セルゲイ・オレゴビッチ・シロトキンSergey Olegovich Sirotkin, ロシア語: Серге́й Оле́гович Сиро́ткин 1995年8月27日 - )は、 ロシアモスクワ出身のレーシングドライバー。

セルゲイ・シロトキン
セルゲイ・シロトキン (2018年)
基本情報
フルネーム セルゲイ・オレゴビッチ・シロトキン
Серге́й Оле́гович Сиро́ткин
略称表記 SIR
国籍 ロシアの旗 ロシア
出身地 同・モスクワ
生年月日 (1995-08-27) 1995年8月27日(28歳)
F1での経歴
活動時期 2018
所属チーム '18 ウィリアムズ
車番 35
出走回数 21
タイトル 0
優勝回数 0
表彰台(3位以内)回数 0
通算獲得ポイント 1
ポールポジション 0
ファステストラップ 0
初戦 2018年オーストラリアGP
最終戦 2018年アブダビGP
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経歴 編集

初期の経歴 編集

2008年に レーシングカート を始める。

フォーミュラ・アバルト 編集

2010年、15歳で新規開催されたイタリアのフォーミュラ・アバルトイエンツァー・モータースポーツから参戦し、18位でシーズンを終わる。

2011年も同シリーズに同チームで参戦。 当初はイタリア選手権とヨーロッパ選手権に参戦していたが、スパからヨーロッパ選手権のみに集中するため、ユーロノバ・レーシングに移籍。14戦中5勝でシリーズチャンピオンを獲得した。 イタリア選手権では、2勝したがチームメイトのパトリック・ニーダーハウザーには届かずシリーズ2位となった。

Auto GP & F3 編集

2012年はユーロノバ・レーシングからAuto GPにフル参戦し、2勝を挙げシリーズ3位となる。

同年にはイタリアF3にもフル参戦。ヨーロッパ選手権では2勝、イタリア選手権では1勝をあげ、共にシリーズ5位となった。

フォーミュラ・ルノー3.5 編集

2012年は2レースのみフォーミュラ・ルノー3.5にスポット参戦を行った。

2013年はフル参戦し、最高位は2位でシリーズ9位となる。

翌2014年もフル参戦し、1勝をあげシリーズ5位となった。

GP2/F2 編集

2015年はGP2にステップアップし、ラパックス・チームに所属。1勝をあげシリーズ3位となった。

2016年はARTグランプリに移籍し優勝2回を記録。2年連続でシリーズ3位となった。2017年も同チームから出走した。

F1 編集

2013年7月15日、ザウバーはインベストメント・コーポレーション・インターナショナル・ファンド、北西ロシア連邦国家開発基金、ロシア国立航空技術研究所というロシアの3社とのスポンサー契約の発表と共に、契約の一部としてシロトキンを将来のF1デビューにむけて育成することを発表した[1]

ザウバーはシロトキンにスーパーライセンスを取得させるためにフェラーリでのテストを行わせる[2]などし、当初は2014年シーズンからレギュラードライバーになると考えられていた。しかし2013年12月21日にザウバーはシロトキンを2014年のテストドライバーに起用することを発表した[3]

2015年にはザウバーのレギュラードライバーに昇格するとの噂もあったが[4]、結果として起用されることはなくテストドライバーとしての契約も終了した。なお、後に発生した「ドライバー多重契約騒動」の際には名前は上がっておらず、事件に巻き込まれることはなかった。

2016年にはルノーのテストドライバーとして契約し、母国ロシアGPブラジルGPのフリー走行1(FP1)に出走した。

翌2017年は同チームのサードおよびリザーブドライバーに昇格し[5]、前年同様母国ロシアGPのFP1に出走し、その後3戦のFP1で走行した。

2018年から、ウィリアムズのレギュラードライバーとなる[6]。だが、レギュラードライバー1年目による経験不足やマシンが外れの年であったため、大苦戦を強いられている。そんななか、イタリアグランプリで11位完走。6位で完走したハースロマン・グロージャンが失格となったことで10位に繰り上がり、F1での初入賞となった[7]。結局入賞はこれ一度きりで自力入賞は無く、2018年シーズン終了後マシンの信頼性低下ほかを理由にウィリアムズチームから去った[8]

2019年は、WECの2018-2019シーズンの2019年に行われるレースにSMPレーシングから参戦することが発表され、活動をWECに移すかと思われたが、ルノーが彼をリザーブドライバーとして起用したことを発表。シートは失ったがリザーブという形でF1に残ることとなった。

ル・マン24時間レース 編集

2017年のル・マン24時間レースSMPレーシングからLMP2クラスで参加し、総合33位(LMP2クラス16位)となった。

エピソード 編集

2018年のF1参戦は、図らずも以下のような珍しい記録を残すこととなった。

  • 史上初の「純粋な」ランキング最下位(20位)
  • 史上初の「1シーズン中に全ドライバーが最低1回以上入賞」を自身が入賞したことで達成
  • 史上初のランキング最下位ドライバーがポイント獲得(1ポイント)

これまでのF1にはスポット参戦や欠場者が必ず存在したため、最下位となるドライバーはそのどちらかで、かつ、入賞できず、獲得ポイントも0ポイントで終えることが多く、前年のマーカス・エリクソンのようなフル参戦者の中での「実質」ランキング最下位という形が主流であった。ところが、この年はシーズン開始時のエントリーリストに掲載された全員がフル参戦を果たしたため、このような記録を残すこととなった。

レース戦績 編集

略歴 編集

シリーズ チーム レース 勝利 PP FL 表彰台 ポイント 順位
2010 フォーミュラ・アバルト イエンツァー・モータースポーツ 6 0 0 0 0 12 18位
2011 フォーミュラ・アバルト ヨーロピアン・シリーズ 4 1 0 1 3 175 1位
ユーロノヴァ・レーシング・バイ・フォーテック 10 4 1 2 7
フォーミュラ・アバルト イタリアン・シリーズ ジェンザー・モータースポーツ 8 0 0 0 5 136 2位
ユーロノヴァ・レーシング・バイ・フォーテック 6 2 1 1 4
2012 Auto GP ワールド・シリーズ ユーロノヴァ・レーシング 14 2 1 5 9 175 3位
イタリア・フォーミュラ3 ヨーロピアン・シリーズ ユーロノヴァ・レーシング・バイ・フォーテック 24 2 0 1 6 166 5位
イタリア・フォーミュラ3 イタリアン・シリーズ 18 0 0 0 5 116 6位
フォーミュラ・ルノー3.5 シリーズ BVM・ターゲット 2 0 0 0 0 0 35位
2013 ISR 15 0 0 0 2 61 9位
2014 フォーミュラ1 ザウバーF1チーム テストドライバー
フォーミュラ・ルノー3.5 シリーズ フォーテック・モータースポーツ 17 1 1 0 4 132 5位
2015 GP2シリーズ ラパックス・チーム 22 1 1 1 5 139 3位
2016 フォーミュラ1 ルノー・スポールF1チーム テストドライバー
GP2シリーズ ARTグランプリ 22 2 3 3 8 159 3位
2017 フォーミュラ1 ルノー・スポールF1チーム テストドライバー
FIA フォーミュラ2選手権 ARTグランプリ 2 0 0 0 0 9 20位
ル・マン24時間レース - LMP2 SMPレーシング 1 0 0 0 0 N/A 16位
2018 フォーミュラ1 ウィリアムズ・マルティーニ・レーシング 21 0 0 0 0 1 20位
2018-19 FIA 世界耐久選手権 SMPレーシング 3 0 0 0 0 12 23位
2019 フォーミュラ1 ルノーF1チーム リザーブドライバー
ル・マン24時間レース - LMP1 SMPレーシング 1 0 0 0 0 N/A DNF
2020 フォーミュラ1 ルノー・DPワールド・F1チーム リザーブドライバー
GTワールドチャレンジ・ヨーロッパ SMPレーシング 4 0 1 0 0 7 20位
インターコンチネンタル・GTチャレンジ フェラーリ 1 0 0 0 0 0 NC
  • * : 今シーズンの順位。(現時点)

Auto GP ワールドシリーズ 編集

エントラント 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 順位 ポイント
2012年 ユーロノヴァ・レーシング MNZ
1

14
MNZ
2

4
VAL
1

1
VAL
2

3
MAR
1

6
MAR
2

2
HUN
1

13
HUN
2

3
ALG
1

3
ALG
2

3
CUR
1

3
CUR
2

4
SON
1

3
SON
2

1
3位 175

フォーミュラ・ルノー3.5 シリーズ 編集

チーム 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 順位 ポイント
2012年 BVM・ターゲット ALC
1
ALC
2
MON
1
SPA
1
SPA
2
NÜR
1
NÜR
2
MSC
1

20
MSC
2

Ret
SIL
1
SIL
2
HUN
1
HUN
2
LEC
1
LEC
2
CAT
1
CAT
2
35位 0
2013年 ISRレーシング MNZ
1

Ret
MNZ
2

19
ALC
1

4
ALC
2

2
MON
1

22
SPA
1

18
SPA
2

8
MSC
1

DNS
MSC
2

11
RBR
1

Ret
RBR
2

4
HUN
1

3
HUN
2

12
LEC
1
LEC
2

Ret
CAT
1

Ret
CAT
2

Ret
5位 61
2014年 フォーテック・モータースポーツ MNZ
1

7
MNZ
2

3
ALC
1

8
ALC
2

Ret
MON
1

Ret
SPA
1

Ret
SPA
2

Ret
MSC
1

1
MSC
2

4
NÜR
1

3
NÜR
2

4
HUN
1

14
HUN
2

Ret
LEC
1

4
LEC
2

7
JER
1

3
JER
2

5
5位 132

F1 編集

チーム  シャシー エンジン 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 WDC ポイント
2014年 ザウバー C33 フェラーリ 059/3 1.6 V6 t AUS MAL BHR CHN ESP MON CAN AUT GBR GER HUN BEL ITA SIN JPN RUS
TD
USA BRA ABU - -
2016年 ルノー R.S.16 ルノー R.E.16 1.6 V6 t AUS BHR CHN RUS
TD
ESP MON CAN EUR AUT GBR HUN GER BEL ITA SIN MAL JPN USA MEX BRA
TD
ABU - -
2017年 R.S.17 ルノー R.E.17 1.6 V6 t AUS CHN BHR RUS
TD
ESP
TD
MON CAN AZE AUT
TD
GBR HUN BEL ITA SIN MAL
TD
JPN USA MEX BRA ABU - -
2018年 ウィリアムズ FW41 メルセデス M09 EQ Power+ 1.6 V6 t AUS
Ret
BHR
15
CHN
15
AZE
Ret
ESP
14
MON
16
CAN
17
FRA
15
AUT
14
GBR
14
GER
Ret
HUN
16
BEL
12
ITA
10
SIN
19
RUS
18
JPN
16
USA
13
MEX
13
BRA
16
ABU
15
20位 1

GP2シリーズ/FIA フォーミュラ2選手権 編集

エントラント 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 DC ポイント
2015年 ラパックス BHR
FEA

12
BHR
SPR

14
CAT
FEA

16
CAT
SPR

10
MON
FEA

5
MON
SPR

3
RBR
FEA

2
RBR
SPR

4
SIL
FEA

1
SIL
SPR

8
HUN
FEA

3
HUN
SPR

3
SPA
FEA

9
SPA
SPR

6
MNZ
FEA

Ret
MNZ
SPR

5
SOC
FEA

4
SOC
SPR

21
BHR
FEA

5
BHR
SPR

4
YMC
FEA

13
YMC
SPR

C
3位 139
2016年 ARTグランプリ CAT
FEA

Ret
CAT
SPR

11
MON
FEA

Ret
MON
SPR

Ret
BAK
FEA

2
BAK
SPR

3
RBR
FEA

12
RBR
SPR

6
SIL
FEA

18
SIL
SPR

21
HUN
FEA

3
HUN
SPR

1
HOC
FEA

1
HOC
SPR

2
SPA
FEA

9
SPA
SPR

16
MNZ
FEA

14
MNZ
SPR

Ret
SEP
FEA

2
SEP
SPR

Ret
YMC
FEA

4
YMC
SPR

3
3位 159
2017年 BHR
FEA
BHR
SPR
CAT
FEA
CAT
SPR
MON
FEA
MON
SPR
BAK
FEA

10
BAK
SPR

4
RBR
FEA
RBR
SPR
SIL
FEA
SIL
SPR
HUN
FEA
HUN
SPR
SPA
FEA
SPA
SPR
MNZ
FEA
MNZ
SPR
JER
FEA
JER
SPR
YMC
FEA
YMC
SPR
20位 9

FIA 世界耐久選手権 編集

チーム 使用車両 クラス 1 2 3 4 5 6 7 8 順位 ポイント
2018-19年 SMPレーシング BRエンジニアリング・BR1 LMP1 SPA
LMN
SIL
FSW
SHA
SEB
NC
SPA
4
LMN
Ret
23位 12

(key)

ル・マン24時間レース 編集

チーム コ・ドライバー 使用車両 クラス 周回 順位 クラス順位
2017年   SMPレーシング   ミカエル・アレシン
  ヴィクトル・シャイタル
ダラーラ・P217-ギブソン LMP2 330 33位 16位
2019年   イゴール・オルトツェフ
  ステファン・サラザン
BRエンジニアリング・BR1 LMP1 163 DNF DNF

関連項目 編集

脚注 編集

  1. ^ “セルゲイ・シロトキン、2014年にザウバーでF1デビューを予定”. F1-gate.com. (2013年7月15日). http://f1-gate.com/sergey-sirotkin/f1_20122.html 2013年7月15日閲覧。 
  2. ^ “セルゲイ・シロトキン、フェラーリのF1マシンでデビュー準備”. F1-gate.com. (2013年10月1日). http://f1-gate.com/sergey-sirotkin/f1_21036.html 2014年1月5日閲覧。 
  3. ^ “ザウバー、セルゲイ・シロトキンをテストドライバーに起用”. F1-gate.com. (2013年12月21日). http://f1-gate.com/sauber/f1_22033.html 2013年12月21日閲覧。 
  4. ^ “来季デビューの確信を深めるシロトキン”. ESPN F1. (2014年10月12日). http://ja.espnf1.com/sauber/motorsport/story/179593.html 2018年5月12日閲覧。 
  5. ^ シロトキン、ルノーF1のリザーブに昇格。2018年はレギュラーシート獲得が目標”. AUTOSPORTweb (2017年2月22日). 2017年2月22日閲覧。
  6. ^ ウィリアムズ、セルゲイ・シロトキンの起用を正式発表 publisher = F1-Gate.com” (2018年1月16日). 2018年1月16日閲覧。
  7. ^ F1イタリアGP|ハースのグロージャン、ルノーの抗議で結果から除外! フロアに違反発覚で6位から失格に|motorsport.com日本版」『』。2018年9月3日閲覧。
  8. ^ シロトキン放出のウイリアムズにスポンサーが決別宣言「不快な驚きを覚えるほどのパフォーマンスの低さ」と批判”. f1sokuho.mopita.com. 2018年11月26日閲覧。
  9. ^ ウィリアムズのドライバーたちは“ハングリー”だとミカ・サロ - TopNews・2018年1月17日

外部リンク 編集