場 十朱幸代主演)
- 忠臣蔵 いのち燃ゆる時(2007年 明治座 松平健主演)
- 御いのち(2008年 御園座 竹下景子主演)
- 華々しき一族(2008年 ル テアトル銀座 若尾文子主演)
- おしん(2009年 御園座 出演:小林綾子、長山藍子)
- 女の人指し指(2011年 名鉄ホール 若尾文子主演)
- 女たちの忠臣蔵(2012年 明治座 高島礼子主演)
- 花嫁(2016年 三越劇場 湘南台文化センター市民シアター 高橋惠子 西郷輝彦主演)向田邦子没後35周年 [18]
- 君はどこにいるの(2017年2月、三越劇場、新歌舞伎座 出演:一路真輝、西郷輝彦、竹下景子)[19]
出演編集
テレビ番組編集
- 離婚・ぼくんちの場合(1983年 TBS 大原麗子主演)
- おんなは一生懸命(最終回のみに出演)(1988年 TBS 泉ピン子主演)
- おんなの家(1993年 TBS 杉村春子主演)(東芝日曜劇場が単発ドラマとして最後を迎え、ラストシーンに登場する)
- 特別対談番組「吉永小百合 石井ふく子 34年の絆」〜山本周五郎生誕100年記念によせて〜 (2003年 TBS)
映画編集
- 三百六十五夜 東京篇・大阪篇(1948年、新東宝) - ダンサー 役
- 人間模様(1949年、新東宝) - 女中・八重 役
- 女医の診察室(1950年、新東宝) - 看護師 役[20]
受賞・受章歴編集
石井ふく子を演じた女優編集
脚注編集
- ^ a b “Ms Wendy in This Month 注目の人 プロデューサー/石井ふく子さん”. 月刊ウェンディ(Wendy). 合人社グループ出版局 (2011年4月15日). 2015年9月6日閲覧。《→アーカイブ;→PDF版(PP.1 - 2)》
- ^ a b “石井ふく子さん、「最多舞台演出本数」で自身3つ目ギネス記録(全2頁中2頁目)”. SANSPO.COM(サンスポ). (2015年8月30日) 2015年9月6日閲覧。《→アーカイブ(P1・P2)》
- ^ a b c 石井ふく子著「想い出かくれんぼ」1993年・集英社
- ^ a b 橋田壽賀子(1)夫の死 肺がん 病名明かさず 唯一の家族失い天涯孤独 私の履歴書 - 日本経済新聞 2019年5月1日
- ^ 経緯は読売新聞・2015年1月29日付け朝刊に掲載されたインタビュー記事「時代の証言者」で述べている。父の死後、相続税の支払いに大金が必要となり、他局でプロデューサーを務めようとするもTBSの社長に怒られたが、大金が必要だと説明するとTBSが用立てることになった。社員に大金を貸与することは難しく、退社後にTBSの専属になり多額の契約金を受け取る経緯とした。大金を前渡しするために「退職+専属契約」とした。
- ^ 放送日などはWikipedia日本語版「肝っ玉かあさん」を参照。
- ^ 放送ライブラリー 番組ID:000789
- ^ 放送ライブラリー 番組ID:000905
- ^ 放送ライブラリー 番組ID:003060
- ^ 放送ライブラリー 番組ID:003061
- ^ 第3シリーズは井上靖央がプロデューサーを担当。詳細は放送ライブラリー 番組ID:010011を参照。
- ^ 放送ライブラリー 番組ID:008511
- ^ 放送ライブラリー 番組ID:008536
- ^ 放送ライブラリー 番組ID:011458
- ^ 放送ライブラリー 番組ID:016603(最終回のみ放送ライブラリー 番組ID:016604)
- ^ 放送ライブラリー 番組ID:202813(最終回のみ放送ライブラリー 番組ID:202814)
- ^ “宮崎あおい、石井ふく子さんと2年ぶりタッグ…TBS系新春ドラマ「あしたの家族」主演”. スポーツ報知 (報知新聞社). (2019年11月1日) 2019年11月1日閲覧。
- ^ http://www.ints.co.jp/hanayome2016/
- ^ “一路真輝と西郷輝彦がいたわり合う父娘に「君はどこにいるの」演出は石井ふく子”. ステージナタリー. (2016年9月22日) 2016年9月23日閲覧。
- ^ 【追悼2015】女優・原節子さん 最期まで貫いた伝説 生涯独身 隠とん生活 スポーツ報知 2015年12月30日
- ^ “第8回ギャラクシー賞受賞作品”. 放送批評懇談会. 2014年11月13日閲覧。
- ^ “歴代受賞者”. 日本女性放送者懇談会 SJWRT. 2016年6月21日閲覧。