かんがい施設遺産

かんがい施設遺産(かんがいしせついさん、英語:Heritage Irrigation Structures)は、インドニューデリーに本部を置く国際かんがい排水委員会(ICID)が、灌漑の歴史・発展を明らかにし、灌漑施設の適切な保全に資することを目的として、建設から100年以上経過し、灌漑農業の発展に貢献したもの、卓越した技術により建設されたもの等、歴史的・技術的・社会的価値のある灌漑施設を登録・表彰するために2014年に創設した制度。なお、灌漑は二文字とも常用漢字表外字のため、担当所管の農林水産省では「かんがい」と平仮名表記を正式なものとしている。

2019年に正式名称にワールドを冠し、World Heritage Irrigation Structuresと改称した。直訳すると「世界遺産のかんがい施設」になり、世界遺産と混同しやすくなるため、農水省では世界かんがい施設遺産とした。

登録地編集

2014年編集

2015年編集

2016年編集

2017年編集

2018年編集

2019年編集

2020年 [6]編集

展開編集

水文学を推進するユネスコ水資源管理の観点から、国連食糧農業機関は世界重要農業遺産システム(農業遺産)の観点から、かんがい施設遺産を支援している。

展望編集

ユネスコや国際連合未加盟のため世界遺産などの各種遺産事業に参加できない台湾中華民国)だが、国際かんがい排水委員会へは加盟しており、烏山頭ダムの登録の可能性がある(築100年経過の条件から2020年まで待たなければならない)。

国内施策編集

農林水産省では文化財としての価値を有する農業水利施設等の土地改良施設を対象に、農村地域における生活空間の質的向上を図りつつ、土地改良施設の整備を契機に地域一体となった農業水利施設の維持・保全体制の構築を目的とする「地域用水環境整備事業」を推進。

また国土交通省歴史まちづくり法により、農村地域の水路・ダム・ため池等の農業水利施設の保全管理または整備と地域用水の多面的な機能の維持増進に資する施設の整備を行うことを目的とする「地域用水環境整備事業」を展開している。

さらに農水省は、日本農業遺産も含めた農事関連遺産を観光資源として活用すべく、郷土料理や自然散策を組み合わせたモデルコースを策定し、かんがい施設遺産からは長野県の拾ヶ堰と熊本県の菊池のかんがい用水群(世界農業遺産・阿蘇の草原の維持と持続的農業との組み合わせ)が選ばれた[7][8]

参照(外部リンク)編集

脚注編集

  1. ^ 信濃毎日新聞2014年9月17日号[リンク切れ]で長野県茅野市が申請していた滝之湯堰・大河原堰を仮登録と報じているが正確には登録見送りの誤報
  2. ^ 朝倉の水車は平成29年7月九州北部豪雨により破損したが、その後復旧したことから、2017年の国際かんがい排水委員会の会合では登録抹消などの措置をとらないことを確認した
  3. ^ 2015年は宮城県大崎市の内川、山梨県北杜市の村山六ヶ村堰疏水、長野県茅野市の滝之湯堰・大河原堰(再申請)、長野県安曇野市・松本市の拾ヶ堰、静岡県三島市の源兵衛川、三重県津市の南家城川口井水、山口県宇部市の常盤湖も立候補していたが審査継続となり、全て2016年に登録となった
  4. ^ 幸野溝・百太郎溝は水上村も申請地であったが、熊本地震 (2016年)により辞退
  5. ^ 審査にあたり大阪府北部地震平成30年7月豪雨の被災状況が確認された
  6. ^ 2020年の登録審査は12月1~7日にモロッコマラケシュで開催される予定だったが、新型コロナウイルス感染症の流行により中止となり、12月8日にオンライン会議での執行理事会で可決された。
  7. ^ 農業遺産 観光に活かせ 自治体向け手引作成 農水省 日本農業新聞2021年5月19日
  8. ^ 農業遺産・かんがい施設遺産を旅しよう(ヘリテージツーリズム) 農林水産省

関連項目編集